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宇宙bPアイドル:矢澤にこ「にこはアイドルになりたかったから」【ダイヤモンドプリンセス】

1 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:20:06.33ID:Vb+DJXJG.net
前作 プロアイドル:矢澤にこ「よ〜し、トップアイドル目指すわよぉ〜ニコッ♪」【最低で最高のParadiso】

シリーズ最終章

2 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:20:48.73ID:Vb+DJXJG.net
都内 矢澤マンション

にこの部屋 洗面所

にこ「……」

洗面台(一面血まみれ)

にこ「……」


洗面台鏡(にこの口から血)

にこ「……」

にこ「な、何よ。これ」(顔面蒼白)

3 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:21:47.93ID:Vb+DJXJG.net
ダイニング

にこ「……」(トボトボ)

えりまき「アハハハwwww」

にこ「……」(座り)

えりまき「アハハハww」

にこ(呆然)

えりまき「クヒヒヒ、ヤダァwww」

にこ(顔面蒼白)

4 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:22:32.52ID:Vb+DJXJG.net
絵里「ねえ聞いて?にこ」

絵里「真姫ったら、入浴剤と間違えて洗剤をお風呂に入れちゃった事があるんですって」

にこ(うつろな目)

絵里「しかも、気づかずにそのまま湯船に入ったそうよ」

真姫「子供の頃よ。子供の頃」

絵里「ね?おかしいでしょ?」(涙目)

にこ「……」(冷や汗)

真姫「ほら。にこちゃん呆れてるじゃない」

にこ「……」(顔面蒼白)

5 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:23:13.72ID:Vb+DJXJG.net
真姫「にこちゃん?」

絵里「にこ?」

にこ「……」(ワナワナ)

絵里「どうしたの?顔色悪いわねえ」

真姫「まさか吐いて来たんじゃあないでしょうね?」(ジト目)

にこ(冷や汗)

にこ「ん?んん?なぁ……なんでもないわ」

にこ「ニコッ♪」(ビシッ)

えりまき「……」

6 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:24:04.14ID:Vb+DJXJG.net
絵里「今夜はもう遅いし、そろそろお開きにしましょうか」

真姫「そうね。大分飲んだしね」

にこ「……」(冷や汗)

真姫「にこちゃん?」

にこ(ビクッ)

にこ「んなっ!?なに?」

真姫「片付けは明日で良いでしょ?」

絵里「そうね」

絵里「明日は休みだしね」

にこ「そ、そ、そうね」

にこ「にこも賛成〜」

7 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:24:42.09ID:Vb+DJXJG.net
(消灯)

絵里「Zzz……」(布団)

真姫「Zzz……」(布団)

にこ「……」(布団)

にこ(そ、そんな……にこの身に何が起こってんの)

にこ(こんな時に……こんな大事な時に)

にこ(ま、まだよ。そうと決まったわけじゃない)

にこ(とにかく、真姫と絵里に気取られぬようにしなきゃ)布団

絵里「Zzz……」(布団)

真姫「Zzz……」(布団)

8 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:26:30.14ID:Vb+DJXJG.net
某テレビ局

音楽番組

大物司会「それではbibiのみなさんです」

(パチパチパチパチ)

にこえりまき(スタスタスタスタ)

大物司会「今夜はよろしくお願いします」

絵里「こちらこそ」

女性アナウンサー「こうして直に見ると、本当物凄く綺麗ですねえ」

真姫「そうですか?」

大物司会「今やbibiは、日本芸能界を代表するアイドルユニットですからね」

大物司会「その人気たるや、あのアライズにも勝るとも劣らぬ勢い」

大物司会「現在最も急成長中のグループであるのは間違いありません」

女性アナウンサー「bibiの特徴として、女性層から圧倒的な支持を勝ち取っている事にありますよね」

女性アナウンサー「それもこれも、現代女性が憧れる理想を体現しているからこそなのではないでしょうか」

女性アナウンサー「まさに戦う集団。この厳しい現代社会でひときわ輝く凛とした美しさ」

女性アナウンサー「決して媚びない、それでいて可愛らしさも忘れない」

女性アナウンサー「それこそが大勢の共感を得たのではないでしょうか?」

にこ「そ、そうですね」

9 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:27:57.81ID:Vb+DJXJG.net
大物司会「この個性派ぞろいを率いて来たのがリーダーの矢澤にこさん」

大物司会「これまで様々な騒動の中心となり、芸能界の暴れん坊と言う異名まで頂戴した彼女です」

大物司会「しかし、それでいて家事炊事全般をしっかりこなす高い女子力の持ち主」

大物司会「今や結婚したい芸能人堂々の3位ですよ」

にこ「そこまで言われると、なんだか恥ずかしいです」

女子アナウンサー「けど、今までこう言ったタイプのアイドルはいなかったんじゃないでしょうか?」

女子アナウンサー「これからの新しい時代、新しい女性の生き方を、彼女達bibiが私達に指し示しているように思われます」


大物司会「それではそろそろ歌ってもらいましょう」

女子アナウンサー「bibiの最新曲、オリコン1位、売上100万枚達成。早くも今年の有線最有力候補と目されています」

大物司会&女子アナウンサー「最低で最高のParadiso!!」

10 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:29:10.16ID:Vb+DJXJG.net
局内 トイレ

(ゲホッゴホッ)

にこ「ゴホッ、ゴホッ」

便器(血まみれ)

にこ「ゲホッ、ゴホッ……オエェ」

にこ(口に手)

にこ「ハァ……ハァ……ハァ」(口が血まみれ)

にこ「あによ、これ」(血まみれの手)

にこ(今の所、体力の衰えは感じない)

にこ(むしろ、いつもより絶好調なくらいよ)

11 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:30:13.25ID:Vb+DJXJG.net
にこ(けど……この咳の発作は間隔が短くなっているし)

にこ(次第に激しくなって来ている)血まみれの口

にこ(そして……なにより)


便器(血だらけ)


にこ「……」

にこ「まさか……」

12 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:30:49.54ID:Vb+DJXJG.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(バシャバシャ)

にこパパ『さあ、ちゃんと肩までつかるんだよ』

にこ『は〜い』

にこパパ『じゃあ、10まで数えて』

にこ『1〜2〜3〜4〜5〜』

にこ『10〜』(バシャアァァ)

にこパパ『こら。全部数えてないじゃないか』(苦笑)

13 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:31:39.82ID:Vb+DJXJG.net
にこ『だって熱いんだもん』

にこパパ『ハハ、そうか』

(ワシャワシャワシャワシャ)

にこパパ『にっこにっこに〜♪』(にこの頭ワシャワシャ)

にこ『なにそれ?』(頭シャンプーまみれ)

にこパパ『笑顔になる呪文だぞ』

にこパパ『はら、こうやって、ポーズを作って』(にこの手つまみ)

にこパパ『にっこにっこに〜♪』(にこの手フリフリ)

14 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:32:13.57ID:Vb+DJXJG.net
にこ『面白いの?これ』

にこパパ『今度は自分でやってみなさい』

にこ『こ〜う?』

にこ『にっこにっこに〜♪』(ポーズ)

にこパパ『ハハハ、上手いぞ』(笑顔)

にこ『そ〜う?』(エッヘン)

にこ『って……イッタ、シャンプーが目に入った><』

にこ『んも〜う。パパが変な事させるからあ』

にこパパ『ハハハ、ゴメンゴメン。今流すからな?』(シャワー)

15 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:33:10.72ID:Vb+DJXJG.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

都内 矢澤マンション

にこの部屋

にこ「……」

にこ(にこの家系は、父方が癌で大勢死んでいる)

にこ(確か……50まで生きた人はほとんどいなかったはずよ)冷や汗


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


にこパパ『にこもいよいよ幼稚園か』

にこ(制服姿)

にこパパ『じゃあ、先生やお友達に会った時、ちゃんと自己紹介出来るようパパと練習してみようか』

にこパパ『はい。やってみて』

にこ『初めまして、矢澤にこ。幼稚園年少です』

にこパパ『よし。良く出来たな』(ナデナデ)

にこ『エヘヘ♪』

16 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:33:57.90ID:Vb+DJXJG.net
にこパパ『にこって名前はな。そのものズバリ、笑顔のにこだ』

にこパパ『いつもにっこり、笑顔で過ごせば、どんな時でも明るくなれる』

にこパパ『笑顔になれば気持ちも楽しくなる。みんなを笑顔にすれば、もっと幸せになれる』

にこパパ『その気持ちを常に持って、強く前向きに生きていってくれれば』

にこパパ『父さんは嬉しいな』

にこ『にこはもっとカッコいい名前が良かったなあ〜』

にこ『ねえ〜パパあ。改名してぇ〜』(服つかみ)

にこパパ『えぇ〜?それはちょっとムリだなあ』(苦笑)

17 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:34:55.57ID:Vb+DJXJG.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

矢澤マンション

にこの部屋

にこ「……」

にこ(いつからだったかしらね)

にこ(物心ついたころには、もうにこはアイドルを目指していたわ)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

にこ『にっこにっこに〜♪ あなたのハートににっこにっこに〜♪の矢澤にこにこ〜♪』(ポーズ)

にこ『にこにーって覚えてラブニコッ♪』(ビシッ)

にこパパ『上手い、上手いぞ』(パチパチパチパチ)

にこ『ふっふ〜ん♪と〜うぜんよ』(エッヘン)

にこ『なんたってぇ、にこは宇宙bPアイドルなんだからねぇ〜』

にこ『所で、ママはまだ帰ってこないの?』(にこパパ抱きっ)

にこパパ『ママは病院にいるんだよ』(ナデナデ)

にこパパ『言っただろ?もうじき赤ちゃんが生まれるって』

にこパパ『双子の妹だよ』

18 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:36:39.86ID:Vb+DJXJG.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

矢澤マンション

にこの部屋

にこ「……」

にこ(その後、虎太郎が生まれてからよね)

にこ(パパの体調が悪化していったの)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

にこパパ『にこはアイドルになりたいのか』

にこ『もっちろんニコッ♪』(ビシッ)

にこパパ『そうか。そうだな』

にこパパ『にこならやれる。きっと、日本一のアイドルになれるぞ』(ナデナデ)

にこ『パパあ。にこがアイドルになって有名になったら』(にこパパギューッ)

にこ『ぜ〜ったい、親孝行するからね?』

にこ『大きな家に、高級車に』

にこ『それに、それに〜』

19 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:37:35.60ID:Vb+DJXJG.net
にこパパ『ハハハ、楽しみにしてるよ』(ナデナデ)

にこ『とにかく、う〜んと稼いで楽させてあげるから』

にこ『早く帰って来てね』

にこ『約束ニコ♪』

にこパパ『もちろんさ』

にこママ『あなた。タクシー待ってるわ』(鞄)

にこパパ『じゃ、そろそろ行くよ』(にこナデナデ)

こころ『ママぁ。パパ病院にお泊りするの?』

ここあ『なんで〜?』

20 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:38:57.16ID:Vb+DJXJG.net
にこママ『パパはね。ちょっとお腹の検査に行くだけよ』

にこママ『すぐに戻るわ。心配しないで』

にこママ『2人とも、ちゃんとお姉さんの言う事聞いて、しっかりお留守番するのよ』

こころあ『はい〜』

にこママ『にこ。そう言う事だから、しばらくよろしく頼むわね』

にこ『うん』

にこママ『この子は私が連れて行くわ』

虎太郎『スヤスヤ』(にこママの腕の中)

21 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:39:50.16ID:Vb+DJXJG.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

矢澤マンション

にこの部屋

にこ「……」

にこ(パパは肺がんで、すぐに胃腸に転移し、治療の甲斐なく遂にリンパ節まで侵された)

にこ(最初の精密検査で、早くも余命1年)

にこ(あらゆる治療法を試し、何回も手術を繰り返したが、パパは結局その余命すら生きられなかった)

にこ(本当、あっけなかったわ)

22 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:40:24.85ID:Vb+DJXJG.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(ピーッ ピーッ)

総合病院

集中治療室

(ピーッ ピーッ)

にこママ「……」

(ピーッ ピーッ)

にこ「……」

(ピーッ ピーッ)

にこパパ(ベッド)

23 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:41:43.93ID:Vb+DJXJG.net
(ピーッ ピーッ)

にこパパ(手でサイン)

医師「呼吸器を外せと?」

看護師「矢澤さん。それは無理よ」

にこママ「いえ。構いません」


看護師(呼吸器外し)

(ピーッ ピーッ)

にこパパ「こころと……ここあ達は?」

にこママ「外で待たせてます」

にこパパ「そう……か」

にこ「……」

(ピーッ ピーッ)

24 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:42:23.76ID:Vb+DJXJG.net
にこパパ「済まない……出来るだけ抗ってみたが……勝てなんだ」

にこママ「……」

にこパパ「苦労をかけるね……」

にこママ「……」

にこママ「いえ。私にはあなたの子達がいます」

にこママ「私がしっかり育てます」

にこママ「この子達は、あなたからの大切な贈り物ですから」

にこパパ(ウルウル)

にこ「……」

(ピーッ ピーッ)

25 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:43:02.23ID:Vb+DJXJG.net
にこパパ「にこ……見なさい……この手は……何に見える?」(ベッド)

にこ「!」

にこ「パパだよ。パパの手だよ」(手ガシッ)

にこ「これはにこ達のパパの手。それ以外にないよ」(手ナデナデ)

にこパパ「当然だろう……」

にこパパ「私は……お前たちのパパ……なんだからな」

(ピーッ ピーッ)

にこ(手ギューッ)

にこパパ「私が死んでも……私の遺志は受け継がれる……」

にこ「パパ」

26 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:43:43.74ID:Vb+DJXJG.net
にこ「パパはどこに行くの?天国?」(手ナデナデ)

にこパパ「そうだな……私はいつでもお前たちを見守って……いるからな」

にこパパ「お前たちが死んだら、私の所に来なさい……だ……が」

にこパパ「願わくば……その日がずっとずっと……先であります……ように」

にこパパ(ガクッ)

(ピーッ ピーッ)

(ピーーーーー)

にこ「!」

にこママ「……」

医師「心臓マッサージ、蘇生措置!!」

看護師「矢澤さん。矢澤さん!!」(胸押し)

医師「人工呼吸!!」


(ピーーーーー)

にこママ「……」

にこ「……」

27 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:44:19.80ID:Vb+DJXJG.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

矢澤マンション

にこの部屋

にこ「……」

にこ「ホント、あっけなかったわね」

にこ「にこの家は、決して貧乏ではなかったわ」

にこ「けど、パパの治療に膨大な費用がかかって、そのため資産は底をついた」

にこ「だからそれまで住んでいた高級マンションから、母子家庭優先枠で団地に移り」

にこ「ママは働くようになった」

28 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:45:26.12ID:Vb+DJXJG.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

にこママ『にこ。今日からママはお外で働きます』

にこママ『だから、これからは家の事はあなたに任せます』

にこ『うん』

にこママ『こころ達の面倒も頼むわよ』

にこママ『保育園と話はしてあるから、他の子達より遅くまで見てはくれる』

にこママ『けど、帰って来たらあの子達はあなたが守るのよ』

にこママ『ママの代わり、出来る?』

にこ『任せて』

29 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:46:01.39ID:Vb+DJXJG.net
にこママ『矢澤家に弱い子はいりません』

にこママ『どんな事があっても決して弱音を吐かぬ事、嬉しい時以外涙を見せない事』

にこママ『それが出来ないなら早めに言いなさい』

にこママ『裕福な親戚へ養子に出します』

にこ『大丈夫よママ』

にこ『だってにこは、パパの子だもん♪』(ニッコリ)

30 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:46:44.66ID:Vb+DJXJG.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

矢澤マンション

にこの部屋

にこ「……」

にこ(とは言え、あれは本当に辛かったわ)

にこ(確かににこは泣かなかった。と言うより、色々大変過ぎて泣く余裕すらなかったって感じよね)

にこ(学校に家事に、3人の妹達の面倒)

にこ(小学生の身で、よくぞここまでやれたものよ)

にこ(正直最初は、何が何だか分からなくて、しょっちゅうパニックになってたわよねぇ〜)

にこ(まあ、お陰で大分強くはなれたけどさ。少し性格キツくなったかも知れないけど)

31 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:47:21.95ID:Vb+DJXJG.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

にこママ『にこ。進学先はどうするの?』

にこ『音ノ木坂に行くわ』

にこママ『UTXは?受けないの?』

にこ『あそこは……にこの頭じゃ無理だから』

にこママ『……』

にこママ『あなたね。学費の心配なんてしなくても良いのよ』

にこ『ママ』

にこママ『あなたが行きたいって言うのなら、私がどんな事をしてでも必ず何とかします』

にこ『やだなあママ。本当に学力が足りないだけなんだって』

32 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:48:06.79ID:Vb+DJXJG.net
にこ『それに、お金があるなら妹達に使いなよ』

にこママ『……』

にこ『にこは頭良くないしさ。ほら。こころの方が成績良いみたいじゃない』

にこ『虎太郎も男の子だし。投資するならそっちにした方が』

にこ『ゆくゆくは親孝行してくれるって』

にこママ『……』

にこママ『にこ。あなた、本当にそれで良いの?』

にこママ『夢だったんでしょ?UTX入ってアイドルになるの』

にこ『別にUTX入んなきゃアイドル出来ないわけじゃない』

にこ『音ノ木坂でも問題ないわ』

にこママ『……』

33 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:48:48.64ID:Vb+DJXJG.net
にこ『そう言うわけで、にこは全然気にしないから』

にこ『じゃ、先に寝るね』

(スタスタ)

にこママ『……』

にこママ『ごめんなさい』

34 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:48:56.25ID:08kWITGi.net
やったぜ
続きはよ

35 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:49:27.32ID:Vb+DJXJG.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

都内

矢澤マンション

にこの部屋

にこ「……」

にこ(矢澤家の経済事情で、妹たちが3人もいるのに、にこだけ学費のかかる私立に行きたいとは、
とても言えなかったわ)

にこ(おかげでずいぶん遠回りした。悔しい思いもたくさんしてきたわ)

にこ(けど、今はこれで良いと思ってる)

にこ「……」

にこ(こんな事で、終わらせるものですか)

にこ(とにかく、いち早く病院でみてもらわないと)

36 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:50:13.37ID:Vb+DJXJG.net
一週間後

都内 大学病院

内科医「吐血ですか?」

にこ「はい」

内科医「他に気になる症状は?」

にこ「周りから良くやせたと言われます」

内科医「じゃ、上着だけ脱いでください」(聴診器)

にこ(上着脱ぎ)

内科医「息を吸って……はい、吐いて」(聴診器)

にこ「スゥー、ハァー」

内科医「じゃ、舌出してください」(例のヘラ)

にこ(ベー)

内科医「……」(例のヘラ)

37 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:50:49.37ID:Vb+DJXJG.net
内科医「それでは、私のする質問に答えて下さい」(問診票)

内科医「お酒は飲まれますか?」

にこ「はい」

内科医「どのくらい?」

にこ「ええとぉ……かなり」

内科医「朝食は取っていますか?」(問診票)

にこ「不定期です」

内科医「お仕事でストレスを感じたりしますか?」

にこ「アイドルやってます」

内科医「あぁ……芸能界の方ですね」

内科医「じゃ、仕事のストレスは、相当のはずだ」(問診票)

38 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:51:05.30ID:Rw4D/Uef.net
やぁ (*´∀`)ノ

39 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:51:22.49ID:Vb+DJXJG.net
内科医「最近ストレスに感じる事はありますか?」

にこ「そうですね。実はここ数カ月、かなり多忙になっていて」

内科医「かなり多忙、と」(問診票カキカキ)

内科医「……」

内科医「聞いた限りだと、胃潰瘍の可能性が高いですね」

にこ「……」

内科医「ストレスと生活習慣から見て、いつ胃が荒れてもおかしくない状態ですし」

にこ「はあ」

40 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:52:01.99ID:Vb+DJXJG.net
内科医「では、検査しましょう」

内科医「今日はレントゲンと、MRIと血液検査」

内科医「内視鏡は後日にします」

内科医「予約取られますか?」

にこ「うぇ?あぁ……あのう」

にこ「仕事の都合がいつつくか分からなくて」

内科医「では、内視鏡は矢澤さんの都合がついた時、予約して下さい」

内科医「終わったらまた呼びますね」

内科医「それではカルテを持って、レントゲン室前に行って下さい」

看護師「矢澤さん。どうぞ」(カルテ)

にこ「は、はい。ありがとうございます」(カルテ)

41 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:52:38.96ID:Vb+DJXJG.net
検査後

にこ「……」

内科医「……」(パソコンカタカタ)

にこ「……」

内科医「……」(パソコンカタカタ)

内科医「矢澤さん」

にこ「は、はいっ!」(ビクッ)

内科医「これは大分胃壁が荒れてますねえ」(タッチペン)

モニター(レントゲン&MRI画像)

にこ「はい」

内科医「かなり重い胃潰瘍です」(モニター)

内科医「穴が開いていないだけ、不幸中の幸いですが」

にこ「そうですか」

にこ(なんだ。ただの胃潰瘍だったのか)

42 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:53:14.63ID:Vb+DJXJG.net
内科医「取りあえず、食事と生活習慣と、ストレスへの対処を変えた方が良いですね」

内科医「もちろん、お酒もなるべく控えて下さい」

にこ「はい」

内科医「お薬出しますね」

内科医「胃の粘膜を保護する薬と、胃酸を抑制する薬」

内科医「あと、胃痛を抑える薬も出しときましょうか」

にこ(ホッ)

にこ(良かった。にこの心配のし過ぎだったのね)

43 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:53:51.69ID:Vb+DJXJG.net
内科医「ああ、それと……矢澤さん」(モニター)

にこ「はい」

内科医「精密検査を受けていただきたいのですが」

にこ「」

内科医「当大学病院の、癌科で」

にこ「!」

にこ「胃潰瘍じゃないのですか?」

内科医「胃潰瘍ですよ」

内科医「それとともに、レントゲンとMRIから、腫瘍と疑わしいものが見つかりまして」(モニター)

にこ「癌なの!?」(顔面蒼白)

44 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:54:32.34ID:Vb+DJXJG.net
内科医「まだ分かりません」

内科医「ですが、もし悪性の場合、正直かなり危険な大きさに成長していますね」(モニター)

にこ「そ、そんな」(ワナワナ)


大学病院前

にこ(トボトボ)

『これは内視鏡で直接確かめないと、断定は出来ませんが』

『いずれにしても、出来るだけ早く検査される事をお勧めします』

『かりに悪性でも、早期発見すれば治療の方途も見つけやすいですし』

『完治の望みは十分ありますから』

にこ「……」(トボトボ)

にこ「そんな……まさか」

にこ「どうすれば良いのよ」

45 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:55:16.35ID:Vb+DJXJG.net
某テレビ局 楽屋

絵里「休暇?」

にこ「そうよ」

真姫「あによそれ」

真姫「つい先日まで、にこは365日フル稼働とか言ってたくせに」

にこ「うぁ?あ、ああ……そうね、そうよね」

真姫「?」

絵里「まあ、たまには良いんじゃない」

絵里「ここ3年、まとまった休暇なんて取ったためしもないしね」

真姫「私は今こそ攻めまくる方が良いと思うんだけどなあ」

46 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:55:54.05ID:Vb+DJXJG.net
にこ「そ、そうね。真姫の言う通りよ」

にこ「ごめんなさい。今の話は冗談だから」

絵里「……」

絵里「取りましょ」

にこ「絵里?」

絵里「たまには良いじゃないの」

絵里「大御所も認めてくれるわよ」

真姫「ふ〜ん。まあ、絵里もそう言うのなら」

真姫「けど、意外よね。にこちゃんの口からそんな話が出るとは思わなかったけど」

にこ「本当、無理なら良いのよ」

絵里「いえ、取りましょ」

絵里「園田にかけあってみるわ」

47 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:56:27.10ID:Vb+DJXJG.net
一カ月後

都内 大学病院

癌科

癌科医「それでは、精密検査の結果なのですが」(カルテ)

癌科医「その前に矢澤さん。ご家族はいらっしゃいますか?」

にこ「はい」

癌科医「ご家族にこの結果をお知らせする事はお望みですか?」

にこ「悪い知らせなら」

にこ「出来れば……しばらく秘密に」

癌科医「そうですか。分かりました」(カルテ)

48 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:57:40.95ID:Vb+DJXJG.net
癌科医「それでは、矢澤にこさんの精密検査の結果なのですが」(タッチペン)

癌科医「胃に大きな悪性腫瘍を患っており、それが肺に転移しています」(モニター)

にこ「……」

癌科医「今の所、リンパ節への転移は確認されていませんが、これからどうなるのかは予断ならない状況です」

癌科医「それと」

にこ「……」

癌科医「喉にも大きな腫瘍があります」(モニター)

癌科医「喉頭癌です」

にこ「!」

49 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:58:07.75ID:Vb+DJXJG.net
癌科医「最近喉がイガイガするとかはありませんでしたか?」

にこ「はい。ありました」

にこ「いつも歌ってるせいかと」

癌科医「……」(モニター)

癌科医「今後の治療方針なのですが」

50 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:58:53.01ID:Vb+DJXJG.net
夕方

関東地方 キャンプ場

バンガローハウス

真姫「それにしても、にこちゃんだけまあた単独行動するなんて」(カレーモグモグ)

真姫「これじゃあ3日も休暇もらった意味ないじゃないの」

真姫「意味わかんない」

絵里「まあまあ」(カレー)

にこ「ご、ごめんなさい」(カレー)

絵里「てかにこ。あまり食べないわね」(カレーモグモグ)

絵里「お腹でも痛いの?」

真姫「てかにこちゃん、最近また痩せてない?」(カレー)

真姫「にこちゃん痩せやすい体質なんだから、お肉とかお魚とか、栄養あるものちゃんと取らなきゃダメよ〜?」

51 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 20:59:41.73ID:Vb+DJXJG.net
にこ「そ、そうかな?」(カレー)

絵里「そう言えば、お酒も飲まないわねえ」(ウォッカ入りグラス)

真姫「まあ、にこちゃんの場合は、今まで結構飲んでたから、少し控えた方が良いんだろうけど」(ビールジョッキ)

絵里「本当にね」(苦笑)

絵里「けど、無理な禁酒も体に毒よ」(グラスにウォッカトクトク)

絵里「一杯だけどう?」(グラス)

にこ「うぇ?にこぉ?」

にこ「う、うん。もらうわ」(グラス)

真姫「にこちゃん。一杯だけよ〜?」

真姫「欲張って二日酔いされても困るからね」

絵里「本当にね」

真姫「絵里は最近酔うとすっかり本当にねばっかり言うようになったわよねえ」

絵里「あら。そうかしら」

真姫「うふふ」

にこ「……」(グラス)

52 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:00:19.49ID:Vb+DJXJG.net
一週間後

大学病院 癌科

にこ「……」

癌科医師「矢澤にこさん。あなたの治療方針なのですが」

癌科医師「やはり、最終的には手術しなければならないかと」

にこ「」

癌科医師「もちろん、あなたの同意を経ての上での事ですが」

にこ「……」

53 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:00:59.24ID:Vb+DJXJG.net
にこ「どのくらい……切るのですか?」

癌科医師「そうですね。最低でも胃は四分の三切除」(タッチペン)

癌科医師「肺も片方を切除」(モニター)

モニター(にこのMRI画像)

癌科医師「それと、あなたはアイドルでしたよね?」

にこ「はい」

癌科医師「あなたにとって、お辛い事でしょうが」

癌科医師「声帯も全摘する必要があるかと」

にこ「!!」

54 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:01:33.58ID:Rw4D/Uef.net
魔法から呪文へ変わりました

55 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:01:40.22ID:5YtZqRpO.net
続き待ってたけど来てほしくはなかったという二律背反

56 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:01:44.90ID:Vb+DJXJG.net
にこ「そ、そんな」(顔面蒼白)

にこ「他に治療法はないのですか?」

癌科医師「もちろん、抗がん剤や放射線療法等も組み合わせます」

癌科医師「ですが、もしもこれだけの癌が、リンパ節に転移した場合」(モニター)

癌科医師「残念ながら、助かる見込みはゼロと言っても過言ではないかと」

にこ(冷や汗ダラダラ)

57 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:01:50.52ID:Rw4D/Uef.net
>>13
でふ

58 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:02:48.70ID:Vb+DJXJG.net
大学病院出入り口

にこ「……」(トボトボ)

『いずれにしても、私達は患者様の生命を守る事を第一に方針を下す立場です』

『今の容態から考えるに、出来れば一月以内に手術する事をお勧めしたい』

『この一月がリミットと考えてください』

『それ以上引き延ばすと、癌のリンパ節転移が始まると考えて、まず間違いないのです』

『もしそうなれば手遅れとなり、あとは延命治療以外手段はなくなります』

『今ならまだ、完治の望みはあります』

『100パーセントではありませんが、そのためにも手術を受ける事が最低条件です』

『ご家族とも良く相談なさって下さい』

59 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:03:23.08ID:Vb+DJXJG.net
にこ「……」(トボトボ)

にこ(そんな……この体にメスを入れろっての?)

にこ(アイドルの体に、手術跡をつけなければならないなんて)

にこ(トボトボ)

にこ(胃や片肺は、まだ良いわ)

にこ(声帯が取られれば、もう歌えなくなるじゃない)ワナワナ

にこ(トボトボ)

にこ(そんなんじゃ、にこはアイドルやっていけなくなる)

にこ(そうなったら……にこは死んだも同然よ)

60 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:03:53.43ID:Vb+DJXJG.net
夕方

矢澤マンション

にこ「……」

真姫「……」

にこ「……」

真姫「にこちゃん」

にこ「あによ」

真姫「なんか最近様子が変よね」(ジト目)

にこ「別に?」

61 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:04:33.98ID:Vb+DJXJG.net
にこ「……」

真姫「……」

真姫「にこちゃん」

にこ「あによ?」

真姫「てかにこちゃんさ。最近なんとなく痩せてるわよね?」(ジト目)

にこ「穂乃果や花陽みたいに、油断すればすぐ太るよりよっぽど良いでしょ?」(プイッ)

真姫「……」

真姫「そう言う問題じゃないわ」

62 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:04:41.08ID:Rw4D/Uef.net
>>29
虐待やんけ

63 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:05:13.83ID:Vb+DJXJG.net
真姫「あのねにこちゃん。私より絵里のほうが心配してんのよ」

真姫「にこちゃんの変調に最初に気付いたのも絵里」

真姫「絵里はかなり心配してるわ」

真姫「てか、物凄く深刻に思い悩んでるの」

にこ「……」

にこ「絵里も心配性ねえ」

にこ「そんなんだから、胃が痛くなるのよ」

真姫「……」

64 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:05:50.90ID:Vb+DJXJG.net
真姫「ねえにこちゃん。ここ数日絵里がにこちゃんの体調に対して、何て言ってると思う?」

にこ「そうね。癌じゃないかとでも言ってんの?」

真姫「そうよ」

にこ「」

にこ(顔面蒼白)

にこ(冷や汗)

にこ(ワナワナ)

にこ(ガクガクブルブル)

にこ(冷や汗ダラダラ)

真姫「図星だったのね」

65 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:06:27.88ID:Vb+DJXJG.net
真姫「しかし、まさか本当にそうだったとはね」

真姫「私の方がショックだわ」

にこ「ごめんなさい」(シュン)

真姫「まあ、なってしまったのはしょうがない」(腕組)

真姫「で、もう受診したの?」

にこ「うん」

真姫「何て言われた?」

にこ「……」

真姫「にこちゃん」

にこ「……」

にこ「手術よ」

66 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:06:55.80ID:Vb+DJXJG.net
真姫「何それ、意味わかんない」

にこ「……」

真姫「確かに、重度の癌じゃ全摘も仕方ないかも知れないけど」

真姫「いくらなんでも一か月以内とか、急ぎ過ぎよ」

真姫「もう少し様子を見ないと」

にこ「……」

真姫「これでも医学かじった身だからね」

真姫「どこ受けたのよ?」

67 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:07:43.99ID:Vb+DJXJG.net
真姫「ああ、大学病院ね」

にこ「?」

真姫「にこちゃんね。にこちゃんは知らないかも知れないけど」

真姫「大学病院って言う所は、なにかあるとすぐ切りたがるものなのよ」

にこ「そうなの?」

真姫「研究とか研修とか、変な話、そう言う材料が必要な所だからね」

にこ「……」

にこ「もしかして、にこ騙された?」

真姫「そうじゃないだろうけど、他の手段もあるような気がするわ」

真姫「ねえにこちゃん。セカンドオピニオンって知ってる?」

にこ「セカンドオピニオン?」

真姫「要は、患者が今の診断や治療方針に納得できない場合」

真姫「別の医師に当たってみると言う手もある」

68 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:08:02.01ID:96fuWEMt.net
>>55
もう某所で完結してるんだよなぁ…
まあ大人しくフィナーレを見守ろうぜ

69 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:08:25.29ID:Vb+DJXJG.net
真姫「てか、そう言う事情なら話が早いわ」

真姫「私のパパの病院、最近癌治療に力を入れていてね。全国でもトップクラスになってんの」

真姫「最新の検査機器もそろってるし、日本でも十指に入る名医も抱えてる」

真姫「あによ。だったら最初から私に相談すれば良かったのに」(微笑)

にこ「確かに、今考えるとそうよね」

にこ「にこ動揺してて、そこまで思いつかなかった」

真姫「じゃあ、早速パパに連絡とってみるわ」

真姫「出来るだけ早く予約を取れるようにね」

にこ「そうね。助かるわ」

にこ「ありがとう真姫ちゃん」

70 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:09:12.82ID:Vb+DJXJG.net
同日深夜

矢澤マンション

にこ「Zzz……」

絵里「ハラショー」(顔面蒼白)

真姫「絵里の予想が当たったわね」

絵里「にこは助かるの?」

絵里「臓器移植なら……私、協力するわ」

真姫「まだ分からないけど、明日パパに事情を話すつもり」

真姫「ベストの態勢を整えるわ」

真姫「とにかく、最悪の事態にはならないよう、全力を尽くさないとね」

絵里「グスッ……」

71 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:09:48.13ID:Vb+DJXJG.net
絵里(ポロポロ)

真姫「エリー。泣いちゃダメよ」

絵里「ごめんなさい……まだ早すぎるわよね」(涙フキフキ)

真姫「それよりもこの件、事務所や親族にどう伝えたら良いか」

絵里「……」

絵里「確かに、これはデリケートな問題だしね」

絵里「最悪、いえ、仮に最善の結果だったとしても、しばらく休業は避けられないし」

真姫「難しいわよねえ」(ため息)

72 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:11:04.60ID:LkLqsnoX.net
>>62
展開を作りたいが為にキャラを捻じ曲げるって京極花田と同レベルよなぁ
これで喜ぶのって矢澤一人以外どうでもいい推しよね
願わくば戻ってこないで欲しかった

73 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:11:13.12ID:Vb+DJXJG.net
にこ「Zzz……」(布団)

真姫「bibiは今や日本を代表するアイドルユニットになった。トップのアライズの立場も指呼の間に押さえてる」

真姫「それだけに、こんな時にこれだけ深刻な問題が出たとなると」

絵里「周囲に与える影響は計り知れないわね」

真姫「今や一千万とも言われるファン達、それに、事務所はじめ多くの企業や業界関係者達が、私達を生命線と頼んでいる」

真姫「その市場規模は、数千億よ」

真姫「ここで活動を辞めると言う事は、何千何万の人達に迷惑をかけ、私達bibiに賭けている大御所始めオフィスAの命運を傾け」

真姫「のみならず、盛り上がっているアイドル業界の勢いも退潮するかも知れない」

絵里「本当にね」

74 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:11:55.90ID:Rw4D/Uef.net
>>67
鼻の神経と骨を削ってくれた清水先生の悪口はやめてもらおうか

75 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:12:50.97ID:Vb+DJXJG.net
にこ「Zzz……」

真姫「けどもちろん、今最も大事なのは、にこちゃんの体よ」

絵里「本当にね」

絵里「でも、一番心配なのはそこなのよね」

絵里「休業とか、にこが受け入れてくれるかしら」

真姫「胸倉つかんでもそうさせるわよ」

真姫「いくら憎まれても恨まれても、私がそうさせるわ」

絵里「そうね」

絵里「園田には伝えとく?」

真姫「……」

真姫「そうねえ。こればっかりは、タイミングが難しいけど」

真姫「いつまでも言わないってわけにもいかないからね」

真姫「出来るだけ早く機会を設けるわ」

絵里「本当にね」

真姫「もう遅いし、そろそろ寝ましょ?」

絵里「分かったわ」

76 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:13:32.26ID:Vb+DJXJG.net
一週間後

オフィスA

応接室

園田「……」

大御所「……」

大御所「矢澤にこが、癌だって?」

園田「はい」

大御所「……」

大御所「いつからだよ」

園田「はい?」

大御所「あの姉ちゃんが癌になったのは、いつからなんだよ」

園田「はい」

77 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:13:34.39ID:Vb+DJXJG.net
一週間後

オフィスA

応接室

園田「……」

大御所「……」

大御所「矢澤にこが、癌だって?」

園田「はい」

大御所「……」

大御所「いつからだよ」

園田「はい?」

大御所「あの姉ちゃんが癌になったのは、いつからなんだよ」

園田「はい」

78 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:14:46.63ID:Vb+DJXJG.net
園田「絢瀬絵里達の話によると、既に相当進行しているようで」

大御所「じゃあ、下手したらデビュー時からって可能性もあったのか」

園田「……」

大御所「何かあるかも知れないとは思ってたけどな」

大御所「で、治るのか?」

園田「まだ、分かりません」

園田「これから西木野総合病院で、改めて見てもらう事になっています」

大御所「……」

79 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:15:35.14ID:Vb+DJXJG.net
大御所「いつまでだよ」

園田「?」

大御所「矢澤にこの野郎は、いつまでもつんだよ」

大御所「園田」

園田「まだ、それも」

大御所「分かりませんじゃ済まされねえだろうが」

大御所「俺が、ウチの事務所が、あの3人に一体いくらつぎ込んでると思ってるんだよ」

大御所「アイツらが倒れたら、俺たちも共倒れになるだろうがよ」

大御所「違うのかい」

80 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:16:28.79ID:Vb+DJXJG.net
園田「それは、そうですが」(ムスッ)

大御所「園田。俺たちはな。あくまでもビジネスしてるんだぞ」

大御所「プロとして、正確な休止時期も分からないんじゃ、どれだけの関係各位に迷惑がかかると思う?」

大御所「そんなんじゃ、せっかくここまで成長したbibiの連中だって」

大御所「浮かばれないだろう」

大御所「終わりの時期を見図るのも、俺たちの仕事だ」

園田「はい。申し訳ありません」(ペコリ)

大御所「とにかく、その西木野総合病院の検査結果が出るまで、今までのスケジュールはこなしてもらう」

大御所「ただし、予定以上のスケジュールは加えない」

大御所「これがギリギリの線だ。出来るか?」

園田「……」

園田「分かりました。何とかします」

81 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:17:09.70ID:Vb+DJXJG.net
大御所「園田。俺の母ちゃんはな。結構長生きしてな。俺がババア、ババアっていくら罵っても、なかなかくたばんなかったがな」

大御所「それでも逝かれると、辛かったものさ」

園田「……」

大御所「じゃ、とりあえず頼むぞ」

園田「はい。お任せください」

82 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:18:04.74ID:Vb+DJXJG.net
西木野総合病院

癌総合科

癌科医「矢澤さんの受けられた大学病院から、症状についてのデーターを頂きました」(PCカタカタ)

癌科医「確かに、かなり進行していますね。先方の検査結果は正確です」(モニター)

にこ「はい」

癌科医「ですが、なるほど。治療方針についてですが」

癌科医「確かに、最初から切除ありきと言うのも、いささか選択肢を狭めすぎと言うか」

にこ「……」

癌科医「矢澤さんみたいに若いうちに体にメスを入れると、年を取ってから色々不都合が生じるリスクも出てきますし」

癌科医「当然ながら、臓器を摘出しますと、体への影響が少なくないのも事実です」(モニター)

83 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:19:18.21ID:Vb+DJXJG.net
癌科医「当病院では、アメリカの病院と提携して、それぞれの癌のケースに合わせて、様々な治療法を総合的に適用しています」

癌科医「もちろん、最先端の治療法もありますし、日本ではなかなか使えない新薬の利用も可能です」

癌科医「手術もいたしますが、これはまあ、最後の手段ですね。また、仮に執刀するにしても、
出来るだけ切除部位を少なく、患者さんの負担を最小限にするように配慮しています」

癌科医「いずれにしても、もう一度精密検査を受けてみましょう」(モニター)

癌科医「その結果を踏まえて、矢澤さんにもっとも適切な治療方針を提案させていただきます」

癌科医「よろしいでしょうか?」

にこ「はい。わかりました」

にこ「よろしくお願いします」

84 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:19:57.36ID:Vb+DJXJG.net
西木野総合病院正門前

にこ「……」(テクテク)

にこ(ふう。こっちのお医者さんの方が、にこの事情を理解してくれそうよね)

にこ(真姫ちゃんの言う通り、名医なんだろうし、治療の考え方も物凄く進んでるみたいだわ)

にこ(なあんだ。これなら最初からこっちにしとけば良かったじゃないの)

にこ(テクテク)

にこ(少し、希望が見えてきた)

85 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:20:51.48ID:Vb+DJXJG.net
翌日

都内 深夜

矢澤マンション

にこの部屋

絵里「にこ。どうだった?」

にこ「どうもこうもないわ。とにかく、もう一度検査をやり直すってさ」

真姫「じゃあ、もう少し時間がかかるかもね」

真姫「吐血は?」

にこ「今は落ち着いてる」

にこ「色々薬もらったわ」(薬の袋)

真姫「どれどれ?ああ、貧血用の薬と、解熱剤と抗生物質と」

真姫「胃の粘膜を保護する飲み薬に、ガスターみたいなやつね」

絵里「解熱剤と抗生物質って」

真姫「にこちゃん免疫力が落ちてるからでしょう?」

86 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:21:31.02ID:Vb+DJXJG.net
絵里「体重は?」

にこ「増えてるわよ。1キロくらい」(手帳)

にこ「これ毎日つけなきゃなんないのよねえ〜」

にこ「あと、食生活も制限されてるし」

真姫「特にアルコールは厳禁」

にこ「一本だけでも?」

真姫「ダメ」

にこ「炭酸は?」

真姫「それも胃壁を傷つけるからダメ」

にこ「お肉は?」

真姫「一度にとれるのは、まあ120グラムかしらね」

真姫「まあにこちゃん、あんましお肉は食べないけどね」

87 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:23:02.24ID:Vb+DJXJG.net
にこ「お魚は?」

真姫「フライとか、脂っこい調理法は無理かしらね」

にこ「んもぉ〜っ、あによそれぇ」

にこ「まるで修行僧みたいな食事しか食べられないじゃないのよぉ〜」

真姫「まあ、お坊さんで長生きの人が多いのって、そう言う理由もあるのかもね」

にこ「他人事だと思ってぇ」(ムスッ)

絵里「にこ。治ったらいくらでも好きなもの食べさせてあげるから」

絵里「それまでの辛抱よ。ね?」(微笑)

88 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:23:40.41ID:Vb+DJXJG.net
絵里「そんな事より」

えりまき(コクッ)

真姫「ねえ、にこちゃん。落ち着いて聞いて?」

絵里「今のにこの体調もあるでしょ?」

真姫「それで、私達」

にこ「ああ、休業でしょ?仕方ないわね」

えりまき「?」

真姫「意外ね」

絵里「てっきり死ぬまでやるわよ、とか駄々こねるものかと」

89 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:24:21.70ID:Vb+DJXJG.net
にこ「そりゃ、いくらなんでもこんな状態で無理するわけにはいかないわよ」

にこ「まさか、仕事中に倒れて病院に搬送、なんてわけにもいかないだろうし」

絵里「本当にね」

真姫「実は、園田にこの件は伝えたの」

真姫「それで、園田が大御所に話して」

絵里「大御所の方針でね。取りあえず、既に決まっている仕事はすべてこなしてもらう」

絵里「それからは余計な仕事は取らないようにするって」

にこ「……」

絵里「ごめんなさい。あらかじめにこに断っておくべきだったんでしょうけど」

にこ「構わないわ。にこもにこで、ここしばらくてんやわんやだったんだもん」

90 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:25:02.19ID:Vb+DJXJG.net
にこ「検査結果が出て、治療方針が決まったら、にこの方から園田達に報告しないとね」

にこ「けど、どんな事になってもあんた達は続けなさいよ?」

にこ「にこが戻ってくる場所、守ってもらわないと」

真姫「もちろんよ」

絵里「にこが休んでいる間、私たちが頑張るわ」(微笑)

91 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:25:34.43ID:gEaJ/2fA.net
園田にこ

92 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:25:57.66ID:Vb+DJXJG.net
12月 都内 某テレビ局

楽屋

真姫「にこちゃん、体調はどう?」

にこ「まあまあよ」

絵里「吐血は?」

にこ「今の所ないわ」

絵里「そう。よかったわ」(微笑)

真姫「ここ一月は落ち着いているわね」

真姫「検査結果はもうじき?」

にこ「明日よ」

93 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:26:45.64ID:Vb+DJXJG.net
真姫「良い?にこちゃん。たとえどんな結果になろうとも」

真姫「隠さない事。約束できる?」

にこ「わーかってんわよぉ」

絵里「まあ、今年いっぱいはどうにかなりそうだけど」

絵里「年末特番で休業宣言するまでは、みんなで頑張らないとね」

真姫「にこちゃん。土壇場でまたひっくり返さないでよ?」

真姫「私はそれだけが心配なのよ」

にこ「あによ子供みたいにぃ」(ムスッ)

94 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:27:27.17ID:Vb+DJXJG.net
(ガチャッ)

園田「みなさんお疲れ様です」

園田「今夜は、みなさんにお知らせがありまして」

絵里「お知らせ?」

真姫「良い話かしら」

園田「はいっ」(ニッコリ)

園田「実は、来年の夏、ラブライブが開催されるのですが」

園田「再びあのプロの部が復活する事になりまして」

にこえりまき「……」

園田「次回のラブライブは、プロアイドルの全国決定戦に力を入れるそうだとか」

真姫「園田。それ確定情報なの?」(ジト目)

95 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:28:10.74ID:Vb+DJXJG.net
園田「出所は確かです。この場では言えませんけど」

真姫(ジト目)

絵里「けど、私がラブライブ運営の立場だとしても、同じ事を考えるでしょうね」

絵里「スクールアイドル市場は、今や全盛期の三分の一」

絵里「今注目を集めているのは、海外のアイドルだからね」

真姫「そうね」(髪クルクル)

にこ「……」

園田「ですが、そのラブライブプロに関しては、空前の規模になりそうなんですよ」

園田「まず、全国のアイドルを残らず集める」

園田「そして、優勝者には、日本トップアイドルの称号を正式に与える」

にこえりまき「……」

96 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:28:48.77ID:Vb+DJXJG.net
園田「正直、紅白なんかも全盛期の面影はありません」

園田「少なくとも、みなさんみたいな若い世代のアイドル達が雌雄を決する場として相応しいかどうか
前々から議論はありましたし」

絵里(コホン)

絵里「つまり、これからは私達プロアイドルのトップを決めるのは、ラブライブになる、と?」

園田「ありていに言えばそうなりますね」

にこ「……」

園田「もちろんみなさんも出られますよね?」

真姫「園田」

にこ「……」

97 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:29:31.68ID:Vb+DJXJG.net
絵里「私達はリーダーが休業するし、2人だけで出ても」(苦笑)

真姫「そうね」

真姫「にこちゃんが抜けたbibiじゃ、嫌がるファンもいるだろうしね」

真姫「この様子だとまたあるんだろうし、悪いけど今回は」

にこ「ダメよ見送っちゃ」

えりまき「!」

にこ「あんた達ね。私に遠慮なんて無用よ」

にこ「bibiは戦う集団。誰かが倒れたら」

絵里「そんな。見捨てるなんて」

にこ「違うわ。誰かが代わりを務めなければならないの」

真姫「……」

98 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:30:09.12ID:Vb+DJXJG.net
にこ「これは絵里や真姫も同じよ」

にこ「絵里が倒れたら私と真姫で活動を続ける」

にこ「真姫が病気になったら、にこと絵里でbibiを守る」

にこ「にこは療養に専念するわ。けど、いえ、だからこそ、あんた達はあんた達の仕事に邁進しなさいよ」

にこ「そうしてもらえば、私も安心」

えりまき「……」

園田「……」

99 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:30:38.08ID:Vb+DJXJG.net
園田「にこさんの体調は?」

真姫「落ち着いてるわ」

絵里「本当、癌なのがウソみたいにね」

園田「そうですか」

園田「にこさん。年末までは大丈夫そうですか?」

にこ「何とかなりそうよ」

にこ「医師からも、その位なら問題ないでしょうって」

園田「そうですか」

真姫「明日、精密検査の結果が出るのよ」

園田「……」

100 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:31:23.37ID:Vb+DJXJG.net
園田「検査結果が出たら、すぐにお知らせください」

園田「それでは私はこれで失礼します」

園田「にこさん。お大事に」(ペコリ)

(ガチャッ)

(バタン)

にこえりまき「……」

にこ「あ〜あ、出たかったなあ、ラブライブ」

101 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:32:09.09ID:Vb+DJXJG.net
翌日

都内 西木野総合病院

総合癌科 診察室

にこ「……」

癌科医師「……」

癌科医師「それでは、矢澤さんの検査結果なのですが」(タッチペン)

癌科医師「胃と肺の腫瘍については、まだいますぐ手術する必要のある段階ではありません」(モニター)

癌科医師「治療方針としては、食事、投薬、放射線療法などを多角的に組み合わせ、
なるべく患者さんの身体に影響の出ないよう配慮しつつ、当面の経過を見る事になります」(モニター)

癌科医師「入院される事が望ましいのですが、矢澤さんのお仕事の都合上、直ちに、と言うわけにもいかないのは
承知しております」

にこ「……」

102 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:33:07.02ID:Vb+DJXJG.net
癌科医師「さて、喉の腫瘍についてなのですが」(タッチペン)

癌科医師「何度も確認して、様々な治療法を検討したのですが」(モニター)

癌科医師「残念ながら、これは摘出手術しかないと言う結論に達しました」

にこ「」

にこ「!!」

にこ「そんな」

にこ「真姫……いえ、世間一般では、喉頭癌が命にかかわるケースは稀だと」(冷や汗)

癌科医師「その通りです」

癌科医師「実は、矢澤さんの場合、いささか特殊なパターンになるのですが」

癌科医師「ハイパーキャンサーと言う、極端に強い癌なのです」

にこ「」

103 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:34:01.03ID:Vb+DJXJG.net
癌科医師「前回の検査と比べても、わずかの期間で異常な肥大化、進行化を深めています」(モニター)

癌科医師「通常、胃や肺の癌が体の他の個所に転移するのが一般的なのですが」

癌科医師「矢澤さんの場合……この喉に生じた悪性腫瘍が親玉で、そこから色んな所に転移する形なのです」

癌科医師「これは全国的に見ても、全世界でもめったにない例なのです」(モニター)

にこ(顔面蒼白)

にこ「……なりませんか」

癌科医師「?」

にこ「何とかならないのですか?」

にこ「アイドルとして、喉を失うわけには」

104 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:34:40.51ID:Vb+DJXJG.net
癌科医師「それ以前に、もしこの状態を放置した場合」(モニター)

癌科医師「遅かれ早かれリンパ節への転移が始まりますよ」

癌科医師「そうなれば、もう、私どもも打つ手がなくなります」

にこ「……」

癌科医師「私としては、3カ月以内の全摘手術を強くお勧めします」

にこ「声帯を全て取るのですか?」

癌科医師「はい」

にこ「……」(顔面蒼白)

105 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:35:34.02ID:Vb+DJXJG.net
にこ「そこをまげてお願いします」

にこ「摘出手術だけは、何としても避けたいのです」

にこ「お願いします」(ペコリ)

癌科医師「……」

癌科医師「矢澤さん。仕事と命、どちらが大事だとお考えですか?」

にこ「私の歌で生きる希望をつないでいる子達もいます」

にこ「難病その他の深刻な問題に苦しむ子供達と関わる活動をしているから分かるんです」

癌科医師「……」

癌科医師「そのために、あなたが命の危険を冒しても構わないと?」

にこ「お金ならいくらでも出します」

癌科医師「……」

106 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:36:17.75ID:Vb+DJXJG.net
癌科医師「矢澤さん。二か月がリミットです」

癌科医師「あなたの命を救うとお約束できる、これがデッドラインだとご理解して下さい」

にこ「……」

癌科医師「私どもも、その期間の範囲内で、どうにか全摘手術は避けられないか、他の治療法を探して見ましょう」

癌科医師「ですが、それでもダメだったら、私の指示に従って頂く」

癌科医師「お約束できますか?」

にこ「……」

107 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:36:56.36ID:Vb+DJXJG.net
にこ「はい。分かりました」

にこ「どうぞよろしくお願いします」(ペコリ)



西木野総合病院 正門前

にこ「……」

にこ(こんな所で、諦めるわけにはいかないわ)

にこ(何とかして、声だけは守らないと)

(ピーポーピーポー)

(ハイ、キュウキュウシャハイリマス)

(バタン、カラカラカラカラ)

(○○サン、オナマエハイエマスカ?○○サン、メヲアケテコッチヲミテクダサイ)

(ドタドタドタドタ)

にこ「……」

にこ(絵里と真姫に……なんて言ったらいいの)

108 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:37:20.56ID:Vb+DJXJG.net
翌日

矢澤マンション

にこの部屋

真姫「で?どうだったの?検査結果」

絵里「昨日教えてもらったんでしょ?」

にこ「ああ、そうね」

にこ「じゃあ言うけど」

109 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:37:52.82ID:Vb+DJXJG.net
真姫「」

絵里「」

にこ「……」

真姫「あ、あによ、それ」

絵里「ハラショー」(顔面蒼白)

真姫「喉頭癌の進行は、遅いはず」

真姫「そんな簡単に全摘なんて……ありえないわ」

にこ「ハイパーキャンサーだそうよ」

にこ「にこも良く知らないけど」

真姫「……」

絵里「……」

110 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:38:27.36ID:Vb+DJXJG.net
絵里「他に治療法は……ないの!?」

にこ「同じ質問をにこもして来たわ」

にこ「先生曰く、探して見るって」

真姫(冷や汗)

にこ「まあ、この期に及んであんた達に隠しても仕方ないし」

絵里「クッ」(スック)

絵里(タッタッタッ)

(ガチャツ)

(バタンッ)

真姫「え、絵里!?」

にこ「……」

111 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:38:55.18ID:Vb+DJXJG.net
深夜

音ノ木坂女子大学寮

穂乃果の部屋

穂乃果「で、もうどうにかなりそうになって私の所に来た、と」(ムニャムニャ)

絵里「ごめんさない。こんな遅くに」

穂乃果「そんなに酷いの?にこちゃんの病気」

絵里「……」

絵里「癌なのよ」

絵里「それも、かなり重い」

穂乃果「」

112 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:39:33.28ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「そ、そうだったんだ」

穂乃果「最近仕事減らしてるって聞いてたから、ひょっとしたら体調崩してるのかなあとは思ってたけど」

穂乃果「けど、今は医学も進歩してるし、何とかなるんじゃないかな」

絵里「本当にね」

絵里「にこが医者の指示に全て従えば、まだ希望はあるかも知れない」

絵里「けどね。聞いて」

穂乃果「?」

113 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:40:01.59ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「喉頭癌?」

絵里「そうなのよ」

穂乃果「喉頭癌って……喉の癌って事?」

絵里「にこの場合、そこから転移して、胃や肺まで侵されてる」

穂乃果「そんなに酷いの?」

絵里「医師の話によれば、全て摘出しないと助からないそうよ」

穂乃果「!」

穂乃果「喉を全部取るの!?」

絵里「そうよ」

114 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:40:38.90ID:Vb+DJXJG.net
絵里「もし手術を受ければ……にこはもう、声は出せなくなる」

絵里「食道で発声する事も出来るそうだけど、仮にそれで日常生活が送れても」

絵里「アイドルは……もう」

穂乃果(顔面蒼白)

穂乃果「そうか……そうか」

穂乃果「ねえ絵里ちゃん。花陽ちゃんも呼ぼう」

絵里「え?花陽も?」

絵里「けど、そこまでは」

115 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:41:10.52ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「ミューズのメンバーとして、これはみんなで共有しないといけない話だよ」

穂乃果「隠したって、遅かれ早かれいずれは明るみに出るだろうしね」

絵里「……」

穂乃果「そりゃ、にこちゃんは嫌がるかも知れないけど」

穂乃果「今ここで口封じしたら、後々もっと後悔すると思う」

絵里「……」

絵里「そうね」

116 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:41:51.82ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果の部屋

花陽「……」

花陽「そ、そんな……にこちゃんが!?」

花陽「う、う……ウソでしょ!?」

絵里「……」

穂乃果「……」

花陽「そんな……ありえないです」

花陽「穂乃果ちゃん、エイプリルフールにはまだ早いよ」(ジト目)

花陽「絵里ちゃんも」

花陽「bibiは今一番忙しい時なのに、わざわざ時間を割いて、こんなドッキリを仕掛けるなんて」

117 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:42:28.31ID:Vb+DJXJG.net
花陽「悪趣味だと思わないの!?」

花陽「この前のアイドル研廃部の時といい、みんな最近、おかしいよ」

花陽「花陽をたぶらかすのも、いい加減にして!」

穂乃果「花陽ちゃん」

絵里「……」

花陽「本当なんですね」

花陽「……」

118 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:43:34.69ID:Vb+DJXJG.net
花陽「申し訳ありません。取り乱してしまいました」(ペコリ)

穂乃果「とにかく、ミューズのみんなに知らせないと」

絵里「それでは話が大きくなり過ぎやしないかしら?」

穂乃果「もちろん、他のみんなには伏せておく」

穂乃果「けど、とにかくミューズのメンバーだけにはいち早く伝えないといけないんだよ」

穂乃果「なんでかって言われたら、穂乃果の頭では上手く説明出来ないけど」

穂乃果「でも、今のうちにそうしとかないと、やっぱりいけないんだよ、きっと」

絵里「……」

花陽「……」

119 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:44:07.64ID:Vb+DJXJG.net
矢澤マンション

にこの部屋

真姫「何?今何て言った?」

にこ「ラブライブ、出るわよ」

真姫「はい?」

にこ「出るわよ」

真姫「誰が?」

にこ「私がよ」

真姫「……」

真姫「っはあぁぁぁ〜っ!?」

120 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:44:51.67ID:Vb+DJXJG.net
真姫「無理よ。ラブライブまで半年以上もある」

真姫「半年でにこちゃんの癌が治るわけないでしょ?」

にこ「治らなくても出るの」

真姫「何それ、意味わかんない」

真姫「年末に休業宣言するって事は、もう事務所始め関係各位に伝えてある」

真姫「今更どんでん返しなんてしたら、どれだけ迷惑かかるのか、分かってんでしょ?」

にこ「別にずっと活動を続けるつもりじゃない」

にこ「次のラブライブに出られさえすれば、それで良い」

121 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:45:23.88ID:Vb+DJXJG.net
真姫「何でそうまでして出たがるの?」

にこ「トップになるためよ」

真姫「……」

にこ「次のラブライブで、アライズを倒す」

真姫「……」

にこ「そうなれば、bibiは……にこは名実ともに日本、いえ、世界最高のアイドルになれるわ」

真姫「……」

122 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:46:32.40ID:Vb+DJXJG.net
真姫「仮ににこちゃんの意見に一理あるとして、癌は待ってはくれないわよ?」

真姫「現時点で、にこちゃんの癌の進行を止める方法は1つ」

真姫「三カ月以内に喉頭癌の手術を受けて、該当部位を摘出するしかない」

にこ「……」

にこ「そうね」

真姫「もしそうしなければ、癌はリンパ節にまで転移し、手遅れになる」

にこ「そうね」

真姫「六カ月以上も放置してたら、にこちゃんの命はないわ」

真姫「まして、胃と肺にも癌が転移している」

真姫「こっちの方も、進行しだいによっては、命にかかわる」

123 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:47:27.30ID:Vb+DJXJG.net
真姫「前にも言ったけど、にこちゃん、アイドルと命、どっちを取るのよ?」

にこ「究極の選択よね」

にこ「真姫はどう思うの?」

真姫「命よ」

真姫「医師を志していた私が、命より仕事を優先しろなんて言うと思う?」

真姫「それは命に対する冒涜、恥よ?」

真姫「にこちゃん。生きたくても生きれない、治療を受けたくても受けられずに死んでいく人達がどれだけいると思う?」

真姫「事情があって、重病に侵された家族を医者に見せられずに、本人が死んでいくのを看取るしかなくて
無念の涙を飲んでいる人達がどれだけいると思う?」

124 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:48:03.76ID:Vb+DJXJG.net
真姫「そこまで考えたら、私はにこちゃんに手術を進めるわよ」

にこ「さすが真姫、にこよりちゃんと自分の意見を持ってんわね」

にこ「けどね真姫。そこを曲げてお願いしたいの」

にこ「治療は受ける。手術も仕方ない」

にこ「けど、次のラブライブ、大舞台に立ってアライズと雌雄を決したいの」

にこ「それさえ叶えれば、にこに思い残す事はない」

真姫「死ぬつもり!?」

にこ「違うわ。アイドル廃業になる覚悟をするって意味よ」

125 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:48:51.66ID:Vb+DJXJG.net
真姫「……」

真姫「つまり、どうにか進行を遅らせれば良いってわけよね」

にこ「出来るの?」

真姫「分からないけど、先進医療に関しては、アメリカの方が進んでるし」

真姫「まだ実験段階にある新薬とかも、人体に害がないと証明されてれば、入手はしやすいわ」

真姫「当然その中には、抗がん剤も含まれる」

にこ「!」

126 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:49:35.99ID:Vb+DJXJG.net
にこ「真姫ちゃん、何とかならない?」

真姫「……」

真姫「そんな目で見ないで。分かった。パパに聞いてみるわ」

にこ「本当?本当に!?」

真姫「けど、ラブライブが終わったら、どんな治療も受ける」

真姫「それが例え全摘手術でも文句は言わない、守れる?」

にこ「もちろんよ。それさえ叶えれば、にこに未練はないわ」

真姫「ふぅ……良いわ。明日連絡するから」

にこ「真姫ちゃん、ありがとう」(手ギュッ)

真姫「そう言うわけで、にこちゃんは早く寝なさい」

真姫「少しでも体力を温存しとかないと、半年も持たないわ」

にこ「分かったわ」

真姫「……」

真姫(私も大分甘くなったものね)

127 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:50:11.92ID:Vb+DJXJG.net
大晦日

某テレビ局

楽屋

園田「にこさんの意向、大御所に伝えました」

園田「それで、ついさっき答えを頂いたのですが」

園田「ラブライブプロ出演までは全力で支援する」

園田「けど、それ以降は責任は持たない、と」

にこえりまき「……」

にこ「それが条件?」

園田「まあ、そうなります」

128 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:50:46.97ID:Vb+DJXJG.net
にこ「分かったわ。それで十分」

にこ「感謝すると大御所に伝えといて」

園田「……」

園田「分かりました」

絵里「……」

真姫「……」

園田「それでは、今のにこさんの答えを最終決定として、関係各位には伝えときます」

園田「次の番組での告知も、正式にこれで行くと言っておきます」

絵里「……」

真姫「……」

129 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:51:16.01ID:Vb+DJXJG.net
園田「よろしいですね?」

にこ「良いわ」

絵里「……」

真姫「……」

園田「それでは、年末特番まであと30分です」

園田「みなさん、良く休んでおいてください」

園田「それでは」

(ガチャッ)

(バタン)

にこ「……」

絵里「……」

真姫「……」

130 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:52:18.67ID:Vb+DJXJG.net
1月2日

某テレビ局

アライズ楽屋

東京493全体リーダー:坂居久美子「今晩は」(ガチャッ)

ツバサ「……」

英玲奈「!」

あんじゅ(ギロッ)

あんじゅ「良く来れたものね」(ジト目)

英玲奈「すぐに出て行って欲しい物だな」

英玲奈「実際、次の番組の打ち合わせで忙しい」

ツバサ「……」

131 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:52:54.07ID:Vb+DJXJG.net
ツバサ「構わないわ」

ツバサ「手短に済まして欲しいのは、私も同じだけど」

久美子「そうね。私も別に時間を取らせるつもりはない」

久美子「簡単に言うわ」

久美子「矢澤にこがね。重病なの」

えれつばあん「」

久美子「癌じゃないかと言われているわ」

ツバサ「……」

英玲奈「……」

あんじゅ「……」

132 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:53:52.80ID:Vb+DJXJG.net
ツバサ(コホン)

ツバサ「それは中々衝撃的な話みたいね」

英玲奈「そして、何の信ぴょう性もない」

あんじゅ「根も葉もないうわさ話のために、わざわざ全体リーダーが動くなんて」

あんじゅ「東京493の鼎の軽重が問われても仕方がないわね」(ジト目)

ツバサ「ねえ、久美子。私はあなたが下劣な人間だとは思いたくない」

ツバサ「そんな娘が500人を束ねられるとは考えられない。早乙女弥生や中野春菜達を指導するには
それ相応の器量と言うものが備わっている筈」

ツバサ「この前の事は水に流すつもりよ」

ツバサ「けど、根拠のないタレこみを信じるほど、私はあなたを信用していると思う?」

133 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:54:31.97ID:Vb+DJXJG.net
英玲奈「と言うより、またしても私達アライズとbibiの仲を裂きに来たと非難されて
これで文句言えるのか?」

あんじゅ「そうよ。こんな下らないトリックで勝とうなんて」

あんじゅ「あなたには恥ってものがないみたいね」(ギロッ)

久美子「これは散々な言われようね」

ツバサ「非礼は詫びるわ」

ツバサ「けど、明確な証拠でもない限り、この話を真に受けるわけにもいかないでしょ?」

ツバサ「もうこんな話はやめにしましょう」

英玲奈「そろそろ本番が迫っているしな」

あんじゅ「そういうわけで、お引き取り下さい」(ギロッ)

134 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:55:12.55ID:Vb+DJXJG.net
久美子「立場はわきまえているつもりよ?邪険に扱われても仕方ない事もね」

久美子「けどね。そうね」

久美子「素人には分からないほんの些細な変化でも、その道の専門家にかかれば、手に取るように分かるだろうと言ったら?」

ツバサ「……」

英玲奈「……」

あんじゅ「……」

久美子「心理学や身体生理学の専門家がね。気付いているのよ」

久美子「絢瀬絵里と西木野真姫の精神的動揺を」

ツバサ「……」

英玲奈「……」

あんじゅ「……」

135 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:56:08.44ID:Vb+DJXJG.net
久美子「そして更に、高名な医師達がね?いち早く矢澤にこの身体に訪れている変調を見抜いている」

久美子「彼らの結論をまとめると、かなりの確率で癌だそうよ」

ツバサ「……」

英玲奈「……」

あんじゅ「……」

久美子「どれだけ隠しても、メイクしても、演技してもね。やっぱプロの手にかかると簡単に見抜かれるものね」

久美子「そして、そのにこの体調は、日に日に悪化している」

久美子「下手したら、余命何年とか、その位にね」

英玲奈「いい加減にしろ!!」

英玲奈「お前は自分が言っている事が分かっているのか!?」

あんじゅ「本当、会うたびに新しい発見があるわねえ。あなたは」

あんじゅ「人間ここまであざとくなれるものかしら」(ジト目)

136 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:57:16.62ID:Vb+DJXJG.net
ツバサ「久美子。情報提供ありがとう」

ツバサ「けどね。いずれにしても、憶測の域を出ていないでしょ?」

ツバサ「例え専門家でも間違える事もある」

ツバサ「大体、その憶測にだれも責任を負うとは言ってない」

ツバサ「これで、どう信じろと言うの?」

ツバサ「さっきも言ったけど、これだけで信用出来るわけないじゃない」

ツバサ「別にあなただからじゃないのよ。話自体が信じるには証拠不十分だと言ってるのよ」

英玲奈「その通りだ」

あんじゅ「ツバサは優しいわねえ」

あんじゅ「私は、この娘が持ってきたってだけで、もう信用するつもりなんてないんだけど」(ジト目)

137 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:57:41.44ID:Vb+DJXJG.net
久美子「確かに、今の所はそうね」

久美子「じゃあ、こんな話は知ってる?」

久美子「矢澤にこの父親は、若くして亡くなった」

久美子「癌だそうよ」

英玲奈「……」

あんじゅ「……」

ツバサ「確かに。自伝でもそうなっていたわね」

138 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:58:33.44ID:Vb+DJXJG.net
久美子「そして、父方の家系は、癌によって大半が50までに死んでいる」

英玲奈「……」

あんじゅ「……」

ツバサ「それは初耳ね」

久美子「無論、これだけで証拠として完全なわけじゃない事は承知しているつもりよ」

久美子「けどね。ただのほら吹きと思われたくないからね。これだけは教えておくわよ」

久美子「我が東京493は、既に矢澤にこが重度の癌である事を前提に、戦略を組んでいる」

久美子「つい先日ね。そう決まったの」

久美子「知らされて私も、肝をつぶしたわ」

ツバサ「……」

英玲奈「……」

あんじゅ「……」

139 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 21:59:18.28ID:Vb+DJXJG.net
久美子「だから、年末特番で、矢澤にこは次のラブライブに出ると、わざわざアナウンスした」

久美子「アイドルなら当然、みんな出るはずなのにね」

ツバサ「……」

英玲奈「……」

あんじゅ「……」

久美子「恐らく、そのラブライブプロをもって彼女は引退。病を公表し、治療に専念するつもりなのでしょうね」

英玲奈「そんな事を私達に教えて、何になるんだ?」

あんじゅ「今話しても、あなたが得する事はないでしょうに」

140 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:00:05.92ID:Vb+DJXJG.net
久美子「罪滅ぼし、って言ったら笑われるかしらね」

英玲奈「……」

あんじゅ(ギロッ)

ツバサ「にこは引退なんかしないわ」

ツバサ「休業する事はあっても」

久美子「……」

ツバサ「とにかく、興味ある話ではあるけど、げんにbibiは年末特番に出てるし、
にこもにこで元気いっぱいに仕事していた」

ツバサ「私にとってはこれが事実です」

ツバサ「久美子。あんまり組織と言う物を信用し過ぎてもダメよ?」

ツバサ「組織でも誤る。1人の人間と同じように」

ツバサ「そして過ちを犯した時、寄る辺となるべきものは」

ツバサ「結局、自分しかないわ」

141 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:00:37.80ID:Vb+DJXJG.net
ツバサ「けど、あなたの気持ちは分かった。その点は信頼しましょう」

久美子「……」

久美子「まあ、そう言ってくれるだけでも、来た甲斐はあったかしらね」

久美子「じゃあ、私はこれで」

英玲奈「情報提供なら、もう間に合っているぞ」

あんじゅ「私はまだ許しちゃいないからね?」(ジト目)

(ガチャッ)

(バタン)

英玲奈「……」

あんじゅ「……」

ツバサ「さっ、もう時間がないわ」

ツバサ「細部を詰めましょう」

142 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:01:31.48ID:Vb+DJXJG.net
数日後

都内 矢澤マンション

にこの部屋

真姫「にこちゃん。体調はどう?」

にこ「まあまあよ」

真姫「この前言った新薬なんだけど」

真姫「パパに聞いたらね。つい最近、アメリカでハイパーキャンサーを効果的に防げる薬が開発されたそうなの」

にこ「!」

にこ「本当に!?」

143 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:02:05.44ID:Vb+DJXJG.net
真姫「これを使えば、にこちゃんの喉の癌も、進行を食い止められるかも知れない」

真姫「最も、まだ正式な認可は出ていないけど、動物実験では害がないと証明されているし」

真姫「これと言った副作用も報告されてないわ」

にこ「……」

にこ「入手出来るの?」

真姫「ウチの病院の伝を頼れば、二週間以内に調達できる」

真姫「アメリカの提携病院でね。ちょうど臨床試験に協力してくれる人を探しているんですって」

にこ「……」

144 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:02:50.83ID:Vb+DJXJG.net
にこ「受けるわ」

にこ「この癌が食い止められるのなら、にこは毒だって飲む」

真姫「誤解しないでね。あくまでも進行を遅らせる薬」

真姫「癌が小さくなったり、なくなるわけじゃない」

真姫「それに、まだ未知数の要素が残っている。にこちゃんの体質に合うかどうかわからないし」

真姫「何らかの副作用が出るリスクもないとは言い切れない」

にこ「けど、それ以外特効薬はないんでしょう?」

真姫「今研究されているものでは、これが一番有望ではあるわ」

にこ「だったら、迷う理由もない」

145 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:03:24.62ID:Vb+DJXJG.net
にこ「問題は、どこまで食い止められるかよ」

にこ「私の癌が、あと何日止められるか」

真姫「それは試してみないと分からない」

真姫「けど……そうね。同系列の薬の先例から見れば」

真姫「半年は……期待したいわよね」

にこ「次のラブライブまでは」

真姫「満8カ月って所ね」

にこ「にこの根性で、もう2カ月足して見せるわ」

真姫「あによそれ。根性で癌が治るんだったら、誰も苦労しないわよ」

146 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:04:18.58ID:Vb+DJXJG.net
にこ「とにかく、その薬を注文しましょう」

にこ「いまのにこには、逡巡する余裕なんてないし」

真姫「ねえにこちゃん。本当に手術を受けるつもりはないの?」

真姫「今なら100パーセントとは言えないにしても、助かる見込みは十分にある」

真姫「かりにこの新薬で押さえられたとしても、8カ月も先となると、多少なりとも癌が進行しているだろうと
見なければならない」

真姫「それにあわせて、体力の衰弱も考えられる」

真姫「手術を受ける体力もなくなったら、もう手の施しようもないわよ」

にこ「そうね」

147 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:05:08.45ID:Vb+DJXJG.net
真姫「私としては、医学的見地から、手術が最善だと言わなければならないわ」

にこ「そうね。正論だとは思うわ」

にこ「けど、そうね。とにかくその薬が届くまで少し時間があるでしょ?」

にこ「結論はその時に出す」

真姫「……」

真姫「にこちゃん。一秒一秒あなたの命が削られているのを忘れずにね」

真姫「今のあなたには、同じ一秒が、健康な人の一日に当たる」

真姫「厳しい言い方かも知れないけど、本当に事実なんだから」

にこ「分かってるわ」

にこ「もう夕方だし、なんか作るわ」(スック)

真姫「無理しないでよ?」

にこ「だ〜いじょうぶよ。こっちの方が気晴らしになるし」(エプロン)

にこ「絵里が帰って来たら教えてね」(スタスタ)

真姫「……」

真姫「私は言っといたからね?」

148 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:05:45.09ID:Vb+DJXJG.net
一週間後

某ライブ会場

控室

にこ「これが、アメリカの新薬ね」(箱)

真姫「そうよ」

絵里「これでにこの癌は治るの?」

真姫「進行を食い止めるだけよ。残念ながらね」

真姫「にこちゃん。使う前に、この契約書を読んで」(ファイル)

にこ「ぬぅあ!?あによこれ」

にこ「何て分厚いの!?」(ファイル)

絵里「ハラショー」(冷や汗)

149 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:06:18.98ID:Vb+DJXJG.net
にこ「……」(ファイル)

にこ「だ〜っ、英語ばっかりで読めないじゃないのよぉ」(ファイル)

絵里「本当にね」

真姫「言うと思ったわ」

真姫「本当は日本語に訳して欲しかったんだけど、何分、向うでもまだ正式な薬じゃないからね」

真姫「じゃあ、私が大事な所読むから、にこちゃんは聞いて、同意できるならサインちょうだい」

にこ「分かったわ」

150 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:07:56.58ID:Vb+DJXJG.net
真姫「まず、この薬は1日1カプセル。時間は問わないけど、データを取るために、必ず毎日同じ時刻に服用する事」(ファイル)

真姫「次に、この薬を飲んで体調に異変があった時は、すぐに服用を止めて、当社、もしくはこの薬を扱う病院、薬局に相談する事」

真姫「それから、体調の異変に限らず、服用中のデーターを集める事に同意する事」(ファイル)

真姫「そのために、当社の提供するフォーマットに毎日記録を付け、最低週一回、主治医等に状態を報告する事」

真姫「フォーマットの回収は、投薬期間の終了、もしくは、別個に被験者と当社との間に定められた日時ごとに送信される」(ファイル)

真姫「送信されたフォーマットのデーターは、個人情報に抵触しない範囲内で、今後の新薬開発、医学研究等に利用する事に同意する」

真姫「また、被験者はこの件に対し、なんの報酬も求めてはならない。ただし、当社の過失による損害賠償に関しては、この限りではない」(ファイル)

151 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:08:43.77ID:Vb+DJXJG.net
にこ「長いわね」

絵里「さすが、契約の国ね」

真姫「まあ、この辺りはにこちゃんの頭じゃ良く分からないだろうし」

にこ「なんですってぇ!?」

真姫「じゃあ、一番肝心な所だけ言うわよ?」

真姫「被験者はこの薬の利用により、本人の身体、精神、日常生活等いかなる影響があっても、契約の同意の下
いかなる異議、抗議、訴訟等は行わず、全ては自己の責任に帰する事に同意し、当社が定めた誓約書にその旨を
指定された書式にて明記し、当社に届ける事」

にこ「……」

にこ「難しくて良く分からないわ」

真姫「要するに、何が起きても、この薬に関しては会社を責めない、と言う事よ」

絵里「ハラショー」

152 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:10:04.34ID:Vb+DJXJG.net
絵里「それじゃあ、にこが死んでも、再起不能になっても、重大な後遺症を負っても、知らないって事じゃないの!」

絵里「そんな一方的な契約なんて、認めるわけにはいかないわ」

絵里「これだからアメリカは信用出来ないのよ」

絵里「ねえにこ。良く考えて」

真姫「別にこの会社の弁護をするつもりじゃないけど」

真姫「承認されていない新薬の契約としては、向うではこれが一般的で、少なくとも恣意的な内容ではないわ」

真姫「余計な訴訟を回避するために、大体こんな条項を盛り込むのよ」

真姫「私の聞いた限りでは、この会社に関しては、仮に実験段階だとしても、危ない薬を被験者に試すような事はしてない」

真姫「無論、絶対、と言う事はないけどね」

真姫「今の所、被験者と重大なトラブルに遭った例はないそうよ」

153 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:10:37.74ID:Vb+DJXJG.net
真姫「いずれにしても、決めるのはにこちゃん」

真姫「もし契約に同意するのなら、本文とこの誓約書の署名欄にサインして。アルファベットでね」

真姫「ハンコはいらないわ」

真姫(ファイル&誓約書)

にこ「……」

絵里「私は、賛成出来ないけど」

にこ(万年筆)

にこ(サラサラ)

にこ「はい」(ファイル&誓約書)

真姫(ファイル&誓約書)

154 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:11:23.71ID:Vb+DJXJG.net
真姫「ねえ、にこちゃん。サインしてもらっといてなんなんだけど」

真姫「本当に良いの?」

絵里「……」

にこ「まあ、一か八かだったら、かけても良いでしょうよ」

にこ「私は、高校一年の時、アイドルとしてしょっぱなからコケて」

にこ「けど、穂乃果に拾われて、ミューズの一員として大成功した」

にこ「それからプロを目指したけど、なにもかも上手く行かず、絵里すら泣かせて八方塞がりだったけど」

にこ「こうして真姫が来て、bibiとしてデビュー出来て、ここまで来れたのよ」

にこ「だからにこの運は、そう悪くない」

にこ「今回も今回で、最後はどうにかなると信じているわ」

155 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:11:53.12ID:Vb+DJXJG.net
(コンコン)

園田「すみません。そろそろリハーサルの時間です」(ガチャッ)

にこえりまき「はーい」

にこ「……」(カプセルの箱)

にこ(時間は何時でも良いけど、毎日同じ時刻に1カプセルだったわよね)

にこ(じゃあ、切れが良いから正午に必ず飲むことにするわ)

156 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:12:28.58ID:Vb+DJXJG.net
都内 矢澤マンション

深夜 にこの部屋

にこ「良い?私達bibiは、あくまでもアイドルのトップを極めるために手を組んだ利害関係に過ぎない」

にこ「私達の結束は固い。ただし、それも成功をつかむための方便よ」

にこ「子供の遊びじゃないの!それが不服なら、即刻脱退なさい」

にこ「分かった?」

にこ「分かったの!?」

157 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:14:24.32ID:Vb+DJXJG.net
絵里「にこは本当ぶれないわね」(苦笑)

真姫「てか、ここで私達が抜けたら、困るのはにこちゃんでしょ?」

にこ「今の私達は、次のラブライブプロを制覇するの!」

にこ「でなきゃ、今までやって来た意味がないでしょ?」

真姫「まあ、その様子だと、すっかり元気を取り戻したみたいだけど」

絵里「本当にね」

絵里「にこ。体の様子は大丈夫?」

にこ「絶好調よ」

にこ「むしろ前より調子良いくらいだわ」

真姫「じゃあ、あの薬が効いたのね」

真姫「人により体質が違うから、場合によっては拒否反応も心配してたんだけど」

真姫「この様子だと、にこちゃんと相性が良かったみたいね」

158 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:14:38.04ID:8f5xcMLR.net
長すぎる
ぴくしぶでやれ

159 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:15:25.54ID:Vb+DJXJG.net
真姫「けどねにこちゃん。分かってるわよね?」

にこ「分かってるわ」

にこ「私はラブライブプロに出たら、正式に活動を休止し、治療に専念する」

にこ「それからは、医師と真姫の指示に従う」

真姫「まあ、ここまで来てなんだけど」

真姫「本当は今すぐそうしてもらいたいのが本音なんだけどね」

絵里「本当にね」(苦笑)

にこ「大丈夫よ。この矢澤にこ、交わした約束はちゃんと守るし」

にこ「そう簡単に倒れはしないわ」

真姫「だと良いんだけど」

160 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:16:22.64ID:Vb+DJXJG.net
にこ「それより真姫。次のラブライブプロが、本当にbibiのラストライブになるかも知れない」

にこ「とっておきの曲、よろしくね」

真姫「私の曲はいつもとっておきでしょ?」

にこ「そうよ。だから、とっておき以上のとっておき、よ?」

真姫「何それ、意味わかんない」

絵里「本当にね」(苦笑)

真姫「まあ良いわ。今までにない素敵な曲、作ったげるわ」

真姫「その代わり、本番で下手こかないでよね?」

にこ「あんですってぇ!?」

絵里「みんな元気ね」(苦笑)

161 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:17:06.83ID:Vb+DJXJG.net
にこ「よ〜し、大御所からもラブライブプロに専念する許可を得たし」

にこ「これからガンガン練習するわよぉ!?」

絵里「分かったわ」

真姫「まあ、乗り掛かった舟だし、最後までつき合わせてもらおうかしらね」

にこ「それじゃあ、みんな手を出して」(手)

絵里(手)

真姫(手)

にこえりまき(手合わせ)

にこ「これから250日、全力で飛ばしてくわよ」

にこえりまき「お〜っ!」

162 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:18:12.40ID:Vb+DJXJG.net
都内 某大手プロダクション

東京493ベース

九段下02専用室

早乙女弥生「……」

中野春菜「……」

弥生「信じられないね」

春菜「そうだね」

春菜「まさか、にこさんが」

弥生「まだ、若いのに」

163 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:18:34.93ID:Vb+DJXJG.net
春菜「けど、本当なのかな?」

春菜「まだ、信じられない」

弥生「……」

弥生「会社が、もう確定事項として扱ってるからね」

弥生「今はまだ、表ざたには出来ないけど」

春菜「……」

春菜「だって根拠がないじゃん」

164 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:19:12.82ID:Vb+DJXJG.net
弥生「診断書もカルテも、もちろんにこさんの主治医から聞いたわけでもない」

弥生「けど、専門家が現代の技術を駆使すれば、ほぼ完全に分かるもんなんだってさ」

弥生「久美子さんいわく、人工知能も使われたって」

春菜「……」

春菜「だとしても、正式な情報は、誰も掴んでないじゃない」

弥生「そうだよ。にこさんとbibiと、事務所とお医者さんしか、真相は知らない」

春菜「そんなんで私達の根本方針を決めるなんてさ」

春菜「色々と、おかしくない?」

165 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:19:55.06ID:Vb+DJXJG.net
弥生「けど、上がそう決めた以上、私達は従うしかないよ」

弥生「それが組織だから」

春菜「……」

春菜「弥生の事じゃないけどさ。随分変わったよね。芸能界も」

春菜「昔から競争は苛烈だったけどさ」

弥生「……」

弥生「まあ、私だって、今回のウチのやり方に全面的に同意しているわけじゃない」

166 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:20:32.87ID:Vb+DJXJG.net
弥生「にこさんの容態を勘案して、オフィスAはこれから余計な負担やプレッシャーを減らすべく
bibiの仕事を調整する」

弥生「場合によっては、減らしたり打ち切りにする可能性も少なくない」

春菜「もうじき新年度だしね」

弥生「恐らく、にこさんの最終目標は、次のラブライブプロ」

弥生「そこでbPになって、有終の美を飾るつもりなのだろう」

春菜「そこまで分かるんだ」

弥生「久美子リーダーの受け売りなんだけどね」

弥生「それはそれでいいと思うよ。本当ならね」

167 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:21:04.71ID:Vb+DJXJG.net
弥生「けど、それからが……」

春菜「bibiが仕事を減らすのに乗じて、私達東京493が積極攻勢をかける」

春菜「つまり、にこさんが弱ったのにつけこんで、私達が取って代わる」

弥生「そして、その先兵にして後釜候補となるのが」

春菜「私と弥生」

やよはる「……」

168 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:21:33.03ID:Vb+DJXJG.net
春菜「敵に塩を送れとは言わないけど、本当にこれで良いのかね」

弥生「まあね」

弥生「いずれbibiとは雌雄を決しなければならない。それは承知しているけどさ」

弥生「出来るなら、正々堂々ベストの状態で対決したかった」

弥生「火事場泥棒みたいなのは嫌だ、って言ったら、ワガママになるかな?」

春菜「ならないとは思うけど、口にする勇気はないよ」

春菜「仮にここで不服を唱えたら、私達、どうなると思う?」

169 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:22:03.66ID:Vb+DJXJG.net
弥生「間違いなく切り捨てられるね」

弥生「私達九段下02は、東京493を代表するスペシャルユニットだけどさ」

弥生「せんじ詰めれば、私達とて組織の構成員に過ぎない」

弥生「良心を理由に組織の方針に盾突く者を排除しないほど、さすがに甘くはないでしょ?」

春菜「まあね。ここではそうだろうね」

170 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:22:44.92ID:Vb+DJXJG.net
弥生「それに、私達の代わりがいなかろうなんて、傲慢になるわけにもいかないよ」

弥生「優秀な娘はいくらでもいる。せっかく手に入れた看板ユニットの地位だもん」

春菜「そうだね」

春菜「ここで自分たちの勝手な考えで全てを台無しになんかしたらさ
このポジションを目指して得られなかった娘達に申し訳ないよね」

弥生「そうだよ。みんな涙を飲んで去って行ったんだもん」

弥生「粗末にするわけにはいかないよ。九段下02を」

171 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:23:15.76ID:Vb+DJXJG.net
春菜「けど、本当にこれで良いのだろうかとは、少し思ってしまう」

弥生「ジレンマだよね。乗り越えていかなきゃいけないんだろうけど」

春菜「私達も大人になったって事なのかな」(ため息)

弥生「まあここで悩んでも仕方ない。さっ、練習に行こう」(スック)

春菜「だね。今は仕事とファンを喜ばせる事に専念」(スック)

春菜「私達の事で手いっぱいだ」(スタスタ)

(ガチャッ)

(バタン)

172 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:24:31.55ID:Vb+DJXJG.net
3月

音ノ木坂女子大学 セレモニーホール

卒業式

司会『卒業生総代、音ノ木坂女子大学学生会長高坂穂乃果さん』(マイク)

(パチパチパチパチ)


演壇

穂乃果「父兄のみなさん、当学OBのみなさん。これまで指導してくださった教授各位のみなさん
そして、ともに学んだ私たちの後輩のみなさん」(マイク)

穂乃果「私たち第79期4回生、本日をもって無事卒業となりました」

穂乃果「思えばこの4年間、色々ありましたが、今思い起こしてみると、本当にあっと言う間でした」

穂乃果「これから私たちは、社会に飛び立ち、それぞれの分野、それぞれの人生を切り開き
自分のために、そして、社会のために活躍していきたいと思います」

穂乃果「短いですが皆様方への感謝の気持ちとともに、卒業の言葉とさせて頂きたいと思います」

穂乃果「卒業生総代、音ノ木坂女子大学学生会長、4回生高坂穂乃果」(マイク)

173 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:25:13.78ID:Vb+DJXJG.net
演壇

穂乃果「では、当学学生会の恒例として、この場をお借りして、卒業する私の後継者を指名させていただきたいと思います」(マイク)

穂乃果「学生会副会長、3回生、小泉花陽さん!」

(パチパチパチパチ)

観客席

花陽「ぴ、ぴゃっ!?」

花陽「わぁ……私!?」

教育大学3年生星空凛「かよちんさあ」

凛「かよちん以外に誰がなれるっていうの?」

花陽「うぇ?あ、あぁ……そうかなあ」

174 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:25:56.19ID:Vb+DJXJG.net
演壇

穂乃果「賛成の方は盛大な拍手でお願いいたします!」(マイク)

(パチパチパチパチパチパチパチパチ)


司会『賛成多数により、音ノ木坂女子大学次期学生会長は、小泉花陽さんに決まりました!』(マイク)


演壇

穂乃果(一礼)



観客席

花陽「うぅ……うあぁ……ど、どうしよう」

凛「かよちん。さあ立って」

凛「承諾しないと」

花陽「う、うん」(スック)

175 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:26:21.17ID:96fuWEMt.net
最近SS少ないのに文句言うやつ多すぎだろ

176 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:26:22.90ID:Vb+DJXJG.net
花陽(ペコリ)



司会『みなさん。今一度盛大な拍手をお願いします!』(マイク)


(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

(パチパチパチパチパチパチパチパチ)



演壇

穂乃果(微笑)

177 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:27:15.05ID:Vb+DJXJG.net
学生会室

海未「穂乃果。久しぶりですね」(微笑)

穂乃果「あっ、海未ちゃん」

穂乃果「来てくれたんだね」

海未「私の所の卒業式はもう済みました」

凛「かよちん。お久しぶりだにゃあ」(ギュー)

凛「凛のいない間に浮気しなかったかにゃ?」(スリスリ)

花陽「り、凛ちゃん……みんな見てるから///」

海未「凛も相変わらずですね」(苦笑)

178 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:27:45.82ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「そっかあ」

穂乃果「海未ちゃんは大きな会社に就職が決まってるんだね」

海未「はい」

穂乃果「良かったね。じゃあ安心だ」

海未「まあ、先行き不透明な時代ですし」

海未「大船に乗ったつもりにはなれませんが」

穂乃果「でもすごいよ!」

穂乃果「やっぱ海未ちゃんは優秀だ」

179 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:28:20.92ID:Vb+DJXJG.net
凛「所で、穂乃果ちゃんは?」

花陽「それが」

海未「……」

海未「ま、まさか」(ワナワナ)

穂乃果「違うよ!ちゃんと就職したよ!!」

穂乃果「ほら。ウチのお父さんの常連でさ。会社の役員の人がいるんだけど、前々からウチに来ないかって言われてて」

海未「ああ、そうでしたね」

凛「縁故採用かあ」

180 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:29:27.16ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「まあ、私も独自に就活はしてて、いくつか内定ももらったんだけどさ」

穂乃果「お父さんもお母さんも、身内の方が絶対いいからって」

凛「へぇ〜穂乃果ちゃんらしいと言うか、らしくないと言うか」

花陽「そうだね」

花陽「穂乃果ちゃんの事だから、てっきり周囲の反対を押し切ってでも、自分の道をすすむとばかり」

海未「こう見えても、穂乃果も一応お嬢様ですからね」

海未「ご両親としては、おかしな所に行かせて、変な殿方に何かされはしないかと心配なのでしょうし」

海未「私も、ご両親の考えには賛成です。はいっ」(ニッコリ)

181 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:29:53.60ID:Vb+DJXJG.net
海未「しかしながら、改めて見て、本当にびっくりしましたねえ」

海未「人というものはここまで変われるものでしょうか」

花陽「?」

穂乃果「花陽ちゃんの事だよ」

花陽「ぴゃっ!?」

花陽「わぁ……私?」

182 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:30:31.38ID:Vb+DJXJG.net
海未「花陽は会うたびに会うたびに、どんどん美人になっているじゃないですか」

海未「身長もスタイルも、抜群ですし」

海未「顔も……もう並みのタレントでは太刀打ちできませんね」

花陽「そぉ……そんな、褒めすぎだよぉ」

穂乃果「性格もね」

穂乃果「今じゃこの穂乃果が、花陽ちゃんにいっつもやり込められているんだよ」

花陽「それは……穂乃果ちゃんが変な事言うから」

穂乃果「言うから私がさ。いつも花陽ちゃんに厳しく怒られるんだよ」

花陽「穂乃果ちゃん!」

(アハハハハハ)

183 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:32:00.41ID:Vb+DJXJG.net
海未「そうですか。花陽には穂乃果の事で苦労かけたみたいですね」(微笑)

花陽「いやぁ……一応先輩だしぃ、私も内心悪いかなあとは思ってるんだけど」

海未「いえ、穂乃果にはそのくらいがちょうどいいのです」

穂乃果「う、海未ちゃん!」

海未「でないと、すぐにあなたはだらけてしまいます」(指突きつけ)

穂乃果「もうぅ、久々に会ったら早速これだ><」

(アハハハハハ)

184 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:33:25.99ID:Vb+DJXJG.net
(ガチャッ)

雪穂「みんな。遅れてゴメン」

亜里沙「穂乃果さん、みなさん。卒業おめでとうございます」

穂乃果「雪穂、亜里沙ちゃん。来てくれたんだね。ありがとう」

穂乃果「てか雪穂。なんで遅れたのさ」

雪穂「お姉ちゃん説明したよね?」

雪穂「私と亜里沙も学生会に入ってて、海未姉達の卒業式とかで忙しいって」

雪穂「てか何で私だけ怒るのさ?」

穂乃果「そりゃ、そうだけど」

185 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:34:00.42ID:Vb+DJXJG.net
雪穂「……」

花陽「?」

雪穂「ぶぁ?かよちん!?」

雪穂「ものすごく綺麗になってる!!」

花陽「ぴゃっ!?雪穂ちゃんも!?」

花陽「私は前と変わってないと思うんだけどなあ」

凛「自覚がないのはかよちんだけだにゃあ」

雪穂「てか、かよちん大丈夫なの?」

雪穂「変な男とか言いよって来ない?」

186 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:34:46.66ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「正直言うと、私もそれを心配してるんだよ」(苦笑)

穂乃果「実際花陽ちゃん、帰り際に待ち伏せとかよくされるから」

雪穂「それヤバいじゃん」

穂乃果「まあみんな、普通のファンなんだけどさ」

穂乃果「今いろんな事件もあるし、好意がエスカレートする場合もあるかも知れないからね」

穂乃果「だから、副会長として、手元に置くことにしたんだ」

凛「そうだったんだ」

花陽「穂乃果ちゃん」

187 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:35:40.79ID:Vb+DJXJG.net
亜里沙「さすが穂乃果さん。ミューズがなくなっても、やっぱみんなのリーダーなんですね」

穂乃果「まあ、取り越し苦労なんだろうけどね」

海未「いいえ、騙されてはいけません」

海未「穂乃果の性格からして、煩雑な事務処理、とても自分で出来るはずがありません」

海未「要するに助手が欲しかったのを、よくもまあ、素敵な美談に仕立て上げたものです」

海未「さすがに大学生にもなれば、穂乃果でも知恵はつくと言う事ですか」(ギロッ)

穂乃果「もうぅ、海未ちゃんは疑いすぎだよぉ!!」

海未「いいえ。穂乃果の考えてることくらい、ちゃんとお見通しですっ!」

花陽(苦笑)

188 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:36:18.01ID:Vb+DJXJG.net
(コンコン)

希「みんな、お久しぶりやん」(ガチャッ)

穂乃果「あっ、希ちゃん」

亜里沙「希さん」

雪穂「久しぶり」

海未「ご無沙汰してます」

189 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:36:50.07ID:Vb+DJXJG.net
希「穂乃果ちゃん達も遂に卒業やね」(紫のフード)

希「ふふ」(微笑)

花陽「おぉ……お久しぶりです」

雪穂「うわぁ……のぞみん、今日はまた、随分気合い入れてきたと言うか」

希「似合ってないん?」(紫のフード)

亜里沙「いえ、すっごく綺麗ですっ!」

海未「聞きましたよ。希は大学卒業してからプロの占い師になったんですよね」

希「スピリチュアリストやん」

190 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:37:20.98ID:Vb+DJXJG.net
亜里沙「それも、今や雑誌とかにコーナーも持っているんですよね」

亜里沙「私、毎日見てます。結構当たるんですよ」

穂乃果「そっかあ。希ちゃんも出世したねえ」

希「4月からテレビにも出るんよ」

希「とは言え、全国ネットじゃなくて、東京のローカル局だけど」

穂乃果「それでも凄いよ!」

海未「東京ローカルと言う事は、関東全域には放映されますしね」

191 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:38:19.83ID:Vb+DJXJG.net
希「それにしても、花陽ちゃん」(ジーッ)

花陽「は、はい」

希「ふっふっふっ」(ズイッ)

(ガシッ)

花陽「ぴゃっ!?」

希「これはずいぶん立派なものになったねぇ、今や絵里ちをもしのぐんやないん?大成長やね」(ワシワシワシワシワシワシワシワシ)

花陽「ダ、ダレカタスケテェー><」

雪穂「おっ、久々のワシワシだ」

亜里沙「私、初めて見た」

穂乃果「だよねっ。穂乃果も花陽ちゃんの成長には感無量だよ」(ウルウル)

海未「親ですか」(ジト目)

192 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:38:56.99ID:Vb+DJXJG.net
海未「そう言えば、凛の姿が見えませんね」

穂乃果「そうだね」



(ドアの隙間)

穂乃果(あっ、凛ちゃん)

凛(穂乃果ちゃん、こっち来て)目くばせ

穂乃果(うぇ?う、うん)



穂乃果「ごめんみんな、ちょっとトイレに行ってくる」

穂乃果(スタスタ)

(ガチャッ)

(バタン)

193 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:39:52.25ID:Vb+DJXJG.net
希「それにしても、ほんに綺麗になったねえ花陽ちゃん」(紫のフード)

花陽「その言葉を今日何度聞かされた事か」

希「すべて物事には時期と言うものがある」

希「花陽ちゃんは、高校の頃は特別目立つ方じゃなかったけど」

希「これからが人生の、そして女としての最盛期みたいやね」

希「ふふ」

雪穂「まあかよちんだと、下手に早熟じゃ、すぐにチャラい男にいい様にされそうだしね」

花陽「それってどう言う意味ぃ!?」(涙目)

海未「やっぱそういう所は、いつもの花陽みたいですね」

194 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:40:34.77ID:Vb+DJXJG.net
亜里沙「穂乃果さん遅いですね」

花陽「凛ちゃんも、さっきから」

海未「……」

雪穂「見てこようか?」

希「そうやね。でも、急ぐ必要もないみたいやん」

希「今日はみんな、たっぷり時間はあるんやし」

海未「確かに時間をかけて話し合う必要もありますしね」



花陽「……」

雪穂「……」

亜里沙「……」

海未「……」

195 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:41:14.21ID:Vb+DJXJG.net
廊下

凛「みんな知ってるの?」

穂乃果「まあね」

凛「そっかあ。まあ、そうだよね」

穂乃果「正直少し迷ったけど、遅かれ早かれ公表されるんだろうし」

穂乃果「だったら、私だけ隠してても仕方がない。今のうち皆に知らせておいた方が良いだろうって」

凛「……」

凛「ショックだよねえ。にこちゃんまだ若いのに」

196 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:42:24.32ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「私も、まだこう……実感がわかないよ」

穂乃果「本人にあっても、どう接したら良いのか」

凛「……」

凛「でも、テレビとかではまだまだ元気にやってるよね?bibiのみんな」

穂乃果「そこはプロだからね」

凛「治るの?」

穂乃果「それは分からない」

穂乃果「にこちゃんは、専門のスタッフや事務所のサポートを受けられる身だし」

穂乃果「真姫ちゃんや絵里ちゃんもいる」

穂乃果「だから、環境的には最善のはずなんだけどね」

197 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:43:52.02ID:Vb+DJXJG.net
凛「癌かぁ」(溜息)

凛「凛の頭じゃ、どうにもならないよ」

穂乃果「それは私も同じだよ」

穂乃果「これまで、音ノ木坂女学院の廃校騒ぎから、スクールアイドルこころざして、
みんなでミューズを結成して」

穂乃果「廃校を回避して、ラブライブも優勝出来て」

穂乃果「個人的にはどうにか大学にも入れたけどさ」

穂乃果「さすがにこればっかりは、どうにもならない」

穂乃果「ミューズの、にこちゃん達のリーダーなのに、本当無力だよ」

穂乃果「なんと言うか、情けないよね」

凛「……」

198 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:44:27.83ID:Vb+DJXJG.net
凛「穂乃果ちゃん。こう言うときこそみんなで助け合うべきだよ」

凛「私たちはミューズ。スクールアイドルは解散したけど」

凛「その絆が消えたわけじゃない」

穂乃果「……」

穂乃果「だね。私たちだけで頭を抱えてもしょうがない」

穂乃果「凛ちゃんの言う通りだ。ありがとう」

凛「まあ私も一応、リーダーだからね」

凛「さっ、みんなの所に行こう」

199 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:45:03.01ID:Vb+DJXJG.net
(ガチャッ)

穂乃果「みんな、お待たせ」

凛「お待たせにゃあ」

花陽「あっ、穂乃果ちゃん、凛ちゃん」

亜里沙「お帰りなさい」

雪穂「随分長かったねえ」

海未「そうですね」

希「まあええやん。これでみんなそろった事だし」(紫のフード)

200 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:48:03.08ID:Vb+DJXJG.net
希「それにしても、ウチらの時には、こうしてみんなそろってお祝いは出来なかったやん」

海未「去年は、にこも絵里も仕事が忙しくて、結局卒業式自体出られなかったんですよね」

穂乃果「まあね」

花陽「あの頃は、アライズと九段下09に追いつけ追い越せって、bibiが猛追撃してたからねえ」

凛「やっぱプロの世界って過酷だにゃあ」

亜里沙「そう言えばツバサさん達は卒業してるの?」

雪穂「たしか、UTX総合学院は3年制だったかなあ」

雪穂「学科は卒業しているだろうけど、籍は置いてるんじゃない?」

201 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:49:25.91ID:Vb+DJXJG.net
海未「さて、そろそろ本題に入りましょうか」

希「そうやね」(紫のフード)

穂乃果「みんなびっくりしたと思うけど、私がみんなに伝えたのは、やっぱ共有しなきゃけないと思ったからだよ」

穂乃果「そんな事した所で、にこちゃんの体が良くなるわけじゃない事は分かっている」

穂乃果「けど、仮にそうだとしても、同じミューズ、同じ音ノ木坂女学院アイドル部のメンバーとして」

穂乃果「何も知らないわけには行かない」

雪穂「まあねえ」

亜里沙「そんなに酷いのですか?にこさんの体調」

海未「この若さで、ここまで重病になるなんて」

海未「にこは美容と健康にはうるさかったから、メンバーの中でもがんを患うリスクは低いと思ってたんですけど」

希「……」

花陽「……」

202 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:50:16.09ID:Vb+DJXJG.net
花陽「けど、私達がこうして話している事を知ったら、にこちゃんどう思うかなあ」

凛「きっと怒るよね。余計な事をするなって」

希「……」(紫のフード)

穂乃果「怒られても良いさ」

穂乃果「これはにこちゃんだけの問題じゃない。ミューズ9人に、雪穂と亜里沙ちゃんの11人全員の問題としてとらえるべきなんだよ」

穂乃果「怒られても憎まれても、そうするのが仲間じゃんか」

海未「穂乃果」

雪穂「そうだね。そうだよね」

亜里沙「はいっ!」

203 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:50:48.82ID:Vb+DJXJG.net
凛「けど、こんな難題、どうやって取り組むの?」

海未「私たちにできることは限られていますよね」

雪穂「て言うか、ぶっちゃけ無力に近いよね」

亜里沙「……」

希「こればっかりは、タロットのお告げに頼っても、良い策は出てこないやん」(紫のフード)

穂乃果「……」

花陽「……」

204 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:51:53.79ID:Vb+DJXJG.net
花陽「今にして思えば、これは私たちが味わう初めての挫折だよね」

穂乃果「花陽ちゃん」

花陽「廃校は免れた。ラブライブ優勝を果たした。春奈ちゃんや弥生ちゃん達と激しく争いながら、
それでもまた、スクールアイドルの頂点を極めた」

花陽「にこちゃん達がデビューして、色々あったけど、今やプロアイドルとして、
玉座の地位も手に届く所にある」

花陽「それが、たった数か月で奈落の底に落とされるなんて」

凛「かよちん」

花陽「これまでは、どんな困難があっても、みんなで力を合わせて乗り越えてきた」

花陽「誰かが困れば、誰かが助ける」

花陽「誰かがつまずいても、必ずメンバーの誰かが手を差し伸べてくれる」

花陽「それがミューズ、それこそが音ノ木坂女学院アイドル研究部」

花陽「そう信じていた」

205 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:52:45.68ID:Vb+DJXJG.net
花陽「けど、今回ばかりは……誰も何もできない」

花陽「もちろん花陽にも出来ない」

花陽「仲間って、こんなにも無力なものなのかなあ」

穂乃果「そんな事ないっ!」

海未「穂乃果」

雪穂「お姉ちゃん」

穂乃果「私は、調子の良い時だけ手を差し伸べて、くじけそうになったら手の平を返す
そんな事のために、ミューズを立ち上げたんじゃない」

穂乃果「絶望的な状況だからって、尻尾を巻いて退散するために、スクールアイドルをやって来たわけじゃない」

穂乃果「仲間の誰かを救うのができないっからって逃げ出すために、リーダーになったつもりじゃないんだよ」

206 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:53:53.85ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「今一番辛くて苦しいのは、にこちゃん、そして絵里ちゃんと真姫ちゃん。それににこちゃんの家族たち」

穂乃果「みんな逃げないし、逃げることも出来ないのに、私たちが何もできないからって、簡単にあきらめたら」

穂乃果「私はもぅ……今まで応援してくれたみんなに会わせる顔がない」

凛「……」

海未「……」

希「……」(紫のフード)

雪穂「……」

亜里沙「……」

207 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:54:35.11ID:Vb+DJXJG.net
海未「穂乃果の言う通りです」

海未「仮に諦めるにしても、あがくだけあがいてからでも遅くはありません」

凛「だよね」

凛「廃校の時だって、絶望的なのは同じだったもんね」

雪穂「そうだね」

雪穂「もう一度信じてみても良いかもね。奇跡を」

亜里沙「にこさんはまだ若いです」

亜里沙「回復の見込みはまだあるかも知れません」

希「そうやん」

希「少なくともにこっちは、諦める気だけはないやろうしね」

208 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:55:12.59ID:Vb+DJXJG.net
花陽「穂乃果ちゃん。みんな。ゴメン」

花陽「花陽、取り乱していた。なんと言うか、ミューズの時の気持ちを、忘れていたみたいだよ」

穂乃果「そんな事ないよ」

穂乃果「花陽ちゃんの言う通りなんだよ」

穂乃果「ただ、それを受け入れるには、私達は、そうだね。頭が良くないんだ」

花陽「穂乃果ちゃん」(ウルウル)

209 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:56:20.23ID:Vb+DJXJG.net
海未「けど、現実に私たちの取れる手は限られています」

凛「だよねえ」

雪穂「私達は医者ってわけではないからねえ」

亜里沙「身代わりになるわけにもいかないし」

希「みんな。結論はもう決まってるんやないん?」

穂乃果「希ちゃん」

210 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:57:44.38ID:Vb+DJXJG.net
希「ウチらは確かに医者ではない」(紫のフード)

希「ウチらにはウチらの出来る事で、にこっち達を助けるしかない」

凛「けど、助けるって」

花陽「どうやって?」

希「みんな。ウチらは今まで何をしてきたん?」

穂乃果「……」

海見「……」

ほのうみぱなりんゆきあり(お互い目くばせ)

希「そうやん。ウチらはミューズ」

希「にこっちの病は救えないけど、その望みに力を貸す事はできる」

211 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:58:48.57ID:Vb+DJXJG.net
海未「望み……ですか?」

希「次の、8月15日、第二回になるラブライブプロ」(紫のフード)

希「にこっちはそれに出て、最後の勝負をする」

希「もちろん、アイドルの頂点を極めるためにね」

海未「それは、本当なんですか?」

希「聞いたわけじゃないよ」

希「せやけど、にこっちがそれ以外の選択をすると思うん?」

凛「……」

雪穂「……」

亜里沙「……」

穂乃果「……」

花陽「……」

212 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 22:59:30.05ID:Vb+DJXJG.net
花陽「希ちゃんの言う通りです」

花陽「今のbibiの勢いからしても、にこちゃんの体調にかんがみても」

花陽「次のラブライブプロこそが、トップの玉座を手に入れる最大の」

花陽「そして、最後のチャンスになるでしょう」

穂乃果「……」

海未「……」

希「……」(紫のフード)

凛「……」

雪穂「……」

亜里沙「……」

213 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:00:21.59ID:Vb+DJXJG.net
希「ウチらに出来る事は、にこっちの、bibiのラブライブプロ出場に協力する事」(紫のフード)

希「そして、優勝目指して戦う彼女たちを応援する事」

希「これなら出来る。いえ、ウチらだからこそ力になれる仕事やん」

海未「なるほど、希の言う通りです」

凛「見込みはありそうだね」

花陽「むしろ得意分野です」

雪穂「蛇の道は蛇かあ」

亜里沙「私達がサポーターになれば、確かににこさん達も心強いですよね」

214 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:01:09.53ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「……」

希「穂乃果ちゃん」(紫のフード)

穂乃果「よし、みんな、やろう」

穂乃果「どこまで出来るかわからないけど、出来るだけの事をしよう」

穂乃果「結果は分からないけど、何もしないで手をこまねいているよりはずっと良い」

穂乃果「それだけは言える……とにかくやるんだ」

穂乃果「みんなの知恵と力を合わせて、今一度奇跡を起こそう!!」

海未「穂乃果」

花陽「穂乃果ちゃん」

凛「さすが穂乃果ちゃんだにゃあ」

雪穂「お姉ちゃん」

亜里沙「はいっ、頑張りましょう!」

希「穂乃果ちゃんはやっぱ、みんなのリーダーやね」

希「ふふ」(紫のフード)

215 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:01:50.07ID:Vb+DJXJG.net
秋葉原駅前

ことり「穂乃果ちゃん」(手フリフリ)

穂乃果「あっ、ことりちゃん」

穂乃果(ダッダッダッダッ)

穂乃果(ギューッ)

ことり「あっ、穂乃果ちゃん///」

穂乃果「ことりちゃん、会いたかったよ」(ギューッ)

ことり「い、痛いよ……穂乃果ちゃん」

穂乃果「だって、こんなに久しぶりなんだもん」(スリスリ)

ことり「ほ、穂乃果ちゃん……こんな所で恥ずかしいよぉ///」

216 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:02:37.05ID:Vb+DJXJG.net
音ノ木坂女子大学寮

穂乃果の部屋

穂乃果「久しぶりでしょ?ここに来るの」

ことり「そうだね」

ことり「この前は、穂乃果ちゃんの所に行った後」

穂乃果「まだ寮にいたにこちゃん達の部屋に上がって」

穂乃果「なんだかんだでみんな集まって、お酒飲んだりして」

ことり「もう何年も前の事なのに、今もまだ、ありありと思い起こせるよ」

ことり「あの時は本当に楽しかった」

ことり「えへへ♪」

217 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:03:35.73ID:Vb+DJXJG.net
ことり「もうじき出るんでしょ?ここも」

穂乃果「うん」

穂乃果「引っ越しの手配は、もうすましてるよ」

ことり「1人暮らしするの?」

穂乃果「それがさあ。海未ちゃんと一緒の部屋に住む予定なんだよ」

ことり「ああ」

ことり「海未ちゃんが勧めたの?それとも穂乃果ちゃんから?」

穂乃果「それがさあ、聞いてよ」

穂乃果「お母さんと雪穂がさあ、海未ちゃんと暮らさないと、もう仕送りしないって」

穂乃果「要するに、そうじゃないと、危なっかしいって事だよね」

穂乃果「私ってそんなに頼りないかなあ」

ことり(苦笑)

218 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:04:38.82ID:Vb+DJXJG.net
ことり「でも、海未ちゃんはきっと喜ぶと思うよ」

ことり「もちろん私も」

ことり「私だって留学しなかったら、学生寮も、社会人になってからも、海未ちゃんや穂乃果ちゃんと一緒に暮らしたかったもん」

穂乃果「ことりちゃん」

ことり「本当は、海未ちゃんやみんなとも会いたかったんだけど」

穂乃果「でも、忙しいんでしょ?色々と」

穂乃果「こっちでも有名だもんね。chyunnブランド」

穂乃果「今や女子中高生なんか、みんな(・8・)ロゴの入ったシャツやバッグを身に着けてるよ」

穂乃果「やっぱすごいよことりちゃんは、大出世だ」

ことり「えへへそれほどでも♪」

219 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:05:43.52ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「これからことりちゃんは、どんどん世界的に有名なデザイナーになるんだろうね」

穂乃果「私も鼻が高いよ」

ことり「穂乃果ちゃん褒めすぎだよぉ///」

穂乃果「時間は大丈夫なの?」

ことり「実は、明日早朝の飛行機で帰るんだ」

ことり「しかも、今回時間が取れたのも、急な話しでつい先日、先生がね」

ことり「私の同級生達が卒業する頃だから、1日だけ会って来いって」

ことり「さもなきゃ早めに連絡して、みんなと会う事も出来たんだけど」

穂乃果「そっかあ」

穂乃果「まあ、みんなと会うのは、またの機会でも構わないさ」

穂乃果「もっと大きくなったことりちゃんを見て、みんなびっくりする姿が見てみたいよ」

ことり「うんっ♪」

220 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:07:02.27ID:Vb+DJXJG.net
ことり「それにしても、にこちゃんの事、メールで知らせてくれたでしょ?」

ことり「あのにこちゃんが、そんな事になってるなんて」

穂乃果「……」

ことり「ことりはね。にこちゃんの事聞かされた夜、涙が止まらなくてしょうがなかったよ」

ことり「あんなに可愛くて強い娘が、何の罪もないのに、余命いくばくぞとか」

ことり「ことりはね。むこうの大学で、デザイン以外にもいろいろ学んだけど、人間、生きたくても生きられない人は大勢いる」

ことり「夢をかなえたくてもかなえられない人達は、もっとたくさんいる」

ことり「だから私はその分頑張らなきゃって、最初は言葉も通じなかったし、穂乃果ちゃん達と離れて寂しかったけど
どうにか自分を励まして、なんとか今までやって来た」

ことり「孤独の中で1人努力する。私は先生や、友達もいたけれど、そんな日々を送ってね。にこちゃんみたいな娘の気持ちが
よくわかるようになった」

ことり「穂乃果ちゃんの事もね」

穂乃果「……」

221 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:07:44.72ID:Vb+DJXJG.net
ことり「少しだけ夢をかなえてみて、にこちゃんの事、他人事には思えなくなったよ」

ことり「弱いままではきっと、ただどうしようってオロオロするしかできなかっただろうね」

穂乃果「ことりちゃん」

穂乃果「ことりちゃんは本当に強くなったね」

穂乃果「ことりちゃんを送り出したとき、穂乃果、すっごく落ち込んでさ。
しばらく何も手につかなかったんだよ」

穂乃果「ことりちゃんの事も心配した」

穂乃果「けど、それは杞憂だったね」

穂乃果「今なら言える。ことりちゃんを送り出して、本当に良かった」

穂乃果「ことりちゃんは穂乃果より、ずっとずっと大きくなった」

穂乃果「今のことりちゃんに、もう穂乃果は必要ないかもね」

222 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:08:38.32ID:Vb+DJXJG.net
ことり「そ、そんな事ないよ!」

ことり「穂乃果ちゃん達がいたからこそ、自分でこの道に進む決心も出来たし」

ことり「みんなとどこかでつながっているって信じられたからこそ、今日までやってこれたんだよ」

ことり「必要ないなんて、ことり、そんな冷たい事、一度も思ったためしなんて」

穂乃果(クスクス)

ことり「あっ……」

ことり「もうっ、穂乃果ちゃんのいじわる///」

223 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:09:21.86ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「ああ、もう夕方かあ」(窓)

穂乃果「ことりちゃん、遅くとも明朝5時にはここを出なきゃならないんでしょ?」

ことり「うん」

穂乃果「それじゃ、11時に寝るとして、あと5時間かあ」(スマホ)

ことり「良いよ今夜は寝なくても」

穂乃果「大丈夫なの?」

ことり「飛行機の中で寝るよ」

ことり「それに時差ボケで、多分寝られない」

穂乃果「そうか」

穂乃果「よ〜し、じゃあ今夜は寝かせないよっ♪」

224 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:10:05.71ID:Vb+DJXJG.net
夜8時

皇居前

穂乃果「ごめんね。あんまりいろいろ連れてけなくて」(テクテク)

ことり「良いよ。こうやって穂乃果ちゃんと2人で歩くだけで、ことりは嬉しいよ」(テクテク)

穂乃果「ことりちゃんはお金がかからなくて良いねえ」

穂乃果「会社入ったら、たくさんおごってあげるからね」(テクテク)

ことり「おかまいなく♪」(テクテク)


(タッタッタッタッ)

ことり「?」

穂乃果「周回ランナーだね」


(タッタッタッタッ)

???「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」(タッタッタッタッ)


ことり「?」

穂乃果「あれは」


???「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」(タッタッタッタッ)


穂乃果「に、にこちゃん!?」

225 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:10:39.86ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「にこちゃん!」

にこ「?」

にこ「ああ、穂乃果」(ジョギングウェア)

にこ「久しぶりね。あんた、大学卒業したんでしょ?」

穂乃果「そうだよ。いや、そうじゃなくって」

穂乃果「なんで走ってるのさ!?」

にこ「あによ急に大声上げて」

にこ「体力づくりよ体力づくり」

226 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:11:20.88ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「そんな事している場合じゃないでしょ!?」

にこ「っはあぁぁぁ!?」(ジョギングウェア)

にこ「なんであんたが怒んのよ!?」

ことり「穂乃果ちゃん」(穂乃果の袖クイッ)

にこ「?」

にこ「……ことり」

にこ「あんた……帰ってたの?」

ことり「にこちゃん、お久しぶり」

にこ「いつからよ?」

227 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:11:58.67ID:Vb+DJXJG.net
ことり「今日の朝早くだよ」

にこ「ふーん、みんなは知ってるの?」

穂乃果「それが、急な話しだったんで、知らせる暇もなかったんだ」

にこ「いつまでいるの?」

ことり「明日の朝早くには帰るんだ」

にこ「じゃあ、あっという間じゃない」

ことり「そうだね」

ことり「エヘヘ♪」

228 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:12:43.04ID:Vb+DJXJG.net
にこ「あんたもあんたで、随分頑張ったわよねえ」(ジョギングウェア)

にこ「chyunnブランド、もう大ブームよ」

ことり「それほどでも♪」

にこ「今やミューズで一番成功したんじゃない?あんた」

ことり「そんな事ないよお」(苦笑)

にこ「ま、アイドルではにこが一番だけどねぇ〜」(エッヘン)

ことほの(目くばせ)

ことほの(苦笑)

229 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:13:29.68ID:Vb+DJXJG.net
にこ「あんた達、にこは出るわよ」(ジョギングウェア)

穂乃果「何に?」

にこ「決まってんでしょ?ラブライブよ。ラブライブプロ」

にこ「出場して、今度こそ優勝して、必ずアライズを倒し、アイドルの頂点を極めるわよ」

ほのこと「……」

にこ「ま、そ〜いうわけだから、しっかりにこの勇姿を拝見なさいよねぇ〜」

にこ「歴史的な瞬間がみられるわよ!?」

にこ「ことり。あんた8月15日に、こっちにこれる?」

ことり「え〜?それはまだぁ」

にこ「あっそ。まあ、今は海外放送もしてるから、ちゃんと見んのよ〜?」

にこ「失望はさせないから」

ことり「うん」

230 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:14:05.69ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「にこちゃん。本当に大丈夫なの?」

にこ「あんたね。さっきからなに心配してんのよ」(ジョギングウェア)

にこ「今度は大丈夫よ。アライズの弱点を調査し、きちんと戦略を立てるべく、専門チームも雇ったんだから」

穂乃果「そうじゃなくて!」

ことり「穂乃果ちゃん」(穂乃果の袖クイッ)

穂乃果「……」

ことり「にこちゃん。頑張ってね」

ことり「ことりも応援してるから」

231 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:15:12.49ID:Vb+DJXJG.net
にこ「ありがとうことり」(ジョギングウェア)

にこ「ほら穂乃果。あんたもことりの素直さを見習いなさい」

穂乃果「……」

にこ「じゃ、行くわ」

にこ「あっ、そうだ。穂乃果。卒業おめでとう」

にこ「あとできちんとお祝いさせてもらうわ。bibiのみんなでね」

にこ「海未にもよろしくね」

(タッタッタッタッ)

ほのこと「……」

232 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:15:31.26ID:96fuWEMt.net
このペースでよく規制くらわないな

233 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:15:55.91ID:Vb+DJXJG.net
翌日正午

音ノ木坂女子大学寮 穂乃果の部屋

穂乃果「って言う事があったんだ」(スマホ)

海未『そうですか。にこが走ってたんですか』(スマホ)

海未『多分、医師や事務所の承諾を得てやっているんだとは思うんですが』(スマホ)

海未『たとえにこでも、大事な勝負を控えて、無茶をするとは思えませんし』(スマホ)

穂乃果「だと良いんだけどね」(スマホ)

234 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:16:47.96ID:Vb+DJXJG.net
穂乃果「あっ、そうだ。ごめんね海未ちゃん」(スマホ)

穂乃果「知らせとこうとは思ったんだけど、ことりちゃんの事、海未ちゃんに言う機会がなくってさ」(スマホ)

海未『良いんですよ。それに……』(クスッ)

穂乃果「?」

海未『私が何も知らないと思ってたんですか?』(スマホ)

穂乃果「うぇ?」(スマホ)

海未『ことりは、あなたに会いに来たのですよ』(スマホ)

穂乃果「!?」

海未『それじゃ、またかけますね』(スマホ)

(プツッ、ツー、ツー、ツー)

穂乃果「……」(スマホ)

穂乃果「ことりちゃんめえ」

235 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:17:26.08ID:Vb+DJXJG.net
スピリチュアルカフェ

(カランカラン)

真姫「……」

フード姿の娘「ようこそお越しくださいました」

真姫「……」

フード姿の娘「本日はどんな運命について知りたいとお望みですか?」

真姫「希はいる?」

フード姿の娘「ご予約はおありですか?」

真姫「真姫が来たと伝えて」

フード姿の娘「……」

フード姿の娘「は、はい。分かりました」

236 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:18:13.13ID:Vb+DJXJG.net
奥の間

希「来ると思った」(巫女姿)

真姫「その言葉、何度聞かされたかしらね」(ジト目)

真姫「私、あなたのそのすべてを見透かしてるような態度、本当大嫌いよ」

真姫「そして、未来を全部知り尽くしてる、その言いぶりもね」

希「それは過大評価やん」

希「ウチは、他の人とほんの少し視点が違うだけなんよ」

希「おかげで、どこに行っても敬遠され、時には気持ち悪がられ、なかなか友達が出来なかったけどね」

希「けど、それをはっきり口にする、真姫ちゃんのそう言う所、好きよ」

希「ふふ」(微笑)

237 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:18:49.90ID:Vb+DJXJG.net
真姫「むぅ」

真姫「だったら、私がなぜ今日ここに来たのか、当ててみなさいよ」

希「にこっちの事やね」(巫女姿)

希「にこっちがなぜ癌になったのか」

真姫「違うわ」

真姫「あなた……音ノ木坂女学院一年、いえ、中学三年の時から、にこちゃんとは親友だったんでしょ?」

希「途中から離れ離れになったけどね」

真姫「あなた……知ってたんじゃないの?」

真姫「にこちゃんがこうなる事を、ずっと前から」

238 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:19:33.03ID:Vb+DJXJG.net
希「知ってた言うたら、真姫ちゃんどうするん?」(巫女姿)

希「ウチを殴る?なぜもっと早く言わなかったのかと、昔みたいに」

真姫「たぶらかさないで!」

希「いずれはこうなると思ってた」

希「ウチな?にこっちに関しては、特にその星を見たりとかはしてないんよ」

希「せやけど、にこっちに初めて接したときから、彼女の事は良く分かってた」

希「優れた資質と不屈の性格。それ故にもたらされる、波乱に満ちた人生」

希「けど、それだけやない」

希「彼女には、ほんの少し、運が足りないんよ」

239 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:21:01.86ID:Vb+DJXJG.net
希「何かを手に入れたければ、何かを捨てなければならない」(巫女姿)

希「それがとてつもなく大きなものだったら、その分、払う代償も大きい」

真姫「……」

希「にこっちは既に、ミューズの一員として、スクールアイドルで大成功を収めた」

希「bibiとして鮮烈なデビューを果たし、瞬く間に芸能界を席巻した」

希「そして今や、王座にあるアライズに挑戦状を叩きつけ、次のラブライブで雌雄を決するところまで来ている」

真姫「つまり、にこちゃんがプロアイドルの頂点に立つ見返りが、自分の命の喪失ってわけ?」

真姫「あによそれ。不合理も甚だしいわよ」

真姫「なんの科学的根拠もないじゃない」

真姫「それじゃ、成功を手に入れた人はみな、死ななければならなくなるわ」

240 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:22:11.39ID:Vb+DJXJG.net
希「真姫ちゃん。この日本で、いったいどれだけの娘達が、スクールアイドルとして、ラブライブを目指したと思うん?」(巫女姿)

希「そして、どれだけの娘達が、プロデビューして、全国区になれたと思うん?」

希「夢を目指して挫折して……誰にも評価されず、覚えてすらもらえずに、涙を呑んで立ち去った娘達の方が
圧倒的に多いやん」

希「いえ。実際には、仮に夢見ても、自分では無理と、最初から諦める娘の方がほとんどなんよ」

希「それをにこっちは目指して、始めて、挫折して……それでも諦めないで、みんなと出会って」

希「再びトライして、ようやく成功して、それからも何度も栄光と挫折を味わって、こんなに大きくなった」

希「どこかで無理がたたっても、おかしい話ではないやん」

真姫「……」

241 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:22:52.59ID:Vb+DJXJG.net
真姫「だとしたらアライズはどうなのよ」

希「ツバサちゃん達は、幼少の頃からサラブレッドとして育てられた言わば天才児よ」(巫女姿)

希「そのツバサちゃん達に勝てたからミューズは奇跡を起こしたんやし」

希「彼女たちをここまで追い詰めたんだから、にこっちはもう、十分歴史に名を残せる」

真姫「だとしても死の病になる理由にはならないわ」

希「真姫ちゃんの言う通りよ」

希「ウチも、ここまでの事になるとは思わなかった」

242 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:23:57.33ID:Vb+DJXJG.net
希「だから問題は、なぜこうなったじゃなく、これからどうするかやん」(巫女姿)

真姫「これから?」

希「今のにこっちには2つの選択が残されてる」

希「己の命を救うため、いますぐアイドルを辞めるか」

希「ラブライブプロでアライズと戦い、命を賭け台にのせ、日本アイドル史の巨星となるのか」

希「永遠の名誉かそれとも命か……究極の選択やね」

真姫「……」

243 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:24:39.38ID:Vb+DJXJG.net
真姫「ねえ希。考えをそこまで単純化するのは、危険だと思うんだけど」

希「あら。じゃあ真姫ちゃんは、これ以外になにか考えがあるん?」(巫女姿)

真姫「それは」

希「それに、これはウチの考えやないよ。にこっちの身になって考えたら結局ここに行きつく」

希「にこっちならそう考える。そうやないん?」

真姫「……」

希「だからね真姫ちゃん。これはウチがどうこう言える話じゃないんよ」

希「にこっちから見ればウチは部外者。それは、穂乃果ちゃんや花陽ちゃん達も同じ」

244 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:25:23.02ID:Vb+DJXJG.net
希「これはプロアイドル矢澤にこが、アイドルとして、1人の人間として、どうすべきか決断しなければならない」(巫女姿)

希「そして、その彼女に直接助言出来るのは、専門のお医者さんと、bibiのメンバーである絵里ちと真姫ちゃん
あなた達だけやん」

希「突き放してるように見えるけど、ウチらが騒げば、余計事態は悪化する」

希「助けるにしても、まずはにこっちの決断が必要なんよ」

真姫「……」

真姫「それは難しいわね」

希「にこっちが決心しなければ、誰も手が出せない」

希「今やにこっちは、ウチらの仲間であるだけじゃなく」

希「大勢のファンや関係者みんなのものやからね」

真姫「ハァ……とてつもなく重い宿題だわ」(溜息)

245 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:26:03.62ID:Vb+DJXJG.net
6月

軽井沢

西木野家別荘

絵里「これはまた、大きな別荘ねえ」

にこ「相変わらず金持ちねえ」

真姫「それほどでもないけど」(髪クルクル)

にこ「ハァ……不思議ね」

にこ「おなじそれほどでもない、でも、ことりとちがって、なんであんたのは嫌味に聞こえるのかしらね」

真姫「あんですってぇ!?」

絵里「2人とも、喧嘩しないの」(苦笑)

246 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:26:45.80ID:Vb+DJXJG.net
絵里「それに、今回はbibi結成以来初めての長期休暇なのよ」

真姫「まあね」

にこ「それにしても、良く事務所が認めたものよねえ」

絵里「……」

真姫「……」

にこ「あによ2人とも、急に黙りこくって」

真姫「ヴエ?ほ、ほら。私達、デビュー以来、ろくに休んだためためしがないじゃない?」

絵里「ここらで3人水入らずで過ごしても、罰は当たらないでしょ?」

真姫「そ、そうよ。そうなのよ」

にこ「ふーん」(ジーッ)

えりまき(冷や汗)

247 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:27:24.27ID:Vb+DJXJG.net
にこ「どうせなら、にこは外国に行きたかったなあ〜」

えりまき(ホッ)

真姫「さすがにそれだと、ゆっくり出来そうもないし」

絵里「それはラブライブに出てから、またの機会にしましょ。ね?」

にこ「まあそうね」

にこ「にこ達はまだ若い。そう言う楽しみは、後日にとっといても遅くはないか」

真姫「そ、そうよそうよ」

絵里「本当にね」

248 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:27:57.16ID:Vb+DJXJG.net
深夜

別荘 バルコニー

にこ「ふ〜、涼しいわねえ」

絵里「本当にね」

真姫「でっしょ〜?」

真姫「ここは軽井沢でも、知る人ぞ知る、超好立地なんだから」

絵里「下手に外国に行くより、こっちの方が良いでしょ?」

にこ「……」

にこ「まあね」

249 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:28:52.11ID:Vb+DJXJG.net
(リンリンリンリン)

(ジジジジジジジジ)

にこ「こんな季節に、もう鈴虫か」

絵里「良い音色ねえ」

真姫「確かに今年は早いみたいね」


絵里「それにしても、星空が本当にきれいねえ」

にこ「東京じゃ、まず見れないわ」

真姫「でっしょ〜?」

真姫「この星空見たさに、私がわざわざパパに頼んだんだから」(天体望遠鏡)

にこ「まぁ〜た真姫の金持ち自慢が始まった」

真姫「あんですってぇ!?」

真姫「少しは感謝の気持ちとかはないの!?」

250 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:29:46.81ID:Vb+DJXJG.net
にこ「感謝してるよ」

えりまき「?」

にこ「こうして最高の仲間と、戦友と、同じ場所で、素敵な星空を一緒に見られるんだもん」

にこ「こんな素晴らしい贈り物、にこ初めてだよ」

えりまき「……」

にこ「本当に、ありがとう」

絵里「……」

絵里(ウルッ)

絵里「少し寒いわね。私、何か羽織るの持って来る」(スタスタ)


今夜はここまで

続きは明日夜落とします

251 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:33:04.39ID:5YtZqRpO.net
にこにー……

252 :名無しで叶える物語:2017/05/16(火) 23:46:52.13ID:96fuWEMt.net

デッドスペースの方も頼んます

253 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 00:00:18.99ID:0pEFsOsn.net
にこカス死ね

254 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 00:00:44.78ID:974ohhhk.net
にこカス信者きっも

255 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 00:01:06.96ID:boE08fwt.net
にこカスは性悪糞女

256 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 00:01:36.07ID:boE08fwt.net
にこカス信者はキモいSSばっか書いてるな

257 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 00:32:53.28ID:yDF0lv5t.net
今回ばかりは庭を支援します

258 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 01:24:26.55ID:zMEef4a+.net
しなくていいから…

259 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 01:32:40.98ID:FM0oujEU.net
たまにこういう全く読む気起こさないssあるよね

260 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 01:45:43.99ID:+Cqlkh5A.net
庭(笑)、しまむら(笑)、もんじゃ(笑)

261 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 02:18:28.79ID:niLC+yS2.net
楽しみに待ってる

262 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 02:43:04.83ID:zECeAhzv.net
なつかしい

263 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 04:27:13.37ID:Nf03UCn2.net
続きはやくしろ

264 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 07:59:45.83ID:0pEFsOsn.net
>>257
ことうみしまむらさん
にこカス潰しに協力お願いします

265 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 08:53:22.83ID:3Myr3VR5.net
未だにこんなことしてる庭がいるとは同じ庭として恥ずかしい

266 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 14:51:31.82ID:C0y3E9Lf.net
()が鬱陶しい

267 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:36:59.71ID:uyDvgTJf.net
再開

にこ「あによ。ロシア系のくせに」

真姫「……」(天体望遠鏡)

にこ「ねえ。真姫」

にこ「今回の休暇、絵里の発案?」

真姫「まあね」(天体望遠鏡)

にこ「そう」

にこ「にこはね。最初絵里に会ったとき、こんな嫌な奴はいないって、本当に嫌ってたわ」

にこ「それどころか、事ある毎に対立し衝突し、良く希をハラハラさせたわねぇ」

真姫「良く知ってるわ」(天体望遠鏡)

268 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:37:49.48ID:uyDvgTJf.net
にこ「ミューズの時、今日みたいに合宿した際、そう言えばくじ引きで、私達3人の組み合わせが出来たのよね」

真姫「そんな事あったわね」(天体望遠鏡)

にこ「思えばもう、私達の縁はそん時決まっていたのかもしれないわ」

真姫「にこちゃんにしては、ロマンティックな事言うのね」(天体望遠鏡)

にこ「けど、仮に、にこが穂乃果と組んでも、bibiのようにはいかなかったでしょ?」

にこ「それは花陽や凛とでも同じ」

にこ「絵里と真姫とだから、ここまで来れた」

にこ「ここまで成功した」

真姫「ようやく私と絵里の苦労、分かってくれた?」(天体望遠鏡)

269 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:38:25.79ID:uyDvgTJf.net
にこ「休暇は何日あんの?」

真姫「そうね。一週間よ」

にこ「随分長いわねえ」

にこ「何もしなくて良いのかしら」

真姫「練習したいの?」

にこ「まあ、勘が鈍らない程度には」

真姫「良いわよ。お医者さんには許可もらってんでしょ?」

真姫「私も暇を持て余したら、新しい曲作ろうかと思っててね」

にこ「ラブライブの?」

真姫「そうよ」

にこ「それにしても、絵里遅いわねぇ」

270 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:39:23.71ID:uyDvgTJf.net
寝室

絵里「それじゃ、消灯するわよ」(電気リモコン)

(パチッ)

絵里「にこ。体調はどう?」(布団)

にこ「良好よ」(布団)

真姫「薬が効いてんのね」(布団)

絵里「けど、何か少しでも様子がおかしかったら、ちゃんと言うのよ」(布団)

にこ「分かってんわ」(布団)

真姫「今回の件で、1つだけ良かったのは、にこちゃんが聞聞き分け良くなった事ね」(布団)

絵里「本当にね」(苦笑)

271 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:40:05.50ID:uyDvgTJf.net
にこ「あによ。にこがいつあんたらを困らせた!?」(ガバッ)

真姫「いっつもでしょうが!」(ガバッ)

絵里「2人とも元気ね」(苦笑)

(チカッ)

絵里「ん?」(布団)

にこ「これは」(布団)

真姫「蛍ね」(布団)

272 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:40:58.05ID:uyDvgTJf.net
(チカチカッ)

真姫「久々に見るわねえ」(布団)

にこ「こうして見ると、本当幻想的よねえ」(布団)

絵里「ハラショー」(布団)


(チカチカッ)

にこ「……」(布団)

にこ「蝉もそうだけど、蛍の成虫の命は短い」(布団)

にこ「ほんの一週間、伴侶を求めて光を放ち飛び続け、水しかのまないで、すぐに死ぬ」(布団)

真姫「にこちゃん」(布団)

絵里「……」(布団)

273 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:41:34.50ID:uyDvgTJf.net
(チカチカッ)

にこ「この光は、残された命を燃やした炎よね」(布団)

にこ「ものすごい勢いで命を燃やし、そして消える」(布団)

にこ「だからこそはかないし、そして、美しい」(布団)

絵里「にこ」(布団)

真姫「……」(布団)

にこ「アイドルと同じね。その旬は短く、だからこそ、一瞬の輝きに価値がある」(布団)

蛍(にこの枕元)

にこ「私達と……同じよね」(微笑)

274 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:42:03.10ID:uyDvgTJf.net
にこ(手の平に蛍)

にこ「逃がすわ」(スック)

にこ(ガララッ)

にこ「さ、行きなさい」(手開き)

蛍(チカッ)

(チカチカッ、チカッ……)

にこ「良い相手に巡り合うと良いわね」

絵里「……」(布団)

真姫「……」(布団)

275 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:42:56.10ID:uyDvgTJf.net
翌日 夕方

西木野家 別荘中庭

バーベキュー台(パチパチ)

にこえりまき「かんぱーい♪」(ビールジョッキカチンッ)

にこえりまき(ゴクッ、ゴクゴクッ)

にこ「ぷはぁ」(ビールジョッキ)

真姫「ふぅ」(ビールジョッキ)

絵里「ハラショー♪」(ビールジョッキ)

276 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:43:42.85ID:uyDvgTJf.net
にこ「さぁ〜今夜はじゃんじゃん飲むわよぉ〜」

真姫「言われなくてもそうするわよ」

絵里「本当にね」


バーベキュー台(パチパチ)

真姫「さあ、にこちゃん」(肉野菜櫛)

絵里「どんどん食べて」(ウィンナー)


にこの皿(てんこ盛り)

にこ「ちょっ、盛り過ぎじゃない!?」(皿)

真姫「あに言ってんのよ」

真姫「体力つけるためにお肉モリモリ食べたいって言ったのにこちゃんでしょ?」

絵里「そうよ。にこ」

絵里「大体このバーベキューを発案したのも、あなただし」

277 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:44:29.13ID:uyDvgTJf.net
真姫「今日のお肉は美味しいわよ」

真姫「神戸牛に葉山牛。霜降りなんて、今にこちゃんが握ってる櫛一本で、何千円もするんだから」

絵里「確かに、柔らかくて美味しいわ」(モグモグ)

にこ「料理は素材より調理法よ」(櫛)

真姫「つべこべ言わないの」(苦笑)

にこ「んじゃ、まあ……いただきますかねぇ〜はむぅ」(櫛)

にこ「モグモグ……ん〜、なかなかイケるわねぇ〜」(モグモグ)

真姫「でっしょ〜?」

278 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:45:15.57ID:uyDvgTJf.net
にこ「うん。これならどんどん食べれそうだわ」(お皿)

にこ「じゃあ、こっちのウィンナーも行こうかしらねぇ」(箸)

真姫「にこちゃん。野菜も一緒に取らないと、バランス悪いわよ」(櫛)

にこ「あによ栄養士じゃあるまいし」(箸)

絵里(苦笑)

にこ「んじゃあ、いただきま〜す」(ウィンナーパリッ)

にこ「あっ、熱……肉汁がすっごくジューシーで、美味しいわねぇ」(モグモグ)

にこ「うんおいし、あっ、熱い……おいしあつっ」(口から肉汁)

真姫「熱いのか美味しいのかどっちかになさいよ!」

絵里(クスクス)

279 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:46:39.95ID:uyDvgTJf.net
にこ「んじゃ〜まあ、二本目いきますかねぇ」(櫛)

絵里「絶好調ね」

真姫「あとで胃もたれになったとか言わないでよ」

にこ「あによ。あんたらが食え食えはやし立てるから食べてんでしょ?」(櫛)

にこ「大体、あんたらいっつもにこの事、まるで乱暴なバカものみたいに言ってるくせに」(櫛)

にこ「にこがなにかやったらやり過ぎって言うくせに、じゃあ仮に大人しくしてたらしてたで、
まだやらないの?みたいな顔してんでしょうがいつも」(ブツブツ)

にこ「じゃあにこはどっちにすれば良いのよ〜まったくもぅ」(ブツブツ)

にこ「にこが絵里や真姫みたいに頭良くないっからっていっつもバカにしてぇ」(ブツブツ)

真姫「良いから黙って食べなさいよねぇ!?」

絵里(爆笑)

280 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:48:09.37ID:uyDvgTJf.net
にこ「わ〜かってんわよぉ、そんなに怒鳴らなくたってぇ」(櫛)

真姫「いちいちごねるにこちゃんが悪いんでしょ?」

絵里「本当にね」(涙目)

にこ「じゃあ、まあ、改めてぇ」(櫛)

にこ「パクッ、モグモグ……ん〜やらかくてジューシー」(肉モグモグ)

にこ「!?」

にこ「ゴホッゴホッ、ゲホッ、コン、コンコンッ」

えりまき「!!」

281 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:48:51.54ID:uyDvgTJf.net
真姫「にこちゃん!」

絵里「どうしたの!?」

にこ「うぅ……ゴホン、ゲホゴホン」(コンコンッ)

絵里「ちょっ、にこ大丈夫?」(にこの背中さすり)

にこ「うぅ……ゴホンゴホンゴホンゴホン」(ゼコゼコ)

真姫「う、ウソでしょ」(顔面蒼白)

絵里「にこ、苦しい?どこか痛い?」(にこの背中ナデナデ)

真姫「ここからじゃ、病院も遠いし、救急車もすぐ来るかどうか」(スマホ)

282 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:49:41.76ID:uyDvgTJf.net
にこ「ゴホッゴホッ、うぅ〜絵里ぃ〜」(涙目)

にこ「あんたどんだけ肉に胡椒かけてんのよぉ」(ジト目)

絵里「え?」

にこ「ったくぅ、ホント死ぬかと思ったわよ」

にこ「胡椒が原因で死んだアイドルなんて、みっともないにもほどがあるわ」

絵里「ああ、そっちだったのね」(ホッ)

真姫「まったく、驚かさないでよね」

真姫「こっちが死ぬかと思ったわ」

283 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:50:11.75ID:uyDvgTJf.net
バーベキュー台(パチパチ)

真姫「確かに、これはかなり大量にふりかけてるわね」(鉄板の肉)

真姫「これじゃ肉より胡椒食べてるみたいなものだわ」

絵里「どうせなら、ロシア風にしようかと思って」

にこ「日本風になさい」(ジト目)

284 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:51:04.28ID:uyDvgTJf.net
バーベキュー台(パチパチ)

にこえりまき「かんぱーい」(ワイングラスチンッ)

にこ「ゴクゴク……プハァ〜んまいっ ><」(ワイングラス)

真姫「あんのねぇ、ビールじゃないのよ」(ワイングラス)

にこ「飲めりゃいいのよ飲めりゃ」(ワイングラス)

絵里「ねえ真姫。大丈夫なの?」(ワイングラス)

真姫「良いんじゃない?本人曰く、最近すこぶる調子いいそうだし」(ワイングラス)

285 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:52:02.16ID:uyDvgTJf.net
絵里「確かに、随分と元気良くなってるわよねえ、にこは」(ワイングラス)

真姫「よっぽど薬が効いたみたいね」(ワイングラス)

にこ「あによ。もうこれで終わり?」(ワインボトル)

にこ「真姫。もう一本追加して」

真姫「あんのねぇ。それは日本でも数十本しかないレアものなのよ!?」

真姫「もっと味わってのみなさいよ」

にこ「飲めりゃいいじゃないのよ飲めりゃ」

真姫「まったく、こんなんじゃ安物出しても一緒だったわね」(ジト目)

絵里「本当にね」(苦笑)

286 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:52:36.08ID:uyDvgTJf.net


西木野家別荘 中庭

木立

にこ「ヴオォォ……オエェェ」(ビシャビシャ)

絵里「にこ、大丈夫?」(にこの背中サスリサスリ)

真姫「ハァ……やっぱこうなると思ったわ」(腕組み)


にこ「ウッギモッジワルィ」(顔面蒼白)

絵里「酔い止めもってこようか?」

真姫「いえ、それじゃいつもの薬の副作用が心配だわ」

287 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:53:10.54ID:uyDvgTJf.net
真姫「それにしても本当、進歩って言うのがないわねにこちゃんは」(ジト目)

真姫「これだけ飲んで、ただで済むと思ってたの?」

真姫「意味わかんない」(髪クルクル)

にこ「あんたねぇ……少しは同情心ってのはないの?」(涙目)

真姫「自業自得でしょ」

絵里「どう?落ち着いた?」(にこの背中ナデナデ)

にこ「まあ、多少はね」(ヨロッ)

288 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:53:40.15ID:uyDvgTJf.net
真姫「あーあ、きれいな木立が汚れちゃったじゃない」

にこ「うぅ……頭が痛い」(フラフラ)

にこ(ヨロッ)

真姫「ちょっ、大丈夫なの?」(ガシッ)

にこ「真姫ちゃん、家まで支えて」(ゼェゼェ)

真姫「本当世話が焼けるわね」

絵里「本当にね」(苦笑)

289 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:54:16.04ID:uyDvgTJf.net
真姫「ほら、行くわよ」(にこズルズル)

にこ「足に力が……」(ガクッ)

真姫「置いてくわよ」

にこ「わーかったわよぉ」(スック)

絵里(苦笑)


にこ「ウップ」(口元に手)

真姫「ちょっ、やめてよねこんな所で」(冷や汗)

にこ「ウゥ……オエップ」(口に両手)

絵里「も、もう少しで家に着くから」

にこ(顔面蒼白)

290 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:54:47.57ID:uyDvgTJf.net
にこ「ご、ごめん真姫ちゃん」

(ブバッ)

真姫「」(ホカホカ)

絵里「ま、真姫」

絵里「ハラショー」(冷や汗)

真姫「い、イヤアァァァァ ><」

291 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:55:19.50ID:uyDvgTJf.net
脱衣場

(カポーン)

にこ「ま、真姫ちゃーん」(ドア前)

にこ「怒ってる?」



風呂場

真姫「別に?怒ってないわ」(浴槽)

真姫「にこちゃんに飲ませたのは私達みたいなもんだし」

真姫「いつもの事と言えばいつもの事だしね」(浴槽)

292 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:56:01.27ID:uyDvgTJf.net
脱衣場

にこ「そ、そう?それを聞いて安心したわ」(ドア前)



風呂場

真姫「とは言え、明日からはもうお酒はダメよ」(浴槽)

真姫「毎晩こんなんじゃ、オフの方がよっぽどハードだからね」



脱衣場

にこ「ま、まあそうね」(ドア前)



風呂場

真姫「にこちゃんも後でちゃんとお風呂に入っとくのよ?」(浴槽)


脱衣場

にこ「んじゃ、ま〜あ、久々に一緒に入りましょうかねぇ〜」(ドア前)


風呂場

真姫「お断りします」(浴槽)

293 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:57:19.35ID:uyDvgTJf.net
寝室

絵里「にこ、真姫、聞いて」(パジャマ)

真姫「どうしたの?」

絵里「今、窓際にリスがいたんだけど」

絵里「これをくわえていたの」(リストバンド)

にこまき「!!」

真姫「これは」

にこ「リストバンド!」

294 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:58:06.20ID:uyDvgTJf.net
にこ「間違いない……ミューズの時の合宿でなくしたのとおんなじだわ」(リストバンド)

真姫「何年前の話よ」

絵里「同じ種類って事?」(パジャマ)

にこ「見なさいこれを」(リストバンド裏返し)

にこ「ここにね。覚えとくべき事とか、色々メモしてるでしょ?」

にこ「全部そう。にこが書いたのとみんな一緒よ」(リストバンド)

真姫「と言う事は」

絵里「ずっと昔のリストバンドが、戻ってきたって事?」

295 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:58:49.16ID:uyDvgTJf.net
真姫「ありえないわ」

真姫「なくした場所と、どんだけ離れてると思ってんのよ?」

絵里「リスって、長距離を移動する習性とかあったかしらね」(パジャマ)

真姫「仮にそうだとしても、そのリスだって、盗んだ当人とは違うでしょうが」

真姫「本人はとっくに死んで」

絵里「真姫」

真姫「……」

にこ「……」

296 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 21:59:20.46ID:uyDvgTJf.net
にこ「決めたわ。絵里、真姫」

にこ「にこはこれを付けてラブライブに出る」(リストバンド)

真姫「ヴエェ?」

絵里「ハラショー」(パジャマ)

真姫「そんなに汚れてんのに?」

真姫「ボロボロじゃない」

にこ「洗って直せばまだまだイケるわよ」(リストバンド)

297 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:00:42.94ID:uyDvgTJf.net
にこ「きっと、このリストバンドをもってきてくれたのは、盗んだリスの子供か孫なのよ」

にこ「遠い距離をものとせずわざわざ持ってきてくれたのね」(リストバンド)

にこ「きっと親が、ここ一番の時が来たら、私に返すよう、子供たちに言ってたんでしょうよ」

絵里「にこ」(パジャマ)

真姫「なんの童話よ」

にこ「それでも良いの!」

にこ「げんにこうして、私のリストバンドは、今ここに、にこの手に戻ってきたじゃない」(リストバンド)

298 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:01:36.32ID:uyDvgTJf.net
にこ「こうして代を重ねてリストバンドは受け継がれた。心もそれと同じ」

にこ「誰かが死んでも、その意思は、きっと誰かに受け継がれるもの」(リストバンド)

にこ「それで良いのよ。それで十分だわ」

絵里「にこ」(パジャマ)

真姫「……」

真姫「あに感傷に浸ってんのよ」

真姫「そんなセリフ、次のラブライブ、宣言通りちゃんと優勝するまで取っときなさいよね」

にこ「と〜うぜんよ」

絵里「じゃあみんな。そろそろ寝ましょ?」

299 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:02:17.37ID:uyDvgTJf.net
消灯

にこ「Zzz……」(布団)

絵里「……」(布団)

真姫「……」(布団)



真姫「絵里も上手い事やったわね」(ボソッ)

絵里(ビクッ)

300 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:02:51.82ID:uyDvgTJf.net
翌日

軽井沢 西木野家別荘

真姫「練習したいですって?」

絵里「ハラショー」(冷や汗)

にこ「ダメ?」(リストバンド)

真姫「まあ、お医者さんが認める範囲なら、構わないけど」

絵里「けど、あんまり無理すると、後々たたらないかしら」

絵里「確かに今はかなり調子良いみたいだけど」

301 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:03:24.34ID:uyDvgTJf.net
真姫「まあね。けど、ハードなメニューじゃなければ問題ないんじゃないかしら」

にこ「そうよ絵里。大丈夫よ」

にこ「これでもプロなんだから、そのくらいの塩梅、心得てるわよ」

真姫「それを聞いて、やっぱ心配になってきたわ」(髪クルクル)

にこ「どういう意味よ?」(ジト目)

302 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:04:14.36ID:uyDvgTJf.net
玄関前

真姫「じゃあ絵里、よろしくね」

絵里「まかされたわ」

絵里「ふふっ」(微笑)

にこ「あによ。なんで絵里までつけるのよ」(ジト目)

真姫「お目付け役よ」

にこ「あんったねぇ。にこが信用出来ないの?」(ジト目)

真姫「当然でしょ」

にこ「んなっ!?」

303 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:04:48.13ID:uyDvgTJf.net
真姫「こんなんで倒れでもされたら、悲劇どころじゃないわ」

真姫「国中で笑いものにされる私たちの身にもなってよね」

にこ「なんですってぇ!?」

絵里「けど、私もそろそろ体を動かしたかった所だったし」

絵里「どうせやるなら、1人より2人の方が、いろいろ出来るでしょ?」

にこ「むぅ……まあそうね」

にこ「チェックしてもらいたい所もあるしね」

にこ「分かったわ」

304 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:06:20.06ID:uyDvgTJf.net
にこ「で?あんたはよ」

真姫「私は新曲のイメージを練っておくわ」

にこ「新曲?」

真姫「ラブライブのよ。忘れたの?」

真姫「作詞は久々に海未に頼みたいから、早めに目鼻つけとかないと」

にこ「なんでそこに海未が出てくんのよぉ!?」

真姫「ラブライブプロで優勝するには、それが大前提なの。文句ある?」

にこ「海未は部外者でしょうが!」

真姫「でないと作んないわよ!?」

絵里「二人とも喧嘩しないで」(苦笑)

305 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:06:44.82ID:uyDvgTJf.net
真姫「私も午後には合流するから、先行ってて」

にこ「むぅ……絵里。行きましょ」

にこ「ふんっ」

にこえり(スタスタ)

真姫「ふぅ」

真姫(ガチャッ)

(バタン)

306 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:07:25.58ID:uyDvgTJf.net
西木野家別荘

ホール ピアノ前

真姫「……」

真姫「次のラブライブ、私達bibiが出る最後の舞台になるかもしれない」

真姫「最後の……曲」(鍵盤)

真姫(ジャーン)ピアノ

真姫「……」

真姫「難しいわね」

真姫「……」

307 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:08:23.45ID:uyDvgTJf.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

数年前 西木野邸

真姫の部屋

真姫:中学二年生(PCカタカタ)

真姫(カチッ)

真姫「音ノ木坂女学院アイドル研究部新歓ライブの新曲募集」

真姫「新歓……ライブ」

真姫(カタカタカチッ)

真姫「ふーん、この娘がこのスクールアイドルのリーダーなのね」(モニター)

真姫「……」

真姫「なにこれ、意味わかんない」

308 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:09:05.45ID:uyDvgTJf.net
真姫「なによ。高校生の割には随分小さいわね」(モニター)

真姫「随分と生意気そうな笑顔ねぇ。喧嘩売ってんの?」(モニター)

真姫(カタカタ、カチッ)

真姫「それで、こっちが副リーダーか」(モニター)

真姫「これはこれで、胸がでかいわねぇ」(モニター)

真姫「この真姫ちゃんに喧嘩売ってんの?」(胸に手)

真姫「大体、音ノ木坂なんて、いつ廃校になってもおかしくない所でしょうが」

真姫「こんなんで、UTXとかに勝てるわけないじゃない」

真姫(モニター)

309 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:09:45.50ID:uyDvgTJf.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

同年12月

西木野総合病院

総合受付前

真姫:中学二年生「……」



待合ベンチ

ツインテールの女子高生(サングラスにマスク)

ツインテールの女子高生「ゴホッゴホッ」



真姫「……」

真姫(あの制服……音ノ木坂の)

真姫(間違いない。にこにーだわ)

310 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:10:27.80ID:uyDvgTJf.net
真姫(だから言わんこっちゃないのよ。所詮素人の集まりで、UTXなんかに勝てるわけがないじゃない)

真姫(彼女は善戦した。けど、結局無理がたたってこのざまよ)

真姫(けど、けどね)

真姫(仮に敗れたとしても、彼女がこんな風になる前に、何で彼女の仲間たちは
今まで何にもしてこなかったのよ)

真姫(現に今だって、誰一人付き添いにすら来ないじゃない)

真姫(意味わかんないわ)ギリッ

311 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:11:07.30ID:uyDvgTJf.net
待合席

ツインテールの女子高生「ゴホッ、ゴホゴホッ」(サングラスにマスク)



総合受付

真姫「ねえ。ちょっと聞きたい事があるんだけど」

看護師「はい、何でしょう」

真姫「今あそこに座ってるツインテールの娘、どんな症状で来院したの?」

看護師「はあ、それは個人情報になりますので」

真姫「……」

312 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:11:58.54ID:uyDvgTJf.net
看護師「お知合いですか?」

真姫「ヴェ!?」(ビクッ)

真姫「と、友達なのよ」

看護師「そうでしたか。お待ちください」(問診票)

看護師「問診票によると、軽い発熱、全身の倦怠感、咳鼻水、節々の痛み、となっております」(問診票)

真姫「そう。ありがとう」

真姫「ねえ。そこで相談なんだけど」

真姫「あの娘の診察、早めにしてもらえないかしら?」

看護師「はあ。少々お待ちください」(PCカタカタ)

看護師「ただいま内科は予約に空きがありますから、繰り上げる事もできますが」(モニター)

真姫「じゃあ、ぜひそうして」

看護師「かしこまりました」(カタカタ、カチッ)

313 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:13:00.00ID:uyDvgTJf.net
真姫「ありがとう」

看護師「それにしても、お嬢様がこんな事を頼まれるのも珍しいですね」

看護師「仲が良いのですか?」

真姫「ヴエェ!?」(ビクッ)

真姫「ま、まあね」(冷や汗)

真姫「昔からの……知り合いなのよ」

314 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:13:46.59ID:uyDvgTJf.net
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その翌年 秋

西木野邸

真姫ママ「真姫もそろそろ進学先を決めとかないとね」

真姫ママ「あなたはどこに行きたいの?」

真姫:中学三年生「そうね」

真姫「音ノ木坂女学院とかどうかしら」

真姫ママ「……」

真姫ママ「音ノ木坂?」

真姫「良い学校だとは思うけど、医学部受験には強いとはいえないわね」

真姫「あなたの頭なら、もっとレベルの高い所を目指しても良いんじゃないかしら」

315 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:14:33.84ID:uyDvgTJf.net
真姫「別に無理にとは言わないけど」

真姫ママ「……」

真姫ママ「パパに聞いてみるわ」



12月 クリスマスイブ

西木野邸

書斎

真姫パパ「お前の志望校について、ママから聞かせてもらったよ」

真姫パパ「音ノ木坂女学院か……確かにここから近いし、伝統もある」

真姫「……」

真姫パパ「けど、ママの言う通り、お前の頭なら、もっと上を目指せる」

真姫パパ「どうしてそこに行きたいのか、わけを聞かせてもらおうかね」

真姫「……」

316 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:15:00.40ID:uyDvgTJf.net
真姫「と、友達よ」

真姫パパ「友達?」

真姫パパ「友達がそこに行くのかね?」

真姫「うん」

真姫「それと、先輩も」

真姫パパ「そうか」

真姫「……」

317 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:15:39.97ID:uyDvgTJf.net
真姫パパ「医学部受験で問題になるのは、どこの高校に行ったかではなく、学校でどれだけの成績を取って
受験で受かるかどうかだ」

真姫パパ「学校のブランドなんて、大学選択の時心配すればいい話だしね」

真姫「……」

真姫パパ「音ノ木坂女学院に行きたいんだね?」

真姫「無理にとは言わないわ」

真姫パパ「……」

真姫パパ「私は良いと思うけどな」

真姫「本当に?」

318 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:16:12.62ID:uyDvgTJf.net
真姫パパ「お前の頭なら、塾や家庭教師でもつければ、十分フォロー出来るだろう」

真姫パパ「せっかくの高校生活だ。十分楽しみなさい」

真姫パパ「ママには、私から言っておくよ」

真姫「本当に?本当に!?」

真姫パパ「まあ少し早いが、クリスマスプレゼントだ」

真姫「パパ……ありがとう」

319 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:16:51.68ID:uyDvgTJf.net
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その翌年

音ノ木坂女学院 入学日

廊下

真姫:音ノ木坂女学院一年生「あ、あの」

三年生「何?」

真姫「この学校に、アイドル研究部ってありましたよね」

真姫「部室とか知りませんか?」

真姫「部活紹介もしてなかったし、パンフレットにも乗ってなくて」

三年生「……」

320 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:17:22.33ID:uyDvgTJf.net
三年生「ごめんなさい。わたしも良く知らないんだ」

三年生「中庭の掲示板に何か乗ってるかも知れないから、見てみれば?」

真姫「そうですか、ありがとうございます」(ペコリ)

真姫「それじゃ」(スタスタ)

三年生「……」

三年生「あの娘ね。にこの部活をかぎまわってるって言うのは」

321 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:18:18.15ID:uyDvgTJf.net
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真姫(おかしいわ。誰に聞いても分からないなんて)

真姫(まだHPは更新してた。まさか部を畳んだわけでもないだろうし)

真姫(せめて部室の場所だけでも分かればいいんだけど)



アイドル研究部前

真姫(スタスタ)

(スタスタ……)



真姫(しょうがない。こうなったら音楽室で待とう)

真姫(あそこでピアノでも弾いて歌い続けてれば、いずれ向こうも気づくわ)

322 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:19:15.21ID:uyDvgTJf.net
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その年6月

音ノ木坂女学院 屋上

真姫「にこ先輩。私、中学時代、ろくに友達いなかったんです」

真姫「ついでに、先輩からもかなり睨まれてて」

にこ「まあ、そうなるでしょうね」

真姫「むぅ……はっきり言ってくれますねぇ」

にこ「あんた、生意気でツンツンしてるし、しかも相当プライド高いじゃないの」

にこ「そんなんでみんなから好かれるーなんて、虫が良すぎにも程があるわよ」

323 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:19:56.63ID:uyDvgTJf.net
真姫「むぅ〜、そこまで言わなくても」

にこ「けど、それが何だってのよ」

真姫「?」

にこ「大体ね。みんなから好かれるなんて、どんだけやっても所詮無理よ」

にこ「そんな事に神経つかってストレスため込んで、仮に倒れたとして、誰が助けてくれんのよ」

にこ「にこに言わせれば、そんな生き方、もったいないわ」

真姫「……」

にこ「私は私、あんたはあんた。それで良いじゃない」

324 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:20:51.63ID:uyDvgTJf.net
にこ「けどね。相変わらずそのまんまじゃ、確かに友達は出来にくいでしょうねえ」

真姫「むぅ〜!結局それが言いたいだけじゃないですか」

にこ「別に変われとは言わないけど」

にこ「花陽と凛の2人は大切にしなさいよ」

にこ「にこから見ても、あの2人はとても素直だし友達思いだし」

にこ「あの2人に見捨てられるって事は、もうこの日本に友達になってくれる娘はきっといないでしょうよ」

真姫「それは自覚してます」

325 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:21:27.48ID:uyDvgTJf.net
にこ「ハァ……にこも一年の時、希以外に凛や花陽みたいな娘がそばにいたらなあ」(溜息)

真姫「そうですね。ぼっちにならないで済みましたもんね」(髪クルクル)

にこ「あんた。やっぱ生意気ね」(ジト目)

真姫「どういたしまして」

326 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:22:30.91ID:uyDvgTJf.net
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同じ年 夏 ミューズ合宿前

真姫「にこ先輩。お話があります」

にこ「何かしら」

真姫「最近加入した生徒会長、絵里先輩の事なんですけど」

にこ「ああ、絵里ね」

真姫「つい最近まで、私達ミューズに敵対してたし」

真姫「穂乃果先輩にも、辛く当たってたし」

真姫「本当に大丈夫なんですか?」

327 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:23:13.49ID:uyDvgTJf.net
真姫「絵里先輩、仲間に加わる時はあんな感じで、私たちと和解した様子だったけど」

真姫「本心では何考えてるか分かりません」

にこ「あんたも神経質ねえ」

真姫「にこ先輩だって対立してたじゃないですか」

真姫「もうじきみんなで合宿です。それを利用して、また生徒会長の権威を振り回してミューズを好きなようにするかも知れません」

真姫「もしそうなったら……例えば穂乃果先輩なんか、真っ先に潰されます」

328 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:23:53.90ID:uyDvgTJf.net
にこ「あんたね。いい加減になさいよ!」

にこ「絵里はそんな事しないわ。あれだけ対立してたこの私が言うんだから間違いない」

にこ「潰すくらいなら、最初から仲間になんかなんないわよ」

真姫「なによ急に大声あげて」

にこ「とにかく、アイツは頑固で意気地で融通が利かないかも知れないけど、卑屈じゃないって事」

にこ「でもなかったら、希が副会長として今日まで補佐なんてしてない」

にこ「それでも納得出来ないってんなら、もうあんたと話す必要なんてないわ」

(スタスタ)

真姫「……」

真姫「何それ、意味わかんない」

329 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:24:26.75ID:uyDvgTJf.net
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その翌日(合宿前日)

部室

にこ「で?わざわざ私だけに今日は何の話?」

にこ「また絵里の事だったら、帰るわよ」

真姫「にこ先輩。お話があります」

にこ「何?」

真姫「にこ先輩。今のミューズ、どう思います?」

にこ「あんた本当きな臭い話が好きねえ」

真姫「そうじゃありません」

330 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:25:04.27ID:uyDvgTJf.net
真姫「今のミューズ、リーダーの穂乃果先輩は海未先輩とことり先輩と仲が良い」

真姫「絵里先輩は希先輩と生徒会からの仲。花陽と凛は幼なじみ」

真姫「なんかこう……分かります?」

にこ「真姫ちゃんぼっちって事ぉ?」(ププッ)

真姫「違うわよ!」

真姫「いえ、確かにそれと関連があるんですが」

真姫「どうです?にこ先輩。私と手を組みませんか?」

331 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:25:52.36ID:uyDvgTJf.net
真姫「ミューズは全体で9人ですが、その中でもほのことうみ・りんぱな・のぞえりの三組は
特に親密でしょ?」

真姫「必然的に、残る2人は弾かれる計算になりません?」

にこ「あんたね。アイドルは仲良しグループじゃないのよ」

真姫「それは分かってます。派閥じゃないって事も」

真姫「けど、例えばこの中でユニットを組めって言われたとき、にこ先輩と私、一体どこに所属すればいいか
悩みません?」

真姫「それに、ファンに認知してもらうにも、穂乃果先輩達は二年生三人組とか、すぐに覚えてもらえるじゃないですか」

真姫「このまま独りぼっちだと、もしそう言う展開になった時、不利になると思うんですよ」

にこ「……」

332 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:26:23.24ID:uyDvgTJf.net
にこ「カップリングって事?」

真姫「にこ先輩にとっても損な話じゃないと思うんですけど」

にこ「……」

真姫「戦略的パートナーシップって事です」

にこ「1つ聞いて良いかしら」

にこ「こう言う提案、例え嫌いな相手でも、利害が絡めばあんたはするわけ?」

真姫「どう言う意味ですか?」

333 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:27:30.71ID:uyDvgTJf.net
にこ「要するに、利害と打算のみで、にことカップリングを求めてるのかなーって」

真姫「まあ、嫌いな人には、こんな話しませんが」

にこ「にこが嫌いじゃないんだ」

真姫「はあ?」

にこ「じゃあ、好きか嫌いだったら、あんたはどっちなの?」

真姫「何それ、意味わかんない」

にこ「にこの事が好きなのか嫌いなのか、どっちしかなかったら、あんたはどっちなのって話よ」

334 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:28:00.69ID:uyDvgTJf.net
真姫「そ、それは」

真姫「き、嫌いでは、ないですけど///」

にこ「じゃあ好きなんだ」

真姫「ヴエ!?べ、べつに」

真姫「ま、まあ、どっしかしかないんだったら……そうなります///」

にこ「ふふ〜ん、やっぱ好きだったんだあ」(ニタァ)

真姫「ちょっ、そんな事より、私の提案聞いてくれるんですか?」

335 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:28:54.67ID:uyDvgTJf.net
にこ「もっちろんよ♪」

にこ「だってぇ、真姫ちゃんがぁ、そ〜んなににこの事が好きで好きで仕方ないんだったら」(ガタッ)

にこ「しょ〜がないもんねぇ〜♪」(ギューッ)

真姫「ヴエェェェ!?」

真姫「ちょっ、何でそんな話になってんのよぉ///」

にこ「じゃ〜あ、これからはにこはあんたの事真姫ちゃんて呼ばせてもらうわ」

にこ「あんたはにこの事、にこちゃんて呼びなさいよ♪」(スリスリ)

真姫「オ、オコトワリシマス///」

にこ「ダメよ。先輩命令」

真姫「にこ先輩いつもアイドルに先輩後輩持ち込むなって言ってるじゃないですか///」

にこ「ん〜?よく聞こえないなぁ〜」(スリスリ)

真姫「もうやめてにこちゃん///」

にこ「ほら言えたじゃないの」

336 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:29:51.69ID:uyDvgTJf.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

同年秋 穂乃果離脱時

音楽室

真姫「で?まだにこちゃんはスクールアイドル続けるんだ」(ピアノ前)

にこ「当然でしょ」

にこ「穂乃果がいなかろうが、ミューズがなくなろうが、別にスクールアイドルが出来なくなったわけじゃない」

にこ「アイドル研究部も健在よ」

真姫「でも、もう廃校も回避出来たんだし、これ以上スクールアイドル続ける必要なんてあるのかしら」(ピアノ前)

真姫「それに、ラブライブ参加も流れたんだし、仮に頑張った所で、成果や人気が出るとは思えないわ」

337 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:30:43.51ID:uyDvgTJf.net
にこ「それがあんたがにこ達に加わらなかった理由?」

真姫「違うわ」(ピアノ前)

真姫「穂乃果がこのまま本当にスクールアイドル辞めるとは限らない。ミューズ解散もまだ100%そうなったわけでもない」(ピアノ前)

真姫「もし活動再開って事になったら、何がしか誰か準備しておいた方が良いでしょ?」(ピアノ前)

にこ「あんたにしては随分可愛い考え方すんのね」

真姫「何それ意味わかんない」(ピアノ前)

真姫「可愛いとはなによ」(ピアノ前)

338 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:31:17.48ID:uyDvgTJf.net
にこ「でも、あんたはやっぱミューズなのね」

にこ「にこよりも穂乃果の方に希望を託すのね」

真姫「そう言う言い方しないで」(ピアノ前)

真姫「私もにこちゃんも、ミューズの中で、穂乃果達と一緒に活動出来るからこそ輝ける」(ピアノ前)

真姫「私たちにとって、それが最良の選択でしょ?」(ピアノ前)

真姫「それに、にこちゃんだって、凛と花陽連れてスクールアイドル継続してるのも」(ピアノ前)

真姫「結局はそう言う事でしょ?」(ピアノ前)

339 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:32:03.76ID:uyDvgTJf.net
にこ「今のにこに取って、いえ、みんなに取って穂乃果の、ミューズの復活は絶対に必要なの」

にこ「ラブライブに出られるかは分からないけど、こんなんで終わらせるわけにはいかないわ」

にこ「意地でもどうにかしてみせる」

真姫「じゃあ、私の気持ちも分かるでしょ?」(ピアノ前)

にこ「でも、真姫ちゃんはにこより穂乃果なんだ」(ムスッ)

真姫「なによ。嫉妬してるの?」(クスッ)

にこ「冗談よ」

にこ「じゃあせいぜい頑張りましょうお互いに」

真姫「ええ。ミューズ復活のために」

340 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:32:43.05ID:uyDvgTJf.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

その翌年

音ノ木坂女学院 三年生卒業日

夕方 部室前

にこ「これで私物の整理は終わりね」


廊下(私物の山)

真姫「そうね」

にこ「じゃあ、あとはにこがやっておくから」

にこ「あんたはもう帰りなさい」

真姫「そうも行かないわ」

真姫「どう見てもにこちゃん1人で出来る仕事量じゃないわよこれ」

341 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:33:17.67ID:uyDvgTJf.net
にこ「けど、みんなもう帰ったわよ」

にこ「凛や花陽と約束あったんじゃなかったの?」

真姫「もう断ったわよ」

にこ「……」

真姫「まったく、にこちゃんが片付けるのにモタモタしてるから」

真姫「予定の時間、大幅に過ぎちゃったじゃないのよ」

真姫「それもこれも、にこちゃんのせいよ」

真姫「意味わかんない」

342 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:34:06.38ID:uyDvgTJf.net
にこ「だったら、今すぐ帰んなさいよ」(ジト目)

真姫「こんな可愛い後輩に手伝わせといて、そう言う言い方ないでしょ?」

真姫「大体、これだけ大量の荷物、にこちゃん1人で持ってけるわけ?」

真姫「今日中に持ち帰んないと、にこちゃんのお母さん怒るんでしょ?」

にこ「まあ、そうね」



帰り道

真姫「ヴエェェ、重い」(両手に紙袋)

真姫「どんだけ私物持ち込んでたのよぉ」(両手に紙袋)

にこ「しょーがないでしょ?研究資料なんだから」(両手に紙袋)

343 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:35:05.57ID:uyDvgTJf.net
真姫「にこちゃん、約束覚えてる?」(両手に紙袋)

真姫「この中から花陽が欲しいって言ったヤツは、ちゃんと寄越してよね」(両手に紙袋)

にこ「分かってるわ」(両手に紙袋)

真姫「ねえ、にこちゃん」(両手に紙袋)

真姫「やっぱプロアイドルになるの?」(両手に紙袋)

にこ「もっちろんよ。当たり前よねえ」(両手に紙袋)

にこ「にこは進学するけど、そこでプロアイドルを目指すわ」(両手に紙袋)

にこ「今度こそ穂乃果にもツバサにも勝ってみせる」(両手に紙袋)

344 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:35:54.97ID:uyDvgTJf.net
真姫「そう言う考え方、良くないと思うんですけど」(両手に紙袋)

真姫「それに、プロになったとして、にこちゃん上手くやってけるかしらね」(両手に紙袋)

にこ「どう言う意味よ」(ギロッ)

真姫「にこちゃん理想が高過ぎだから、なんとなく周囲や先輩や事務所とかと衝突しそうなのよねえ」(両手に紙袋)

にこ「なによ。にこに常識がないとでも言いたいわけ?」(ジト目)

真姫「ま、私がデビューするわけじゃないから良いんですけど」(両手に紙袋)

真姫「それに、大学に行っても、今回はぼっちになる心配だけはしなくて済みそうですし」(両手に紙袋)

345 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:36:25.40ID:uyDvgTJf.net
にこ「あんた、馬鹿にしてるの?」(両手に紙袋)

真姫「別に?そんなんじゃないわ」(両手に紙袋)

真姫「けど、にこちゃんにはもったいないわねぇ。せいぜい大事になさいよ」(両手に紙袋)

にこ「何の話よ」(両手に紙袋)

真姫(クスッ)

にこ「何笑ってんのよ」(ジト目)

346 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:37:24.85ID:uyDvgTJf.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

bibiデビュー後

某テレビ局 楽屋

真姫「で?また先輩のメンツ台無しにしたんだ」

真姫「しかも、カメラの回ってる前で」

絵里「ハラショー」(冷や汗)

にこ「あによ。向こうが悪いのよ」(ムスッ)

にこ「あんな自慢話、誰が聞いてもつまんないわよ」

にこ「そんなんで尺使うなんて、時間の無駄だわ」

にこ「だったら、私たちの出番増やせばいいのよ」

347 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:38:14.05ID:uyDvgTJf.net
真姫「けど、目上の人に対してお客さんつまんなそうな顔してるからなんて、普通言えるかしら」(髪クルクル)

真姫「私なら、口が裂けても言えないけどね」

絵里「そんな事言ったの」(冷や汗)

真姫「どうすんのこれ?先方カンカンだそうよ」

真姫「多分事務所と番組スタッフに、相当クレーム入れてるでしょうね」

真姫「あの人結構大物だから、これは面倒な事になるわよ」

真姫「下手したらせっかくのレギュラー、失うかもね」

にこ「言いたきゃ言わせとけば良いのよ」

にこ「大体あんな番組、ここ一年ばかり落ち目でしょうが」

348 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:38:53.20ID:uyDvgTJf.net
真姫「にこちゃんのおかげで私達、今まで何度干されかけたかしらねえ」

にこ「あによ。そんな番組、こっちから願い下げよ」

にこ「私たちを欲しがる局も媒体も、いくらでもあるんだから」

絵里「にこ。そう言う考え良くないわよ」


(コンコン)

園田「みなさんお疲れ様です」(ガチャッ)

園田「実は、先ほどの件で番組運営から連絡がありまして」

園田「今後bibiのみなさんは出入り禁止と言われてしまいまして」

にこえりまき「」

349 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:39:24.17ID:uyDvgTJf.net
園田「それとあわせて大御所から、今後同じような事をやらかしたら」

園田「にこさんは契約打ち切りだって伝えとけと」

にこ「」

えりまき「……」

にこ「大御所どんな顔してた?」

園田「はい。キレてました」

園田「私の経験上、あれは本気でクビを考えてる表情でしたね」

にこ(冷や汗)

350 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:40:13.30ID:uyDvgTJf.net
にこ「私はともかく、絵里や真姫まで出入り禁止なんて」

園田「連帯責任だそうです」

にこ「あによ。けち臭いわねえ」

にこ「大御所も大御所よ。こんなんで契約破棄だなんて」

にこ「大体、私たちを求めたのは向こうなんだから」(ムスッ)

絵里「にこ!いい加減になさいっ!!」

絵里「ごめんなさい園田。にこには私達からも厳しく言っておくから」

真姫「大御所によろしく」

園田「では私はこれで失礼します」

351 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:41:26.02ID:uyDvgTJf.net
真姫「ね?絵里。私の言ったとおりでしょ」

真姫「にこちゃんはプロになっても、遅かれ早かれ上や先輩達と衝突するって」

真姫「今やついたあだ名は芸能界の暴れん坊よ」

にこ「あによ。可愛くないあだ名よねえ」(ジト目)

絵里「本当にね」

絵里「真姫の言葉に対してだけど」(腕組み)

352 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:42:10.04ID:uyDvgTJf.net
真姫「私はね。もうミューズの頃からにこちゃんプロになったら絶対にこうなると確信してたわ」

真姫「本人に言った事もあるの」

にこ「わお、真姫ちゃん預言者?」

真姫「毎日にこちゃんの様子見てたら、誰でも同じ考えを抱くわ」(ジト目)

絵里「本当にね」(ジト目)


絵里「ハァ……とにかく、その先輩と番組ディレクターと、大御所に謝罪しとかないとね」

絵里「今から胃が痛いわ」(お腹に手)

353 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:43:07.03ID:uyDvgTJf.net
絵里「はい、にこ」(便せんとボールペン)

にこ「あによこれ」

絵里「反省文よ」

絵里「先輩と番組宛てに一通ずつ」

絵里「あと、大御所にも」

真姫「計三通ね」

にこ「三通も?」

絵里「そうよ。今から書きなさい」

にこ「もうこんな時刻なのに?」(夜11時)

絵里「寝るまでに仕上げなさい」

にこ「もうヘトヘトなんだけど」

絵里「書かないと私、抜けるわよ」(ギロッ)

にこ「わーかったわよぉ」(ボールペン)

354 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:43:44.08ID:uyDvgTJf.net
にこ(カリカリ)机

えりまき「……」

真姫「しっかし、本当面倒なリーダーよねえ」

絵里「本当にね」(苦笑)

真姫「穂乃果とどっちが面倒かしらね」

絵里「そうね。少なくとも穂乃果は、余計な敵は作らなかったんじゃないのかしら」

真姫「まあね」

真姫「アイドル史上、この物騒さは屈指でしょうからね」

絵里「本当にね」(破顔)

355 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:44:20.17ID:uyDvgTJf.net
真姫「けどまあ、退屈だけはしないけどね」(髪クルクル)

絵里「本当にね」

真姫「それに、なんだかんだ言って、にこちゃんの場合、雨降って地固まるケースも多いし」

真姫「これはこれで良いのかも知れないわね」

絵里「悪名もまた知名度ってわけね」

にこ「やっとにこの作戦が分かった?」(カリカリ)机

真姫「良いから早く書き終えなさいよ」

絵里「そうよ。何時だと思ってるの?」

にこ「わーかってんわよぉ」(カリカリ)机

えりまき(苦笑)

356 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:44:52.90ID:uyDvgTJf.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

夕方

軽井沢 西木野家別荘

ホール ピアノ前

真姫「Zzz……」

にこ「真姫?真姫ったらぁ」

にこ「遅いと思ったら、こんな所で寝るなんて」

絵里「疲れたのかしらね」

にこ(ピアノ横)

にこ「何も手を付けてないみたいねえ」(楽譜ノート)

真姫「Zzz……」(ピアノ)

357 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:45:30.20ID:uyDvgTJf.net
真姫(クスッ)ピアノ

にこ「寝ながら笑ってんわ」

絵里「何か良い事でもあったのかしらね」

絵里(スタスタ)

にこ「……」

真姫「Zzz……」

にこ「……」

(スタスタ)

絵里「風邪ひいたら大変ね」(ガウン)

絵里(ファサッ)

真姫「Zzz……」(ガウン)ピアノ

358 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:46:04.68ID:uyDvgTJf.net
オフ最終日

西木野家別荘 

玄関前

絵里「私たちはプールで泳いでくるけど」(水着)

にこ「真姫はどうすんの?」(水着)

真姫「私は遠慮しとくわ」

真姫「今日こそ例の曲、完成させとかないとね」

にこ「あっそ。じゃあ先に行くわよ」(水着)

絵里「夕方には戻るわ」(水着)

真姫「私も午後には合流するから」

359 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:46:40.03ID:uyDvgTJf.net
別荘庭

プール

(バシャバシャ キャア アハハハ)

にこ「こら、絵里。やったわねぇ」(ビーチボール)

にこ「久々にらぶにこアタック食らわせんわよぉ」(ビーチボール)

絵里「ハラショー♪」(バシャバシャ)




別荘 ホール

ピアノ前

真姫「……」(ピアノ)

360 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:47:55.92ID:uyDvgTJf.net
真姫(ダーン♪)ピアノ

真姫「……」

真姫(ダッダンダッダーン ダッダンダッダーンダーン ダッダンダッダーン ダッダッダン♪)ピアノ

真姫「……」

真姫(タララーンラララタラララーン ダッダッダン♪ タラッララン ラッララッラララン♪)ピアノ

真姫(タララーンラッラッララッラララーン タラッララッラララタッランラン♪)ピアノ

真姫(ターラーラッラーンラン ラーラララ ターラッラッラーンラーン♪)ピアノ

真姫(ターンラッラッラッラン ラーッラッラッラッラーン タララッランラッタララン♪)ピアノ

真姫(ダダンッ♪)ピアノ

真姫「……」

361 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:48:38.45ID:uyDvgTJf.net
庭 プール

(キャッキャ アハハハ)

にこえり(バシャバシャ)水着



(タララ タララ タラーララララ♪)

(タララ タララ タラーラッタラッラッラッラー♪)


にこえり「?」(水着)


(ラララー タララー タラッラッラッラー♪)

にこえり「……」(水着)

362 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:49:32.15ID:uyDvgTJf.net
別荘 ホール

真姫(タララ タララッ タラーラッタラッラ タララ ラララ ターラッラー♪)ピアノ

真姫(タララー タララッタタッタラ タッラッラッラララッ ジャーン♪)ピアノ

真姫(ターラララターラーン タララタラララン♪)ピアノ

真姫(ジャンジャンジャッジャーン ジャジャッジャッジャージャーン ジャッジャッジャッジャーン タラターラーッラーッ♪)ピアノ

真姫(ジャーン♪)ピアノ

真姫「……」

真姫(ピアノ閉じ)

真姫(楽譜ノートカリカリ)ペン



外 窓の前

にこ「……」(水着)

絵里「……」(水着)

363 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:49:57.66ID:uyDvgTJf.net
一週間後 東京

矢澤マンション

にこの部屋

(ピンポーン)

(ガチャッ)

にこ「……」(ドアの隙間)

穂乃果「にこちゃん。お久しぶりっ♪」

にこ(バタンッ)

穂乃果「ちょっ、なんで閉めるのさ」(ドアノブ)

364 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:50:32.31ID:uyDvgTJf.net
リビング

にこ「何しに来たのよ」(ジト目)

絵里「にこ。そう言う言い方ないでしょ?」

真姫「けど、良く私達3人がいる時間分かったわねえ」

穂乃果「いやあ、特に狙ったわけじゃないど」(照れ笑い)

絵里「そう言えば、穂乃果ももう社会人なのよね」

絵里「どこに就職したの?」

穂乃果「銀行だよ」

にこまき(アイスティーブバーッ)

365 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:51:21.65ID:uyDvgTJf.net
にこ「プッ、クックックックッ」

にこ「あんたが、銀行?」(涙目)

にこ「あんた、ちゃんとお金の計算出来るの?」

真姫「失敗したら、最初からやり直すんでしょ?」

穂乃果「これでも店番とかしてたから、ちゃんと出来るよ」(ムスッ)

穂乃果「それに、昔ほど人手に頼らないみたいだし」

にこ「穂乃果がいる銀行には、あんまり預けたくないわねぇ」(クックックックッ)

穂乃果「ちょっ、どういう意味さ」

真姫「にこちゃん。いい加減にしなさいよ」

絵里「そうよ。穂乃果もちゃんと経営学履修してるんだから」

366 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:51:54.38ID:uyDvgTJf.net
穂乃果「実はみんなに、大事な話があるんだ」

穂乃果「私達ミューズ、久々にさ。みんな集まって、ライブしてみたいなあって」

真姫「それは良いわね」

絵里「本当にね」

穂乃果「で、ほかのみんなにはもうOKもらってるんだ」

穂乃果「ことりちゃんも、日時を知らせてくれれば、予定を合わせて帰ってくるって」

絵里「そう。ことりも来るのね」

367 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:52:36.43ID:uyDvgTJf.net
穂乃果「それで、そのとき絵里ちゃん達は長期休暇だったでしょ?」

穂乃果「だから3人が帰って来るのを待ってたんだよ」

絵里「そうなのね」

真姫「場所とかは決まってるの?」

穂乃果「日時はまだだけど、会場ならもう考えてるよ」

穂乃果「私たちにとって思い出深い、最高の場所」

にこえりまき「……」

368 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:53:18.55ID:uyDvgTJf.net
穂乃果「どうかな?」

真姫「私は別に良いけど」(髪クルクル)

絵里「良いんじゃない?私も賛成よ」(微笑)

にこ「……」

真姫「あとはリーダーね」

絵里「にこはどう思うの?」

にこ「そうね。まあやってみても良いと思うけど」

真姫「意外ね。てっきりラブライブの練習時間がもったいないとかゴネるかと思ったわ」

にこ「あによ。人の事意地悪ばあさんみたいにい」(ムスッ)

369 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:54:29.80ID:uyDvgTJf.net
にこ「けど、曲とかはどうするの?」

穂乃果「本当は、何か記念になる新曲があれば最高なんだけど」

穂乃果「さすがに真姫ちゃん、今から作るの大変だよね」

真姫「そうね。正直言って大変ね」(髪クルクル)

穂乃果「だよね。ごめんね無理言って」

真姫「別に?短期間で作るのは大変そうだって言っただけなんだけど」

穂乃果「?」

真姫「作らないとは言ってないでしょ?」

370 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:55:04.37ID:uyDvgTJf.net
真姫「ただ、条件があるわ」

真姫「作詞は必ず海未がやる事」

穂乃果「もちろんだよ」

真姫「まあ、もともと次のラブライブの新曲も、海未の作詞が必要だったから、これでおあいこみたいなものよね」

穂乃果「ラブライブの新曲?」

穂乃果「もう出来たんだ」

真姫「あとは海未の作詞があれば完成よ」

371 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:55:37.81ID:uyDvgTJf.net
にこ「じゃあこれで、商談成立ね」

にこ「穂乃果。もう良いでしょ」

穂乃果「うん、ありがとう。もう帰るよ」

にこ「あに言ってんのよ。久々に来たんだし」

にこ「これから六本木行くわよ」

にこ「朝まで飲み明かすんだから」(スック)

絵里「にこ」

にこ「週末だし穂乃果も明日は仕事ないんでしょ?たまには良いじゃないの」

にこ「さ、行くわよ」(穂乃果の肩ガシッ)

372 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:56:16.39ID:uyDvgTJf.net
穂乃果「何考えてるのさ!」(手バシッ)

穂乃果「にこちゃん、そんな事したら、余計体悪く……」

穂乃果「!」(口に手)

にこ「いったいわねぇ。何すんのよぉ」(手ヒリヒリ)

えりまき(冷や汗)

絵里「そ、そうよ。穂乃果の言う通りよ」(冷や汗)

真姫「さ、最近急に暑くなってきたし、あまり出歩いて生活リズム崩したら」

真姫「か、風邪ひくかもしれないでしょ?」(冷や汗)

373 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:57:12.92ID:uyDvgTJf.net
にこ「なんで穂乃果がそんなににこの体なんて心配すんのよお」(ジト目)

にこ「自分の体調くらい自分で管理出来るわよ」

にこ「何でにこの健康がそんなに気になるの?」(ギロッ)

穂乃果「うぇ?そ、そ、それはぁ」(冷や汗)

真姫「ラブライブに決まってるでしょ?」

絵里「そうよ。にこ」

絵里「万が一体調不良でラブライブ出られなくなったら、どうするの?」

にこ「むぅ、まあそうね」

穂乃果「じ、じゃあ、私はもう帰るね」(ソソクサ)

穂乃果「みんながんばってね♪」


(ガチャッ)

(バタンッ)

374 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:58:23.81ID:uyDvgTJf.net
矢澤マンション

玄関ホール前

穂乃果(ハァ ハァ ハァ)

穂乃果「いやぁ〜危ない」(汗だく)

穂乃果「間一髪でバレる所だったよ」(冷や汗)

375 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:58:55.73ID:uyDvgTJf.net
7月 東京

某大手プロダクション 東京493本部

東京493全体リーダー:坂居久美子「ラブライブを辞退する?」

東京493スペシャルユニット九段下02:早乙女弥生「はい」

九段下02:中野春菜「そうです」

久美子「それはまた、寝耳に水にも程があるわねえ」

久美子「上にはもう伝えたの?」

春菜「いえ、まだです」

弥生「まずリーダーに相談しようと思って」

376 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 22:59:33.91ID:uyDvgTJf.net
久美子「リーダーとしての助言を聞きたいのなら、言うまでもなく、辞退なんて大反対よ」

久美子「私達東京493は、年々躍進しているけど、まだまだアライズとbibi相手には正直分が悪い」

久美子「だからこそ、次のラブライブには絶対勝たないといけない」

久美子「綺羅ツバサや矢澤にこ達に太刀打ち出来るのは、今の私たちの中ではあなたたち、九段下02しかいない」

久美子「それを辞退しても、なんのメリットもない」

久美子「あなた達だって、このくらいの理屈、分かってるわよね」

弥生「はい」

春菜「承知しています」

377 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:00:15.84ID:uyDvgTJf.net
久美子「それに、あなた達が適任だからこそ、九段下02はラブライブに最優先でエントリーされる事になってるけど」

久美子「別に他の全員が出たくないわけじゃない」

久美子「大勢の娘達が、出たくても出られなくて、涙をのみながら、それでも組織のためにあなた達のサポートに回ってるのよ」

弥生「それも承知しています」

春菜「ライバル達に先を越されるリスクがある事も」

久美子「……」

久美子「私だって、もっと才能と人気があれば、出てみたい」

久美子「個人的には、なんて贅沢な振る舞いなのと、信じられない気持ちだわ」

378 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:00:47.17ID:uyDvgTJf.net
久美子「そうまでして辞退したい理由を聞かせてもらえるかしら」

春菜「私たちは次回のチャンスを逃すかもしれませんが」

春菜「命を失う方がより深刻だろうからです」

久美子「……」

弥生「私たちは今回逃しても、また来年を目指せば良い」

弥生「けど、今回だけしか出場できない人もいるでしょうから」

久美子「……」

久美子「そう」

379 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:01:20.34ID:uyDvgTJf.net
久美子「敵に塩を送るって言う事?」

久美子「矢澤にこさんが、余命幾ばくもないから、せめて最後の大舞台、花道を用意してやろうと」

久美子「そう言う事なの?」

弥生「まあ、そうなりますね」

春菜「なんとなく傲慢かもしれませんが」

春菜「取り繕っても仕方ありませんので」

久美子「……」

380 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:01:48.01ID:uyDvgTJf.net
久美子「そんな話をして、上が喜ぶと思うとでも?」

久美子「矢澤にこさんだって、これを知ったらきっと怒るわ」

久美子「あなた達も彼女の性格、良く知ってるわよね」

春菜「熟知しています」

弥生「だからこそ、リーダーにまずお伝えしたんです」

久美子「……」

381 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:02:21.46ID:uyDvgTJf.net
久美子「この話を私が上に伝えろと?」

久美子「下手したら連帯責任で全員除籍よ」

弥生「……」

春菜「……」

久美子「仮にあなた達の辞退が認められたって」

久美子「次ラブライブに出られるのは、なにもあなた達とは限らないわ」

弥生「そうはなりません」

春菜「私達、来年にはもっと成長していますから」

弥生「人気も実力ももっとついていいて」

春菜「その時には、アライズも完全に叩きのめす自信があります」

382 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:02:59.72ID:uyDvgTJf.net
久美子「大した自信ね」

久美子「それだけの自信、なにか根拠があるの?」

弥生「私たちは九段下02です。勝てない申し出はしません。言ったからには必ず来年には優勝します」

春菜「むしろ今の全盛期のbibiとアライズのパフォーマンスを徹底的に分析するべきです」

春菜「そうすれば、必ず私たちが吸収し、絶対に勝つでしょう」

やよはる「私たちは先方より若いのですから」

久美子「……」

383 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:03:31.21ID:uyDvgTJf.net
久美子「確かに、あなた達の言う事にも一理あるわね」

久美子「良いでしょう。この件、上に了承してもらえるよう、一肌脱ぎましょう」

久美子「ただし、100%の保証は出来ないわよ」

久美子「それに……分かっているわよね?」

久美子「来年のラブライブプロには必ず出場して、そして絶対に優勝する事」

久美子「でないと、私もあなた達も、ここに居場所がなくなる」

弥生「はい。分かっています」

春菜「どうかよろしくお願いいたします」

384 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:04:10.72ID:uyDvgTJf.net
7月23日

音の木坂女学院 体育館

ステージ


穂乃果「さあ……夢を叶えるのはみんなの勇気♪」

りんぱなまき「負けない♪」

のぞえりにこ「こころで♪」

明日へ駈けて行こう♪



(ターラーラーラーラーラーラーターラッラッタッラー♪)

(ターラーラーラーラーラーラーターラッラッタッラー♪)

385 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:05:00.27ID:uyDvgTJf.net
ほのことうみ「強い強い願い事が 僕たちを導いてくれた♪」

りんぱなまき「次は絶対ゆずれないよ 残された時間を握りしめて♪」


のぞえりにこ「ただの思い出 それだけじゃいやだよ 精一杯 力の限り走るんだ♪」
 
(ダダッダダッダダン♪)

(Chance for me! Chance for you!)

(ダンッダンッダンダダンダンダン♪)


さあ……夢を抱きしめたら上を向いて♪

ほのことうみ「君の世界が 大きく変わるよ♪」

さあ……夢を叶えるのはみんなの勇気♪

りんぱなまき「負けない♪」

にこえりまき「こころで♪」

明日へ駈けて行こう♪

386 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:05:30.69ID:uyDvgTJf.net
ほのことうみ「もう止められない情熱の勝ちだね♪」

りんぱなまき「悔やむより走り続けよう♪」

のぞにこえり「不意に見た空 こんなにも青いよ♪」

ほのことうみ「大丈夫 あきらめないで走るんだ♪」

(ダダンダダンダダン♪)

(Dance with me! Dance with you!)

(ダンッダンッダンッダダンダンダン♪)

387 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:06:09.78ID:uyDvgTJf.net
そう……あの日夢見たのはみんなの笑顔♪

ほのことうみ「君の笑顔さ だから笑ってよ♪」

そう……あの日おなじ夢を描いたんだ

まきりんぱな「輝く♪」

ほのことうみ「瞳は♪」

明日を信じてた♪

穂乃果「負けない♪」

のぞえりにこ「こころで♪」

明日を信じてた♪



いまここで出会えた奇跡♪

忘れないで 僕たちの季節♪

(ジャーン ジャジャッ♪)

388 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:06:39.09ID:uyDvgTJf.net
(キャアァァァ ウオォォォォォ)

(ホノカー ウミー コトリー チュンチューン)

(マキチャーン カヨチーン リンチャーン)

(エリー ノンターン ニッコニー)

(セーノ ミューズー)

(ワアァァァ パチパチパチパチパチパチパチパチ)


ステージ

ミューズ「……」(汗だく)

389 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:07:34.51ID:uyDvgTJf.net
穂乃果『みなさーん。今日は、ミューズ一夜だけの復活ライブにおつきあいいただき、本当にありがとうございました』(マイク)

うみことまきりんぱなのぞえりにこ「ありがとうございました!」(一礼)

(キャアァァ ミューズー)

(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

穂乃果『私達ミューズ、ここ音ノ木坂女学院から出発して、仲間たちの努力と、ファンのみなさんの協力のお蔭で全国の舞台まで立てました』(マイク)

穂乃果『それから解散……本当、あっと言う間だったけど、その時の記憶は、今でもありありと思い浮かべられます』(マイク)

穂乃果『今は私たちもあるいは社会人、あるいはプロと、別々の道を歩んではいますが』(マイク)

穂乃果『私たちの心はいつも一つ、この絆は消えません!!』(マイク)

(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

(セーノ ホーノカー)

390 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:08:20.10ID:uyDvgTJf.net
穂乃果『それでは、久々にメンバーみんなから1人ずつ挨拶してもらいましょう!』(マイク)

穂乃果「はい。まずは海未ちゃんからだよ」(マイク)

海未「わ、私ですか?」(マイク)

海未『みなさん今晩は。園田海未と申します』(マイク)

海未『私はもともと、人前に出るのが苦手でして、スクールアイドル始めたのも、穂乃果達に引っ張られる形でこの道にすすんだんですが』(マイク)

海未『今では人前で踊るのが、病みつきになりました』(マイク)

海未『最初は穂乃果の事、恨んでいましたが、今となっては感謝の気持ちでいっぱいですっ。はいっ!』(笑顔)

(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

(セーノ ウーミチャーン)

391 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:09:00.01ID:uyDvgTJf.net
ことり『みなさんお久しぶりです。南ことりです』(マイク)

ことり『私は進学してから、色々ご縁があって、本格的に服飾の勉強をするため留学し』(マイク)

ことり『この道でやって行く事を決意し、デザイナーとして1人立ちする事が出来ました』(マイク)

ことり『今日の私があるのも、ミューズの一員として、大きな目標を目指しみんなと一緒にがんばれた事』(マイク)

ことり『そしてなによりも、みなさんの温かい応援があったからこそです』(マイク)

ことり『本当にありがとう……そして』(マイク)

ことり『これからはみなさんに少しでも恩返し出来るよう、精一杯頑張ります』(マイク)


(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

(コトリー コトリチャーン)

(チュンチュン♪)

392 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:09:42.89ID:uyDvgTJf.net
真姫『みなさん今晩は。西木野真姫です』(マイク)

真姫『今日こうして、ミューズのメンバー全員と久々にあったけど、みんな本当に変わんないわねえ』(マイク)

真姫『けど、みんな大きくなって、成長してるとも思うわ』(マイク)

真姫『私も今は、こうしてプロやってるけど、そうね。ミューズとして活動しなかったら、この道に進むなんて
考えもしなかったわね』(マイク)

真姫『自分の本当にやりたい事なんて、案外わかんないものだけど』(マイク)

真姫『みんな元気で、少しずつ成長して、またこう言うライブで、みんなと会えれば良いわね』(マイク)


(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

(マキチャーン マッキー)

393 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:10:47.83ID:uyDvgTJf.net
凛『みんなー今晩は。お久しぶり。星空凛です』(マイク)

凛『凛はー、大学に入って学校の先生になるんだよ』(マイク)

凛『小学校のね。子供たちに体育とか教えるのが夢なんだ』(マイク)

凛『私は穂乃果ちゃんの後、リーダーを引き継いだけど、どうだったんだろう。きっと
穂乃果ちゃんみたいにあまりカッコいい所は見せられなかったと思う』(マイク)

凛『けど、一生懸命やったよ』(マイク)

凛『凛は凛なりにやったと思うし、みんなそれぞれ、自分なりに全力を出せれば、それで良いと思う』(マイク)

凛『そう言う意味で、ミューズは最高の場所だったし、それを応援してくれたみんなも、凛にとって、
かけがえのない財産だよ』(マイク)

凛『今まで本当にありがとう』(マイク)

凛『そしてこれからも……よろしくお願いします!』(一礼)


(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

(セーノ リンチャーン)

394 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:11:28.68ID:uyDvgTJf.net
花陽『ぴゃっ!?わぁ、私?』(マイク)

花陽『み、みなさん今晩は。小泉ぃ……花陽です』(小声)

穂乃果「花陽ちゃん。声小さいよ」(耳打ち)

花陽「ぴゃ?ご、ゴメン」

花陽『わぁ、私はぁ……そのう』(マイク)

花陽『そのぅ、あの……ええとぉ』(マイク)

花陽『そ、そうです。語るべきことは、仲間のみんなが全部語ってくれました』(マイク)

花陽『私がお伝えしたい事は、アイドルって素晴らしいって事です』(マイク)

395 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:12:21.44ID:uyDvgTJf.net
花陽『ミューズに入って、こんな素晴らしい仲間に出会えました』(マイク)

花陽『スクールアイドルを始めたからこそ、みなさんと一緒に、歌って踊って最高の時間を
共有出来ました』(マイク)

花陽『そして、アイドルをやっていたからこそ、こうしてまた再び、ミューズの仲間と、そしてなにより、みなさんに会い、
温かい声援をもらうことが出来た』(マイク)

花陽『花陽はもうこれだけで十分です』(マイク)

花陽『みなさん本当にありがとうございます!!』(一礼)


(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

(キャアァァ ハナヨー キレイー)

(セーノ カヨチーン)

396 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:14:19.44ID:uyDvgTJf.net
希『みなさーん今晩は。お久しぶりやん、東條希だよ』(マイク)

希『ウチは今、プロのスピリチュアリストになったんよ』(マイク)

希『ささやかながら、お店も開いとる』(マイク)

希『ウチはもう、アイドルはやらないけど、これからもずっとずっと
ミューズに寄り添っていくつもりやん』(マイク)

希『どれだけ年月が経っても、この9人の、そして、みんなとの記憶も絆も
決してなくならない』(マイク)

希『ウチはそう信じてる。そしてそれは、ここにいるみんなも、きっと同じだと思う』(マイク)

希『ウチがここまで来れたのも、ミューズの仲間と、そしてみなさんのお蔭やん』(マイク)

希『本当にありがとう。そして、これからもみんなと一緒に歩んで行きたいやん』(マイク)


(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

(セーノ ノンターン)

397 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:15:20.29ID:uyDvgTJf.net
絵里『みなさん今晩は。ミューズの絢瀬絵里です』(マイク)

絵里『今はbibiのメンバーと言った方が、分かる人が多いかしらね』(マイク)

絵里『それにしても、突発のライブだったのに、大した告知もなく、こんなに大勢のお客さんが駆けつけてくれるなんて』(マイク)

絵里『改めてミューズって凄いグループだったんだなあって思います』(マイク)

絵里『みなさんももう、社会人になられて、中には結婚して家庭を持ち、子供も生まれた方も
いるんでしょうね』(マイク)

絵里『こうして世代を超えて語り継がれるなんて、本当に感無量ね』(マイク)

絵里『私たちがおばさんになっても、またこうしてみんなでライブ出来たら良いわね。ふふっ』(マイク)

絵里『みなさん今晩は本当にありがとう。そして、最後に一言だけ言わせてください』(マイク)

絵里『ハラショー♪』(キメッ)


(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

(エリー エリチャーン)

(カシコイカワイイ エリーチカー)

398 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:15:56.78ID:uyDvgTJf.net
にこ『トリは私ね。何よ。分かってんじゃない』(マイク)

希「にこっち。もう時間やて」

にこ『ぬぅうあんでよぉ!?』(マイク)

にこ『みなさん今晩は。みんなのアイドル、矢澤にこです』(マイク)

にこ『わぉ、にこのためにぃ、こお〜んなにたくさんのファンのみなさんが集まってくれるなんて、にこ嬉しいなぁ〜』(マイク)

にこ『ニコッ♪』(キャピッ)

真姫「気持ち悪い」(髪クルクル)

にこ「黙ってなさいよ」(ジト目)

399 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:16:43.47ID:uyDvgTJf.net
にこ『にこは、高校一年からスクールアイドル始めて、色々あって挫折して』(マイク)

にこ『けど、穂乃果に拾われて、ミューズの一員として受け入れられて、今がある』(マイク)

にこ『この年になって思うわ。やっぱ仲間って大事なんだなあって』(マイク)

にこ『ミューズの、そして、今のbibiも、本当に良い仲間に恵まれたからからこそ
さいっこーのライブにさいっこーの結果が出せた』(マイク)

にこ『そしてそれを支えてくれた、ファンや裏方のみんな』(マイク)

にこ『みんながいなければ、仮に最高の仲間がいても、やっぱここまで大きくはなれなかった』(マイク)

にこ『本当にありがとう。そして』(マイク)

にこ『これからもみんながさいっこーの笑顔でいられるように、頑張って行きます』(マイク)

にこ『ニコッ♪』(ビシッ)


(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

(キャアァァ ニコニー カッコイィー)

(セーノ ニッコニッコニー)

400 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:17:16.89ID:uyDvgTJf.net
穂乃果『それでは、みなさん改めまして』(マイク)

ほのことうみまきりんぱなのぞにこえり「本当にありがとうございました!」(一礼)

(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

(キャアァァ ウオオォォォォ)

(ホノカー ウミー コトリー)

(マキー リンー ハナヨー)

(ノゾミー エリー ニコニー)

(セーノ ミューズー!)

(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

ほのうみことまきりんぱなのぞにこえり(深く一礼)

401 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:18:07.39ID:uyDvgTJf.net
音ノ木坂女学院

旧アイドル研究部 部室

穂乃果「それではみなさん、改めまして」(紙コップ)

一同「成功おめでとう!!」(紙コップで乾杯)

穂乃果「いやぁ〜、一度やってみたかったんだよねえ。体育館でライブ」(紙コップ)

海未「講堂とは違いますが、これはこれで良い会場でしたね」(紙コップ)

ことり「そうだね」(紙コップ)

真姫「それにしても、ここは本当に変わんないわねえ」(紙コップ)

凛「校舎も部室も全く同じだにゃあ」(紙コップ)

花陽「少しは補修しているみたいだけどね」(紙コップ)

402 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:18:52.67ID:uyDvgTJf.net
希「けど、顔見知りはもういないんやろ?」(紙コップ)

希「理事長も先生も、みんな代わってるやん」

絵里「本当にね」(紙コップ)

絵里「私達ここにいたの、つい最近のように思ってたけどね」

にこ「どうせなら、もっと大きな会場にしても良かったのに」(紙コップ)

穂乃果「それも考えたんだけど、準備とか大変でしょ?」(紙コップ)

穂乃果「ヒデコちゃん達もありがとうね」

ヒデコ「どういたしまして」(紙コップ)

フミコ「久々に楽しましてもらったわ」(紙コップ)

ミカ「やっぱミューズの裏方は、私達じゃないとね」(紙コップ)

403 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:19:49.22ID:uyDvgTJf.net
海未「ヒデコ達はどこに就職したのですか?」

ヒデコ「私は一般企業だよ」

ヒデコ「裏方としての腕を買われたのか、人事の調整役だよ」

真姫「それはまた、結構難しい部署よねえ」

フミコ「私はイベント会社」

フミコ「bibiやアライズ、東京493のライブなんかも手掛けてるんだよ」

絵里「じゃあ、どこかの会場で会ってるかも知れないわね」

ミカ「私も就職したけど、ゆくゆくは自分のお店を持とうと、今はお金を貯めてる」

海未「何をするんですか?」

ミカ「パン屋さんだよ」

花陽「みんなえらいねえ。ちゃんと目的もってて」

404 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:20:29.97ID:uyDvgTJf.net
(コンコン)

雪穂「今晩はーみなさん。お久しぶりです」(ビニール袋)

亜里沙「差し入れ持ってきました」(紙袋)

穂乃果「あっ、亜里沙ちゃん、雪穂」

海未「久しぶりですねえ」

ことり「いらっしゃい♪」

真姫「2人とも元気そうね」

凛「お久しぶりだにゃあ」

花陽「何年ぶりかだね」

希「みんな大きくなったやん」

絵里「本当にね」

にこ「……」

にこ「ふんっ」(プイッ)

405 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:21:15.73ID:uyDvgTJf.net
ヒデコ「にこさん照れてるんですか?」

フミコ「何となく不機嫌に見えるけど」(ニヤニヤ)

ミカ「そう言ところ、本当変わってないですね」(苦笑)

にこ「にこの後、この部潰したくせに」

真姫「にこちゃん」

絵里「ごめんなさい。気にしないで」(苦笑)

雪穂「大丈夫だよ。にこにーのこう言うのいちいち気にしてたら、ストレスで胃に穴が空いちゃうから」

亜里沙「そんな事より差し入れをどうぞ」(紙袋)

406 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:22:34.68ID:uyDvgTJf.net
雪穂「それにしても、ことりん、今や世界的デザイナーなんでしょ?」(アイス)

亜里沙「スゴイですね。tyunn(・8・)ブランド、十代の娘みんな身に着けてますよ」(アイス)

ことり「いやあ、それ程でもぉ」(照れ笑い)

雪穂「今回の復活ライブに合わせて、どうせお姉ちゃんが無理言ったんでしょ?戻って来いって」(アイス)

雪穂「ごめんね。迷惑じゃなかった?」

ことり「そんな事ないよお」(アイス)

希「けど、こうして久々に、みんな勢ぞろいやん」(アイス)

絵里「本当にね」(アイス)

絵里「新旧アイドル研に、ミューズに、そしてフミコ達」

絵里「久々に気兼ねなく話せる仲間達の顔が見れて、本当感無量よね」(微笑)

407 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:23:29.75ID:uyDvgTJf.net
海未「幸い音ノ木坂は大丈夫なんですが、この辺りの高校、もう何校も統廃合されているんです」(アイス)

凛「凛もその話聞いたよ」(アイス)

凛「何でも、引き続き少子化だし、今は都心への集中から地方への移住が進められてるでしょ?」

凛「だから余計だよね」

花陽「取り壊されたり老人ホームになった学校もあるんだってね」(アイス)

絵里「そうだったのね」(アイス)

真姫「毎日毎日仕事で、そんな事になってるとは知らなかったわ」(アイス)

にこ「……」(アイス)

408 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:24:21.10ID:uyDvgTJf.net
ヒデコ「それにしても花陽ちゃん、本当にきれいになったねえ」(アイス)

フミコ「それ私も思ってた」(アイス)

フミコ「初めて見た時、あれ?こんな綺麗な娘ミューズにいたっけ?って」

穂乃果「それってどう言う意味!?」(アイス)

ミカ「背もすっかり高くなったよね」(アイス)

ミカ「170はあるんじゃないの?」

花陽「はあ、まあそうなんですよ」(アイス)

花陽「今じゃこの身長が目下の悩みでして」

にこ「なんで悩むのよ」(ジト目)

花陽「何で怒るの?」

409 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:25:03.60ID:uyDvgTJf.net
ヒデコ「けど、にこさんもすっごく綺麗ですよね」(アイス)

フミコ「何か、テレビとかで見るより可愛く見えるんですけど」(アイス)

ミカ「肌も前よりも白いし、それでいて、なんかキラキラしてるって言うか、輝いてますよね」(アイス)

ミカ「何か良い化粧品使ってるんですか?」

真姫「……」(アイス)

にこ「これがプロのオーラよ」(エッヘン)

ヒデコ「でも、性格は変わりませんね」

フミコ「何か、その辺はテレビで見るのと同じですよね」

ミカ「相変わらず頑固で気が強そうだし」

ミカ「あっ、この人前と同じだって、少し安心しました」

にこ「もぉ〜、けなすのか褒めるのかどっちかになさいよぉ!」(アイス)

一同「アハハハハ」

410 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:26:06.56ID:uyDvgTJf.net
深夜

音ノ木坂女学院 校門前

穂乃果「いやぁ〜、今日は楽しかったねえ」

海未「そうですね」

ことり「ことりも久々にみんなと会えて」

ことり「またお仕事頑張るぞぉ〜って、パワーがもらえたよ」

ことり「エヘヘ♪」

真姫「みんな変わってなさそうでなによりね」

凛「そうだね」

凛「元気そうでなによりだにゃあ」

花陽「花陽もみんなと会えて、もう思い残す事はないです」

花陽「今日はありがとうございます」

411 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:26:45.22ID:uyDvgTJf.net
真姫「何よ花陽。年よりじゃあるまいし」(苦笑)

希「ここ音ノ木坂で、みんな出会って、力を合わせてラブライブに出たんよね」


正門前

(ヒュウゥゥゥゥ)

希「ほんにウチに取って、ほんの一年足らずだったけど、本当に奇跡だった」

絵里「本当にね」

絵里「ここで希や穂乃果達と出会わなったら、今こうしてプロとして活動してなかったでしょうね」

にこ「あによ。にこがいない者みたいに」(ムスッ)

絵里「もちろんにこもよ」(苦笑)

412 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:27:19.16ID:uyDvgTJf.net
雪穂「にこにーすねてんの?」(ププッ)

雪穂「けど、こうしてみんなと会えて本当に良かった」

亜里沙「そうだね」

亜里沙「これだけの人数、ちょっとした同窓会だもんね」

雪穂「学年もクラスも違うけど、クラスメートよりなんかよりね」

雪穂「密接だったと言うか」

亜里沙「事実そうだったもんね」

413 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:28:05.45ID:uyDvgTJf.net
ヒデコ「またみんなと会えれば良いね」

フミコ「そうだ、来年もやらない?みんなでライブ」

ミカ「もちろん私たちが手伝うよ」

ミカ「また一年経ってさ。そしたらみんな、もう少し成長して大人になってるでしょ?」

フミコ「まあ、女の子としてはあまり年は取りたくないだろうけど」

フミコ「それでもみんな健康で元気でさ。笑顔でいられればそれで良いじゃない」

フミコ「にこさんもそう思うでしょ?」

にこ「え?にこ?」(自分に指さし)

414 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:29:11.18ID:uyDvgTJf.net
穂乃果「……」

海未「……」

ことり「……」

真姫「……」

凛「……」

花陽「……」

希「……」

絵里「……」

雪穂「?」

亜里沙「みんな?」

415 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:30:20.81ID:uyDvgTJf.net
にこ「もっちろんよ」

にこ「来年もみんなここで会うわよ」

にこ「その前にラブライブ優勝だけどね」

にこ「ね、穂乃果」

穂乃果「うぇ?う……うん」

穂乃果「そうだね。みんなまた会えれば良いね」

絵里「じゃ、ここらでお開きにしましょうか」

ヒデコ「みなさん、お元気で」

フミコ「ことりも頑張ってね」

ミカ「また来年」

ことり「ありがとう♪」

真姫「ことりは今日どこに泊まるの?」

ことり「穂乃果ちゃんの部屋だよ」

海未「私も同じなんですが」

にこ「あんた達、ぶれないわねえ」

にこ「じゃ、絵里、真姫、私たちも帰るわよ」

416 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:30:54.55ID:uyDvgTJf.net
この時期 矢澤にこの美しさは 確かにこの世のものとは思えなかった

その漆黒の髪も白皙の肌もあふれんばかりの生気に輝き

赤い瞳も まるで本人の情熱と信念を代弁するかのように 爛々たる光をたたえ

見るものを魅了してやまなかった

そしていつしか 彼女はこう呼ばれるようになった

ダイヤモンドプリンセスと

417 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:31:35.72ID:uyDvgTJf.net
某テレビ局 楽屋

真姫「それは間違いなく甲状腺が冒されてるわね」

真姫「バセドウ病の可能性が濃厚だわ」

絵里「バセドウ病?」

真姫「甲状腺の機能が活発になり過ぎて、代謝が良くなりすぎる病気よ」

真姫「医者の世界では、目を見張るほどの美人の患者を見かけたら、甲状腺異常を疑えって話もあるほどなの」

絵里「ハラショー」(冷や汗)

418 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:32:07.79ID:uyDvgTJf.net
絵里「それも癌のせいなの?」

真姫「今の所、転移は認められてないけど」(にこの体調管理手帳)

真姫「免疫疾患でなる病気だから、無関係でないのは確かよね」

絵里「治るの?」

真姫「そうね。投薬や放射性ヨードの服用とか、色々治療法はあるけど」(にこの体調管理手帳)

真姫「今にこちゃんは抗がん剤飲んでるでしょ?」

真姫「他の薬も併用となると、副作用のリスクもあるし、そこは慎重にいかないとね」

419 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:32:57.00ID:uyDvgTJf.net
真姫「けど、あんまりのんびりしていられないのも確かよね」

真姫「バセドウ病はね。新陳代謝が亢進するって言ったでしょ?」

真姫「そのせいで、そうでない人よりもエネルギーの消費が激しいし、そのおかげで痩せてしまうの」

真姫「言い換えれば、常に運動しているようなものなのよ」

真姫「当然体力は消耗するし、何もしなくても、心拍数も速くなる」

真姫「この状態で何の対策も打たないとしたら」

絵里「ハラショー」(顔面蒼白)

絵里「にこが死んでしまうわ」

真姫「そこまで行かなくても、練習やライブみたいな激しい運動が出来なくなるかも知れないわね」

420 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:33:29.30ID:uyDvgTJf.net
(ガチャッ)

にこ「ふぅ……すっかり蒸し暑いわねえ」(スタスタ)

真姫「にこちゃん、話があるんだけど」

にこ「なに?」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

にこ「にこがバセドウ病?」

真姫「恐らくはね」

にこ「あによ。それ」

絵里「甲状腺が異常に活発になるんだそうよ」

にこ「治るの?」

真姫「治療法はあるわ」

421 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:34:00.09ID:uyDvgTJf.net
真姫「にこちゃん、最近発熱はある?」

にこ「常に火照ってるわ」

にこ「頭が痛いとか、体がだるいとかはないけど」

真姫「やっぱりね」

絵里「……」

真姫「最近にこちゃん良く食べるもんね」

にこ「まあそうね」

真姫「代謝が激しくなってるから、その分余計に食べるようになってんのね」

422 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:34:35.57ID:uyDvgTJf.net
にこ「……」

にこ「つまり、にこの美貌の原因は、その……バセなんとかだって言うの?」

真姫「まあ美人病って言うくらいだからね」

真姫「けど、にこちゃん体重はキープしてるわよね」(にこの体調管理手帳)

にこ「確かに最近ごはんが美味しくてバクバク食べてたけど、案外太らないものだって
不思議に思ってたわ」

絵里「にこはいつも小食だからね」

423 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:35:02.66ID:uyDvgTJf.net
真姫「ねえ、にこちゃん。これが最後のチャンスかも知れない」

真姫「この症状自体は癌の転移じゃないわ」

真姫「けど、免疫疾患なんだから無関係でないのも間違いない」

真姫「ひょっとしたら、例の薬の副作用の可能性もある」

真姫「いずれにしても、大本の原因は癌と考えるべきでしょうね」

にこ「……」

424 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:35:38.11ID:uyDvgTJf.net
真姫「それに、仮にすぐ命にかかわる危険はないとは言え、常にマラソンしているような状態で
生きているのよ?」

真姫「当然、練習やライブでは、今まで以上に激しく体力を消耗する」

にこ「……」

真姫「ラブライブプロまであと二週間だけど、それまでに、いえ、本番で何が起こるか私も分からないわ」

にこ「……」

にこ「にこに止めろって言うの?」

真姫「私が医者なら、100%それを勧めるわ」

425 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:36:11.07ID:uyDvgTJf.net
真姫「こうまでなってしまった以上、本来なら、いち早く入院し手術を受け、少しでも生き延びる事を考えるべきよ」

絵里「……」

にこ「そうね。ラブライブが終わったらそうするわ」

真姫「考えを変えるつもりはないみたいね」

にこ「ラブライブが終わったら、必ず医師と真姫の支持に従う」

にこ「声を失う事も甘受する」

絵里「……」

真姫「……」

426 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:37:18.30ID:uyDvgTJf.net
真姫「命まで失うかも知れないのよ?」

にこ「何よ。これ以上にこから何を取るつもりなのよ」(ギロッ)

にこ「にこから声を取って、命も奪って、挙句の果てにはアイドルまで捨てろって言うの!?」

にこ「あんた……にこに何の怨みがあるのよ?」

絵里「にこ。それは詭弁よ」

にこ「にこは嘘はつかない。その時が来てジタバタしてごねたりしない」

にこ「約束する。ラブライブが終わったら、絶対に入院も手術も受け入れる」

にこ「けど、ラブライブは、ラブライブだけは、絶対に出なきゃいけないの」

にこ「それを捨てるなんて、ダメよ」

にこ「絶対に」

えりまき「……」

427 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:37:59.05ID:uyDvgTJf.net
にこ「あと二週間、たったの二週間なのよ?」

にこ「この通りにこは元気だし、体力だって十分よ」(クルクル)

にこ「あと14日くらい、神様もきっと待ってくれるわ」

にこ「どうにかなるわよ」

えりまき「……」

にこ「絵里、真姫。お願い」

にこ「にこの最後のお願いだから」

にこ「これだけは私の好きなようにさせて」

にこ「お願いっ」(ペコリ)

428 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:38:31.30ID:uyDvgTJf.net
絵里「どうする?真姫」

真姫「そうね。こればっかりはどうしようもないわね」(溜息)

真姫「分かったわ。ラブライブプロ、みんなで出ましょう」

にこ「本当に?」

真姫「前にも言ったけど、乗りかかった船だしね」

真姫「けど、その代わり、練習その他、にこちゃんの生活全般については、私と絵里の指示に従う事」

真姫「特に食事と休息は、絶対に私たちの方針通りにしてもらうわよ」

真姫「出来る?」

429 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:38:59.28ID:uyDvgTJf.net
にこ「にこはラブライブプロに出られさえすれば良い」

にこ「それさえ認めてもらえるなら、喜んで」

真姫「なら、決まりね」

真姫「そう言う事なんで、あなたにも色々協力してもらうわよ。エリー」

絵里「任されたわ」

絵里「ふふっ」(微笑)

430 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:40:41.55ID:uyDvgTJf.net
8月15日 東京 秋葉原ドーム

(ポン ポポン)

アキバリポーター『さあ遂にやってまいりました全国のアイドルたちの祭典、ラブライブ!』(マイク)

アキバリポーター『今回は大好評だったプロの部も開催します!!』(マイク)

アキバリポーター『会場はここ、大規模な改装の上リニューアルなりましたアキバドーム!』(マイク)

アキバリポーター『新落成初の大イベント、実質こけら落としとなります!!』(マイク)

アキバリポーター『今回はネットのみならず、初の全国および全世界でのキー局生中継が実現しました!』(マイク)

アキバリポーター『これまでで最大規模、全国からプロアマ問わず、最高のアイドルたちが集結し』(マイク)

アキバリポーター『熾烈な戦いを演じます!!』(マイク)

431 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:41:32.25ID:uyDvgTJf.net
秋葉原 高級ホテル

bibi宿泊所

園田「今回のラブライブは、2日にわたって行われます」(レポート)

園田「初日は、予選を勝ち抜いた全国のスクールアイドルによる決勝戦」(レポート)

園田「2日目はラブライブプロ」(レポート)

園田「私達プロアイドルによるトップ決定戦です」(レポート)

園田「優勝者には、日本トップアイドルの栄冠が正式に与えられます」(レポート)

園田「ラブライブプロは、今や世界随一のアイドルの祭典と認知され、海外でも大人気です」(レポート)

園田「つまり、このラブライブで優勝すれば」

園田「世界一と言っても過言ではないと」

432 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:42:12.64ID:uyDvgTJf.net
にこ「……」

絵里「……」

真姫「……」

園田「何か質問は?」

絵里「そうね。出場順とかは分かっているの?」

園田「その辺りは、直前まで公表されないそうです」

園田「運営も、このイベント成功に向けて、かなり神経質になっているみたいでして」

真姫「練習とかは?」

園田「各チームごとに、1回に限りリハーサルが認められています」(レポート)

園田「会場の使用は、今日午後11時から、順番は抽選制になります」(レポート)

園田「リハーサルの時間は20分まで、いったん決められた順番は変更できず、またキャンセルしたら
それきりだそうです」(レポート)

絵里「厳しいわねえ」

433 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:42:46.99ID:uyDvgTJf.net
園田「また、開催期間中は私的な知人はおろか、他のグループとも接触禁止」(レポート)

園田「食事は自由ですけど、開催日午前9時に検査があります」(レポート)

真姫「何の検査よ?」

園田「アルコール及び薬物、それに」

園田「性的接触も」(レポート)

にこえりまき「」

真姫「オリンピックみたいね」

絵里「ハラショー」(冷や汗)

にこ「……」

434 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:43:27.98ID:uyDvgTJf.net
園田「ラブライブプロ開催時間は午後1時からです」(レポート)

園田「出場組は26チーム、1グループのライブ時間は6分まで」

園田「これは準備とかは含まれず、純粋なライブ時間です」(レポート)

真姫「当たり前よ」

真姫「6分で全部やれなんて無理に決まってるわ」(腕組み)

園田「運営との連絡役は、各グループのマネージャー」

園田「もしくは運営側が指定した調整人が全て引き受けます」

園田「この腕章が目印です」(緑の腕章)

園田「よほどの緊急時以外は、勝手な連絡は慎むようにとの事です」

園田「場合によっては失格になると」

絵里「本当に厳しいわねえ」

435 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:44:03.85ID:uyDvgTJf.net
園田「あと、運営側から保険と誓約書をもらいました」(書類)

園田「この大会でケガや事故・その他いかなるトラブルがあろうとも、その責任は自分側にあり
決して大会運営を責めない」

園田「訴訟も起こさない、そう言う内容です」(書類)

にこえりまき「……」

園田「一読後、ご了承いただけるなら、サインをお願いします」

にこえりまき「……」(書類)

絵里「なんだか、ここまでやるものかしらね」

真姫「まあ、アメリカじゃ、大体こんな感じだそうだしね」

真姫「どうするにこちゃん?」

436 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:44:30.30ID:uyDvgTJf.net
にこ「もちろん同意するわ」

にこ「園田、万年筆をよこしなさい」(手)

園田「どうぞ」(万年筆)

にこ「……」(カリカリ)

にこ「ほい」(万年筆)

真姫「……」(カリカリ)

真姫「エリー」(万年筆)

絵里「……」(カリカリ)

437 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:45:06.42ID:uyDvgTJf.net
にこ「出来たわよ」(書類)

園田「確かにもらいました」(書類)

園田「それでは私はこれにて下がります」

園田「その前にみなさんのスマホを、大会が終わるまであずからしていただきます」

にこえりまき「」

にこえりまき「そこまでやんのぉ!?」

にこ「あんたね。いい加減にしなさいよ」(ギロッ)

真姫「そうよ。それ本当に大会規約なの?」(ジト目)

絵里「私たちのいないうちに、変ないたずらとかしないでしょうね?」(冷や汗)

438 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:45:41.20ID:uyDvgTJf.net
園田「私に言われましても」

にこ「ハァ……まあ良いわ。もってきなさい」(スマホ)

真姫「全く、意味わかんない」(スマホ)

絵里「これじゃおばあさまにも電話出来ないわ」(スマホ)

園田「それでは、これにて失礼します」(スマホ)

園田「みなさんのリハーサル時間が分かったら、すぐにお知らせします」

園田「明日に備えて、ゆっくりお休みください」

園田「それでは良い夜を」

(ガチャッ)

(バタン)

439 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:46:05.18ID:uyDvgTJf.net
別のホテル

アライズ宿泊所

ツバサ「何が言いたいの?」

英玲奈「今のアライズについてだ」

英玲奈「私たちは常に3人でやってきた」

英玲奈「3人の能力と団結で、今まで戦い続け、そして勝ってきた」

英玲奈「それをなぜ今更否定する!?」

440 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:46:44.40ID:uyDvgTJf.net
英玲奈「ラブライブプロに勝つためとは言え、ここ何か月もみんなバラバラに練習させられてきた」

英玲奈「そして久々にこうして会って見れば、ツバサ、お前は随分と変わっているように見える」

ツバサ「私は何も変わっていないわ」

ツバサ「勝つために、リーダーとして、最善の道を模索し、そして決断する」

ツバサ「今までと同じ」

ツバサ「むしろそれに今更異を唱えるあなたの方こそ、随分と変わってしまっていないかしら」

あんじゅ「……」

441 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:47:51.82ID:uyDvgTJf.net
英玲奈「データだか確率だかなんだか知らないが、そんなんで勝てるとは私は思えないな」

英玲奈「大体、3人バラバラでリハーサルだけ一緒って、これで本番が上手く行くとでも!?」

ツバサ「行くわよ。データーにそう出ている」

ツバサ「各人の癖やズレを直すのに、これが最善だと」

英玲奈「データー、データーって……それじゃ私たちは何だ?モルモットか?実験材料なのか!?」

英玲奈「アイドルってそんなものなのか!?」

ツバサ「あなたこそ、しばらく見ない間に本当に甘々になったみたいね」(腕組み)

ツバサ「過去の藤堂英玲奈なら、そんなみっともない愚痴は言わなかったはずよ」

ツバサ「それとも、私が買いかぶっていただけだったのかしらねえ」(ギロッ)

英玲奈「なんだと」(ギリッ)

442 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:48:33.54ID:uyDvgTJf.net
ツバサ「勘違いしないで。私たちはプロ。勝たなければならない」

ツバサ「勝たなければ私たちが悔しいだけじゃない」

ツバサ「関係者はじめ大勢の人間に迷惑がかかる」

ツバサ「このプロジェクトに、いったどれだけの予算がつぎ込まれていると思っているの?」

英玲奈「専門家のデーターなんかに、アイドルの、人間の気持ちの何がわかる」

ツバサ「じゃあ、あなたはそれ以上の対案を示すべきね」

あんじゅ「……」

英玲奈「今までで良いだろ。アライズは確かに戦う集団、そこに甘えも妥協も許されない」

英玲奈「だが、私たちは仲間、戦友として今日までやってきたじゃないか」

ツバサ「それではもう勝てないと、私が判断したの」

443 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:49:07.06ID:uyDvgTJf.net
英玲奈「私たちに何の相談もなくでだろう?」

英玲奈「メンバーを何だと思ってるんだ。何様のつもりだ!?」

ツバサ「私はリーダー。このユニットをどうするのかは私が決めます」

ツバサ「それが不服なら、何も無理していてもらう必要はありません」

英玲奈「なんだと」

ツバサ「代わりを入れると言う事よ」

ツバサ「これ以上逆らうのなら、あなたクビよ」

英玲奈「」

あんじゅ「……」

444 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:49:34.65ID:uyDvgTJf.net
英玲奈「そうか。分かったよ」

英玲奈「やっぱり変わったなツバサ。まるでロボットと話しているみたいだ」

英玲奈「ネットじゃ私がロボットみたいだって皮肉られてるがな」

英玲奈(カツカツ)

英玲奈(ガチャッ)

(バタンッ)

ツバサ「……」

あんじゅ「……」

445 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:50:31.09ID:uyDvgTJf.net
かつて日本アイドル界の覇者となり 芸能界の風雲児と呼ばれたアライズも

そのスタイルは硬直化し いつしかコアなファン層の支持を失っていた

そして矢澤にこの率いるbibi始め 新興の猛烈な追い上げにあい

その勢いは日に日に衰え 今まさに玉座を失おうとしていた

そしてラブライブプロ最終決戦を目前に 

既に内部はきしみ始めていたのである

それは最強ユニット断末魔のうめきであった



今夜はここまで

続きは明日の夜に落とします

446 :名無しで叶える物語:2017/05/17(水) 23:56:10.60ID:4LN0AFXt.net
乙やでー明日待ってる

447 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 01:20:58.46ID:mqe8hVNT.net
誰だよこれ
さすがに無いわ

448 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 02:11:32.23ID:5hnV72BO.net
まあ最初はなんやこのストーリーと表現はって思うやろうけど第1弾から読むとじわじわくる

449 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 02:18:24.58ID:fmDWKn8L.net
他のいちゃいちゃクソガキssと比べ物にならないくらいしっかりしてる
ラブライブもいいがオリジナルを書いてみないか?

450 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 02:19:55.21ID:dWCiycoG.net
キャラ別人にしてる時点で二次創作としてはそこらのゴミ以下なんだよな

451 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 07:48:43.70ID:KtfFNZtf.net
きっもいSSだな
( )とかが特にキモい

452 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 09:48:20.56ID:aL8CXFx3.net
内部粛清かよ…

453 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:15:51.36ID:cN8HtB2X.net
翌日

ラブライブプロ本戦日

午前5時

秋葉原ホテル

bibi宿泊所

(コンコン)

園田「みなさんおはようございます」(ガチャッ)

にこ「おはよう園田」

真姫「今日は早いわね」

絵里「まあ私たちも、昨夜から興奮して、あまり眠れなかったけどね」

絵里「ふふっ」(微笑)

454 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:16:27.59ID:cN8HtB2X.net
園田「こんな早くからお騒がせして申し訳ありません」

園田「実は、南ことりさんから、みなさんにプレゼントを届けてくれと」

園田「これなんですけど」(紙袋)

にこえりまき「……」

にこ「ことりが?」

真姫「わざわざアメリカから?」

絵里「ハラショー」

455 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:17:19.83ID:cN8HtB2X.net
にこ「何かしらね」

真姫「今日にあわせて送ってくれたのかしら」

絵里「園田。開けてみなさいよ」

園田「私が、ですか?」

園田「はあ。では」(ハサミ)

園田(チョキチョキ バサッ)

園田「これは……」(紙袋)

にこえりまき「衣装!?」

園田「みたいですね」

紙袋(バサッ)

園田「?」

456 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:19:16.26ID:cN8HtB2X.net
園田「何か落ちましたね」

絵里「手紙みたいね」(便せん)

絵里「……」(開封)



dear niko eri&makichyan

ラブライブプロ出場おめでとう♪

今までのみんなの夢、これで叶うね。

どんな結果になるか分からないけど、みんなならきっと素晴らしいライブになるよ♪

ことりも応援してるから。

もちろん、ミューズのみんな、雪穂ちゃんや亜里沙ちゃん

ヒデコちゃん達や音ノ木坂の仲間達もおんなじ気持ちだよ。

だから安心して本番に臨んでね♪ チュンチュン♪ (・8・)


p.s bibiのみんなのために衣装作ってみたよ。

お役に立てるか分からないけど、ライブに間に合うよう一生懸命作ったから、良かったら見てね♪

それではみなさん お体に気を付けて


アメリカ合衆国 ボストンから kotori minami

457 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:20:26.41ID:cN8HtB2X.net
にこ「……」

絵里「……」

真姫「……」

園田「……」

絵里「ねえ見て。これ可愛いわね」(衣装)

真姫「ピンク生地の上下に、チョッキ。それに」

絵里「小さなスカーフみたいのもあるわねえ」

真姫「チョッキは、2つは青で、残る1つはピンクよ」

絵里「本当可愛いわ」

真姫「さすがことりね」

にこ「……」

園田「……」

458 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:21:29.49ID:cN8HtB2X.net
真姫「やっぱ世界のtyunnブランドデザイナーの腕は、伊達じゃないわ」

絵里「こんなハイセンスでキュートな衣装、見た事ないわね」

にこ「……」

園田「あ、あのう、みなさん」

園田「それで、どうします?」

真姫「衣装の事?」

園田「はい。ご存知だとは思いますが」

園田「既に衣装は用意しておりまして」

園田「もちろんこちらも有名デザイナーに特注して、前々から仕立ててもらったものですし」

459 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:22:19.90ID:cN8HtB2X.net
にこ「要するに、色々利権が絡んでるから、今変更すると、後々面倒な事になるぞ、と?」(ジト目)

園田「そうではありませんが」

真姫「ああ、今回のラブライブプロの部、衣装ブランドやデザイナーの宣伝会って意味もあるからね」

絵里「のみならず、美容やアクセサリー、化粧品も、指定されたの使わされるしねえ」

絵里「本当オリンピックみたいよね」

園田「そうなんです」

園田「のみならず、ネーミングライツもありますし」

絵里「衣装のいくつかの所に、企業ロゴ入れるんでしょ?」

真姫「本当に商業化して来たわねえ」

460 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:23:06.28ID:cN8HtB2X.net
絵里「園田の言い分にも一理あるわね」

真姫「どうする?リーダー」

にこ「着るわよ」

にこ「ことりが着ろって言うんだから、着るしかないじゃないの」(衣装)

絵里「そんな理由で?」

真姫「何それ意味わかんない」(苦笑)

にこ「にこからすれば、顔も知らない企業より、ことり悲しませるのが嫌だもん」(衣装)

絵里「本気でそう思ってるの?」

真姫「要はそのドレスが気に入ったからでしょ?」

真姫「はっきり言いなさいよね」(苦笑)

461 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:23:47.07ID:cN8HtB2X.net
にこ「そう言うわけで園田。何とかなさいよねえ」

園田「怒られるのは私なのですが」

真姫「あによ園田。ビビッてるの?」

絵里「今までのbibiが潜り抜けてきた修羅場からしたら、このくらいどうって事ないでしょ?」

絵里「ふふっ」

園田「絵里さんまで」(溜息)

園田「ハァ……分かりました。とりあえず大御所に話伝えてみます」(スック)

園田「今から胃が痛い」(スタスタ)

(ガチャッ)

(バタン)

462 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:24:28.73ID:cN8HtB2X.net
当日午後4時 東京 アキバドーム

ラブライブプロ本戦 最終ライブ

アキバリポーター『さあ、ラブライブプロも遂に最終組となりました!』(マイク)

アキバリポーター『今回トリを務めますのはbibi!』(マイク)

アキバリポーター『絢瀬絵里、西木野真姫、そしてリーダーの矢澤にこ』(マイク)

アキバリポーター『今やアイドル界随一の強烈な個性を放つ奇跡の三人!』(マイク)

アキバリポーター『アライズと並び優勝最有力候補です』(マイク)

アキバリポーター『果たして彼女たちの夢は叶うのか!?』(マイク)

463 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:25:57.46ID:cN8HtB2X.net
ステージ下

にこ「ここからエレベーター式に舞台に出るのね」

絵里「そうよ」

真姫「しょっぱなから転ばないでよ?」

絵里「それにしても、本当に可愛い衣装ねえ」

真姫「まあね」

真姫「やっぱことりは服飾の天才ね」

にこ「にこの選択は正しかったでしょ?」

464 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:26:36.42ID:cN8HtB2X.net
真姫「あによ。知ってるわよ?」

真姫「にこちゃんミューズの時、ことりと一緒に衣装づくり手伝ったけど」

真姫「そん時言ったんでしょ?あんた損な役回りで満足なの?って」

にこ「ぬぅあ!?」(ビクッ)

絵里「そんな事言ったの?」

真姫「それに対して、ちゃんと私はこの仕事に意義を見出しているって言ったことりはやっぱ立派ね」

真姫「それでいて、根に持たずにちゃんとこうして素晴らしいコスチューム作ってくれたんだから」

真姫「感謝なさいよ?」

にこ「だからこそこうして採用したんじゃない」

絵里「本当にね」(苦笑)

465 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:27:11.81ID:cN8HtB2X.net
真姫「しかし、凝ってる衣装よねえ」

真姫「チョッキは青が二着、残る1つは上下と一緒のピンク」(青チョッキ)

真姫「しかも、ピンクのみ腰に大きなリボンが付いてるじゃない」

にこ「リーダー専用よ」(ピンクチョッキ)

絵里「スカーフも小ぶりで綺麗だし」(青チョッキ)

絵里「本当、これだけ素敵な衣装作ってもらったんだから、勝たないとね」

にこ「当然よ」

466 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:27:46.30ID:cN8HtB2X.net
絵里「ところでみんな。突然なんだけど」

絵里「今回、私は後ろで歌うわ」

絵里「前はにこと真姫で固めなさい」

にこまき「!?」

真姫「どう言うこと?」

真姫「リハまで三人一列でやって来たじゃない」

467 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:28:16.02ID:cN8HtB2X.net
絵里「それは分かっているわ。本番で変えられない事も」

絵里「けど、今回はそうしたいの」

真姫「一体どうしたの?」

真姫「体調でも悪いわけ?」

絵里「そうじゃないけど、今回だけは、にこと真姫を見守っていたいの」

真姫「……」

468 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:29:06.07ID:cN8HtB2X.net
真姫「ダメよ。ミューズもそうだったけど、私たちも三人で歌って三人がセンター」

真姫「大体それじゃ、あなたの出番が少なくなるし」

絵里「それも承知しているわ」

絵里「けど、今回だけは私のわがままとして聞いて欲しいのよ」

真姫「……」

真姫「確かに、今回のステージはかなり大きいから、全体的に活用するにはそうするのも一つの手だとは私も思うけど」

真姫「どうする?にこちゃん」

469 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:29:36.71ID:cN8HtB2X.net
にこ「絵里がそうしたいなら、そうなさい」

にこ「ただし、後で目立ちたいなんて言っても、もう遅いわよ?」

絵里「分かってるわ。ありがとう」

絵里「ふふっ」(微笑)

真姫「さ、そろそろ時間よ」

にこ「上り台に乗るわよ」(スタスタ)

470 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:30:06.91ID:cN8HtB2X.net
ラブライブプロ本戦 最終組 bibi

【ダイヤモンドプリンセスの憂鬱】

(キャアァァァ ウオォォォォォ)

(エリー マッキー ニコニー)

(セーノ bibi-)


ステージ中央 上り台(ガアアァァ) 

にこ「……」(↑)

真姫「……」(↑)

絵里「……」(↑)

(キャアァァァ パチパチパチパチパチパチパチパチ)

471 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:31:09.54ID:cN8HtB2X.net
(パーラッパッパー パーラッパッラーラー パーラッパッパー パラッパラッパラッラ♪)

(パーラッパッパー パーラッパッパーラー パーラッパッパー パラパッラッラ♪)

絵里「冷たいのはなぜなの♪」(青チョッキ)

(フィール ソー ミュー)

にこ「激しさで見つめられて♪」(ピンクチョッキ)

(クラクラ)

真姫「燃えたいのにどうして♪」(青チョッキ)

(フィール ソー ヌードゥ)

bibi「ダイヤモンドプリンセススタイル!」

絵里「完璧な輝き宿しても♪」(バック)

にこ「何かがね♪」(レフト)

真姫「足りないと♪」(ライト)

bibi「ざわめいた心♪」

472 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:31:38.13ID:cN8HtB2X.net
bibi「夢に揺れる美少女なんて 映画だけの出来事でいいわ♪」

真姫「それが誰もわからない♪」

bibi「消えてしまえ守って……なんて 私言ってないの♪」

bibi「もろいコワレモノより 熱く熱く♪」

絵里「溶けてみたい♪」

bibi「挑戦してよ?」

473 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:32:16.72ID:cN8HtB2X.net
にこ「キラキラ プリンセス♪」(ピンクチョッキ)

絵里「ためいきプリンセス♪」(青チョッキ)

真姫「普通じゃイヤ♪」(青チョッキ)

ノーモア セーフティ

絵里「醒めたままで♪」(バック)

真姫「憂鬱なプリンセス♪」(ライト)

にこ「乱されたい♪」(レフト)

マイハート

474 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:33:13.89ID:cN8HtB2X.net
(パラーララーラーラー♪)

(パーッパーッパーッパーッパッラ パーッパーッパーッパーッパッパ パーッパーッパーッパーッパッラ
パーッパーッパーッパーッパラララ♪)

(パーッパーッパーッパーッパッラ パーッパーッパーッパーッパッパ パーッパーッパーッパーッパッラ
パーララーララーララーラララララ♪)

真姫「夢に♪」(ライト)

にこ「揺れる♪」(レフト)

絵里「美少女なんて♪」(バック)

bibi「映画だけの出来事でいいわ それが誰もわからない♪」

bibi「消えてしまえ守って……なんて 私言ってないの♪」

bibi「もろいコワレモノより 熱く熱く溶けてみたい♪」

にこえりまき「挑戦してよ?」

475 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:34:18.22ID:cN8HtB2X.net
(パーッパーッパーラー パーパーッパッパーラー パーパーッパーラー パラパッラッラッ♪)

(ジャーン♪)

にこ「……」(ピンクチョッキ)

絵里「……」(青チョッキ)

真姫「……」(青チョッキ)


(キャアァァァ ウオォォォォォ)

(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

(マキチャーン マッキー)

(エリー エリチャーン)

(カシコイカワイイ エリーチカー)

(ニコー ニコニー)

(ニッコニッコニー)

(セーノ bibiー)

476 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:35:05.81ID:cN8HtB2X.net
アキバリポーター『ラブライブプロ最終組bibiでダイヤモンドプリンセスの憂鬱でした!』(マイク)

アキバリポーター『全国のトップアイドルを決める大会のトリに相応しい華麗なライブでしたねえ』(マイク)

アキバリポーター『みなさん、今一度盛大な拍手をお願いします!!』(マイク)

(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

にこ「……」(レフト)

真姫「……」(ライト)

絵里「……」(バック)

477 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:35:35.47ID:cN8HtB2X.net
(キャアァァァ ウオォォォ)

(エリー マッキー ニコニー)

(セーノ ニッコニッコニー)

(bibi bibi bibi bibi!)

(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

にこ(一礼)

真姫(一礼)

絵里(一礼)

(パチパチパチパチパチパチパチパチ)

478 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:36:42.45ID:cN8HtB2X.net
アキバリポーター『これにてラブライブプロ出場組全ライブが終了しました』(マイク)

アキバリポーター『これよりネットと会場の投票を行い、本日中に結果発表されます』(マイク)

アキバリポーター『みなさん本当にお疲れさまでした!!』(マイク)

アキバリポーター『それでは、これまでプロとスクールアイドルの部で共演してくれた全出場者の方に、今一度ステージに集まってもらいましょう!!』(マイク)

アキバリポーター『現在の日本芸能界を代表する、そして、これからのアイドルを率いるであろう若き才能たち』(マイク)

アキバリポーター『私達に夢と勇気と笑顔を与えてくれました』(マイク)

アキバリポーター『それぞれ出身も立場も個性も違いますが、アイドルの、そして
ファンのみなさんに対する気持ちは、みな同じです!!』(マイク)

479 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:37:08.05ID:cN8HtB2X.net
夕方 東京

アキバドーム bibi控室

にこ「……」

真姫「……」

絵里「……」

真姫「遂にやったわね」

絵里「そうね」

にこ「……」

480 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:37:40.68ID:cN8HtB2X.net
真姫「みんなどう?今回のライブ、上手くやれた?」

絵里「そうねえ。私はとても上手くやれたと思ってるわ」

真姫「上手く?それだけ?」

真姫「今までで最高のライブ、でしょ?」

真姫「少なくとも私は、そうだと思ってる」

絵里「もちろんよ」

絵里「私達のやって来た中で、史上最高のライブに決まってるわ」

真姫「史上最高ねえ」

481 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:38:27.01ID:cN8HtB2X.net
真姫「それじゃ、次私たちがやるライブは?」

絵里「もちろん、その時も最高のライブよ」

真姫「だとすると、これからは毎回毎回、史上最高になるわけね」(苦笑)

絵里「本当にね」

絵里「ふふっ」(微笑)

にこ「……」

482 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:39:01.61ID:cN8HtB2X.net
真姫「にこちゃんはどうだった?」

絵里「これで満足出来た?」

にこ「そうね」

にこ「ここまで来るのに、何とかして勝ちたい一心だったけど、なんかね」

にこ「今こうして、真姫や絵里と一緒に歌って踊ってライブして、ファンのみんなと盛り上がって」

にこ「みんなでさいっこーの笑顔になって、また頑張ろうって気持ちになれて」

にこ「今にして思うとね。にこは、これがやりたかったんだなあって」

えりまき「……」

483 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:39:43.20ID:cN8HtB2X.net
にこ「アイドルってやっぱこうなんだなー、こうでなくっちゃいけないんだよなあってね」

にこ「にこが一番求めてたものって、きっと、これだったんだよなーって」

絵里(微笑)

真姫(苦笑)

にこ「トップに立って、いえ、まだ立ってはいないけど、頂点寸前まで来てやっと分かったよ」

にこ「穂乃果は最初から知っていたのにね。にこは最後まで理解出来なかったなんてねえ」

にこ「やっぱ私ってバカなのよねえ」

真姫「やっと分かったの?」(苦笑)

絵里「それはそれは、随分な遠回りしたものね」

絵里「ふふっ」(微笑)

484 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:40:18.55ID:cN8HtB2X.net
にこ「それに」(スック)

にこ「今のにこには、あんた達がいるわ」(スタスタ)

にこ「今までついてきてくれて、本当にありがとう」(えりまきギューッ)

絵里「ちょっ」

真姫「にこちゃん?」

にこ「にこはなかなか人を信じられなかったし、孤独になってもへっちゃらだったけど」

にこ「私がここまでやれたのは、絵里、真姫。あんた達のお蔭よ」(ナデナデ)

485 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:41:06.79ID:cN8HtB2X.net
にこ「にこは本当、最高の仲間に恵まれたわ」(えりまきギューッ)

にこ「それこそにこに取って、最高の幸せだよ」(えりまきギューッ)

真姫「あによ。今まで散々アイドルユニットは所詮目的を共有してるに過ぎないとか
言ってきたくせに」(苦笑)

絵里「本当にね」(微笑)

にこ「だって本当なんだもん」

真姫「また臭い事言って、変なフラグ立てないでよ」

真姫「優勝発表はまだよ。それ聞く前にさっさと倒れたりしたら、許さないわよ」

絵里「本当にね」(苦笑)

486 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:43:40.40ID:cN8HtB2X.net
にこ「分かってるよ。にこもそこまで潔くなるつもりはないから」

にこ「もっちろん優勝したいに決まってるしね」

真姫「そうね」

絵里「有終の美を飾りましょ」


(コンコン)

園田「みなさんお疲れさまでした」(ガチャッ)

にこえりまき「!」

487 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:44:06.20ID:cN8HtB2X.net
真姫「園田」

絵里「あなたが来たと言う事は」

にこ「まさか」

園田「ラブライブプロ結果発表なのですが」

にこえりまき(ゴクリ)

園田「本日午後11時に分かるとの事です」

にこえりまき(ガクッ)

488 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:44:39.29ID:cN8HtB2X.net
にこ「あんったねぇ、それを知らせるためだけにわざわざもったいぶって来たのぉ?」

真姫「私たちの緊張と期待を返してよね」(ジト目)

絵里「園田って野球に例えると四球で出塁するタイプよね」

絵里「全然褒めてないけど」(ギロッ)

園田「何でしょうこの空気は」

園田「なぜに私が責められるのでしょうか」(困惑)

489 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:45:18.78ID:cN8HtB2X.net
当日午後11時

矢澤マンション

にこの部屋

テレビ『それでは、栄えあるラブライブプロ本戦投票結果が出ました!』

にこ「……」

絵里「……」

真姫「……」

テレビ『優勝、東京代表アライズ!』

テレビ『準優勝、東京代表bibi!』

テレビ『第三位、大阪代表はんなりガールズ!』

テレビ『みなさん本当におめでとうございます!!』

490 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:45:48.51ID:cN8HtB2X.net
にこ「……」

絵里「……」

真姫「……」

にこ「負けたか」

真姫「そうね」

絵里「正確には準優勝よ」

絵里「私はここまでやれたんだから、満足すべきだと思うんだけどね」

491 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:46:48.75ID:cN8HtB2X.net
にこ「……」

真姫「……」

絵里「お茶淹れて来るわ」(スック)

絵里(スタスタ)

にこ「……」

真姫「……」

492 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:47:40.75ID:cN8HtB2X.net
にこ「まっ、仕方ないか」(背伸び)

真姫「私たちはベストを尽くし、最高のパフォーマンスで臨んだ」

真姫「結果は結果。けど」

真姫「不思議と悔しくはないわね」

にこ「そうね。悪くないわ」

にこ「負けてこんなにすがすがしいのも、今までで初めてよねえ」

真姫「準優勝よ。それに」

真姫「ここまで来れるアイドルもほとんどいない」

真姫「東京493の久美子じゃないけど、私達と同じ舞台に立つまでに、何千ものグループが挫折し
何万もの娘達が涙をのんでいる」

にこ「そうよね」

493 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:48:44.13ID:cN8HtB2X.net
にこ「それで悔しい、もっと高みを、だのと嘆くのは、ちょっと贅沢な望みよねえ」

にこ「真姫ちゃん。ありがとう。もちろん絵里にも」

にこ「ここまでついて来てくれて、本当感謝だわ」

真姫「なんかにこちゃんがそう言う台詞を口にすると、かえって不安ね」(苦笑)

真姫「けど、にこちゃん分かってるわよね」

にこ「もちろんよ」

にこ「来週、私の活動休止を公表する。記者会見を開いて、病状についても説明する」

にこ「後は治療に専念する。声を失っても文句は言わない」

真姫「そうよ」

真姫「けど、これも不思議なんだけど、にこちゃんが本当に重い癌だとは見えないわねえ」

真姫「むしろ最近元気なくらいだし」

にこ「よっぽど薬が効いてるみたいね」

494 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:49:27.81ID:cN8HtB2X.net
絵里「みんな、お待たせ」(お盆にティーポット)

絵里「ロシアンティーよ」

真姫「アイスの?」

にこ「良い香りね」(カップ)

にこ「それにしても、お腹空いたわねえ」(カップ)

絵里「こんな時間に?」(カップ)

真姫「まあ、ライブにファン対応に結果発表と、今まで気の休まる暇もなかったからね」(カップ)

495 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:50:32.11ID:cN8HtB2X.net
にこ「じゃあ、なにか頼みましょうか」(スマホ)

絵里「こんな時間に!?」(ティーカップ)

真姫「そうね。正直言うと、私もお腹減って来たわ」(ティーカップ)

にこ「じゃ、適当に寿司でも頼むわよ」(スマホ)

にこ「お代は絵里持ちでね」

絵里「私が!?」(ティーカップ)

にこ「私の財布を預かってるのはあんたでしょうが」(ジト目)

絵里「ハラショー」(冷や汗)

真姫「ゴチになります♪」(ティーカップ)

496 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:51:19.25ID:cN8HtB2X.net
にこ「あ、もしもし。東京都港区××ー○○○○矢澤マンション2525号室の矢澤と申しますけど」(スマホ)

にこ「いつものやつ3人前と、太巻き3本、マグロとイカゲソのから揚げに、味噌汁3つで」(スマホ)

にこ「どのくらいかかります?」(スマホ)

にこ「30分?分かりました。お待ちしてます」(スマホ)

にこ「すぐ来るってよ」

真姫「お酒出しとく?」

絵里「そうね。少し飲みましょうか」

にこ「大仕事も終わった事だし、ゆっくりしましょ」

にこ「しかし、気が抜けたわねぇ〜」(ゴロン)

絵里「本当にね」

真姫「これからも色々あるんだろうけど」

真姫「なんか今は考える気力がないわね」

にこ「まあ良いんじゃない?今は」(ゴロゴロ)

絵里「本当にね」

にこ「あんたさっきから本当にねしか言ってないわよ」(ジト目)

絵里「あら、本当だわ」

真姫「プッ、クックックックッ」

497 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:51:47.98ID:cN8HtB2X.net
翌日午前3時

矢澤マンション 洗面所

洗面台(ザアァァァァァ)

(ザアァァァァァァ)

洗面台(血まみれ)

床(一面に血)

(ザアァァァァァ)

にこ(床にうつぶせ)

にこ(口から血)

(ザアァァァァァ)

498 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:52:42.89ID:cN8HtB2X.net
この日未明

矢澤にこは自宅洗面所で盛大に吐血し そのまま意識を失った

発見した絢瀬絵里と西木野真姫の通報で

都内西木野総合病院に救急車で搬送された

499 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:53:42.42ID:cN8HtB2X.net
bibiリーダー矢澤にこ 緊急入院!

オフィスA 原因は重度の癌にあると正式に発表

重ねて治療に専念するまで矢澤にこの無期限活動休止と

残る綾瀬絵里と西木野真姫2人態勢でのbibiの活動継続についてコメントした



オフィスA

代表室

大御所「そうか。矢澤にこが倒れたか」

園田「はい」

大御所「容態は?」

園田「かなり重いですが、今の所命に別状はありません」

大御所「復帰は無理か」

園田「恐らくは」

500 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:55:03.96ID:cN8HtB2X.net
大御所「bibiにはずいぶんと稼がせてもらったな」

園田「……」

大御所「しかも、矢澤にこの倒れ方、時期的に絶妙と来ている」

大御所「やるだけの事やって、それが済んでからバッタリいっちまった」

大御所「本当にプロ意識の塊みてえなヤツだな。アイツは」

園田「……」

501 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:58:00.66ID:cN8HtB2X.net
大御所「さて、問題は矢澤にこ抜きでbibiが持つのかどうか」

大御所「もし無理だったら、どうやって代わりを作るかだな」

園田「大御所」(ギロッ)

大御所「園田。俺は今経営者としての話をしてるんだ」

大御所「アイツはアイツとしての責任を果たしたんだ」

大御所「だとしたら、いかに関係者に迷惑かけずに、この事務所を持たせるかに知恵を絞るのが、
俺たちの責任じゃないのかよ」

園田「……」

園田「私が浅はかでした。申し訳ありません」(一礼)

502 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 22:58:46.21ID:cN8HtB2X.net
大御所「この件、矢澤にこの家族は知ってたのか?」

園田「はっきりとは聞きませんでしたが、矢澤にこの性格からして、伝えてはいないでしょう」

大御所「だろうな」

園田「……」

大御所「けど、こうなっちまった以上、先方も承知してるだろう」

大御所「正式に向こうの親御さん達に伝えとかないとな」

園田「分かりました」

大御所「俺が直接伝えるよ」

園田「大御所」

大御所「ここからは、矢澤にこを親御さんから預かった俺個人の領分だ」

503 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:00:40.72ID:cN8HtB2X.net
数日後

西木野総合病院 

矢澤にこ個室

真姫「様子はどう?」

にこ「そうね。まあまあよ」(ベッド)

にこ「これが少し煩わしいけど」(腕に点滴)

真姫「3日もすれは外せるわ」

真姫「ひとまずはね」

504 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:01:54.03ID:cN8HtB2X.net
真姫「全く、最初はどうなるかと思ったわよ」

真姫「あんなに血を吐いて……洗面器一杯分はきっとあったわ」

真姫「救急車で病院に着くまでのあいだ、絵里なんてずっと泣きじゃくっててね」

にこ「……」(ベッド)

にこ「それは悪い事をしたわね」

真姫「にこちゃんはあの夜、肺と胃の腫瘍が一挙に破裂したんですって」

真姫「それによる出血と、呼吸困難」

真姫「発見があと10分でも遅れてたら、酸欠で死んでたそうよ」

にこ「……」(ベッド)

にこ「まったく、しょうがないわねえ」(腕に点滴)

505 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:04:04.19ID:cN8HtB2X.net
にこ「で?にこは治るの?」(ベッド)

真姫「そうねえ」

真姫「とりあえず、検査の結果が明日出るんだけど」

真姫「お医者さんから聞く?それとも私が持ってくる?」

にこ「……」

にこ「どっちでも良いわ」(ベッド)

真姫「何よ。決めなさいよ」(苦笑)

にこ「じゃ、真姫から聞く」(ベッド)

真姫「良いわ。分かったわ」

真姫「じゃあ、明日正午にまた来るから」

真姫「お大事にね」(スック)

にこ「真姫」(ベッド)

真姫「?」

にこ「絵里にもよろしくね」(ベッド)

真姫「伝えとくわ」

506 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:04:46.22ID:cN8HtB2X.net
翌日 都内

西木野総合病院

矢澤にこ 個室

にこ「で、検査結果は?」(ベッド)

にこ「出たんでしょ?」(腕に点滴)

真姫「……」

真姫「にこちゃん。落ち着いて聞いて」

真姫「にこちゃんの場合、もう手術しかないんだけど」

にこ「やっぱりねえ」(ベッド)

にこ「この声ともお別れか」(腕に点滴)

507 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:06:48.06ID:cN8HtB2X.net
真姫「……」

真姫「それが、そのう」

にこ「?」(ベッド)

真姫「……ないのよ」

にこ「なにが?」

にこ「なにがよ」(腕に点滴)

にこ「真姫」

真姫「……」

にこ「真姫。なにが足りないの?」

真姫「にこちゃんの場合、もう体力がないんですって」

にこ「?」(腕に点滴)

真姫「手術に耐えられる体力が、もう……持たないんですって」

にこ「」(ベッド)

508 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:07:24.67ID:cN8HtB2X.net
真姫「仮に手術を強行したとしても、今のにこちゃんのケースだと、一年後の生存率は4パーセント」

真姫「五年後に至っては……1、1パーセントにも満たないって」

にこ「……」(腕に点滴)

にこ「1……パーセント」(顔面蒼白)

真姫「クッ……」(ワナワナ)

真姫「……」(口に手)

真姫(スック)

真姫「ご、ごめんなさい!」(ダッダッダッダッ)

(ガラララッ)

にこ「真姫!!」(ベッド)

(タッタッタッタッ……)

にこ「……」(呆然)

509 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:07:50.35ID:cN8HtB2X.net
数日後

都内 西木野総合病院

矢澤にこ個室

真姫「点滴は外れたのね」

にこ「まあね」(ベッド)

にこ「けど、修行僧みたいな食事になってるけどね」

にこ「まあ、流動食よりはマシだけど」(ベッド)

510 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:10:02.50ID:cN8HtB2X.net
真姫「この前はごめんなさい」

真姫「一番つらいのはにこちゃんなのに」

真姫「私……あなたを置いて逃げちゃった」

にこ「良いのよ」(ベッド)

にこ「本当の事を知らないまま、蛇の生殺しにされるほうが、ずっと辛いわ」

にこ「はっきり言ってくれただけで、十分ありがたいわよ」(ベッド)

真姫「……」

511 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:10:38.91ID:cN8HtB2X.net
にこ「絵里は知ってるの?」(ベッド)

真姫「ええ」

にこ「事務所は?」

真姫「もう把握してる」

にこ「家族には?」

真姫「そうね」

真姫「癌の事は、もうテレビと事務所からの連絡で知ってるけど」

真姫「ここまでの事態だとは、まだ分かっていないと思う」

にこ「……」(ベッド)

にこ「そう」

512 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:11:09.99ID:cN8HtB2X.net
にこ「手術をしても、私の生き残る可能性は皆無なのよね」(ベッド)

真姫「0に近いわ」

にこ「もしあんたが医者だったら、どうする?」

真姫「そうね」

真姫「手術を勧めるわ。仮にほんの少しでも生き残る可能性があるのなら」

にこ「1パーセントでも?」(ベッド)

真姫「それが医者よ」

真姫「少なくとも私が理想とするね」

513 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:11:38.78ID:cN8HtB2X.net
にこ「私は、もう手術に耐えられる体力はないんでしょ?」(ベッド)

真姫「今更隠しても仕方ないけど」

真姫「もし一度に疾患部位をすべて摘出するケースなら、ほぼ確実ににこちゃんは死ぬ」

にこ「少しずつなら?」

真姫「それでも、最後の手術が終わるまで、半分の確率で命を落とす」

にこ「……」(ベッド)

514 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:12:52.70ID:cN8HtB2X.net
にこ「仮に成功しても、5年以内にほぼ死ぬんでしょ?」(ベッド)

真姫「今の技術ではね」

にこ「それに、一年生きられるのか何年生きられるのか分からないけどさ」

にこ「結局、呼吸器とか色んな生命維持の装置を付けられて、不自由な生活」(ベッド)

にこ「下手したらその間寝たきりとかになるんでしょ?」

真姫「……」

真姫「残念ながら、時が経つごとにそうなる可能性はあるわね」

515 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:13:23.78ID:cN8HtB2X.net
にこ「そうまでして……生きていかなきゃいけないのかしらね」(ベッド)

真姫「……」

にこ「そんなんじゃ、生きているというより、まるで機械に生かされているみたいじゃない」

にこ「大体、そんな状態で、痛くないの?苦しくないの?」(ベッド)

真姫(ウルッ)

真姫「そ、そうね。正直、色々と不便には感じるでしょうね」

にこ「知覚は?意識とかはどうなるわけ?」(ベッド)

516 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:13:55.07ID:cN8HtB2X.net
真姫「今と変わらないわ」

真姫「少なくとも当面はね」

にこ「……」(ベッド)

にこ「機械の他に色んな薬だの点滴だのを投与されて、いずれは意識も混濁するのでしょうね」

にこ「最後は……もう、みんなの顔も分からなくなるかも」(ベッド)

にこ「そんなの……いやよ」

517 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:14:51.95ID:cN8HtB2X.net
にこ「そんなんじゃ、生きてても死んでも変わんないわ」(ベッド)

にこ「私はそんな生き方、いえ、そんな死に方耐えられない」

真姫「にこちゃん。それは危険な考え方よ」

真姫「確かににこちゃんの気持ちも分かるけど」

真姫「色んな難病とかで、医学の進歩に一縷の望みを託して、にこちゃんが言うような辛い状況でも
一日でも生きていこうとしている人たちもたくさんいるわ」

真姫「それに、交通事故その他で、仮にそうなったとしても、やっぱり人は生きたいし、その望みを叶えるために医学はある」

真姫「それを、こんなんだから死んだ方がましだ、なんて」(ウルッ)

真姫「命も医学も……台無しじゃない」(ポロッ)

518 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:15:44.05ID:cN8HtB2X.net
にこ「真姫」(ムクッ)

にこ「泣いてるの?」

真姫「ごめんなさい。感情的になってしまったわね」(ハンカチ)

にこ「……」

にこ「あんたの言う通り、人はどんな状況でも生きたいだろうし、生きるべきだと思う」

にこ「けど……にこは弱いのよ」(ベッド)

にこ「どんどん衰弱して、記憶も意識もどんどんダメになって……色んな苦痛や恐怖にさいなまされて、
いずれ、それすらも分からなくなって」

にこ「最後は……機械や看護師に世話されて、息するだけ、いえ、その息すら自分で出来ないなんて」(ベッド)

にこ「辛すぎるわ……それって、悲しすぎるわよ」(ウルッ)

519 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:16:42.33ID:cN8HtB2X.net
にこ「私は、そんな状況とても耐えられないわ」(ベッド)

真姫「……」(ウルウル)

にこ「あんたは私に手術を勧めに来たのね」

真姫「……」

真姫「そうよ」

にこ「でしょうね」(ベッド)

520 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:17:40.07ID:cN8HtB2X.net
にこ「医師として、それが正しい考えなのはとても分かるわ。人間としても」(ベッド)

にこ「けど……にこに取って、それはとても酷な話なのよ」

にこ「弱いわね……私って」

にこ「こんなに自分がダメな娘だとは……思ってもみなかったわ」(ベッド)

真姫「……」(ポロッ)

真姫「ハァ……どうしちゃったんだろう、私」(ハンカチ)

真姫「本当はにこちゃん引きずり出してでも手術台に載せる覚悟だったのに」

真姫「その顔みたら……もう、何も言えないじゃない」(ポロポロ)

521 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:18:11.77ID:cN8HtB2X.net
にこ「絵里を連れてこなかったのも、そうだからでしょ?」(ベッド)

真姫「そうよ」(ハンカチ)

真姫「絵里にはとても耐えられないわ。こんな話」

真姫「……」

真姫「にこちゃん。私」

にこ「……」(ベッド)

真姫「私、私……分かったわ」

真姫「私が責任を取る」

522 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:19:22.46ID:cN8HtB2X.net
真姫「本来ならこうなる前に、にこちゃんに手術を受けさせるべきだった」

真姫「それを情に負けて……結局ラブライブプロまで引っ張ってしまったんだもんね」

にこ「真姫」(ベッド)

真姫「医学の進歩に賭けるわ」(スック)

真姫「私がどうにかする。アメリカの、いえ、全世界の医学情報を読み漁って」

真姫「世界中の名の知れた医師にコンタクトを取って、にこちゃんをどうやったら死なないで直せるのか調べてみる」

真姫「もちろん、にこちゃんの体力の消耗や苦痛を軽減する方法もよ」

523 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:19:54.42ID:cN8HtB2X.net
真姫「それで一日でもにこちゃんの命、延ばしてみる」

真姫「諦めるのは、まだ早いわ」

にこ「あんた」(ベッド)

にこ「そんな事して」

真姫「良い?にこちゃん。私はまだ諦めてはいない」

真姫「にこちゃんの言う通り、手術は悲惨な結果を招く可能性が大きい」

真姫「けど、それで絶望しても仕方ない。そうでしょ?」

524 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:20:30.73ID:cN8HtB2X.net
にこ「そうね」(ベッド)

にこ「真姫。あんたにはいつもいつも苦労かけるわね」

にこ「bibiに入らなかったら、ここまでの思い、しなくても済んだのかもしれないのにね」(ベッド)

真姫「文句があるならにこちゃん治ってからいくらでも言わせてもらうわ」

真姫「とにかく、その線で行くわよ。分かった?」

にこ「あんたに任せるわ」(ベッド)

525 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:21:06.07ID:cN8HtB2X.net
30分後

西木野総合病院

地下駐車場

(グスッ グスッ エグッ)

(グスッ グスッ)

真姫「ヒック グスッ エグッ ヒグッ」(ポロポロ)

(グスッ グスッ)

526 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:22:21.89ID:cN8HtB2X.net
治せるはずなんてなかった

西木野真姫は嘘をついて 矢澤にこの共犯になる事を選んだのだ

医師として親友として 本来やるべき務めを果たせずに

彼女は結局一番残酷な選択をし ひたすら己を責めるしか出来なかった

ラブライブプロに出たいという矢澤にこの望みを叶えるため

結局彼女を死なせてしまうのは自分ではなかったのか?

その思いが彼女を容赦なく責めさいなみ

真姫はこれから一生十字架を背負う事を覚悟しなければならなかったのだ

527 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:23:12.32ID:cN8HtB2X.net
更に数日後 夕方 

都内 西木野総合病院

矢澤にこ個室

絵里「にこ。体調はどう?」

にこ「悪くないわ」(ベッド)

絵里「ごめんなさい。もっと早く来れれば良かったんだけど」

にこ「構わないわ」

絵里「点滴、外れたのね」

にこ「まあね」(ベッド)

にこ「またいつつけることになるか分からないけど」

528 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:23:41.62ID:cN8HtB2X.net
絵里「真姫から聞いたわ」

絵里「手術受けないんだって?」

にこ「受けてももう、どうしようもないみたいなのよ」(ベッド)

絵里「そう」

にこ「真姫は他の方法探してみると言ってたけど、どうなるかしらね」(ベッド)

絵里「そうねえ」

絵里「見つかれば良いんだけどね」

529 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:24:20.27ID:cN8HtB2X.net
絵里「このまま行くと、いつまで大丈夫なの?」

にこ「そうね」(ベッド)

にこ「良くて三カ月ね」

絵里「……」

絵里「覚悟はしていたけど、そんなに」

絵里(絶句)

絵里「……」

530 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:25:01.01ID:cN8HtB2X.net
にこ「けど、延命治療も受けるし、鎮痛剤その他、色々病状の緩和措置はしてもらえるそうよ」(ベッド)

にこ「あんた達の顔すら分からなくなる、なんて事は、多分最後までないわ」

にこ「にこにはそれが一番辛い事だからね」(ベッド)

絵里「……」

絵里「やっぱり、ラブライブプロ前に、あなたを手術させといた方が良かったわ」

絵里「栄光の大舞台の引き換えに、命だなんて」

絵里「いくらなんでも代償が大きすぎるわ」(ウルッ)

531 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:26:14.39ID:cN8HtB2X.net
絵里「今まで仲間としてずっと一緒にやってきたのに」(ウルウル)

絵里「こんな一番大事な時に、何も助けになってやれないなんて」(ポロッ)

絵里「自分が……情けないわ」(ポロポロ)

絵里「クッ……グスッ」(ポロポロ)

にこ「ハァ……とうとう絵里まで泣かせたか」(ベッド)

にこ「本当、私は罪な人間みたいねえ」

にこ「ほい、絵里」(ハンカチ)

絵里「グスッ……ありがとう」(ハンカチ)

532 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:26:48.74ID:cN8HtB2X.net
絵里「ごめんなさい。真姫には絶対涙は見せるなと釘を刺されていたんだけどね」(ハンカチ)

絵里「いざとなると、どうしようもないわね」

にこ「しょうがないわよ。にこに至っては涙すら出ないんだから」(ベッド)

にこ「いまだに信じられない時もあるわ。これ本当にそうなの?夢なんじゃないの?って」

絵里「悪い夢だったら良いのにね」(ウルッ)

にこ「……」

絵里「どうしたの?具合でも悪いの?」

にこ「穂乃果よ」(ベッド)

533 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:27:28.14ID:cN8HtB2X.net
にこ「真姫が来てあんたが来て、多分つぎ来るのはアイツなんだろうなあって」(ベッド)

絵里「実はね。明日見舞いに来るって」

絵里「一人でね」

にこ「この姿は見せたくないわ」(ベッド)

にこ「穂乃果はどこまで知ってるの?」

絵里「そうね。まずテレビとかでおおよその事は分かってる」

絵里「それに……前もって詳しい事情は私の方から伝えといたのよ」

にこ「……」

絵里「ごめんなさい。なんの相談もなしに」

にこ「そっか」(ベッド)

にこ「仕方ないわね。遅かれ早かれそうなるんだから」

534 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:28:43.28ID:cN8HtB2X.net
にこ「しかし、やっぱ見せたくないわ。アイツにこの姿は」(ベッド)

絵里「にこ」

にこ「悔しいのよ。なんだかんだ言って、にこはアイツには叶わない」(ベッド)

絵里「穂乃果が勝ち誇ると思う?心配しているに決まっているじゃない」

にこ「だからイヤなの」

にこ「きっとアイツはこの部屋入って開口一番こう言うでしょうよ(にこちゃん大丈夫?
穂乃果びっくりしたよ)ってね」(ベッド)

にこ「そんでもって、色々私の気を紛らわそうって笑わせたり怒らせたり、みんなの事話したり」(ベッド)

にこ「にこを暗がりから救おうとして来るわ」(ベッド)

535 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:29:24.68ID:cN8HtB2X.net
絵里「にこはそれがイヤなの?」

にこ「違うわ。穂乃果に救われる自分がイヤなの」(ベッド)

にこ「穂乃果はああ見えて人の気持ちを読むのが本当に敏感なのよ。それをどうすれば救えるのかについてもね」

にこ「本能的にそう言う事が出来る娘なの」(ベッド)

にこ「初めて会った時、もうコイツには絶対勝てっこないって、だから分かっていたのよ」(ベッド)

絵里「……」

536 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:30:25.88ID:cN8HtB2X.net
にこ「アイドル研の時もそう。bibi結成の時もそう。そして今も。さすがに癌までは治せなくても
私の心は救われる」(ベッド)

にこ「そしてまた、心の底から感謝するんでしょうねえ。きっと」(シーツに爪)

にこ「私がプロになっても、どれだけ有名になっても、だから私は穂乃果に勝てなかったのよ」(ウルッ)

絵里「……」

にこ「希の前でね。泣いたこともあるのよ。アイドル研をミューズに提供するときにね」

にこ「私が求めても得られなかった理想を、穂乃果は全て、最初から持っていると」(ベッド)

537 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:31:53.96ID:cN8HtB2X.net
にこ「ライバルとして倒すべき存在だったのはアライズのツバサだったけど」(ベッド)

にこ「穂乃果は……本当に恐ろしくて仕方なかったわ」

絵里「……」

絵里「本当にね」

にこ「あ〜あ、結局私は穂乃果には勝てなかったのか」(ガクッ)

にこ「思い残す事と言えば、それだけだわ」(苦笑)

絵里「にこ」(ウルッ)

絵里「おんなじよ」

絵里「私も、穂乃果には叶わないわ」(微笑)

538 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:32:30.35ID:cN8HtB2X.net
翌日 正午

西木野総合病院

矢澤にこ個室

(コンコン)

穂乃果「いやぁ〜、参ったねぇ。ここ本当に広くって何度も迷ったよぉ」(ガララッ)

穂乃果「にこちゃん大丈夫?穂乃果びっくりしたよ」

にこ「……」(ベッド)

にこ「あにしに来たのよ」(ジト目)

539 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:33:20.35ID:cN8HtB2X.net
穂乃果「もちろんお見舞いに来たんだよ」(微笑)

穂乃果「お土産、ここに置くね」(紙袋)

にこ(ジト目)

穂乃果「花瓶のお花、しおれてるね」(花瓶)

穂乃果「新しいのに代えようか?」

にこ「……」

にこ「あんたでもそう言う気配り出来んのね」(ジト目)

穂乃果「ちょっ、それってどう言う意味!?」

540 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:33:59.81ID:cN8HtB2X.net
穂乃果「で、体の方はどうなの?」

にこ「今は安定してるわ」(ベッド)

にこ「後は真姫や絵里達に伝えといた通りよ」

穂乃果「そっか」

にこ「いくら私でも、こればっかりはどうにもなんないわね」

にこ「廃校回避もラブライブも、プロデビューもなんとかなったけど」(ベッド)

にこ「さすがに癌は、にこには荷が重いわ」

541 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:34:42.82ID:cN8HtB2X.net
穂乃果「まだそうとは限らないよ」

にこ「あんたね。医師や専門家がもう無理とさじ投げてるのよ」(ベッド)

穂乃果「えー?諦めないでファイトだよ」

にこ「無理だっての」(ベッド)

穂乃果「こんなんで諦めるなんてにこちゃんらしくないよー」

にこ「いくら私でも、不治の病とどうやって戦えって言うのよ」(ベッド)

穂乃果「根性でさ」

にこ「あんた。他人事だと思って、適当な事言ってんでしょ」(ベッド)

542 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:35:30.54ID:cN8HtB2X.net
にこ「いい?鬱の人にもっと頑張れって励ますのは逆効果だそうよ」(ベッド)

穂乃果「えー?でもにこちゃんには頑張ってもらわないと、穂乃果が困るんだよ」

にこ「なんであんたがそんなに困るのよ?」

穂乃果「喧嘩相手がいなくなるじゃんか」

穂乃果「穂乃果に取っては大問題だよ」

穂乃果「もぅ」(ムスッ)

にこ「私はそんなんためだけに、生かされなきゃいけないのか」(ベッド)

にこ「いーかげんになさいよねぇ?」(ジト目)

543 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:36:01.55ID:cN8HtB2X.net
穂乃果「あ、そうだ。おみやげ開けよっか」(紙袋)

にこ「……」(ベッド)

にこ「あによ、それ」(ジト目)

穂乃果「ほのまんだよ」(紙皿)

穂乃果「食べるでしょ?」

にこ「食べないわよ」(ベッド)

544 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:36:58.99ID:cN8HtB2X.net
穂乃果「えー?何で?」

にこ「あんたね。今の私に、油と砂糖と卵のかたまりみたいなもん食わせる気か」(ジト目)

穂乃果「良いじゃんか。美味しいし、栄養豊富だよ」(ほのまん)

穂乃果「にこちゃんも好きだったじゃんか」

にこ「医者に止められてんの」(ベッド)

穂乃果「いーじゃんか一個くらい」

穂乃果「言わなきゃバレないってえ。ほら」(ほのまん)

545 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:38:07.93ID:cN8HtB2X.net
穂乃果「はい、あーんして♪」(ほのまん)

にこ「あんた、殺す気!?」(ベッド)

穂乃果「にこちゃんは神経質過ぎなんだよ」

にこ「末期の癌患者に言う事か?それが」(ギロッ)

にこ「てかもう帰んなさいよ」

穂乃果「なにさ、せっかくお見舞いに来てあげたのに」(ムスッ)

穂乃果「せめて一個くらい食べなってば」

穂乃果「ほら」(ほのまんグリグリ)

546 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:38:39.41ID:cN8HtB2X.net
にこ「ムググ……こらぁ、いい加減になさいぃぃ」(頬にほのまんグリグリ)

にこ「ナースコールするわよぉ?」(ボタン)

穂乃果「ゴメンゴメン。もう帰るよ」(苦笑)

穂乃果「でも、元気そうな姿が見れて良かったよ」(スック)

にこ「あんたのせいで少し寿命が縮んだ気がするけどね」(涙目)

穂乃果「また来るよ」(スタスタ)

穂乃果(ガラララッ)

547 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:39:05.85ID:cN8HtB2X.net
穂乃果「あ、そうだ。明日はことりちゃんが来るからさ」(クルッ)

にこ「!?」(ベッド)

にこ「ことり……ことり!?」

にこ「何で?」(ベッド)

穂乃果「今夜アメリカから帰ってくるんだよ」(ドア横)

にこ「何でわざわざ」(ベッド)

穂乃果「決まってるじゃんか。ミューズだからだよ」

にこ「仕事あるでしょうが」

548 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:39:48.23ID:cN8HtB2X.net
穂乃果「今回はことりちゃんが自分の意思で戻って来るんだよ」(微笑)

にこ「なによそれ」(ベッド)

にこ「こんな時にライバルに先越されでもしたら」

穂乃果「……」

穂乃果「じゃ、よろしくね」

(ガラララッ)


にこ「……」(ベッド)

にこ「やっぱ叶わないわね」(苦笑)

549 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:40:28.01ID:cN8HtB2X.net
翌日 午前

西木野総合病院 屋上

にこ「まったく、昨日は死ぬかと思ったわよ」(車椅子)

ことり「そうだったんだ。ゴメンね」(苦笑)

にこ「しかし、良い天気ねえ」

にこ「さすがに9月にもなると、暑さも和らぐわ」(車椅子)

にこ「……」

(そよ風)

にこ「良い風ねえ」

ことり「……」

550 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:40:58.47ID:cN8HtB2X.net
ことり「にこちゃん」

にこ「ん?」(車椅子)

ことり「足の方は」

にこ「なんともないわよ」

にこ「医者の方でね。少しでも体力の消耗を防ぐ必要があるからって」(車椅子)

にこ「そのくせ、毎日30分、リハビリ室で運動させられるのよ」

にこ「良くわかんないわねえ」(車椅子)

551 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:42:27.59ID:cN8HtB2X.net
ことり「そうだったんだ」

ことり「ことりも、小さいころ事故にあって、いまだに脚の傷跡が消えてないんだ」

ことり「だからそれがイヤでイヤでね。スカートもロングしかはけなかったんだよね」

にこ「そう言えばそんな事言ってたわね」(車椅子)

(そよ風)

にこ「そう言えば、お礼忘れてたわね」

にこ「あんたが寄越してくれたラブライブプロの衣装、素晴らしかったわよ」(車椅子)

にこ「最初にこれ見た時、私絶対これ着て踊りたいって思ったもん」

552 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:43:15.88ID:cN8HtB2X.net
ことり「それほどでも♪」(照れ笑い)

にこ「あんたはこれからデザイナーとしてぐんぐん伸びるんでしょうねえ」(車椅子)

ことり「……」

にこ「私に悔いがあるとすれば」

にこ「もう少しあんたの衣装着て踊りたかったわよねえ」(車椅子)

ことり「にこちゃん」

(ヒュウゥゥゥ)

にこ「風が強くなって来たわね。戻りましょ」

にこ「ことり。悪いけど押してくれる?」(車椅子)

ことり「うんっ♪」

553 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:43:49.22ID:cN8HtB2X.net
病棟内

矢澤にこ個室

ことり「剥けたよっ♪」(お皿にリンゴ)

にこ「あら、ありがとう」(リンゴ)

にこ「穂乃果とは大違いねえ。昨日はよりにもよって、あげまんじゅう食わせようとしたんだから」(シャリシャリ)

ことり「あらあら♪」

にこ「本当、私に怨みでもあるのかと思ったわよ」(ベッド)

554 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:44:51.01ID:cN8HtB2X.net
にこ「けど、本当にあんたはすごいわねえ」(ベッド)

にこ「ミューズの時さ、私、あんたの役回りが、なんかね。腑に落ちなかったのよ」(リンゴシャリシャリ)

にこ「アイドルやってんのに、何で前に出ようとしないんだって」

にこ「衣装づくりを手伝った時もそう。こんな面倒な仕事ばっかり引き受けて、しかも全然目立てない」(ベッド)

にこ「これで不満一つ抱かないのはおかしいんじゃないかって」

にこ「けど、プロになってようやく分かったのよ」(ベッド)

にこ「そう言う役回りがないと、舞台に立つ人間は何にも出来ないって」(リンゴシャリシャリ)

555 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:45:33.33ID:cN8HtB2X.net
にこ「ヒデコ達にもそう。にこはね。裏方に徹するくらいなら、自分で前に出てみなさいよって
ミューズの時からずっと思ってたの」(ベッド)

にこ「けど卒業して、プロ目指して、絵里と2人、自分たちで全部やらなくちゃいけなくなって、なかなか上手くいかなくてさ」

にこ「そんとき本当に思い知らされたわ。私、みんながいないとまるでダメじゃん、って」(ベッド)

にこ「だからうんざりするほどバチは受けたわ」(苦笑)

ことり(微笑)

にこ「もし悪く思ってたら謝るわ」(ベッド)

556 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:46:37.00ID:cN8HtB2X.net
にこ「にこはバカなのよ。バカだから最初のアイドルグループも潰してしまったし、希も泣かせ、絵里も泣かせ、真姫まで泣かせ
散々苦労かけてきたわ」(リンゴ)

にこ「穂乃果やツバサ達に助けてもらったからこそ今があるって言うのにさ。いまだに素直に感謝の言葉ひとつ口にできない」(ベッド)

にこ「おまけにあんたにまで失礼な事言ってしまった」

にこ「よくこんなんで……見捨てられなかったものよねえ」(ベッド)

ことり「にこちゃん」

ことり「にこちゃんを助けた人たちは、みんなそんな風に思ってなんかないよ」

ことり「私を含めてね」(微笑)

557 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:47:28.66ID:cN8HtB2X.net
ことり「私は、にこちゃんや穂乃果ちゃんみたいな人がうらやましかったよ。自分で道を切り開くなんて
私には、とてもそんな勇気なんてない」

ことり「大きな犠牲が出るのは分かってるからって、最初の一歩を踏み出せない」

ことり「誰かに引っ張ってもらうか、後押ししてもらわなければ、そう言う事は絶対に無理」

ことり「最初はね。だからとっても卑屈な気持ちにもなったんだよ。だからお母さんに内緒でメイド喫茶で働いたりして
なんとか変わろうともした」

ことり「でも、結局出来なかった」

にこ「……」(ベッド)

558 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:48:05.40ID:cN8HtB2X.net
ことり「でもね。最近は、私みたいな人間がいても良いんだ。私みたいな人間を必要としている人もいるんだってね」

ことり「ようやくそう思えるようになって来たんだよ」

ことり「私が作った衣装で、こうしてにこちゃん達が喜んでくれるしね」

ことり(微笑)

にこ「ことり」(ベッド)

にこ「そうね」(微笑)

559 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:48:41.37ID:cN8HtB2X.net
夕方

にこ「今日はあんたとゆっくり話せて本当に良かったわ」(ベッド)

ことり「ごめんねにこちゃん長居しちゃって、迷惑じゃなかった?」

にこ「そんな事ないわよ」

にこ「それよりあんた。年内はずっと日本にいるって本当なの?」(ベッド)

ことり「うんっ。穂乃果ちゃん達の所に滞在するよ」

にこ「大丈夫なの?」(ベッド)

にこ「仕事、忙しいんでしょ?」

560 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:49:07.15ID:cN8HtB2X.net
ことり「仕事なら、こっちでも出来るよ」

ことり「東京には色々あるからね」

にこ「ならいいけど」(ベッド)

ことり「じゃあねにこちゃん。また来るよ」

ことり「あ、そうだ。明日は海未ちゃんが来るんだ」

にこ「海未が?」(ベッド)

ことり「てか、輪番制みたいになると思う」

にこ「?」

561 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:49:46.93ID:cN8HtB2X.net
ことり「1人1日ずつで、ミューズだと、9日で一巡だよね」

にこ「……」(ベッド)

ことり「あと雪穂ちゃんやヒデコちゃん達も加わると思うから、人数はもう少しふえるだろうね」

にこ「誰の発案よ」(ベッド)

ことり「穂乃果ちゃんだよ」

にこ「あいつめえ」(ジト目)

ことり(苦笑)

562 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:50:12.63ID:cN8HtB2X.net
翌日 朝9時

西木野総合病院 

矢澤にこ個室

(コンコン)

海未「失礼します」(ガララッ)

にこ「……」(ベッド)

にこ「随分早いわね」(目ショボショボ)

にこ「ま、なんとなく海未らしいけど」(ベッド)

563 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:50:50.76ID:cN8HtB2X.net
海未「早すぎましたか?」

海未「実は、早朝からうかがおうとも思ったのですが、そんなに早く面会は出来ないと」

にこ「どんだけ朝型なのよ」(ベッド)

海未「体の方はどうですか?」

にこ「今はまだマシよ」(ベッド)

にこ「これからどうなるか分からないけどね」

海未「そうですか」

564 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:51:34.39ID:cN8HtB2X.net
海未「私はてっきり、ミューズではにこが一番長生きしそうな気がしてたんですが」

にこ「何で?」(ベッド)

海未「健康にも美容にもうるさいですし」

にこ「まあ、遺伝らしいしねしょうがないわね」(ベッド)

海未「家族の方も?」

にこ「父方の家系がね。みんな癌で死んでるのよ」

にこ「50まで生きられた人は、数えるほどしかいないんだって」(ベッド)

海未「なんと」

565 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:52:19.93ID:cN8HtB2X.net
海未「今のその……先進医療とかでなんとかならないのですか?」

海未「真姫は何て言ってます?」

にこ「それがね。ここが日本で一番癌に関しては先進的な病院で」(ベッド)

にこ「私はここの医師にすらさじをなげられた患者なのよ」

にこ「まったく、私、どこまで突き抜けてるのよお」(苦笑)

海未「……」

にこ「私より心配なのは、妹達よ」(ベッド)

にこ「にこに続いてみんな若死にとか、救いようのないにも程があるわ」

にこ「それだけはなんとかしないとね」(ベッド)

566 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:53:02.90ID:cN8HtB2X.net
にこ「あんたも社会人になったのよね」(ベッド)

海未「はい。旅行代理店に勤めています」

にこ「ああ、最近色々テレビで取りざたされてる所ね」(ベッド)

海未「そこではありません」

にこ「道場は継ぐの?」

海未「そうですね。もう少し社会人経験を積んでからの話になると思いますけど」

海未「その前に私には姉がいますからね」

にこ「ああ、そうだったわね」(ジト目)

567 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:53:43.19ID:cN8HtB2X.net
にこ「あんたのお姉さん、相当なやり手だからねぇ」(ベッド)

にこ「いっつもすっとぼけてるけど、本当、抜け目なかったわ」(ベッド)

にこ「芸能界でも五指に入る敏腕マネージャーよねぇ」(ベッド)

にこ「まあけど、bibiがここまで伸びたのも、彼女の力あってこそだから、感謝はしないといけないんだけどね」

海未「そう言っていただけると光栄です。はいっ」(破顔)

568 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:54:22.63ID:cN8HtB2X.net
にこ「ニートぉ?」(ベッド)

にこ「あんたの姉が!?」

海未「お恥ずかしい話ですが」(苦笑)

海未「大学卒業後、定職に就かず、色んな職を転々として」

海未「まあ、ろくに働かない生活が3年ばかり続きまして」

海未「それで親に勘当同然に追い出されたのです」

にこ「意外よねぇ」(ベッド)

にこ「いや……言われてみればそんな気もして来たけど」(ベッド)

569 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:54:56.06ID:cN8HtB2X.net
海未「それで、どう言うつてかは知りませんが、ウチの事務所に来ないか、と今の大御所に拾ってもらいまして」

にこ「なるほどねぇ」(ベッド)

にこ「ふっふっふ、これは面白い事を聞かせてもらったわ」(黒い笑い)

海未「しかし、今だに信じられません」

海未「にこは全然元気そうなのに」

にこ「延命治療が効いてるんでしょうね」(ベッド)

570 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:55:29.72ID:cN8HtB2X.net
にこ「けど、こうしてあんたらとしっかり話せるのも、もってあとひと月でしょうよ」(ベッド)

にこ「真姫はもう少し伸ばして見せると言ってくれてるけど」(ベッド)

海未「そんな」

にこ「けど、今日はあんたで良かったわ」(ベッド)

にこ「絵里と真姫は泣いちゃうし、穂乃果やことりはやっぱあれでしょ?」

にこ「なんだかんだ言って、私の事気遣ってくれるんだけどさ」(ベッド)

にこ「その優しさがかえって辛く感じる時もあってねえ」(ベッド)

571 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:56:08.98ID:cN8HtB2X.net
にこ「だから、あんたみたいにいつも通り普通に話を聞いてくれると、なんだかホッとするわ」(ベッド)

にこ「贅沢な悩みよねえ。世の中にはたとえ死んでも誰にも看取ってもらえない人もたくさんいるのにさ」

にこ「私には、こんなに心配してくれる人達がいるってのに」(ベッド)

にこ「こんなんだから、にこはダメなのよねえ」

にこ「よくもまあ、穂乃果や絵里達も、私なんかを見捨てないでくれたものだわねえ」(ベッド)

海未「そんな事はありません」(苦笑)

海未「穂乃果だって相当わがままです。私も何度見捨てようとした事か」

572 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:57:35.17ID:cN8HtB2X.net
にこ「あんたが?」

にこ「あんたが見捨てたら、穂乃果終わりじゃない」(ベッド)

海未「そうです。だからなんだかんだ言って、見捨てるに忍びずに今日まで来てしまったのですよ」(苦笑)

海未「まあ腐れ縁ですよね。スクールアイドル始めた時も、私は反対したのに強引に押し切られて」

海未「あの時は、本当、怨みもしましたしね」

海未「穂乃果は基本、自分では何にもしませんよ。何も出来ないから、結局、私やことりがなんとかしなきゃって事になるのです」

海未「それと比べれば、自分でどうにかしようとするにこの方が立派です。はいっ」(破顔)

にこ「あんた達がしっかりしてるのは、そう言う事だったのね」(ベッド)

573 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:58:04.80ID:cN8HtB2X.net
正午

海未「すみません、大した事も出来ないで」

にこ「いいのよ。話聞いてもらっただけでもありがたいわ」(ベッド)

海未「私に、癌を直せる力があれば良いのですが」

にこ「こればっかりはどうにもなんないわ」(苦笑)

海未「けど、にこは立派ですね。いろいろ辛いでしょうに全然諦めてない」

にこ「諦めてるわよ」(ベッド)

海未「顔つきがそうではありません」

海未「そう言う所、にこらしくて安心しましたよ」(微笑)

574 :名無しで叶える物語:2017/05/18(木) 23:59:55.90ID:cN8HtB2X.net
海未「それでは私はいったん帰ります。また今度」

海未「あ、そうだ。明日は凛が来ますから、よろしく」

にこ「凛!?」(ベッド)

海未「はい。にこの事、すごく心配していましたよ」

にこ「凛かぁ」

海未「それではお大事に」

(ガラララッ)

(ガララッ)

にこ「……」(ベッド)

にこ「これは明日は個室中水びだしになるわね」



今夜はここまで

また明日夜に落とします

575 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 00:02:20.88ID:OWFyg681.net
ただただ乙

576 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 00:02:21.54ID:7JkiXISP.net
乙乙乙乙

577 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 00:02:26.22ID:CCJ3ZBHq.net


578 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 00:07:34.24ID:Xql+2wH8.net
もう完結してるのでしょうが今は何も言わずに続きを読ませていただきます

579 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 05:40:29.09ID:BZdM6Ufz.net
このシリーズ最初から読んでるけどすんげー長いな
最近長編少ないからいいけど

580 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 17:21:45.50ID:i4XEY9VD.net
優勝できなかったのかよ

581 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:01:24.36ID:ULigE5dC.net
再開

翌日 午後

西木野総合病院

矢澤にこ個室

(コンコン)

(ガララッ)

凛「にこちゃんお久しぶり。凛だよ」

にこ「ああ凛。良く来たわね」(ベッド)

凛「お体の方は、大丈夫かにゃ?」

にこ「まあまあよ」

582 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:02:12.90ID:ULigE5dC.net
凛「にこちゃん。全然変わんないねえ」

にこ「まあ、色々先進的医療みたいなもの受けてるからね」(ベッド)

凛「治るの?」

にこ「まさか。そんなに甘くないわよ」(苦笑)

にこ「にこが受けてるのは症状の進行を遅らせて、それによる苦痛や心身の機能の衰弱を出来るだけ軽減する治療なのよ」(ベッド)

にこ「直すには全摘手術しかないし、それすらももう、にこの体力が持たなくて出来ない」(ベッド)

にこ「延命してもらってやっとこのレベルよ」(ベッド)

凛「そうなんだね」

583 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:03:02.49ID:ULigE5dC.net
凛「にこちゃん。まだ若くて、こんなにきれいなのに」(ウルッ)

凛「そんな重い病にかかって、いつ死ぬか分からないなんて」(ウルウル)

凛「そんなの、酷すぎるよ……あんまりだよ」(ポロッ)

凛「あんまりすぎるよお」(ポロポロ)

凛「神様はなんで助けてくれないんだにゃあ」(ボロボロ)

凛「もぅ、ばかぁ」(ボタボタ)

凛「グスッ……グスッ……ふえぇぇ〜ん」(ボロボロ)

にこ「だーっ、しょっぱなから泣くんじゃないわよ」(ベッド)

にこ「やっぱこうなると思ってたわもう」(ベッド)

584 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:03:33.78ID:ULigE5dC.net
にこ「ほら」(ハンカチ)

凛「ふえぇ……ありがとう」(ハンカチ)

凛「ごめんねにこちゃん」

凛「自分でもまさか玄関開けたら2分で泣き出すとは思っても見なかったにゃあ」(ハンカチフキフキ)

にこ「まあ、あんたらしいと言えばあんたらしいけどね」(ベッド)

にこ「あんたも来年卒業でしょ?」(ベッド)

凛「そうだよ」

凛「先生になるんだよ」

585 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:04:02.32ID:ULigE5dC.net
にこ「そう」(ベッド)

凛「小学校のね。体育を教えるんだ」

にこ「適職じゃない」(ベッド)

にこ「そっかあ。あんたもいよいよ社会人かあ」(ベッドで伸び)

にこ「あんたならきっといい先生にきっとなれるわよ」(ベッド)

凛「ありがとう」

586 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:04:33.20ID:ULigE5dC.net
凛「けどにこちゃん本当に、いつもと変わんないにゃあ」

凛「ベッドにいる以外、全然健康そうなのに」

にこ「そうね。けど、こうしていられるのも、あとひと月かふた月か」(ベッド)

凛「!」(口に両手)

凛「そうなんだ……ごめんにこちゃん」

凛「凛酷い事聞いちゃったね」

587 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:05:03.47ID:ULigE5dC.net
凛「凛が立派な先生になった所、にこちゃんに見てもらいたいって思ってたのに」(ウルッ)

凛「それすらも間に合わないなんて」(ウルウル)

凛「いくらなんでもそんな話ないにゃあ」(ポロッ)

凛「いやだよにこちゃん……そんなに早く行かないでよぉ」(ポロポロ)

凛「せめて半年くらい時間があってもいいじゃんかあ」(ボロボロ)

にこ「……」(ジト目)

588 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:05:57.88ID:ULigE5dC.net
凛「そんなにこちゃんの事、なんも考えずに、自慢話みたいな事したりして、凛は本当にバカなんだにゃあ」(ボタボタ)

凛「ふえぇぇ〜ん、凛のばかぁ」(ボロボロ)

にこ「……」(ベッド)

にこ「こっちが泣きたいわ」(ジト目)

凛「ふえぇ……ごめんねにこちゃん。2回も泣いちゃって」(ハンカチ)

凛「年のせいかな……凛すっかり涙もろくなったみたい」(ハンカチフキフキ)

にこ「しょうがないわよ。にこに至っては、あまりの事態でいまだに涙すらでないんだから」(ベッド)

にこ「ここまでになるまで、1年足らずだからねえ」

にこ「本当、どうしてこんな風になってしまったのか」(ベッド)

589 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:07:28.57ID:ULigE5dC.net
凛「あ、そうだにこちゃん。なんか作ってあげようか」

にこ「あんたが?」(ベッド)

凛「ラーメンだよ」(ビニール袋)

にこ「良いけど……看護師が認めるものしかダメよ?」(ベッド)

凛「許可はもう取ってあるにゃあ」

凛「待ってて。給湯室にコンロあったから」(スタスタ)

590 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:07:57.25ID:ULigE5dC.net
10分後

凛「お待たせにゃあ」(お盆)

にこ「……」(ベッド)

にこ「本当にラーメンね」

凛「さ、召し上がれ」(食事台)

にこ「……」(ムクッ)

にこ「……」(箸)

ラーメン(食事台)ホカホカ

591 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:08:51.55ID:ULigE5dC.net
にこ「……ん〜、あっさりしてて美味しいわねぇ」(ズルズル)

凛「でしょ?」

にこ「あんたの事だから、豚骨とか作って来るかと思ってたわ」(箸)

凛「看護師さんのアドバイスでね。かん水とか、刺激になるものは入れてないにゃあ」

凛「なんちゃってラーメンだね」

にこ(ズルズル、ズルズル)

にこ「ふぅ……美味しかったわ」(完食)

にこ「ごちそうさまでした」(ベッド)

食事台(空のどんぶり)

592 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:09:49.62ID:ULigE5dC.net
にこ「ふぅ……こんなに食欲出たのは久しぶりよ」(ベッド)

凛「喜んでくれてうれしいにゃあ」

にこ「みんなからこんなに良くしてもらえるなんて、にこは果報者ねえ」(ベッド)

凛「ねえ、にこちゃん。こんな事聞いて良いのか分かんないけど」

凛「辛くないの?苦しくないの?」

凛「私だったら、まだまだ若いのに死んじゃうなんて、怖くて耐えられなくて
きっと毎日泣いちゃうよ」

凛「これからやりたい事だって、まだまだあるのに」

凛「結婚すら、していないのに」

にこ「……」(ベッド)

593 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:10:30.49ID:ULigE5dC.net
凛「ごめんにこちゃん。変な事聞いて」

凛「凛はバカだから、空気読むって事が出来ないみたい」

にこ「良いのよ」(微笑)

にこ「そうね。あんたの言う通りよ」(ベッド)

にこ「私だって、そりゃ死ぬのはイヤよ。病状の進行に不安を抱くのも当たり前よ」

にこ「こうして平然としていられるのも、今は病状緩和治療が上手く行ってるのと、まだ自分が
現実を良く理解していないからだと思う」(ベッド)

にこ「でなかったら、にこだってきっと、ジタバタして泣き叫んでるわよ」

594 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:11:40.07ID:ULigE5dC.net
にこ「それにまあ、そうねえ。にこはアイドルだから」(ベッド)

にこ「ファンのみんなに見苦しい姿は見せたくないの」

凛「……」

凛「やっぱにこちゃんは凄いよ」

にこ「いいえ。自分のためよ」(ベッド)

にこ「だって悔しいじゃないの。矢澤にこが心で泣いてもみんなの前では笑顔でいなさいとか
自伝とかで偉そうに能書きたれてたのにさ」

にこ「それを、土壇場になってさ。自分で覆して、やだやだ死にたくない不幸だなんて嘆いたりするの」(ベッド)

595 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:13:20.45ID:ULigE5dC.net
にこ「そんな事して、みんなから失望されたり嘲笑されたりしたら、そっちこそにこは耐えられない」(ベッド)

にこ「そんな事になったら、本当、いままでやってきた意味がないじゃない」(ベッド)

凛「にこちゃん」

にこ「にこはね。最後までアイドルでいたいの」(ベッド)

にこ「たとえこんなになってしまっても、私はアイドル。みんなの矢澤にこなのよ」

凛「……」

596 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:14:02.54ID:ULigE5dC.net
夕方

凛「じゃあ、今日は帰るね」

凛「にこちゃん。無理しないでね」

にこ「ええ、ありがとう」(ベッド)

凛「凛も泣き虫直さなきゃなあ」

にこ「良いわよ。私が笑ってあんたが泣く。つり合い取れてるじゃないの」(微笑)

にこ「先生、頑張んなさいよ」

凛「うん、ありがと」(笑顔)

597 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:14:39.96ID:ULigE5dC.net
凛「あ、そうだ。にこちゃん。明日かよちんが来るからね」(ドア横)

にこ「ああ、花陽ね」(ベッド)

凛「かよちんますます綺麗になったよ」

凛「にこちゃんきっと驚くにゃあ」(ドア横)

にこ「そうね……楽しみだわ」(ベッド)

凛「じゃね」

(ガララッ)

にこ「……」(ベッド)

にこ「本当、楽しみよねぇ」

598 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:15:11.55ID:ULigE5dC.net
都内 午後

西木野総合病院

矢澤にこ個室

(コンコン)

(ガララッ)

花陽「失礼します」

にこ「……」(ベッド)

花陽「にこちゃんお久しぶり」

にこ「……」(ベッド)

599 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:15:44.43ID:ULigE5dC.net
花陽「体は大丈夫?」

にこ「あんた……また一段と綺麗になったわねぇ」(ベッド)

にこ「髪、前よりも伸ばしたんだ」

花陽「あぁ、これはぁ……美容院に行かなかっただけだよ」

にこ「惚れ惚れするわ」(ベッド)

にこ「こりゃ男が放っとかないわね」

花陽「そんなぁ……事ないよ」

花陽「全然告白とかされないし」

600 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:17:21.49ID:ULigE5dC.net
にこ「そりゃ、男から見たら、今のあんたはもう高値の花なんでしょうよ」(ベッド)

花陽「にこちゃん褒めすぎだよぉ」

にこ「いいえ。容姿に関しては、女の方が見る目が厳しいものよ」(ベッド)

にこ「その女から見ても非の打ち所がないんだから、あんた、完璧よ」

花陽「ダレカタスケテェ><」

にこ「あんたも来年で卒業よね?」(ベッド)

花陽「まあね」

花陽「卒論で忙しくて、髪切るのが遅れたのも、そのせいなんだよ」

601 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:18:21.40ID:ULigE5dC.net
にこ「就職するんでしょ?」(ベッド)

花陽「うん、まぁ……一応……ね」

にこ「どこに?」(ベッド)

花陽「ぴゃっ!?え、ええとぉ……色々だよぉ」

にこ「色々ってなによ?」

花陽「ええとぉ……そうだねぇ」

花陽「外資系に自動車販売に、デパートにぃ……それとぉ」

花陽「公務員」

にこ「……」(ジト目)

602 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:18:55.76ID:ULigE5dC.net
にこ「あんたね。全然一貫性ってのが見受けられないんだけど」(ジト目)

にこ「ちゃんと計画的に就活したのぉ?」(ベッド)

花陽「ち、ちゃんとやったよ」

花陽「だからこそ、どこに落ちても大丈夫なようにぃ、公務員受けたんだし」

にこ「……」(ベッド)

にこ「確かに公務員が一番危なげないけど」(ベッド)

603 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:20:19.84ID:ULigE5dC.net
にこ「とは言え、にこが偉そうにアドバイス出来る立場でもないけどねえ」(ベッド)

にこ「やりたい事やって、ムチャクチャ犠牲出して、周りに迷惑かけて、危ない思いまでして、
なんとか成功したとは言えるけど」(ベッド)

にこ「他人にお勧めできるか?と言えば、そりゃ無理な話よねえ」

にこ「その点、あんたの方がはるかにしっかりやれるんでしょうよ」(ベッド)

花陽「まあ、花陽にはにこちゃんの真似なんか無理だよ」(苦笑)

花陽「花陽は内気だし、臆病だし、競争も苦手だし」

花陽「誰かに先んじて自分の道を切り開くなんて」

花陽「そんな気概も才能も」

604 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:21:36.64ID:ULigE5dC.net
にこ「そうかも知れないわね」(ベッド)

にこ「けど、それは言わば、創業者に求められる資質でしょ?」(ベッド)

花陽「創業者?」

にこ「自分で何かを始めた人の後には、それを引き継ぐ人間が必要でしょ?」(ベッド)

花陽「それってぇ、二代目って事?」

にこ「仮に誰かが道を作ってもね。それを整備し改良し、誰でも利用できるようにする人がいないと
結局はすたれる」(ベッド)

605 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:23:28.86ID:ULigE5dC.net
にこ「初代と比べれば地味かも知れないけど、不可欠な役目なのよ」(ベッド)

にこ「にこはこの通り計画性もないし、堅実でもないし、おまけに頭も弱い」

にこ「だから私には無理な話よね」(ベッド)

花陽「……」

にこ「にこの人生、なにか成し遂げた事があるかと聞かれたら、既得権益で硬直化した日本の芸能界にね」

にこ「スクールアイドル出身者でもこれだけの事が出来ると証明し、大きな風穴を開けた事」(ベッド)

にこ「そして、アイドル競演の場としてラブライブプロを確立し、それまでの紅白等に代表される古い体制から、
若いアイドル達に自由と活躍の機会を与えられた事よ」(ベッド)

にこ「アライズや九段下02達と一緒にね」

花陽「……」

606 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:24:24.16ID:ULigE5dC.net
にこ「けど、この流れも私がいなくなったら廃れるかも知れない」(ベッド)

花陽「そうだね」

花陽「にこちゃんやbibiがなくなったら、アライズと弥生ちゃん達しかいなくなるもんね」

花陽「もしそうなったら、守旧派の巻き返しも、十分あり得るよね」

にこ「そうなったらね。せっかくここまで盛り上がった芸能界解放の動きも、頓挫する」(ベッド)

にこ「今プロを目指して頑張っている、スクールアイドルの娘達の夢が奪われる危険もある」(ベッド)

607 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:25:59.81ID:ULigE5dC.net
にこ「ミューズの時もそうだったでしよ?サラブレッドでもなんでもない、ごく普通の女子高生達が
一つの目的のために立ち上がり、奇跡を起こした」(ベッド)

にこ「それが、金銭と利権としきたりで幾重にも規制され、実質ごく一部の娘か
ごく一部の有力者に認められた娘しかデビューもままならないとしたら、どうよ?」(ベッド)

花陽「夢がないよね。それって」

花陽「私だったら、最初からあきらめているよ。絶対に」

にこ「一部の業者や人間達で仕事や機会を独占し配分し、権益集団を作って、
新たにチャンスを求める娘達を理不尽に排除する」(ベッド)

にこ「そんなのイヤでしょ?」

608 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:27:22.10ID:ULigE5dC.net
にこ「最近文科省がうるさいでしょ?いやしくも学生たる身で大勢の前でタレント気取りとはけしからんと」(ベッド)

にこ「あによ。最初の頃はラブライブを支援して、単位まで出していたくせに」(ベッド)

にこ「裏で既得の業者が圧力かけてんのよ」

花陽「文科省に?」

にこ「役所にもスクールアイドル反対派がいるでしょ?そこに働きかけてるんですって」(ベッド)

にこ「にこにもう少し元気があったらなぁ」

にこ「霞が関にでもどこにでも乗り込むんだけどねぇ」(ベッド)

花陽「そ、そうだね」

花陽「けどぉ、にこちゃんだと、また一波乱になりそうだけど」(苦笑)

609 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:28:25.67ID:ULigE5dC.net
にこ「にこに思い残す事があるかと聞かれれば、だからそう言う事なのよ」(ベッド)

にこ「自分で、自分たちで切り開いた道が、すぐに雑草まみれになるなんて」(ベッド)

にこ「死ぬ以上に辛いわ」

花陽「にこちゃん」

にこ「こういう時穂乃果が立ち上がってくれたらねえ。けど」(ベッド)

にこ「今や銀行員でしょ?まさか今更路線変更するわけもないし」

にこ「こればっかりは仕方ないわねぇ」(ベッド)

花陽「……」

610 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:28:50.67ID:ULigE5dC.net
花陽「にこちゃん。こんな時に不謹慎かも知れないけど」

花陽「アライズがね」

にこ「アライズが?」(ベッド)

花陽「解散の危機なんだって」

にこ「……」(ベッド)

花陽「方針を巡って、酷い対立があるみたい」

611 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:29:21.14ID:ULigE5dC.net
花陽「なんでも、ツバサちゃんがユニットのスタイルとか練習法とか曲までもいきなり全部かえちゃったんだって」

花陽「独断でね」

にこ「それで、残る2人は不満なわけだ」(ベッド)

花陽「特に英玲奈ちゃんはかなり険悪らしくて」

花陽「脱退するかも知れないって」

612 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:30:25.74ID:ULigE5dC.net
にこ「あによ。それ」(ベッド)

にこ「こんな時にアライズまで潰れちゃったらおしまいじゃない」

にこ「ツバサももう少し賢い娘だと思ってたんだけどなあ」(ベッド)

花陽「……」

花陽「それだけにこちゃんが怖かったんだよ」

花陽「あの時のbibiの、にこちゃん達の追い上げ、凄まじかったもん」

花陽「誰が見ても、アライズが玉座から陥落するのは時間の問題だったからね」

613 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:31:18.03ID:ULigE5dC.net
夕方

にこ「今日は色々と話が出来て良かったわ」(ベッド)

にこ「やっぱあんたとだとディープな話がはかどるわ」(微笑)

花陽「よろこんでくれて良かった」

花陽「実は私もぉ、にこちゃんと話がしたくてしょうがなかったよ」

花陽「こう言う話、他の娘とはなかなか出来ないし///」

にこ「そう。また来て良いのよ」(微笑)

花陽「もちろんだよ」

花陽「にこちゃん。お大事にね」

614 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:31:35.41ID:7JkiXISP.net
あによー

615 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:32:07.63ID:ULigE5dC.net
にこ「花陽」(ベッド)

花陽「?」

にこ「にこはあんた相手だと、ついつい話し込んじゃうし、本音も出る」(ベッド)

にこ「だから知らないうちにあんたを困らせたり、悩ませる事も言っちゃってるかも知れない」(ベッド)

花陽「そんな事ないよ」

にこ「けど、にこと違ってあんたは優しいし、多くの人に好かれ、信頼もされるわ」(ベッド)

にこ「にこにはとても真似できない、そこがあんたの強みよ」

616 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:33:48.66ID:ULigE5dC.net
にこ「あんたなら、どこの世界に行っても、きっと私よりも上手くやれるし、
私よりもずっと大きくなれるわ」(ベッド)

花陽「にこちゃん」

にこ「あんたの人生だから、あんたが決めて歩いていきなさい」(ベッド)

にこ「そうさえしてくれれば、にこはもう、何も言う事はないわ」

花陽「……」

花陽「う、うん。ありがとう」

617 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:34:15.97ID:ULigE5dC.net
花陽「明日はね。希ちゃんが来るよ」(ドア横)

にこ「……」(ベッド)

にこ「そう」

にこ「いよいよね」

花陽「じゃあ。私はこれで」

(ガララッ)

(ガラララッ)

にこ「……」(ベッド)

にこ「始まりにもどるわけね」

618 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:34:46.35ID:ULigE5dC.net
翌日

都内 西木野総合病院

中庭

にこ「ああ。今日も良い天気ねえ」(車椅子)

希「せやね」(ベンチ)

にこ「あんたは最近何やってんのよ」(車椅子)

希「相変わらずやん」(ベンチ)

希「スピリチュアリストの道は長いんよ」(ベンチ)

希「ふふ」(微笑)

619 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:35:43.33ID:ULigE5dC.net
にこ「一生やるつもりなの?」(車椅子)

希「にこっち。仮にウチが大学卒業して、普通の企業に就職したとして」

希「うまくやれると思うん?」(ベンチ)

にこ「あんたなら大丈夫だと思うけど」(車椅子)

希「そんな事ないよ」

希「ウチな?子供のころから両親が転勤続きで、どこにいってもなかなか友達が出来なかったっていうたやん?」(ベンチ)

希「それは嘘ではないけど、仮にそうじゃなかったとしても、やっぱり同じだったと思うんよ」

620 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:38:11.86ID:ULigE5dC.net
希「ウチは、他の人より誰かの心が良く見える」(ベンチ)

希「良く見えるからこそ、その人の性格や望みが良く分かるし、同時にその人がこれからなにをやるだろうかも見通せる」

希「タロットや占いは、その補助に過ぎない」(ベンチ)

希「そんな娘が、大勢の人の中でもまれてうずもれて、みんなに同調して
組織や集団の一員として、自分の気持ちを押し殺して生きていくのは」

希「とても辛いやん」(ベンチ)

希「そして、まわりの人間だって重荷に感じると思う」

希「誰だって、自分の隠している本質を見透かされて、気持ちの良いものやないからね」(ベンチ)

にこ「……」(車椅子)

621 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:39:21.76ID:ULigE5dC.net
希「だから、にこっちに出会って、絵里ちに出会って、穂乃果ちゃんがスクールアイドル始めて」

希「みんなでミューズに入れた事は、ウチに取って、どれだけ救いになった事か」(ベンチ)

希「さもなくば、ウチなんか今頃どうなっていたか分からないやん」(微笑)

にこ「……」(車椅子)

にこ「確かに、最初あんたに会った頃なんか、本当暗くて薄幸そうだったからねぇ」(車椅子)

622 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:40:51.36ID:ULigE5dC.net
中庭

(カラカラ)

にこ「この病院にはね。入院棟があり、当然、色んな重病の患者さんがいるわけよ」(車椅子)

にこ「こうしている間にも、集中治療室では今まさに危篤の患者さんが死線をさまよっているだろうし」(車椅子)

にこ「新生児治療室でも、生まれたての赤ちゃんが、未熟児とかの理由で、生まれながらに
生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされている」(車椅子)

にこ「まさに社会の縮図よねえ」(車椅子)

希「せやね」(車椅子カラカラ)

623 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:41:48.68ID:ULigE5dC.net
にこ「ここに来て分かったわ。人間は平等よ。当然、命も平等」(車椅子)

にこ「けど、寿命と健康はそうじゃないってね」(車椅子)

希「にこっち随分考えるようになったねえ」(車椅子カラカラ)

にこ「まあにこはまだ若いし、こうなるまで体でそう不便を感じるような事はなかったからねえ」(車椅子)

希「……」(車椅子ピタッ)

624 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:42:22.34ID:ULigE5dC.net
希「にこっちーは歩けるんやろ?」(車椅子カラカラ)

にこ「そうよ」(車椅子)

にこ「降りてみましょうか。希、止めて」

希(車椅子ピタッ)

にこ(スック)

にこ「よっ……んっ」(ズザッ)

にこ「っと……ぬうぁ!?」(ヨロッ)

希「にこっち、大丈夫?」(ガシッ)

625 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:42:53.31ID:ULigE5dC.net
にこ「毎日リハビリしているんだけど、こう言う生活だと、やっぱ足腰弱るものねえ」(車椅子)

にこ「そろそろ戻りましょうか」(車椅子)

希「うん」(車椅子カラカラ)



矢澤にこ個室

希「にこっち、疲れた?」

にこ「まあ、多少はね」(ベッド)

626 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:43:39.53ID:ULigE5dC.net
にこ「所であんた。私がこうなるの、予測は出来てたの?」(ベッド)

希「いくらウチでも、人の生き死にまでは分からないやん」(苦笑)

希「けど……せやねえ」

希「にこっちは地位も富も名声も、若くして手に入れた」

希「その反動はいくらか来るとは思ってたけど」

にこ「そう」(ベッド)

にこ「確かに、手に入れるだけ手に入れて、手放すものが何もなくて済むなんて
虫が良い話なのかも知れないしね」(ベッド)

627 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:44:10.41ID:ULigE5dC.net
希「せやけど、にこっちの名声はきっといつまでも残るよ」

希「この期に及んで気丈に振る舞うのは、にこっちにしか出来ないやん」

にこ「そんなんじゃないわよ」(苦笑)

にこ「前にも言ったけど、真姫の手配が良いのか、対症療法が良く効いててね」(ベッド)

にこ「痛みや苦痛がほとんどないのよ」(苦笑)

628 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:44:35.38ID:ULigE5dC.net
にこ「けど、こうしていられるのも、もうそんなに長くはないわ」(ベッド)

にこ「年を越せるかどうか、それすらも危ない」

希「……」

希「もう9月やん」

にこ「そうね」(ベッド)

629 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:45:27.44ID:ULigE5dC.net
希「ウチに出来る事はなにもないやん」

希「考えてみれば、最初にこっちとアイドル研立ち上げた時もそう、その後にこっちと別れて
生徒会入って絵里ちを補佐した時もそう」

希「穂乃果ちゃんがミューズを離脱した時もそう、卒業して、にこっちと絵里ちがプロを目指した時もそう」(ウルッ)

希「今もそうやん。目の前でにこっちが病魔に侵されているのに、ウチは無力
何も出来ないし……なんの方策も出せない」(ウルウル)

希「人の気持ちや望みが分かったって……何の役にも立ちはしない」(ポロッ)

希「ウチは本当に……役立たずやん」(ポロポロ)

630 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:45:58.29ID:BZdM6Ufz.net
あくしろ

631 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:46:00.81ID:ULigE5dC.net
にこ「希、泣かないで」(手)

にこ「どんな人間にも、どうしようもない事はあるわ」(希の頬ナデナデ)

希「にこっち」(ウルウル)

にこ「にこが泣かないでいられるのは、あんたたちがにこの代わりに散々泣いてくれるからよ」(苦笑)

希「ゴメンにこっち」(ハンカチ)

希「ウチはやっぱり弱いんね」(ハンカチゴシゴシ)

632 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:46:51.84ID:ULigE5dC.net
にこ「あんた達のおかげで、にこは強くいられる」(ベッド)

にこ「どれだけ粋がってても、やっぱわたしもミューズの一員なのよね」

希「にこっち」

希「そうやん」(微笑)



夕方

希「それじゃウチは帰るやん」(ドア横)

にこ「明日は誰来るの?」(ベッド)

希「穂乃果ちゃんよ」(ドア横)

にこ「また穂乃果ぁ!?」(ベッド)

633 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:47:30.56ID:ULigE5dC.net
にこ「またあげまんじゅう食わされなきゃ良いんだけど」(ベッド)

希「朝一でくるんやて」(ドア横)

にこ「アイツ銀行員でしょうがあ」(ベッド)

希「有給取ったんやて」

にこ「彼氏でも作れば良いのよ。ったく」(ベッド)

希(苦笑)

希「ほな、ウチは行くよ」(ドア横)

(ガラララッ)

(ガララッ)

634 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:48:43.17ID:ULigE5dC.net
翌日 朝9時

西木野総合病院

矢澤にこ個室

穂乃果「わお、にこちゃん。車椅子無しで歩けるようになったの?」

にこ「もともとにこは歩けるの」(ジト目)

にこ「なんか医者がね。今日からもう車椅子はいらない」

にこ「外出も許可するってね」

にこ「ったくぅ、良くなったのか悪くなったのか、さっぱりわかんないじゃないのよお〜」(ブツブツ)

穂乃果(顔面蒼白)

635 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:49:10.39ID:ULigE5dC.net
穂乃果「そ、そ……そうだったんだ」(冷や汗)

穂乃果「じゃあきっと、快方に向かってるんだよ」

にこ「そうかしらねえ」

穂乃果「そうだよ!」

穂乃果「ね、にこちゃん。どこか行きたい所とかない?」

穂乃果「穂乃果が連れてってあげるよ」

636 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:49:56.57ID:ULigE5dC.net
にこ「そんな事より、あんた。本当に有給取れたの?」

にこ「半年も働いてないでしょうが」

穂乃果「うぇ?ほ、ほら。あれだよ」(冷や汗)

穂乃果「身内のつてで就職したからさ。そこはほら、融通がきくと言うか」

にこ「どう言う銀行よ」(ジト目)

にこ「ま、にこには関係ないから良いけどさ」

637 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:50:35.98ID:ULigE5dC.net
にこ「それに、いつになくおめかししてるじゃないの」

にこ「男でも出来たの?」

穂乃果「違うよ。そんなんじゃないよ」(ムスッ)

穂乃果「もうっ、にこちゃんうるさいっ」

穂乃果「つべこべ言わないで、ほら行くよ」(手ガシッ)

にこ「ぬぅぁ!?」(手グイッ)

にこ「ちょっ、待ちなさい……看護師さんに言っとかないと」

穂乃果「後で後で」(ズルズル)

638 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:51:07.22ID:ULigE5dC.net
同日 午後

関東地方 鉄道

電車内

(タタンタタン タタンタタン)

穂乃果「いやぁ〜、随分と遊んだねえ」(座席)

にこ「そうねえ」(座席)

にこ「もうじき夕方じゃない」

穂乃果「で、最後はあそこに行きたいんでしょ?」

にこ「まあね」

にこ「久々に見てみたいのよ」(座席)

(タタンタタン タタンタタン)

639 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:52:18.32ID:ULigE5dC.net
夕方

ローカル線終着駅

(ザアァァ ズザアァァァ)

砂浜

ほのにこ「……」

(ザアァァァ ズザアァァァ)

640 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:52:44.98ID:ULigE5dC.net
穂乃果「ほら、にこちゃん」

穂乃果「もうじき日が落ちるよ」

にこ「……」

(ザアァァァ ズザアァァァ)

にこ「綺麗ねえ」

にこ「みんなで一度来たきりだけど、あの時と同じねえ」

穂乃果「そうだね」

(ザアァァァ ズザアァァァ)

641 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:53:17.61ID:ULigE5dC.net
穂乃果「……」

穂乃果「あ、そうだ」

穂乃果「なにか飲み物買ってこようか」

にこ「そうね」

穂乃果「じゃ、行って来るよ」

(ザッザッザッザッ……)

にこ「……」

(ザアァァァ ズザアァァァ)

642 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:54:05.65ID:ULigE5dC.net
夕日(キラキラ)

にこ「……」

(ザアァァァ ズザアァァァ)

にこ「……」

にこ(ウルッ)

にこ(ウルウル)

にこ(ポロッ)

にこ「クッ……」(ポロポロ)

643 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:54:37.33ID:ULigE5dC.net
夕日(キラキラ)

にこ(ギリッ)

にこ(ゴシゴシ)

にこ(涙ブワーッ)

にこ(首ブンブン)

にこ(ゴシッゴシゴシ)

(ザアァァァ ズザアァァァ)

644 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:55:14.80ID:ULigE5dC.net
駅 自販機前

穂乃果「ヒック……グスッ……グスッ」(ポロポロ)

穂乃果「グスッ……グスッ……エグッ」(ボタボタ)



十分後 海

穂乃果「にこちゃん。買って来たよ」(ザッザッ)

にこ「随分遅かったわねえ。もう日が暮れたわよ」

にこ「どこまで行ってたのよ」

645 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:55:44.92ID:ULigE5dC.net
穂乃果「ゴメンゴメン」(苦笑)

穂乃果「にこちゃん。どっちが良い?」(両手に缶)

にこ「コーヒーで良いわ」


(ザアァァァ ズザァァァ)

にこ「夜の海も悪くないわねえ」(缶コーヒー)

にこ「今度はいつ来れるのかしら」

穂乃果「そうだね」(緑茶缶)

(ザアァァァ ズザアァァァ)

646 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:56:23.37ID:ULigE5dC.net
(ザアァァァ ズザアァァァ)

穂乃果「そうだ。今度はここで初日の出見ない?」(緑茶缶)

にこ「初日の出?」(缶コーヒー)

穂乃果「そうだよ」

穂乃果「みんなでさ。海未ちゃんやことりちゃんや、ミューズのみんな」(緑茶缶)

穂乃果「雪穂や亜里沙ちゃんやヒデコちゃん達と!」

にこ「そりゃ、良さそうだけど」(缶コーヒー)

にこ「それまで体が持つかどうか」(苦笑)

647 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:56:55.27ID:ULigE5dC.net
穂乃果「持つよ。持たせようよ」

穂乃果「楽しみがあった方が、きっと健康にも良いって」(緑茶缶)

にこ「そりゃ、そうだけど」(缶コーヒー)

にこ「分かったわ。絶対とは言えないけど、約束する」

穂乃果「うんっ。きっとだよ」(緑茶缶)

648 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:57:21.74ID:ULigE5dC.net
(ザアァァァァ ズザアァァァ)

にこ「寒くなって来たわね」(ブルッ)

にこ「今何時?」

穂乃果「ええとお……もう7時になるよ」(スマホ)

にこ「なんですってぇ!?」

にこ「もう帰らないと門限が」

にこ「てか、間に合わないじゃないの!」

649 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:57:53.13ID:ULigE5dC.net
ローカル線終着駅

(ダッダッダッダッ)

穂乃果「ハァ……ハァ……にこちゃん、そんなに急がなくても」(ダッダッ)

にこ「あんたは良いけど怒られるのは私なのよ!?」(ダッダッ)



上りホーム

(プルルルルルルル)

にこ「乗ります!」(ダッダッ)

穂乃果「にこちゃん待って!」(ダッダッ)


電車(ドアプシュー)

電車(タタン……タタン)

(タタンタタン タタンタタン)

650 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:58:26.81ID:ULigE5dC.net
車内

(ガアァァァ タタンタタン)

穂乃果「ハァ……ハァ……にこちゃん急かしすぎだよぉ」(汗びっしょり)

にこ「これ乗り過ごしたら、また一時間近く待つのよ?」

穂乃果「とにかく座席に座ろう」(ヨロッ)



(タタンタタン タタンタタン)

ほのにこ(向かい合い座席)

651 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 22:59:29.88ID:ULigE5dC.net
(タタンタタン タタンタタン)

にこ「しっかしまあ、あんたと一緒だと、最後の最後までドタバタになるわよねぇ」(座席)

穂乃果「これでも銀行では、ミスが少ないって評価されてるんだけど」(苦笑)

にこ「今日も今日よ。朝一から私連れ出して、散々振り回してくれたわよねぇ」(ジト目)

穂乃果「にこちゃんが行きたいって言った所ちゃんとチョイスしたじゃんかあ」(座席)

にこ「ダンスゲーはあんたの希望でしょうが」(指)

穂乃果「にこちゃんだって楽しんでたじゃんか」(ムスッ)

にこ「ったくもう」(座席)

652 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:00:09.08ID:ULigE5dC.net
(タタンタタン タタンタタン)

にこ「結局、宇宙ナンバーワンアイドルも、あんたに振り回されっぱなしの人生だったとはねえ」(ため息)

にこ「世の中は理不尽なもの。今じゃはっきりわかるわよ」(座席)

穂乃果「でも、楽しかったでしょ?」(微笑)

にこ「まあね」(座席)

にこ「しっかし、今日は疲れた。こりゃ帰ったらよく眠れそうだわ」(伸び)

にこ「てか、もう眠くなってきた」

653 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:00:53.79ID:ULigE5dC.net
(タタンタタン タタンタタン)

にこ「穂乃果。悪いけど着いたら起こしてくれる?」(座席)

穂乃果「えー?もう寝るの?」(座席)

穂乃果「もう少し話そうよお」

にこ「そうはいっても、こんなんじゃ、ろくにしゃべれそうにもないわ」(あくび)

にこ「Zzz……」(窓側にもたれかかり)

穂乃果「……」(座席)

654 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:01:15.34ID:ULigE5dC.net
電車(ガアァァァァ)

車内(タタンタタン タタンタタン)

(タタンタタン タタンタタン)

にこ「Zzz……」(座席)

穂乃果(微笑)

(タタンタタン タタンタタン)

655 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:01:40.48ID:ULigE5dC.net
翌日 ほのうみマンション

ほのうみの部屋  

夜8時

穂乃果「ただいまー」(ガチャッ)

ことり「あ、穂乃果ちゃん。海未ちゃんがすぐに会いたいって」(スタスタ)

穂乃果「海未ちゃんが?」

656 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:02:07.96ID:ULigE5dC.net
リビング

海未「穂乃果。たった今真姫の方から連絡がありまして」

穂乃果「真姫ちゃんが?」(ペットボトル)

海未「にこが危篤だそうです」

穂乃果(ペットボトルボトッ)

ことり「穂乃果ちゃん?」

穂乃果「そ、そんな」(顔面蒼白)

657 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:02:44.51ID:ULigE5dC.net
(ペットボトルゴロン)

穂乃果(ワナワナ)

海未「それで、穂乃果が帰ってくるのを待っていたんです」

ことり「もうみんな、病院に行ってるって」

海未「私達も行きますよ」

ことり「もうタクシーは呼んだんだ」

穂乃果(顔面蒼白)

658 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:03:14.68ID:ULigE5dC.net
海未「真姫の話では、とりあえず今夜が山だと」

ことり「みんなどうしたら良いか分からないし、やっぱ穂乃果ちゃんがいないと」

穂乃果「……」(椅子に手)

(椅子カタカタ)

海未「穂乃果」

穂乃果(冷や汗タラタラ)

海未「穂乃果?」

穂乃果(冷や汗ダラダラ)

海未「ほのか!!」

659 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:03:43.19ID:ULigE5dC.net
穂乃果「はいっ!」

海未「行きますよ」

ことり「タクシー来たって」(スマホ)

穂乃果「何か持っていくものは」(ガサガサ)

海未「そんなのはあとで良いです」

ことり「穂乃果ちゃん早く」

穂乃果「う、うん」

660 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:04:15.21ID:ULigE5dC.net
西木野総合病院

集中治療室

(ピーッピーッ)

にこ(ベッド)

にこ(呼吸器)

看護師「矢澤さん、聞こえますか?」

看護師「矢澤さん、お返事できますか?」

医師「もっと声掛けしてみて」

看護師「はいっ」

(ピーッピーッ)

661 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:04:51.46ID:ULigE5dC.net
集中治療室前

真姫「……」

絵里「……」

凛「……」

花陽「……」

希「……」

海未「……」

ことり「……」

662 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:05:36.61ID:ULigE5dC.net
凛「グスッ……グスッ」(ポロポロ)

花陽「凛ちゃん。泣いちゃダメだよ」(ギューッ)

真姫「……」

絵里「……」

希「……」

海未「……」

ことり「……」

穂乃果「……」

663 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:06:08.91ID:ULigE5dC.net
穂乃果「私だ……私のせいだ」

穂乃果「私があの時……無理に誘ったから」(うつろな目)

海未「穂乃果」

真姫「穂乃果のせいではないわ」

真姫「にこちゃんは、もういつこうなってもおかしくなかった」

真姫「医師も手遅れと判断したからこそ、せめて最後くらいはと、車椅子と外出制限を
外したの」

絵里「本当にね」

664 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:06:49.62ID:ULigE5dC.net
希「にこっちはいつまでもつん?」

真姫「そうね。はっきり言って、いつ死んでもおかしくない」

海未「家族の方は?」

絵里「それがね。見苦しい姿は見せたくないって、本人が面会しようとしないのよ」

海未「今まで一度も会わなかったんですか?」

真姫「仮にお母さん達がここに来てもね」

絵里「にこはもう少し良くなってからの一点張りで」

ことり「にこちゃん」

希「こんな時に意地はっても仕方ないやん」

665 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:07:30.38ID:ULigE5dC.net
穂乃果「決めた。お母さん達連れてくる」

海未「穂乃果」

ことり「穂乃果ちゃん?」

穂乃果「連絡はしてあるの?」

絵里「もうじき来るわ」

真姫「けど、今のにこちゃん前後不覚だし、どれだけ早くても、そうね」

真姫「何とか意識を回復してからじゃないと、話とかは無理でしょうね」

穂乃果「じゃあ、とにかく会わせるだけ会わせよう」

666 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:08:38.95ID:ULigE5dC.net
海未「穂乃果。気持ちは分かりますが、これはにこの家の事ですし」

穂乃果「そうだよ。そして私達ミューズの仲間の話でもあるんだよ」

穂乃果「にこちゃんは嫌がってても、お母さん達は会いたがってるに決まってるじゃんか」

穂乃果「それでにこちゃんに恨まれるんなら、本望だよ」

穂乃果「今会わなかったら、絶対に後悔する。そうに決まってるじゃんか」

穂乃果「とにかく、にこちゃんの容態がどうにかなったら、私が連れて行くから」

希「穂乃果ちゃん」

真姫「その容態、本当に回復するのか、分からないけどね」

絵里「本当にね」

667 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:09:05.82ID:ULigE5dC.net
西木野総合病院

矢澤にこ個室

翌朝8時

にこ(パチリ)ベッド

にこ「……」(ベッド)

にこ「……」(口に呼吸器)

にこ「……」(腕に点滴)


ベッド周囲

心電図計(ピーッ ピーッ)

668 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:09:35.83ID:ULigE5dC.net
にこ「……」(チラッ)

にこママ(ベッド側)

にこ「……」(ベッド)

にこ(手で仕草)

にこママ「しゃべりたいの?」

にこ(コクコク)

にこママ「看護師さん」

看護師「15分までなら良いですよ」

看護師(呼吸器に手)

にこ「……」(呼吸器外し)

669 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:10:03.52ID:ULigE5dC.net
看護師「では十五分後にまた来ます」

(ガラララッ)

(ガララッ)

にこママ「……」

にこ「……」(ベッド)

心電図計(ピーッピーッ)

670 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:10:33.77ID:ULigE5dC.net
にこママ「西木野真姫さんから知らされてね」

にこ「……」(ベッド)

にこ「そう」

にこ「真姫が呼んだの?」(ベッド)

にこママ「いいえ」

にこママ「会うように段取りしたのは高坂穂乃果さんよ」

にこ「……」(ベッド)

にこ「そう」

にこ「仕方ないわね」(ベッド)

671 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:11:07.18ID:ULigE5dC.net
にこ「ママ……にこはもう少し元気になってから会おうと思ってたけど、やっぱダメみたい」(ベッド)

にこ「廃校阻止もラブライブも、プロデビューもみんなで成功させてきたけど」(腕に点滴)

にこ「さすがに癌は……にこには荷が重いよ」(苦笑)

にこママ「……」

にこママ「そう」

心電図計(ピーッ ピーッ)

672 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:11:43.63ID:ULigE5dC.net
にこママ「あなたはよく頑張ったわ」

にこママ「今までいつもいつも人に弱みを見せずに意地とプライドだけでここまで来たんだもんね」

にこママ「例え心で泣いたとしても、その涙を見せずに、みんなの前では笑顔を見せて、そして大勢の人たちを笑顔にしてきた」

にこママ「とてもあなたらしい、素晴らしい生き方をして来たわね」

にこママ「本当あなたは、私の誇りよ」

にこママ「やっぱパパとママの娘よね」(微笑)

にこ「ママ……」(ウルッ)

673 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:12:26.10ID:ULigE5dC.net
にこ「にこはもう……頑張んなくて良いのかな」(ベッド)

にこママ「そうよ。もうあなたは十分人の役に立ったし」

にこママ「大勢の人たちに元気と笑顔を与えたじゃない」

にこママ「もうここらで十分よ。にこ」(微笑)

にこ「ラブライブプロ勝てなくて……ごめんなさい」(ベッド)

にこ「本当は優勝台に登って、ママとパパに感謝の言葉が言いたかったんだけど」(腕に点滴)

にこママ「そんな事気にしてたの?」

にこママ「あなたが優勝出来なかったからって、私が責めるとでも?」(微笑)

674 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:13:09.81ID:ULigE5dC.net
にこ「親孝行したかったんだもん」(ベッド)

にこ「パパが死んで、ママも私もこころ達も、色々苦労したでしょ?」

にこ「だから……最後くらいはみんなで心の底から笑いたいじゃないの」(腕に点滴)

にこママ「こんなになるまで」(ウルッ)

にこママ「それならもう十分以上にしてもらったわ」

にこママ「あえて言えば、そうね。もう少し長生きして欲しいんだけどね」

にこ「ゴメンママ。それは約束できそうにないよ」(苦笑)

心電図計(ピーッピーッ)

675 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:14:13.74ID:ULigE5dC.net
にこママ「矢澤家には大黒柱がいない。いないから私が働きに出て、家の事はあなた達がやらなければ
これまでやってこれなかった」

にこママ「だから、私もあなた達には厳しくしてきたつもりよ」

にこママ「甘えたいときに甘えられず、今にして思えば、あなたもきっと寂しい思いをしてたのでしょうね」(ウルッ)

にこ「そんな事ないよ」(ベッド)

にこ「ママやこころ達がいたからこそ、ここまで頑張れたんだよ」

にこ「そしてパパも」(腕に点滴)

676 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:14:40.89ID:ULigE5dC.net
にこ「こころ達は?」(ベッド)

にこママ「迷ったんだけど、私だけで来たわ」

にこママ「あんまり大人数で押しかけても、かえって迷惑かも知れないと思ってね」

にこママ「学校が終わったら、みんな来る予定よ」

にこママ「会うでしょ?」

にこ「……」(腕に点滴)

心電図計(ピーッピーッ)

677 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:15:58.41ID:ULigE5dC.net
にこ「ママ。それはもう少し待って欲しいんだけど」(ベッド)

にこママ「にこ。本当は今連れてこなかった事が本当に良かったのか、少し後悔している所なの」

にこママ「真姫さんの話から、とりあえず山は越したと言う事で午後にさせたけど」

にこ「妹達が悲しむわよ。こんな姿見たら」(腕に点滴)

にこ「それに……きっと怖がるわ」

にこ「自分たちも同じようになるんじゃないかと」(ベッド)

にこママ「にこ」

678 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:16:32.84ID:ULigE5dC.net
にこママ「もうみんな知ってるし、悲しんでるわよ」

にこ「ママ、お願い」(ベッド)

にこママ「……」

心電図計(ピーッピーッ)

にこママ「そんな顔されたら、ダメとはいえないわね」(ため息)

にこママ「分かりました。もう少しだけ待たせます」

にこママ「けど、状況次第では、あなたの希望通りにはいかないわよ」

にこママ「分かるわね」

679 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:17:17.84ID:ULigE5dC.net
にこ「ありがとうママ」(ベッド)

看護師「矢澤さん。そろそろ呼吸器戻します」(ガラララッ)

看護師「それに点滴も取り換えましょう」(スタスタ)

にこママ「それじゃ、私はいったん戻るわよ」(スック)

にこ「うん」(ベッド)

にこママ「今夜また来るからね」

にこ「ママ。仕事は?」

にこママ「そんな心配しなくていいのよ」

にこママ「じゃあね」

680 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:17:50.47ID:ULigE5dC.net
同日 正午

UTX総合学院

最上階 アライズ専用スペース

英玲奈「ツバサ。この前の回答だ」(書類)

ツバサ「なにこれは?」

英玲奈「私の離脱に関する必要書類だよ」

ツバサ「離脱?あなたが?」

英玲奈「そうだ」

あんじゅ「……」

681 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:19:08.60ID:ULigE5dC.net
英玲奈「UTXグループに対する手続きと、アライズマネージャーへの離脱申請」

英玲奈「それに、リーダー宛ての脱退状と、この件を担当する専属弁護士の連絡先だ」(書類)

英玲奈「受け取れ」(書類押し付け)

ツバサ「……」(腕に書類)

あんじゅ「……」

682 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:20:11.60ID:ULigE5dC.net
英玲奈「ほら、お望み通り邪魔者が消えるんだぞ。もっと嬉しそうにしてもいいんじゃないか?」(ギロッ)

ツバサ「……」

ツバサ「私がもらっても、あまり意味ないわ」(書類)

ツバサ「渡すのならしかるべき筋にしないと、手続きにならないわよ」(書類)

英玲奈「おっと、そうか。それは済まないな」(手)

英玲奈「じゃ、リーダーには脱退状だけにしておくか」(書類取り戻し)

ツバサ「これをもらって、私にどうしろと?」(脱退状)

683 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:20:51.28ID:ULigE5dC.net
英玲奈「首の口実を与えてやったんだ。これで不満はないだろう」

英玲奈「もうこれ以上話す必要はないな。余計な事を言ったら、私が不利になる」

ツバサ「私があなたの揚げ足をとるとでも!?」

あんじゅ「……」

英玲奈「さあな。ああ、そうだ。弁護士の連絡先は欲しいだろう?」(弁護士の名刺)

英玲奈「これからはここを通じて話あうように言われているからな」

ツバサ「……」(名刺)

684 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:21:56.82ID:ULigE5dC.net
英玲奈「じゃあな。もう直接会う事もないだろう」(ツカツカ)

ツバサ「英玲奈。あなたも独立した大人だから、あなたの決断に私が指図する筋じゃないだろうけど」

ツバサ「もう少し待つつもりはないの?」

英玲奈「はん、今更?見苦しいな」(クルッ)

英玲奈「この期に及んで慰留するつもりか?さすがになにもしないで追い出した、じゃ
おまえの体裁が悪いかよ」

あんじゅ「……」

685 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:22:42.65ID:ULigE5dC.net
ツバサ「あなたの行動にケチはつけてないでしょ?」

ツバサ「ただ、そうね。今はそんな事している状況なのかしらと言いたいだけなんだけどね」(腕組み)

英玲奈「どう言う意味だ?」

あんじゅ「bibiのリーダーが、矢澤にこが、危篤なのよ」

あんじゅ「もういつ死んでもおかしくないって」

英玲奈「」

英玲奈「なん……だと?」

英玲奈「バカな」(冷や汗)

ツバサ「あなたは仕事が忙しくて耳にするのが遅かったんだろうけど」

686 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:23:11.35ID:ULigE5dC.net
同日午後1時

某大手プロダクション 東京493総本部

屋上

スペシャルユニット九段下02:早乙女弥生「……」

スペシャルユニット九段下02:中野春菜「……」

弥生「にこさんが、危篤だなんて」

春菜「……」

687 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:23:50.61ID:ULigE5dC.net
弥生「ラブライブ終了後、自宅で倒れて、すぐに癌で休業の発表があって」

弥生「ひと月足らずの間に、こんなになるなんてね」

春菜「本当、あっと言う間だよね」

弥生「上の見立ては正解だったってわけだね」

春菜「そうだね」

春菜「どうやって見抜けたんだろうね」

688 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:24:36.85ID:ULigE5dC.net
春菜「危篤って事は、いつ死んでもおかしくないって事だよね」

弥生「まあ一般的にはそうなるだろうね」

春菜「……」

春菜「ねえ、弥生」

春菜「私達、この事があるからこそ、ラブライブプロを辞退し、アライズとbibiが一騎打ち出来るよう
取り計らった」

春菜「敵に塩を送ったわけじゃないけど」

弥生「この事を知って、にこさんが喜ぶだろうかって言いたいんでしょ?」

弥生「それは私も考えてた」

689 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:25:20.68ID:ULigE5dC.net
弥生「けど、もう終わった話だし」

弥生「あの時の私たちの考え、今思い起こしてみても決して間違っていたわけじゃないと思う」

弥生「戦略的にも、私たちの伸びしろを待って、来年に向けて準備に専念すれば」

弥生「落ち目のアライズは簡単に撃破できるし、勝利は思いのまま」

春菜「落ち目のアライズ、かあ」

春菜「私達も遂にそんな事言えるような立場になったのかしらねえ」

690 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:25:55.06ID:ULigE5dC.net
春菜「けど、これで本当に満足出来るのかな私達」

弥生「それはどうだろうね」

弥生「変な話、自分たちの満足のためにアイドルやって」

弥生「私たちの理想やら信念やらのために努力して勝利するのかと言われると」

弥生「どうかなあ。前はともかく、今は絶対にそうだ決まってるじゃないとまでは」

春菜「言えないかあ。言えないよねえ」

691 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:26:42.24ID:ULigE5dC.net
春菜「さっきの緊急総会、代表が言ってたでしょ?」


『これこそ天が我々東京493に与えた千載一遇のチャンスと確信しております』

『この機会を逃さず、我々は一致団結し、今まで以上の、いえ、これまでにない努力と創意工夫を結集して』

『全メンバー総力戦の心づもりで一大攻勢をかけ、日本、いえ、全世界のエンターテインメントを制しましょう!!』



弥生「代表大はしゃぎしてたよね」

春菜「人が死にかけてるのを、そんな風に言うのって、どうなんだろうね」

692 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:27:15.50ID:ULigE5dC.net
やよはる(キョロキョロ)

やよはる「……」

弥生「そりゃ確かに、bibiが抜ければ私たちはやりやすくなるかもしれないよ」

弥生「それが組織としての戦略なのも分かる」

春菜「けど、だからって、今そんな事言わなくてもって気持ちは、ないと言えばうそになるよねえ」

やよはる(キョロキョロ)

やよはる「……」

693 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:27:52.97ID:ULigE5dC.net
弥生「芸能界の競争は激しい。みな生き残りをかけて必死なのは分かるよ」

弥生「だからこその組織なんだし、一たび構成員になった以上、己の意思より全体の判断を優先すべきなのも仕方ない」

弥生「けど」

春菜「人の危篤や死まで喜べってのは、心から賛同出来る話じゃない」

弥生「そうだよね」

やよはる(キョロキョロ)

やよはる「……」

694 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:28:34.27ID:ULigE5dC.net
弥生「私達も用心深くなったものだね」

春菜「前回のラブライブに参加しなかった事、利敵行為だって批判してる人たちもいるからね」

春菜「下手にこんな話してるところを見られたら」

弥生「久美子さんにも、当面言動には注意するように釘を刺されているからね」

弥生「密告までは、考えたくもないけど」

695 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:29:26.79ID:ULigE5dC.net
春菜「アライズはアライズで、今相当揉めてるじゃない?」

弥生「なんでもいつ分裂してもおかしくないって」

春菜「ラブライブに向けて、ツバサさんがかなり強引な改革を断行したでしょ?」

春菜「さもないと勝てないからって」

弥生「あの時のにこさん、神がかってたからなあ」

弥生「海外では、もう人気で抜いてたんでしょ?」

弥生「だからさすがのツバサさんも、正気を失ったのかもしれない」

春菜「ダイヤモンドプリンセスってね」

春菜「にこさんのあの綺麗さは尋常じゃなかった」

696 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:30:30.27ID:ULigE5dC.net
やよはる「……」

弥生「今の状況じゃ、お見舞いはおろか、下手に連絡も取れそうにないよね」

春菜「それどころか、仮に亡くなったとしても、お葬式にすら出席できるかどうか」

弥生「私達の立場上、そんな事したらグループ全体に影響が出る」

弥生「そんな理由でNGが出されるのは目に見えてるよね」

春菜「身動きがね、取りづらいよね」

春菜「一兵卒の時の方が、その点まだやりやすかったもん」

やよはる「……」

春菜「組織の、論理、か」

697 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:31:36.08ID:ULigE5dC.net
数日後 正午

西木野総合病院

矢澤にこ個室

にこ「……」(ベッド)

にこ「……」(呼吸器)

にこ「……」(腕に点滴)

心電図計(ピーッピーッ)

698 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:32:17.05ID:ULigE5dC.net
(コンコン)

看護師「矢澤さん、面会のお客様です」(ガララッ)

ゆきあり(スタスタ)

雪穂「にこにーお久しぶり」

亜里沙「お久しぶりです」

にこ「……」(ベッド)

にこ(手で合図)

看護師「呼吸器外しますか?」

看護師「じゃ、10分だけですよ」(にこの呼吸器に手)

699 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:32:56.39ID:ULigE5dC.net
雪穂「にこにー大丈夫?」

にこ「今日、何日だっけ?」(ベッド)

亜里沙「9月10日です」

にこ「そう」(腕に点滴)

にこ「まだ9月かあ」(ベッド)

心電図計(ピーッピーッ)

にこ「10月まで生きられるかしらね」

700 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:34:17.13ID:ULigE5dC.net
雪穂「にこにー、そんな事」

にこ「にこはネガティブになってるわけじゃないわよ」(ベッド)

にこ「けど、日に日に体が衰え、なんだか痛みもね、増してきてるの」(ベッド)

にこ「いくらにこでも死期ってものを意識するわよ」(腕に点滴)

亜里沙「にこさん」(ウルッ)

心電図計(ピーッピーッ)

雪穂「にこにー。アイドル研の事、怒ってる?」

にこ「あによ今更、にこは自分の体の事で精一杯よ」(苦笑)

にこ「むしろ怒ってたのは花陽でしょ?」

701 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:35:07.00ID:ULigE5dC.net
にこ「あんた達、言ったわよね」(ムクッ)

にこ「自分たちは凡人だから、穂乃果や、ミューズのみんなみたいに、大勢の人たちに
感動を与えられないって」(ベッド)

にこ「コホンコホン><」

亜里沙「にこさん、大丈夫ですか?」(にこの背中ナデナデ)

にこ「それは誤解でしょ?」(腕に点滴)

にこ「あんたのお姉さん、高坂穂乃果はね。どこにでもいる普通の高校生だったでしょ?」(ベッド)

にこ「にこはそのお姉さんに一生勝てなかったのよ」

にこ「あんたらで平凡って言うのなら、じゃあにこはなんと言えば良いのよ」(ベッド)

雪穂「にこにー」

702 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:36:30.21ID:ULigE5dC.net
にこ「ミューズのみんなだって、元をたどれば、普通の女子高生……運動神経もなければ
人前に出るのが苦手だった娘もいる」(ベッド)

にこ「それでも……出来たのよ」(腕に点滴)

亜里沙「にこさん」(ウルウル)

にこ「にこはね。ミューズが大嫌いだった。人に何か言うときでもそうでしょ?(ミューズの矢澤にこです)それがイヤだったのよ」(ベッド)

にこ「穂乃果の風下に立たされるのもイヤだった。自分が実力もないくせに、プライドだけは高い事は知ってたくせに
素直になれなかったの」(ベッド)

703 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:37:13.56ID:ULigE5dC.net
にこ「けど結局……私はどこまでいってもミューズだったのよ」(ベッド)

にこ「私は9分の1に過ぎない。けど、今の私は9人そのもの」(ベッド)

にこ「9人で一心同体……だから私はここまで来れた」(腕に点滴)

にこ「そんな事最初から分かっていた事なのに……にこってどうしようもなくバカな娘なのよね」

心電図計(ピーッピーッ)

にこ「あんた達なら、なにをするにしろ、きっとやり遂げられるわよ」(ベッド)

にこ「私にすら出来たんだから」(微笑)

雪穂「にこにー」(ウルウル)

亜里沙「にこさん」(ポロッ)

704 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:37:52.19ID:ULigE5dC.net
心電図計(ピーッピーッ)

亜里沙「そう言えば、静岡で新しくスクールアイドルが立ち上がったそうですよ」

雪穂「なんでもお姉ちゃん達に憧れて始めたって」

にこ「ミューズに?」(ベッド)

亜里沙「そのうちこの辺にも姿を見せるかも知れませんね」

雪穂「向こうでは伝説になってるそうだよ。ミューズって」

にこ「そう」(腕に点滴)

705 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:38:33.67ID:ULigE5dC.net
(ガラララッ)

看護師「矢澤さん。そろそろ呼吸器戻しましょう」(スタスタ)

雪穂「じゃあ、私たちはこれで」(スック)

亜里沙「また来ます」(微笑)

にこ「じゃあね」(腕に点滴)

にこ(口に呼吸器)

ゆきあり「お大事に」(ペコリ)

(ガララッ)

706 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:39:19.23ID:ULigE5dC.net
翌日 午後

西木野総合病院

矢澤にこ個室

にこ「悪いわねえ。わざわざ無理な頼み聞いてもらって」(ベッド)

ヒデコ「いいえ、構いませんよ」(脚立)

フミコ「私達、出来る事と言えばこれしかありませんから」(壁にデコレーション)

ミカ「あんまり大した事は出来ませんけど」

ミカ「他に何か頼みたいことがあれば、なんなりと言ってください」(窓に飾り)

707 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:39:56.21ID:ULigE5dC.net
ヒデコ「ん……こんな所かな」(脚立畳み)

ヒデコ「どうです?にこさん」

にこ「……」(ベッド)


壁(デコレーション)

窓(飾りつけ)

天井(全国からの千羽鶴)

にこ「さいっこーよ」(ベッド)

にこ「アイドルの部屋に……相応しい」(ベッド)

708 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:40:27.66ID:ULigE5dC.net
心電図計(ピーッピーッ)

看護師「矢澤さん、呼吸器は良いんですか?」

にこ「良いわ。今日は息苦しくないし」

看護師「それじゃ、点滴だけ替えておきますね」(点滴パック)


心電図計(ピーッピーッ)

看護師「何かあったらナースコールしてくださいね」

(ガラララッ)

(ガララッ)

709 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:41:49.46ID:ULigE5dC.net
フミコ「色紙にダイオードにカラーシートに」

フミコ「大したものは使ってないんですけど」

にこ「あんた達にかかると、本当匠の技よねぇ」(ベッド)

ミカ「そう言ってもらえると、光栄です」(破顔)

にこ「そこのテーブルに、お茶とお菓子を用意しといたわ」(ベッド)

にこ「よければ召し上がって。この通り、にこはお茶もくんであげられないけど」(腕に点滴)

ヒフミ「はい。遠慮なく」

にこ「ゆっくりしてきなさい」(ベッド)

710 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:42:26.65ID:ULigE5dC.net
心電図計(ピーッピーッ)

天井中(千羽鶴でビッシリ)

ヒデコ「けど、もの凄い数の千羽鶴ですねえ」(ティーカップ)

フミコ「なんでも全国から数百万も届いたとか」(ティーカップ)

ミカ「ここに飾られたのは、ほんの一部なんですけど」(ドーナッツ)

ミカ「みんな持ってくると、部屋が埋まっちゃうんで」(苦笑)

にこ「にこは幸せ者ね」(微笑)

にこ「こんなに大勢の人に心配されて励ましてもらえるなんてね」(腕に点滴)

711 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:44:24.58ID:ULigE5dC.net
ミカ「神田明神も凄いですよ」(ティーカップ)

ミカ「にこさんの平癒を祈願する絵馬でいっぱいだそうです」


神田明神 境内

矢澤にこ快癒祈願の絵馬(ビッシリ)



矢澤にこ個室

にこ「そう」(ベッド)

フミコ「にこさんは本当に愛されてるんですね」(微笑)

ヒデコ「各地のスクールアイドルも、にこさんを応援するイベントやライブを色々やってるんですよ」

にこ「泣けてくるわね」(腕に点滴)

712 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:45:27.32ID:ULigE5dC.net
心電図計(ピーッピーッ)

にこ「こうしてあんた達と話すのも、思えばそんなに無かったわねえ」(ベッド)

にこ「今だから言うけど、にこはミューズの時からあんた達3人に助けられて」(ベッド)

にこ「bibiデビューの時もあんなに協力してもらっていたのに」(腕に点滴)

にこ「内心見下してたの。所詮穂乃果の友達、あんた達は穂乃果と仲が良いから力を貸しているに過ぎない」

にこ「アイドルとして、前に出る自信がないから、裏方に回っているに過ぎない」(ベッド)

にこ「第二回ラブライブの最終予選の時もそう。私は、あんた達が大雪の中、穂乃果達を間に合わせるために
あんな寒さの中、ただひたすら雪かきしてくれたでしょ?」(腕に点滴)

にこ「それをただ……穂乃果との友情……あんたらの私情に過ぎないと馬鹿にしていた」

713 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:46:15.92ID:ULigE5dC.net
にこ「無償でなにかをやれる人たちの事……全然分からなかったの」(ウルッ)

にこ「あんた達を穂乃果の付属物としてしか見てなかった私が、
だから穂乃果に勝てなかったのは当たり前よね」(ウルウル)

にこ「私がいかに心の貧しい人間なのか、いまのあんた達の姿を見て、改めて思い知らされたわ」(ポロッ)

にこ「本当に……ごめんなさい」(ポロポロ)

ヒデコ「にこ先輩、泣かないで」

フミコ「にこさん。そんな風に」

ミカ「ハンカチです」(ハンカチ)

714 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:48:09.87ID:ULigE5dC.net
にこ「ごめんなさい。人前では泣かないと決めてたのに、いざとなったらもろいものよね」(ハンカチ)

にこ「今の私なら、もう一度アイドルやれば、きっともっともっと素晴らしいアイドルになれそうよ」(ベッド)

にこ「今までみたいなメジャーになれないかも知れない。人気も売り上げも、
もっと少ないかも知れない」(腕に点滴)

にこ「ファンの数も少ない。それでもいい」

にこ「みんなに勇気と笑顔を与え、そしてみんなの歓声と応援をもらえて、
わたしも元気になれる」(ベッド)

にこ「それで良い。それで良かったのよ」(ベッド)

715 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:48:48.23ID:ULigE5dC.net
心電図計(ピーッピーッ)

にこ「前にも言ったけど、穂乃果は最初から分かっていた事なのに、
勝ち負けとかそんなのにこだわって、にこは最後になってやっと分かった」(ベッド)

にこ「そりゃ勝てないわよねえ」(ベッド)

ヒデコ「にこさん」

にこ「生まれ変わっても……またアイドルやりたいな」(腕に点滴)

フミコ(ウルッ)

ミカ(ウルウル)

716 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:49:23.38ID:ULigE5dC.net
心電図計(ピーッピーッ)

にこ「そう、そこに……見える場所に置いて」(ベッド)

ベッド横の窓(ミューズの写真)

ミカ「ここで良いですか?」

にこ「ええ、ありがとう」(微笑)

にこ「これはオープンキャンパスの……9人がそろった時の
ファーストライブの記念写真よ」(ベッド)

にこ「みんな若いわねえ」(微笑)

717 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:50:03.64ID:ULigE5dC.net
にこ「ありがとう。これで寂しくなくなるわ」(ベッド)

にこ「これでいつもみんなと一緒にいられる」(腕に点滴)

ヒデコ「にこさん」(ウルッ)



夕方

ヒデコ「それでは私たちはこれで帰ります」

にこ「そう。今日はありがとう」(ベッド)

フミコ「にこさん。お元気で」

ミカ「またすぐに、必ず来ますから」

にこ「ええ、楽しみにしてるわよ」(微笑)

718 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:50:39.53ID:ULigE5dC.net
夜9時 消灯

にこの部屋

ダイオード(キラキラ)

窓(ミューズの写真)

心電図計(ピーッピーッ)

にこ「……」(ベッド)

にこ「……」(呼吸器)

心電図計(ピーッピーッ)

719 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:51:18.82ID:ULigE5dC.net
にこ「……」(ベッド)

にこ(ああ、いよいよね)腕に点滴

にこ「!」(ムクッ)

にこ「ゴホッ、ゴホッ……ゲホッ」(呼吸器外し)

にこ「ゴホッゴホッ……ウエッ」

にこ「ブバッ」(吐血)

にこ「ゴホッゴハッ」(ゴロンゴロゴロ)

にこ(ズシン)

点滴台(ガッシャーン)

720 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:52:08.87ID:ULigE5dC.net
にこ「うぅ……うぅぅ」(床)

心電図計(ピッピッピッピッピッ)

にこ「うぅ……ゴホッゴホッ」(口から血)

にこ「ゴホッ……ブバッ」(大吐血)

床(血まみれ)

シーツ(血まみれ)

心電図計(ピッピッピッピッピッ)

721 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:52:46.12ID:ULigE5dC.net
にこ「うぅ……」(手ワナワナ)

にこ「クッ」(ナースコールボタン)

にこ(ボタンカチッ)

にこ(バタリ)

心電図計(ピッ ピーーーーー)

722 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:53:22.79ID:ULigE5dC.net
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ん……ここは?

綺麗な景色……お花畑?

ん……誰?

ああ、パパかあ

なに?どうしたの?川の向こうから

久しぶりねえ 大きくなったでしょ?わたし

どうしたの?手招きなんかして

723 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:53:52.86ID:ULigE5dC.net
良いわよ 待ってて

でも その河渡ったら 戻ってこれなさそうよねえ

パパ ちょっと待ってて

すぐにいくよ 

その前にさ みんなに……

そしたらすぐそっちに行くからさ

そうだよ すぐに会えるからさ

待っててね

724 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:54:19.61ID:ULigE5dC.net
ピーッピーッ

ピーッピーッ

にこ(パチリ)

心電図計(ピーッピーッ)


西木野総合病院 集中治療室

にこ「……」(呼吸器)

にこ「……」(腕に点滴)

725 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:54:51.14ID:ULigE5dC.net
にこ「?」(呼吸器)

穂乃果(微笑)

にこ「……」(腕に点滴)

心電図計(ピーッピーッ)

こころあたろう(ヒョコッ)

にこ(あんた達……)呼吸器

にこ(穂乃果)

穂乃果「お母さんもすぐ来るよ」

にこ(そう)呼吸器

726 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:55:24.20ID:ULigE5dC.net
穂乃果「私は少し外すね」

(スタスタ)

心電図計(ピーッピーッ)

こころ「お姉さま」

ここあ「大丈夫?」

虎太郎「死ぬの?」

こころ「虎太郎。そんな事言っちゃいけません」

にこ(微笑)呼吸器

727 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:55:58.87ID:ULigE5dC.net
にこ(みんなこっちに来なさい)手招き

にこ(看護師さん少し話したい)目くばせ

看護師「矢澤さん……」

看護師(呼吸器外し)

心電図計(ピーッピーッ)

にこ「こころ、ここあ、虎太郎。良く聞きなさい」(腕に点滴)

にこ「にこは死なないわ。そうね。にこはアイドルになるのよ」

こころ「お姉さま」

ここあ「いなくなるんじゃないの?」

虎太郎「死んじゃダメだよ」

728 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:56:45.62ID:ULigE5dC.net
にこ「にこはね。体はどうなるか分からないけど、色んな人達の心に残る」(ベッド)

にこ「色んな媒体にも記録にも残る。そう、世界中にね」(腕に点滴)

こころ「さすがお姉さまです」(ウルッ)

ここあ「お姉ちゃん」(ポロポロ)

虎太郎「グスッ……グスッ」(ポロポロ)

にこ「あんた達はその、宇宙ナンバーワンアイドル矢澤にこの妹達なのよ」(ベッド)

にこ「世界中で自慢できるわ……だから、泣かないで」

にこ「ね?泣かないで」(こころ達の頭ナデナデ)

729 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:57:24.34ID:ULigE5dC.net
こころ「はい。お姉さま」(ボロボロ)

ここあ「ここあ、絶対強い娘になるよ」(鼻水)

虎太郎「おねえちゃーん」(ブワッ)

こころ「虎太郎。男の子が泣いちゃいけません」(ハンカチ)

にこ「良い子たちね」(微笑)

にこ「じゃあみんな、少し外して。穂乃果と話したい」(ベッド)

にこ「看護師さん」

看護師「高坂さーん」(ガチャッ)

730 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:57:59.48ID:ULigE5dC.net
こころあたろう(スタスタ)

穂乃果(スタスタ)

心電図計(ピーッピーッ)

にこ「穂乃果。あの子達の事」(腕に点滴)

穂乃果「分かってるよ」(微笑)

穂乃果「にこちゃんの妹達なんだもん。ミューズのみんな、
きっと可愛がってくれるよ」

にこ「ありがと」(微笑)

731 :名無しで叶える物語:2017/05/19(金) 23:59:34.34ID:ULigE5dC.net
心電図計(ピーッピーッ)

にこ「みんなは?」(ベッド)

穂乃果「もうじき来るよ」

穂乃果「あ、そうだ、にこちゃん」

穂乃果「静岡からさ、スクールアイドルが秋葉原に来てるんだって」

穂乃果「私達みたいに、母校がなくなるのを阻止するために、立ち上がったそうだよ」

にこ「ああ……そんな話あったわね」(腕に点滴)

732 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:00:12.55ID:qWqCnRqN.net
穂乃果「それで、そこのリーダーの娘が、ミューズに凄く憧れててね」

穂乃果「音ノ木坂とか……私たちの活動した所訪ねててね」

穂乃果「私達にも会いたいって」

穂乃果「それでね。にこちゃんにも会って、お見舞いしたいんだって」

にこ「……」(ベッド)

733 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:01:01.82ID:qWqCnRqN.net
にこ「穂乃果。それはあんたが決める事だけど」(腕に点滴)

にこ「いつまでも先人を追い求めるだけじゃ、大きくはなれない気がするの」(ベッド)

にこ「どれだけ偉大な相手でも……いつかは乗り越えなきゃいけない」(ベッド)

にこ「自分のスタイルって……みんなそうやって作るものでしょ?」

にこ「だから……そうね……憧れは憧れのままで……いいんじゃないのかな」

にこ「ごめんなさい……もう呂律も回らなく……なってきた」

734 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:01:36.12ID:qWqCnRqN.net
心電図計(ピーッピーッ)

穂乃果「にこちゃんなら、そう言うと思ってた」(微笑)

穂乃果「実はみんな、おんなじ気持ちなんだよ」

にこ「そう、そうね」(ベッド)

にこ「私達やっぱ……そうなのよね」(微笑)

看護師「矢澤さん。そろそろ呼吸器戻しましょう」(スタスタ)

看護師「すみませんが、いったん退出してください」

穂乃果「にこちゃん、またね」

735 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:02:34.49ID:qWqCnRqN.net
30分後

集中治療室前

医師「みなさん。15分後に中にお入りください」

医師「思い残す事のないように。今夜を越せるか正直保証出来ないので」

穂乃果「……」

海未「……」

ことり「にこちゃん」

凛(グスッ)

花陽(キッ)

真姫(ギリッ)

希(瞑想中)

絵里「ついに……来たのね」

736 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:03:18.26ID:qWqCnRqN.net
雪穂「にこにー」

亜里沙「にこさん」(ポロッ)

ヒデコ「……」

フミコ「……」

ミカ「……」

こころ「お姉さま」

ここあ「お姉ちゃん」

虎太郎「……」(うつむき)

にこママ「みんな。宇宙ナンバーワンアイドル矢澤にこの最後よ」

にこママ「快く送り出してね」

一同(コクリ)

737 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:03:47.50ID:qWqCnRqN.net
西木野総合病院 夜八時

集中治療室

(ピーッピーッ)

心電図計(ピーッピーッ)

にこ(昏睡状態)ベッド

心電図計(ピーッピーッ)

にこ(スーハー スーハー)呼吸器

心電図計(ピーッピーッ)

にこ(まぶたムズムズ)腕に点滴

738 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:04:45.37ID:qWqCnRqN.net
にこ(パチリ)

にこの視界(ぼんやり)

心電図系(ピーッピーッ)

看護師「血圧96、少し持ち直してます」

にこ「……」(ベッド)

にこの視界(左前から絵里、海未、ことり、穂乃果)

にこの視界(足元に左から虎太郎、にこママ、こころ、ここあ)

にこの視界(右前から真姫、花陽、凛、希)

にこの視界(にこママ達の後ろに左から雪穂、亜里沙、ヒデコ
フミコ、ミカ)

にこの枕元(園田、大御所)

739 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:05:41.83ID:qWqCnRqN.net
にこ(随分と大所帯ね)苦笑

心電図計(ピーッピーッ)

大御所「姉ちゃん、気分はどうだい」(にこの枕元)

にこ「……」(呼吸器)

にこ(呼吸器に手)

看護師「矢澤さん。いけません」(制止)

740 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:06:10.53ID:qWqCnRqN.net
にこママ「いいえ、構いません」

にこママ「先生」

医師「外してあげなさい」

看護師「はい」

看護師(にこの呼吸器外し)

にこ「感覚が……あんまし……なくて」(ベッド)

大御所「そうか」

大御所「俺の母ちゃんも、おんなじ事言ってたな」

741 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:06:39.77ID:qWqCnRqN.net
園田「にこさん……」(ウルッ)

にこ「園……田……悪いけど……」(ベッド)

にこ「面倒くさい……事……先に……済ませときたい……わ」(腕に点滴)

園田「はい」

園田「では弁護士の方を」

742 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:07:42.20ID:qWqCnRqN.net
心電図計(ピーッピーッ)

弁護士「それでは、矢澤にこさんのご希望を読ませていただきます」(遺言状)

弁護士「1・矢澤にこ本人の総資産総額37億2552万1980円のうち、
15億円を矢澤にこの実家に与え、その相続人及び管理者は
矢澤にこの母とする」(遺言状)

弁護士「2・残る資産のうち、5000万円を国立音ノ木坂女学院に、5000万円を私立音ノ木坂女子大学に、
1億円をオフィスAに、1億円を西木野総合病院に」

弁護士「3000万円を秋葉原の振興のため都に寄付する」(遺言状)

弁護士「3・遺品のうち現物は、別に作成したリストをもとに、矢澤にこの家族、知人及び関係者に分配される」(遺言状)

743 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:08:22.28ID:qWqCnRqN.net
弁護士「4・矢澤にこの残る資産をもって、アイドル始め文化振興、
教育及び慈善事業のための財団を創設し、その代表役として高坂穂乃果を指名する」(遺言状)

穂乃果「うぇ!?」(ビクッ)

海未「穂乃果」

弁護士「5・矢澤にこの葬儀及び埋葬については別途定めた通りに行う」

弁護士「なお、喪主として小泉花陽を希望する」(遺言状)

花陽「ぴゃっ!?」(ビクッ)

凛「かよちん」

弁護士「遺言は以上です」

744 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:09:37.08ID:qWqCnRqN.net
心電図計(ピーッピーッ)

一同「……」

弁護士「みなさん、ご同意いただけますか?」(遺言状)

にこママ「遺産や寄付に関しては、異存ありません」

にこママ「細かい事に関しては、指名された関係者達と後で話し合いさせてもらっても
良いでしょうか」

弁護士「本人が了承されるのであれば」

心電図計(ピーッピーッ)

にこママ「こう言う感じになったけど、良い?」

にこ(コクリ)呼吸器

745 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:10:55.85ID:qWqCnRqN.net
大御所「それじゃ、俺たちはもうおいとましようか」

園田「はい」

大御所「姉ちゃん。後は家族や友達と水いらずでゆっくりしろな」(枕元)

にこ(コクリ)呼吸器

にこママ「どうもありがとうございます」(一礼)

大御所「ハハ……しばらくはちょくちょく顔合わせる事になるかな」

大御所「お嬢ちゃん達も、またな」

一同「はい。ご苦労様です」(一礼)

746 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:11:45.86ID:qWqCnRqN.net
大御所「園田、行くぞ」

園田「にこさん……あなたのマネージャーが出来て、本当に光栄でした」(ウルウル)

園田「本当はいつまでも付き添っていたいのですが、私たちを待っている方達がいますので」(にこの手ギューッ)

園田「にこさんが生きてきたように、もっともっと頑張っていきます……はいっ」(ポロッ)

大御所「泣くな園田」

大御所「ここにはな。俺たちよりも泣きたいヤツが十人以上いるんだよ」

大御所「ほら行くぞ」

747 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:13:13.73ID:qWqCnRqN.net
園田「にこさん。お達者で」(ポロポロ)


8時45分

大御所 園田 弁護士が退出

集中治療室

にこ(ベッド)

心電図計(ピ ピー ピー)

看護師「血圧、下がってます」

医師「お母さん、今夜が越せるか、いえ、日をまたぐ事が出来るか
正直保障出来ません」

にこママ「はい」

心電図計(ピーッピーッ)

748 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:13:52.24ID:qWqCnRqN.net
にこ(呼吸器に手)

看護師「矢澤さん、もう無理です」

医師「好きにさせなさい」

看護師「はい」(呼吸器に手)

にこ(呼吸器外し)

にこ「絵里……は?」(ベッド)

絵里「ここにいるわ」

にこ「真姫……真姫ちゃんは」

真姫「いるわよ」

749 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:15:11.89ID:qWqCnRqN.net
にこ「穂乃果」(腕に点滴)

にこ「穂乃果?」(ベッド)

穂乃果「いるよここに」(ウルウル)

にこ「海未」

海未「いますよ。はいっ」(泣き笑い)

にこ「ことり」

ことり「にこちゃん」(グスッ)

にこ「花陽」

花陽「はい」

にこ「凛」

凛「グスッ……グスッ……」

凛「ここにいるにゃあ」(ポロポロ)

にこ「希」

希「ずっとおるやん」(微笑)

750 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:15:39.11ID:qWqCnRqN.net
にこ「雪穂」(ベッド)

雪穂「にこにー」(ポロッ)

にこ「亜里沙」(腕に点滴)

亜里沙「はい」(ポロポロ)

にこ「ヒデコ」

ヒデコ「はい」(ウルッ)

にこ「フミコ」

フミコ「いますよ」(ウルウル)

にこ「ミカ」

ミカ「にこ先輩」(ポロッ)

751 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:16:20.77ID:qWqCnRqN.net
にこ「虎太郎」(ベッド)

虎太郎「うぅ……グスッ……お姉ちゃん」(ボタボタ)

こころ「虎太郎泣かない」

ここあ「泣かないの」

にこ「ここあ」(腕に点滴)

ここあ「うん。ここだよお姉ちゃん」

にこ「こころ」

こころ「はいっ、お姉さま」

こころ「ここにいま……す……グスッ」(ポロポロ)

こころ「うわあぁぁ〜ん」(にこママギューッ)

にこママ(ナデナデ)

752 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:16:45.48ID:qWqCnRqN.net
にこ「ママ」(ベッド)

にこママ「いるわよ」(枕元)

にこ「そう」

にこ「みんないたのね」(微笑)

心電図計(ピーッピーッ)

にこ「もう……何言ってんのかも……わかんなくなってきたわ」(ベッド)

にこ「変な風に……聞こえたら……聞き流してちょうだい」

753 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:17:21.81ID:qWqCnRqN.net
にこ「にこはもう死ぬみたい……頑張ったけど……しょうがないのね」(ベッド)

穂乃果「にこちゃん」(ウルッ)

にこ「そう……しょうがないのよ」(微笑)

凛「うぅ……グスッ……グスッ」(ポロポロ)

にこ「真姫……」(腕に点滴)

希「真姫ちゃん。呼んでるやん」

真姫「なに?」(枕元)

754 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:18:04.33ID:qWqCnRqN.net
にこ「真姫ちゃんのおかげ……で、にこはここまで……やれたよ」(手ギューッ)

にこ「ありがと」(微笑)

真姫「クッ……やめてよそんな話」(ウルッ)

真姫「どうせなら、せめてクリスマスまで生きてから同じこと言って欲しかったわよ」(ポロッ)

にこ「ハハ……それは無理みたい……ね」(苦笑)

にこ「絵里」

絵里「ここよ」(枕元)

755 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:18:39.25ID:qWqCnRqN.net
にこ「あんたに……は苦労かけた……わねえ」(手ナデナデ)

にこ「許してくれる?」(ベッド)

絵里「そうね」

絵里「もう少し長生きしてくれたらね」(泣き笑い)

にこ「こころ……ここあ……虎太郎」(腕に点滴)

絵里「みんなこっちよ」

こころ「お姉さま」(ポロポロ)

ここあ「お姉ちゃん」(ブワッ)

虎太郎「行かないで」(グスッ……グスッ)

756 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:19:30.97ID:qWqCnRqN.net
にこ「私は……もう行くけど……心配いらない……わ」(こころ達ナデナデ)

にこ「ここにいるみんな……が……あなた達のお姉さん……に
なってく……れる……わ」(ベッド)

にこ「だから心配……は……いらない……ね?」(微笑)

こころ「お姉さま」(ポロッ)

こころ「はい、分かりました」

ここあ「お姉ちゃん。きっとお姉ちゃんみたいに立派な大人になるからね」(ウルウル)

虎太郎「僕も」(ポロポロ)

757 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:20:05.12ID:qWqCnRqN.net
にこ「希……いる?」(ベッド)

希「おるよ」(微笑)

にこ「もっとみんな……とはなし……たいんだけど」(腕に点滴)

希「もうええんよ。にこっち」(手ギューッ)

希「みんな分かってる」(ポロッ)

真姫「!」

真姫「お母さん、そばに」

758 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:20:39.78ID:qWqCnRqN.net
心電図計(ピ ピピ ピーッ ピーッ)

看護師「脈拍が不安定です」

医師(腕時計)

にこ「ママ……これから……のこ……と」(ベッド)

にこママ「良いのよにこ」(微笑)

にこママ「なにも考えないで。任せなさい」(手ギューッ)

にこ「ママ」

にこ「ありがとう」(微笑)

759 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:21:24.82ID:qWqCnRqN.net
にこ(手上げ)

にこ「この手を……みなさ……い」(手)

にこ「何に……見える?」(ベッド)

一同「……」

花陽「!!!」

花陽「アイドルだよ。アイドルの手だよ!!」(手ガシッ)

真姫「花陽!?」

穂乃果「花陽ちゃん?」

760 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:21:55.52ID:qWqCnRqN.net
花陽「にこちゃんの手は、アイドルの手をしてるよ。
ほかの誰よりも、ずっと、ずっと!!」(手グイグイッ)

花陽「それ以外の何物でもないよ!!」(手ブンブンッ)

花陽「世界一の、いや、宇宙ナンバーワンアイドルの手なんだよ!!!」(手ギリギリッ)

希「花陽ちゃん」

真姫「花陽」

凛「かよちん落ち着いて」(羽交い絞め)

761 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:22:22.90ID:qWqCnRqN.net
にこ「当たり前……じゃない」(ベッド)

にこ「生まれてから……死ぬまで……アイドル……だったのよ」(微笑)

心電図計(ピッピッピッピッピッ)

看護師「先生」

医師「呼吸器を。蘇生措置の準備」

看護師「矢澤さん、戻しますよ」(呼吸器)

にこ「スー ハァー」(呼吸器)

医師「酸素吸入」

762 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:22:56.29ID:qWqCnRqN.net
にこ「……」(呼吸器)

にこ(アイドルの……思いは)呼吸器

心電図計(ピピピッ ピッ)

にこ(ガクッ)

心電図計(ピーーーー)

看護師「心肺停止」

医師「電気ショック、用意」

看護師(にこの胸に電極パッド)

医師「3、2、1、はい」

にこ(バン、ビクッ)

医師「3、2、1」

にこ(バン、ビクッ)

763 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:24:13.72ID:qWqCnRqN.net
医師「心臓マッサージと人工呼吸」

看護師A(にこの胸グイグイッ)

看護師B「矢澤さん、矢澤さん」

看護師A(スゥーッ)

看護師A(にこの口にフゥーッ)

にこの胸(プクーッ)


一同「……」

穂乃果(呆然)

764 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:25:05.17ID:qWqCnRqN.net
9月21日 午前0時25分

ここに矢澤にこは24才の生涯を閉じた



西木野総合病院

ロビー

一同(呆然)

穂乃果(ポカーン)

花陽「……」

(カッカッ)

にこママ「穂乃果さん、花陽さん」

穂乃果「あ……」

花陽「お母さん」

765 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:25:46.93ID:qWqCnRqN.net
穂乃果「にこちゃんは」

にこママ「もう霊安室よ」

花陽「そうですか」

にこママ「みんなこんな遅くまでありがとう」

にこママ「お仕事とかは大丈夫なの?」

穂乃果「まあ、もともと休むつもりでしたし」(苦笑)

花陽「もう終電も終わってるし」

花陽「私はぁ……朝まで残ろうかと」

766 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:26:19.08ID:qWqCnRqN.net
にこママ「こんなに大勢来てくれてるのに、シンとしてるわね」(ベンチ)

穂乃果「ええ」(ベンチ)

穂乃果「なんか本当、気が抜けたと言うか」(苦笑)

花陽「まだ現実感がわかないよね」(ベンチ)

花陽「なんかこぅ……ひょっこり姿を現してもおかしくない気がするもん」

穂乃果「(あんたたち、こんな遅くまであにやってんのよ)って?」

にこママ「そうね」(微笑)

767 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:27:33.03ID:qWqCnRqN.net
穂乃果「こころちゃん達は?」(ベンチ)

にこママ「空いてる病室に泊めてもらったわ」(ベンチ)

にこママ「真姫さんのお母さんの手配でね」

花陽「子供たちだけで?」(ベンチ)

にこママ「こう言うのは慣れてる子達だから」(苦笑)

768 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:28:04.26ID:qWqCnRqN.net
にこママ「私も同じ病室で寝かせてもらうんだけど、その前に
あなた達と話がしたくてね」(ベンチ)

穂乃果「ああ……あの話ですか」(ベンチ)

穂乃果「私に、何億ってお金管理出来るかなあ」(苦笑)

にこママ「差支えなければ、引き受けて欲しいの」

にこママ「にこはよほどあなたの事信用してるみたいだから」

穂乃果「まあ一応、銀行員ではあるんですけど」(苦笑)

769 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:28:44.22ID:qWqCnRqN.net
にこママ「それと、花陽さん」(ベンチ)

にこママ「喪主の件、どうかしら」

花陽「わぁ……私!?」(自分に指さし)

花陽「わぁ……私にはぁ……とても」

花陽「お母さんもいる事ですし」(アタフタ)

花陽「ほ、穂乃果ちゃん。何か言ってちょうだい」

770 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:29:20.45ID:qWqCnRqN.net
穂乃果「花陽ちゃん」(ベンチ)

花陽「け、けどぉ……」(ベンチ)

穂乃果「にこちゃんは花陽ちゃんを後継者に指名したんだよ」

穂乃果「真姫ちゃんでも絵里ちゃんでも私でもなく、花陽ちゃんをだよ」

花陽「け、けどぉ」

穂乃果「アイドルになるかならないかは、花陽ちゃんが決める事だけど」

穂乃果「今はにこちゃんの気持ちに応えようよ」

穂乃果「ね?」

花陽「……」

花陽「う、うん」

771 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:30:08.54ID:qWqCnRqN.net
穂乃果「お母さん。財団の件は大金が絡む事になるから、即答は出来そうにないけど」(ベンチ)

穂乃果「必ず答えは出します。にこちゃんの遺志に沿うように」

にこママ「そう言ってくれると嬉しいわ」(微笑)

ヒデコ「みなさーん。病院のご厚意で、食事と毛布を提供してもらえるそうです」

ヒデコ「ただし、病室は空きが少なく、急患にも対応する必要があるから」

ヒデコ「残念ながら、ここで寝てもらう事になるそうです」

ミカ「そう言うわけで、食堂で食事後、ここで就寝と言う事になります」

772 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:30:47.77ID:qWqCnRqN.net
ヒフミ「みなさんよろしくお願いします」(ペコリ)

一同「はーい」

穂乃果「いやぁ〜、不謹慎かも知れないけど、ご飯が食べられると聞いて安心したよ」

花陽「そうだね。さすがに何時間も張りつめていたからね」

にこママ「私も同じ気持ちだわ」(微笑)

穂乃果「絵里ちゃんと真姫ちゃんは?」

にこママ「霊安室にいるわ」

にこママ「私も寝る前に、もう一度行くつもりだけど」

773 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:31:58.01ID:qWqCnRqN.net
にこママ「けど、みんなここまで付き合ってくれてるのに、私達だけ病室のベッドで寝るなんて
良くないわねえ」(ベンチ)

穂乃果「そんな、気にしないでください」(ベッド)

花陽「お母さん達が一番大変なんだし」(ベッド)

にこママ「いいえ。私達だけみんなをほったらかしにして、勝手にご厚意に甘えたりしたら
娘に叱られてしまいます」(スック)

穂乃果「まさか、こころちゃん達も?」

花陽「まだ子供なんだし、みんな分かってますから」

にこママ「矢澤家の子はそんな軟弱ではありません」

にこママ「それではまたね」

(スタスタ)

穂乃果「やっぱにこちゃんのお母さんだね」(苦笑)

花陽「そうだね」(苦笑)



今夜はここまで

今日中に完結します

774 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:33:35.70ID:TBudKDwh.net
死に方がかなりリアルだな

775 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:34:19.73ID:32o7h6o1.net
おつです
つらい
かなしい

776 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 00:51:39.78ID:QpP9FCCd.net
泣いてしまった
当たり前か......

777 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 01:02:50.31ID:mkiX1QHZ.net
久しぶりにssで半泣き
致命的なシーンはそれだけでやっぱり抉られるね

778 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 04:23:33.81ID:uFc4rcnt.net
いやまあそこに至るまでのメンバーとの描写はいいと思うんですけど
準優勝でメンバー殺すオチは残念でした
この後の夢オチを除けば

779 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 04:38:38.96ID:bxzUiDtC.net
なぜか天の最終章思い出した
墓石削られそう

780 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 10:00:07.77ID:DDoExolC.net
にこはいいじゃん 俺なんか30後半で死ぬと医者に言われてるからな
しかもにこみたいにすぐには死ねない
じわじわ蝕んでくる
不幸だ だがそれも考え方次第ではまた僥倖

781 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 10:02:11.62ID:TBudKDwh.net
重病板で書き込めよそれは

782 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 10:46:25.59ID:qWqCnRqN.net
再開

10月1日

都内

矢澤にこ葬儀会場

受付付近

(ザワザワ)

穂乃果「花陽ちゃん。お疲れさま」

花陽「あっ、穂乃果ちゃん」

穂乃果「どう?喪主役は、大変?」

花陽「まあ、生まれて初めての体験だからね」

花陽「あんましぃ……度々あっても困るけど」(苦笑)

783 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 10:49:10.94ID:qWqCnRqN.net
弔問客達(ゾロゾロ)

穂乃果「それにしても、もの凄い数だね」

花陽「主催者発表で、10万人だって」

穂乃果「さすがにこちゃんだ」

花陽「そう言えば、財団の件は?」

花陽「穂乃果ちゃん。引き受けるの?」

穂乃果「そうだね。運営はプロの人にやってもらって」

穂乃果「私は、名前だけ貸すって事になりそうだけど」

花陽「そっかあ」

784 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 10:49:51.55ID:qWqCnRqN.net
ヒデコ「穂乃果。久しぶり」(喪服)

フミコ「花陽ちゃん。とりあえず一段落着いたよ」(喪服)

ミカ「予想をはるかに上回る人数だったから」(喪服)

ミカ「最初はどうなるかと思ったけど」

花陽「あっ、ヒデコさん達」(喪服)

花陽「みんなご協力ありがとうございます」(一礼)

穂乃果「ヒデコちゃん達が運営してくれるなら、安心だねっ」(微笑)

785 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 10:51:18.57ID:qWqCnRqN.net
絵里「花陽、穂乃果」(喪服)

真姫「みんな久しぶりね」(喪服)

花陽「あっ、絵里ちゃん、真姫ちゃん」(喪服)

穂乃果「このたびはお悔やみ申し上げます」(一礼)

真姫「あによ畏まって」(苦笑)

穂乃果「うぇ?でもやらない?こう言う時」(喪服)

真姫「穂乃果に喪服着て畏まられると、なんだか変な感じね」

絵里「本当にね」(苦笑)

穂乃果「それどう言う意味?」

ヒフミ(苦笑)

786 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 10:52:09.80ID:qWqCnRqN.net
穂乃果「けど、色々大変だよね。絵里ちゃん達」(喪服)

真姫「まあ、この一週間は、寝る間も無かったわ」(喪服)

真姫「余計な事考える余裕が無かったのは、かえって良かったかも知れないけど」

絵里「本当にね」(喪服)

穂乃果「これからどうするの?」

真姫「そうね。bibiは続けるけど」

絵里「具体的な事は、まだ事務所と話し合ってないの」

787 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 10:53:05.60ID:qWqCnRqN.net
真姫「アイドルは続けたいし、それはにこちゃんの遺志でもあるけど」(喪服)

絵里「にこ抜きでどこまでやれるのか……正直自信があると言えば
嘘になるわね」(喪服)

真姫「にこちゃん喧嘩ばかりのイメージがあるけど」

絵里「実はああやって私たちを守ってくれてたんだと、今にして分かるわ」

花陽「そっかあ……そうだよね」(喪服)

788 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 10:54:49.57ID:qWqCnRqN.net
絵里「それにしても、花陽は良く喪主を引き受けてくれたわねえ」(喪服)

花陽「喪主と言っても、大変な所は、にこちゃんのお母さんやヒデコさん達がやってくれてるし」(喪服)

花陽「私なんてぇ……ただのお飾りだよ」

真姫「そんな事ないわ」(喪服)

真姫「なんだかんだ言って、にこちゃんは花陽を一番高く評価してたからね」

花陽「けどぉ……私が引き受けて本当に良かったのかなあ」

花陽「絵里ちゃんや真姫を差し置いて」

789 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 10:57:51.53ID:qWqCnRqN.net
真姫「そんな事気にしてたの?」(喪服)

絵里「これはにこの遺志なんだし、私達が引き受けるにしても、色々ありすぎて、
きっと十分務めを果たせなかったでしょうし」(喪服)

絵里「花陽がやってくれて、本当に助かってるのよ」

穂乃果「そうだよ花陽ちゃん」(喪服)

穂乃果「花陽ちゃんの喪服姿、とても似合ってるよ」

ヒデコ「それは少し違うと思うんだけど」(喪服)

790 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 10:58:18.80ID:qWqCnRqN.net
ヒデコ「それじゃ私たちは、お客様の対応に戻ります」(喪服)

フミコ「みなさんどうぞごゆっくり」(喪服)

ミカ「花陽ちゃん」(喪服)

花陽「じゃ、みんな、後でね」(喪服)

ぱなヒフミ(スタスタスタ……)

ほのえりまき「……」

791 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 10:59:14.88ID:qWqCnRqN.net
海未「穂乃果」(喪服)

ことり「穂乃果ちゃん」(喪服)

穂乃果「あっ、ことりちゃん、海未ちゃん」(喪服)

絵里「2人ともお久しぶり」(喪服)

真姫「良く来てくれたわね」(喪服)

海未「このたびはお悔やみ申し上げます」(一礼)

ことり「お悔み申し上げます」(一礼)

絵里「ご丁寧にどうも」(一礼)

真姫「やっぱ海未がやると絵になるわね」

穂乃果「私の時と反応違うんだけど」

792 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:00:25.26ID:qWqCnRqN.net
海未「それにしても、これほど大規模な葬儀になるとは」(喪服)

ことり「やっぱにこちゃん凄いね」(喪服)

絵里「海外からの弔問客も、数千人いるそうよ」(喪服)

真姫「bibiは海外ではアライズ抜いてたからね」(喪服)

穂乃果「やっぱにこちゃんビッグだわ」(喪服)

海未「けど、費用とかは大丈夫なのですか?」

ことり「料理とか記念品とかだけでも、相当な量になるよね」

真姫「そこは上手く出来ていて、著名人を中心に、香典がたくさん集まっててね」

絵里「恐らくトントンよ」

穂乃果「ほえ〜、死してなお有名人かあ」(喪服)

793 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:02:39.78ID:qWqCnRqN.net
本会場

葬祭壇(にこの遺影)

大御所(ナムナム)

園田(ナムナム)

にこの遺影(笑顔)

大御所「良い笑顔しやがって」

大御所「おじさんこれからどうやって喧嘩相手見つけりゃいいんだよ」

園田「にこさん」

園田「あと一年生きてれば……芸能界の覇者となっていたでしょうに」

大御所「惜しむのはまだ早いかも知れんぞ」

園田「?」

大御所「コイツはまだ死んじゃいない気がするんだよ」

大御所「お前らが思ってるより、しぶとい姉ちゃんだからな」

園田「???」

794 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:03:52.81ID:qWqCnRqN.net
葬祭壇(にこの遺影)

ゆきあり(ナムナム)

雪穂「にこにー。お別れだね」(喪服)

亜里沙「にこさん。本当に良い笑顔してますね」(喪服)

にこの遺影(笑顔)

雪穂「こんなに早く、親しい人が亡くなるなんて、思ってもみなかったよ」

亜里沙「才能も魅力もあったのに……本当に惜しい話だよねえ」(ウルッ)

雪穂「……」

雪穂「アイドル研は私たちの代で終わっちゃったけど」

雪穂「これからはにこにーの遺志に恥ずかしくない生き方をしなきゃね」

亜里沙「うんっ」

795 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:04:34.12ID:qWqCnRqN.net
葬祭殿 ホール

(ザワザワ)

希「穂乃果ちゃん、真姫ちゃん」(喪服)

凛「お久しぶりにゃあ」(喪服)

真姫「あっ、希、凛」(喪服)

絵里「2人とも来てくれたのね」(喪服)

希「花陽ちゃんは?」

穂乃果「今弔問客への挨拶に」(喪服)

穂乃果「芸能人や社長だけじゃなく、議員の人まで来てるんだってさ」

凛「それはすごいね」

希「選挙候補に狙っている人も、きっといたんやろうねえ」

796 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:05:31.42ID:qWqCnRqN.net
希「今、にこっちにお別れ言って来たんよ」(喪服)

希「良い笑顔してたやん」(微笑)

凛「最後まで笑顔でいようなんて」(ウルウル)

凛「やっぱにこちゃんは……本物のアイドルだったんだよねぇ〜」(ポロポロ)

凛「ふえぇぇ〜ん」(涙ボタボタ)

真姫「ほら凛」(ハンカチ)

絵里「凛も相変わらずねえ」(苦笑)

海未「凛は今日までに何回泣いたんですか」

ことり「でも、凛ちゃんらしくて良いんじゃないかな」

797 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:06:08.53ID:qWqCnRqN.net
海未「けど、これでミューズも勢ぞろいですね」(喪服)

ことり「久々にみんな集まると、やっぱ心強いね」(喪服)

穂乃果「けど、にこちゃん1人いないだけで、なんかこう……気が抜ける感じだけどね」(喪服)

真姫「それはあるわ」(喪服)

絵里「張り合いがないのは確かね」(喪服)

希「そんな事ないやん」(喪服)

凛「希ちゃん」(喪服)

798 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:06:47.31ID:qWqCnRqN.net
希「にこっちは死んでないよ。ウチらの心に生きてるし、これからますます大きくなるやん」(喪服)

凛「これから?」(喪服)

真姫「もういないのに?」(喪服)

希「ウチには分かるんよ」

絵里「それもカードのお告げなの?」(喪服)

希「今だから言うけど」

希「ウチのカード、全部デタラメだったんよ」(ペロッ)

海未「何と!?」(喪服)

ことり「えっ?」(喪服)

一同「えぇ〜っ!?」

799 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:08:05.98ID:qWqCnRqN.net
受付付近

海未「それにしても、希が直感だけで、あれほどの見立てをしていたとは」(喪服)

真姫「まあ、当たるも八卦当たらぬも八卦だしね」(喪服)

ことり「それにしては、驚異的な的中率なんだけど」(冷や汗)

花陽「あっ、希ちゃん達」(喪服)

凛「か〜よち〜ん」(ダッダッダッダッ)

凛「にゃあ^〜」(ギューッ)

花陽「ちょ……凛ちゃん、こんな所でぇ///」

花陽「ダレカタスケテェ><」

真姫「全く、不謹慎にも程があるわ」(喪服)

絵里「本当にね」(苦笑)

穂乃果「まあ、みんなして泣いてるよりはいいんじゃないかな」(苦笑)

800 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:08:49.86ID:qWqCnRqN.net
希「ふっふっふっ……凛ちゃ〜ん」(ガバァッ)

希「悪い娘にはおしおきせんといかんねえ」(肩ガシッ)

凛「にゃあ!?」(ビクッ)

希「う〜ん、引き締まった体に程よい脂肪……グッドテイストやん」(ワシワシワシワシ)

凛「ダレカタスケテェェ><」

ことり「あのう……にこちゃんのお葬式なんだけど」(冷や汗)

真姫「ああ、もうムチャクチャよ」(喪服)

海未「これもうなんだか分かりませんね」(喪服)

801 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:10:04.30ID:qWqCnRqN.net
凛(チーン)

穂乃果「まあ、にこちゃんも、しみったれてるよりはこっちの方が良いと
許してくれるんじゃないかな?」(喪服)

穂乃果「多分」

花陽「まあ、ミューズらしくはぁ……あるよね」(冷や汗)

真姫「全く、こんなんじゃミューズがどんどん誤解されちゃうわ」(腕組み)

802 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:10:42.48ID:qWqCnRqN.net
真姫「じゃあことりは、しばらく日本に留まるの?」(喪服)

ことり「うん」(喪服)

ことり「仕事はこっちでも出来るし、いろいろと状況が落ち着くまでは、ね?」

絵里「落ち着くまで?」(喪服)

絵里「私たちの事なら、そこまで気を使わなくても」

真姫「そうよ。ことりもプロなんだし」

ことり「ううん、そういう意味じゃないから」

ことり「ね?」(ほのぱなに目線)

えりまき「?」

希(微笑)

803 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:11:31.01ID:qWqCnRqN.net
真姫「海未。ことりは何考えてるの」(ヒソヒソ)

海未「それが私も分からないのです」(ヒソヒソ)

海未「私がたずねても、いずれ分かるの一点張りで」(ヒソヒソ)




受付前

若手お笑い芸人「いやぁ〜、それにしても、あっけなく亡くなりましたなあ」

ホスト「生きてる時は、飛ぶ鳥を落とす勢いだったのにねぇ〜」

占い師「結局、人は奢ると寿命を縮めると言う事ですな」

グラビアアイドル「この前まで、偉そうに説教たれてたのに、
世話ないですよねえ」

804 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:12:41.26ID:qWqCnRqN.net
真姫「海未、あれ」(目くばせ)

海未「ああ」(喪服)

花陽達「取り巻きだった人たちだよね」(喪服)




受付前

若手お笑い芸人「まあ、にこ姉さんには、色々利用させてもらいましたわwwww」

ホスト「結構番組に出られたんでしょ?」

若手お笑い芸人「死んだら世話ないですわw金の切れ目が縁の切れ目ってねwwwwww」

占い師「まあ、本人の生き方に鑑みてそんなものでしょうな」

グラビアアイドル「私もずいぶん我慢させられましたよ〜この人には」

グラビアアイドル「なんかこう、人として、幼稚だったですよねえ?」

805 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:13:34.01ID:qWqCnRqN.net
ホスト「死んだら悪口大会かよ〜wwwひでえなあ^〜wwww」

若手お笑い芸人「だって死人に口なしですしwwwwwww」

若手お笑い芸人「あ、そうだ。俺暴露本出そうかな。にこ姉さんのwwwwwww」

占い師「それは良いビジネスになりそうですな」

グラビアアイドル「じゃあじゃあ、わたしは被害者って事で掲載させて下さい」

一同「キャハハハwww」

806 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:14:31.13ID:qWqCnRqN.net
ミューズ「……」

真姫「酷いものね」(喪服)

絵里「恩知らずとはこの事ね」(喪服)

ことり「あんな人たちに言われるなんて」(喪服)

海未「これも知名度ゆえの事なのでしょうが、見ていてあまり良いものではありませんね」(喪服)

希「人知らずしてうらみず」(喪服)

希「あんなのに構っても仕方ないやん」

凛「にこちゃんが浮かばれないよ」(喪服)

穂乃果「……」

807 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:15:13.78ID:qWqCnRqN.net
花陽(ギリッ)

花陽(ザッザッ)

穂乃果(肩ガシッ)

花陽「!?」(クルッ)

穂乃果「花陽ちゃん。ダメだよ」(肩に手)

花陽「穂乃果ちゃん」

808 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:15:52.72ID:qWqCnRqN.net
???「穂乃果の言う通りよ」(ザッザッ)

ミューズ「!!」

海未「あなた達は」(喪服)

真姫「アライズ!?」(喪服)

ツバサ「みなさん。このたびは深くお悔み申し上げます」(一礼)

ツバサ「矢澤にこは私にとって、最強の敵であり」(喪服)

ツバサ「そして、最高のライバルだったわ」

英玲奈「これ程見事なアイドルはそういなかったぞ」(喪服)

あんじゅ「本当、寂しくなるわねえ」(喪服)

あんじゅ「心にぽっかり穴があいたみたいよ」

809 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:16:58.66ID:qWqCnRqN.net
ツバサ(ザッザッ)

ツバサ「ねえ、あなた達」(喪服)

若手お笑い芸人「あっ、ツバサ姉さん」

ホスト「ヒュ〜、イカす喪服来てるっスねぇ^〜」

占い師「来年はアライズ快進撃の年になりそうですな」

グラビアアイドル「ツバサさん。私、前々からツバサさんに一度直接お会いしたいと思っていました」(ニッコリ)

810 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:17:35.46ID:qWqCnRqN.net
ツバサ「あなた達、悪いんだけど、香典は後日建て替えるんで
いますぐここを引き払ってくれないかしら」(喪服)

ツバサ「せっかくの神聖な場を穢したくないんで」(ニッコリ)

若手お笑い芸人達(顔面蒼白)

若手お笑い芸人達(ザッザッザッザッ……)


花陽「あ、あのぅ、ツバサさん」(スタスタ)

花陽「どうもありがとうございます」(一礼)

811 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:18:29.09ID:qWqCnRqN.net
ツバサ「どういたしまして。こう言う役、あなたには似合わないでしょ?」(喪服)

ツバサ「芸能界ではキャラが大事」

ツバサ「自分のキャラに合わない振る舞いは決してしない事」

ツバサ「覚えておくと良いわ。ふふっ」(ニッコリ)

花陽「?」

花陽「は、はぁ」(喪服)

812 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:19:11.04ID:qWqCnRqN.net
真姫「ツバサ。良く来てくれたわね」(喪服)

絵里「にこもきっと喜んでるわ」(喪服)

ツバサ「あなた達も、色々大変だったでしょうね」(喪服)

ツバサ「積もる話もあるけど、まずは矢澤にこに挨拶してくるわ」

英玲奈「bibiはまだライバルだ」

英玲奈「健闘を祈るぞ」

あんじゅ「まだ決着はついてないからね」

(ザッザッザッザッ……)

ミューズ「……」

813 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:20:08.22ID:qWqCnRqN.net
11月都内

ホテルロビー

カフェ

真姫「色々考えたんだけど、もうそろそろ潮時だと思うの」

絵里「それは私も思ってたわ」

絵里「にこがいる時の水準を保つのは、さすがに無理よね」

絵里「それに、にこがあちこちで闘ってくれていた事で、余計な敵を全部1人で引き受けてくれていた」

絵里「今にして思えば……随分リーダーには苦労かけていたのよね」

絵里「大御所も園田ももちろん守ってくれるけど」

絵里「にこなしってのは、やっぱ色々と不安だし、心細いわよね」

814 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:20:41.86ID:qWqCnRqN.net
真姫「それだけじゃないの」

真姫「私、やりたい事があるの」

絵里「やりたい事?」

真姫「にこちゃん、私がbibiに加入する時良くこう言ってしぶってたでしょ?」

真姫「私が医師になれば、大勢の命を救う事が出来る」

真姫「その夢を捨ててアイドルになれば、救えるはずの人も救えなくなるかも知れないって」

絵里「そうだったわね」

815 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:21:18.58ID:qWqCnRqN.net
真姫「にこちゃんの事見て私思ったわ。もし私が最先端の技術を身に着けた癌科医だったら」

真姫「にこちゃんを助ける事ができたかも知れないって」

絵里「……」

絵里「そう」

真姫「今からでも遅くないから勉強して、受験して、医学部卒業すれば
私のところの病院で働くことも出来る」

真姫「留学して、研究に励む事も出来る」

真姫「だから」

絵里「そこまで決めてるのなら、私がとやかく口を挟む必要はないわね」

816 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:22:28.99ID:qWqCnRqN.net
真姫「けど、絵里は大丈夫なの?」

絵里「そうね。さすがに一人で芸能界を渡っていく度胸はないわね」(苦笑)

絵里「それに、今の話を聞いて、あなたを引き留めるわけにもいかないしね」

絵里「私のことは、私でなんとかするわ」

真姫「ごめんなさい。勝手な事を言って」

絵里「とんでもない。素晴らしい考えよ」

絵里「それに……これで離ればなれになるってわけじゃない」

絵里「私たちはミューズ、9人で一心同体よ」

絵里「ふふっ」(微笑)

真姫「そうね」

817 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:23:07.77ID:qWqCnRqN.net
12月

UTX総合学院

アライズ専用ブース

英玲奈「ツバサ……なんだその頭は」(唖然)

ツバサ(頭ツルツル)

あんじゅ「プッ、クックックックッ」

英玲奈「出家でもするのか?」

ツバサ「頭を丸めて、する事は1つでしょ?」(ツルツル)

あんじゅ「本当どうしちゃったのよ?ねえ」(涙目)

818 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:24:16.66ID:qWqCnRqN.net
ツバサ「矢澤にこの死と、絵里や真姫達の姿を見てね。色々と考えさせられたわ」(ツルツル)

ツバサ「私のやって来た事は間違っていない。けど」

ツバサ「それはあくまでもソロでやる分に限られると」(ツルツル)

ツバサ「あなた達の意思も存在も無視して何かを強要した時点で、アライズとしてやっている意味が
なくなってしまうと」

えれあん「……」

819 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:24:57.44ID:qWqCnRqN.net
英玲奈「それで?」

ツバサ「私はリーダーとして、アライズの一員として、一番大事な事を見落としていた、と言う事よ」(ツルツル)

ツバサ「今更頼める筋じゃないけど」

ツバサ「こうして頭を剃る事位しか、私には思いつかなかったの」(ツルツル)

英玲奈「要するに、この通り丸坊主になったから、もう一度やり直したい、と?」

ツバサ「あら、スースーして案外気持ちいいものよ」(頭ナデナデ)

あんじゅ「やめてよこんな時に」(爆笑)

820 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:26:26.15ID:qWqCnRqN.net
ツバサ「どうかしらね。私は頭を剃った事に見合うだけの返事が欲しいんだけど」(ツルツル)

英玲奈「スキンヘッドのまま真顔になるなww」(ププッ)

ツバサ「何よ。大真面目に言ってるのよ?」(ピカー)

あんじゅ「光があたると反射してるじゃないwwwwww」(爆笑)

英玲奈「許すも許さないも、何でそんな方法思いついたんだ」(涙目)

あんじゅ「今年入って初めて大声で笑ったわ」(ヒクヒク)

英玲奈「少なくともあんじゅはお気に入りみたいだぞ」

821 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:27:04.61ID:qWqCnRqN.net
英玲奈「全く、私たちがそんな程度で見捨てるほど、アライズの絆が甘いと思うか?」

ツバサ「英玲奈」(ピカピカ)

あんじゅ「ていうか、あなたのそんな姿を見たら、よけい見捨てるわけにはいかなくなったわ」

ツバサ「許してくれるの?」(ツルツル)

ツバサ「良かったわあ。丸坊主になった上、あなた達にまで見捨てられでもしたら
みじめにも程があるもん」(ホッ)

822 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:27:43.54ID:qWqCnRqN.net
英玲奈「しかし、これからどうするつもりだ?まさか、そんな頭で
テレビやライブに出るわけにもいくまい」

あんじゅ「カツラでもするの?」

ツバサ「まさか。この頭で行くのよ」(ツルツル)

えれあん「えぇ〜!?」

英玲奈「ツバサ。それは無謀だ」

あんじゅ「そうよ。人間サーチライトになっちゃうじゃない」

823 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:28:22.40ID:qWqCnRqN.net
ツバサ「いいえ。髪が伸びるまで、私はこれを貫かせてもらいます」(ツルツル)

英玲奈「なんでそんな事に意地張るんだwww」

あんじゅ「全く、困ったリーダーねえ」(苦笑)

824 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:29:07.40ID:qWqCnRqN.net
12月

bibiは正式に年内をもって解散する事を発表し

日本中が騒然となった

825 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:29:42.89ID:qWqCnRqN.net
翌年1月

秋葉原 ファーストフード

花陽「急に呼び出してごめんね」

穂乃果「良いんだよ」

ことり(微笑)

花陽「あ、あのぅ〜、穂乃果ちゃん、ことりちゃん」

花陽「いきなりぃ、こんな話すると、びっくりしちゃうかも知れないけどさ」

826 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:30:12.73ID:qWqCnRqN.net
花陽「い、一緒にぃ……やって欲しい事が、あるんだけど」

穂乃果「なにを?」

ことり(微笑)

花陽「ぴゃっ!?え、ええとぉ……」(ビクッ)

花陽「ええとぉ……そのぅ……」(冷や汗)

花陽「やっぱ言えないよぉこんな事ぉ><」

827 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:30:58.28ID:qWqCnRqN.net
ことり「花陽ちゃん、深呼吸しよ。ね?」

花陽「スゥーハァー、スゥーハァー」(深呼吸)

穂乃果「落ち着いた?」

花陽「う、うん。ありがとぉ」

花陽「それで、そのぅ……あぁ、ああ^〜」

ことほの「あぁ^〜?」

花陽「あぁ、アイドルをぉ……やりたいんだ」

828 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:31:38.66ID:qWqCnRqN.net
穂乃果「アイドル?」

ことり「私たち3人と?」

花陽「う、うん」(コクリ)

穂乃果「良いよ」

ことり「うんっ♪」

花陽「ぴゃっ!?ほぉ……本当に!?」

花陽「て言うか、そんなにすぐ即答、し、シチャウモノナノォ!?」

829 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:33:05.80ID:qWqCnRqN.net
穂乃果「だって花陽ちゃん、にこちゃんが死ぬあたりから、アイドルになる腹固めてる顔してたもん」

ことり「みんな言ってたよ。花陽ちゃん、絶対にこちゃんのあと継ぐんだろうねって」

花陽「そぉ、そうなんだ」

花陽「けど、本当に良いの?穂乃果ちゃんは銀行員だし、ことりちゃんだって」

穂乃果「花陽ちゃん。何でことりちゃんが今日まで日本に留まってくれたのか、分かる?」

花陽「……」

花陽「そ、そうだったんだね」

ことり(微笑)

830 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:33:44.79ID:qWqCnRqN.net
穂乃果「けど、始めるにあたって私達から1つだけ条件があるよ」

花陽「条件?」

穂乃果「リーダーは花陽ちゃんだよっ♪」

ことり「うんっ♪」

花陽「ぴぇ?ピエエェェェェェ!?」

花陽「花陽が新ユニットのリーダーに、ナ、ナッチャウノオォォォォ!?」

花陽「ダーレーカータスケテエェェェ><」

831 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:34:56.60ID:qWqCnRqN.net
クリスマスイブ

都内

某霊園

(ザッザッザッザッ)

???達(ザッザッザッザッ)

???「2人とも、お久しぶりやん」

???達「!?」

???「ふふ」

???達「あなたは」

???達「希さん」

832 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:35:25.30ID:qWqCnRqN.net
希「今日は非番なん?」(巫女姿)

弥生「いいえ」

春菜「これから局です」

希「そうやろうね」

希「今や二人ともアライズに並ぶトップアイドルだもんね」(微笑)

やよはる「……」

833 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:36:01.13ID:qWqCnRqN.net
希「にこっちに会いに来たん?」(巫女姿)

弥生「ええ」

春菜「まあ、そんな所です」


雪(シンシン)

希「急に冷えたと思ったら、やっぱ降って来たね」(巫女姿)

弥生「あのう、希さん」

春菜「その姿で、寒くないのですか?」

834 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:36:33.75ID:qWqCnRqN.net
希「ウチはこの時期から新年まで、明神さんでお手伝いしてるんよ」(巫女姿)

希「毎年ね」


雪(シンシン)

希「今年はホワイトクリスマスやね」

希「縁起ええやん」(微笑)

弥生「あ、あのう……希さん」

春菜「私達、そのぅ」

希「ん?」

835 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:37:24.07ID:qWqCnRqN.net
雪(シンシン)

弥生「にこさんの葬儀、出られなくて」

弥生「電報は打たせてもらったんですけど

春菜「本当はお見舞いにも行きたかったのですが」

希「気にせんでええよ」(巫女姿)

希「それがプロの世界……にこっちなら分かってくれるやん」

やよはる「……」

やよはる「はいっ」

836 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:37:54.67ID:qWqCnRqN.net
雪(シンシン)

希「にこっちなら、突き当りを右に曲がって、一番奥におるよ」(巫女姿)

希「弥生ちゃん達が来てくれたら、きっと喜ぶやん」

弥生「はい」

春菜「ありがとうございます」

希「じゃあ、ウチはこれで」(巫女姿)

弥生「希さん。お元気で」

春菜「ごきげんよう」

837 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:39:05.00ID:qWqCnRqN.net
希「と、その前に」(巫女姿)

やよはる「?」

希「親しい人にする挨拶忘れてたやん」

やよはる「挨拶?」

希「すなわちな?」(巫女姿)

希「これやん♪」(ガバァッ)

やよはる「!!」

希「キシシシシ」(ジリジリ)

やよはる「イ、イヤアァァァ><」

838 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:39:37.82ID:qWqCnRqN.net
やよはる(チーン)

希「ふぅ……これで思い残すことなく年が越せそうやん」(巫女姿)

弥生「うぅ……もうお嫁にいけない」(クスン)

春菜「希さんやっぱ私達に怨みがあるんじゃないですかあ?」(涙目)

希「ほな、ごゆっくり」(巫女姿)

(ザッザッザッザッ……)

839 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:40:58.92ID:qWqCnRqN.net
にこの墓

雪(シンシン)

やよはる(ナムナム)

にこの墓石(白大理石)

墓石(宇宙ナンバーワンアイドル矢澤にこここに眠る)

春菜「弥生、右の添え石見てみな」

弥生「……」

添え石(誰かを笑顔にさせようとして誰かに笑顔を見せる人はみんなアイドル 矢澤にこ)

弥生(ウルッ)

春菜「にこさんの言葉だね」(ウルウル)

840 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:42:12.76ID:qWqCnRqN.net
墓石前供物台

供物台(お供えの山)

弥生「ものすごい量だね」

春菜「花にお菓子に果物でてんこ盛りだ」

春菜「化粧品やアクセサリーもこんなに」

弥生「私達、これしかもってきてないけど」(紙袋)

春菜「まあ、にこさんそんな贅沢な人じゃなかったから、多少はね?」

841 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:42:58.56ID:qWqCnRqN.net
雪(シンシン)

供物台(アイドル衣装)

弥生「にこさん、天国でアイドルやる時これ使ってください」(ナムナム)

春菜「ご冥福をお祈りします」(ナムナム)

弥生「化けて出ないでください」(ナムナム)

春菜「ぷっ、止めてよこんな時に」(ヒクヒク)

弥生「でも、なんかにこさんだと、こんな感じになっちゃうんだよねえ」

春菜「まあね」(苦笑)

春菜「にこさんも泣きべそかかれるよりは、良いって言うかもしれないけど」

842 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:43:34.86ID:qWqCnRqN.net
雪(シンシン)

ヒユゥウゥゥ

アンタタチマジメニヤンナサイヨォォォ

やよはる「!!!」

やよはる「ヒイイィィィ><」(お互いギューッ)


にこ墓石前

弥生「にこさん、どうぞお許し下さい」(ナムナム)

春菜「成仏して下さいお願いしますなんでもしますから」(ナムナム)

843 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:44:01.83ID:qWqCnRqN.net
雪(シンシン)

弥生「ああ、死ぬかと思った」

春菜「弥生が変な事言うから」

弥生「春菜だって便乗してたでしょ?」

春菜「……」

弥生「どうしたの?」

春菜「弥生、あれ」(供物台)

供物台(タロットカード)

844 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:44:30.41ID:qWqCnRqN.net
弥生「カードだ。占いに使うヤツの」

春菜「かなり使い込んでるねえ」(タロットカード)

春菜「なんでこんなのお供えしたんだろうね」(タロットカード戻し)

弥生「そうだねえ」

弥生「いったい、誰のなんだろうねえ」

雪(シンシン)

845 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:45:29.98ID:qWqCnRqN.net
翌新年度

アイドル界に激震!

元ミューズの3人が新ユニットを結成!!

小泉花陽・高坂穂乃果・南ことり【Printemps】デビュー!



秋葉原中央通り 正午

ことり「そして わーおわーお! 夢じゃなく♪」

穂乃果「ぎゅっとわーおわーお! 抱きしめて♪」

花陽「君をずっとずっとスキなコト♪」

ことり「教えるよ 信じてよ?」

(キャアァァァ パチパチパチパチ)

(ウオォォ ホノカー カヨチーン)

(コトリチャーン チュンチュン♪)

846 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:46:30.27ID:qWqCnRqN.net
オフィスA

大御所「園田。あの3人のこと頼むぞ」

園田「はいっ。喜んで」(破顔)


かつてのカリスマ高坂穂乃果 世界的デザイナーとしてすでに著名な南ことり

そして 矢澤にこの正当な後継者とされる小泉花陽からなる超大型ユニットは

可愛らしく親しみやすいアイドルをスローガンに

bibiをも凌ぐインパクトを世界中に与え

瞬く間にプロアイドル界の台風の目となった

847 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:47:21.85ID:qWqCnRqN.net
某大手プロダクション

東京493総本部

弥生「これは、とんでもない事態となった」

春菜「今年はラブライブプロで衰退したアライズを撃破して
アイドル界の覇者になんて」

春菜「傲慢にも程があったかあ」(ギリッ)

848 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:47:54.37ID:qWqCnRqN.net
UTX総合学院

ツバサ「遂に来たわね小泉花陽」

ツバサ「みんな、今回のライバルは高坂穂乃果じゃないわ」

ツバサ「新リーダーの小泉花陽、彼女を倒さない限り」

ツバサ「我がアライズに活路はない」

英玲奈「で、どうするつもりだ?」

あんじゅ「また改革する?」

849 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:48:39.28ID:qWqCnRqN.net
ツバサ「あなたたちね。私は二度も頭を丸めるほど、学習能力がないつもりじゃないわよ」(苦笑)

ツバサ「私達はあくまでも、私たちのスタイルで行きます」

ツバサ「私達三人で築き上げたこの玉座、そう簡単に手渡すわけにはいかないわ」

ツバサ「私達はこれまで覇者として君臨して来た」

ツバサ「覇者として戦う以上、倒れるのも本望」

えれあん「……」

850 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:49:23.26ID:qWqCnRqN.net
ツバサ「私達は戦友。戦う以上甘えは許されないけど」

ツバサ「死ぬも生きるも一緒よ」

えれあん「……」

英玲奈「だな。今更慌てて路線変更するのは私達らしくない」

あんじゅ「私達最後まで一緒よ」

ツバサ「さあ来なさい小泉花陽」(スック)

ツバサ「私達は負けない。プロの恐ろしさを教えてあげるわ」

851 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:49:58.22ID:qWqCnRqN.net
bibiの猛追時すでにかげりが見えていたアライズは

九段下02と printempsと最後の激闘を演じ

そして玉座から転げ落ちた

アライズリーダー綺羅ツバサは英玲奈、あんじゅとの合意の上

年末アライズの解散を正式に発表した

852 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:50:29.80ID:qWqCnRqN.net
以後九段下02と printemps によるアイドル二強時代が訪れた

矢澤にこの評価通り 小泉花陽はアイドルとして天賦の才を咲かせ

九段02と激しい攻防を繰り返しつつ

printempsは日本芸能界のあらゆる賞を総なめし

次々と新記録を打ち立て

アイドルの王者として君臨する

853 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:51:24.56ID:qWqCnRqN.net
だが数年も経つと次第に衰えが目立ち始め

やがて九段下02もprintempsも引退し

過去の中に消えていった

大物達の退場とともに日本ではプロアイドルもスクールアイドルも長い退潮期に入った

854 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:52:16.18ID:qWqCnRqN.net
            『アイドルの旬は短い』

                          矢澤にこ

855 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:52:59.73ID:qWqCnRqN.net
エピローグ


数年後

私矢澤こころは 今年高校に入学しました!

双子の妹ここあとともに これから新入生として

学業に友達作り 頑張って行きたいです!

そして私達は この学校でもう1つ やりたい事があります!

856 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:53:32.96ID:qWqCnRqN.net
入学式当日

矢澤こころ「う〜ん、この矢澤こころも遂に高校一年生」

矢澤こころ「新しい制服に新しい教科書、本当新鮮な気持ちになりますね」

矢澤ここあ「そうだね」

ここあ「お姉ちゃんと同じ学校に行けるかどうか不安だったけど」

ここあ「何とか合格出来て本当良かったよ」

857 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:54:05.36ID:qWqCnRqN.net
こころ「さて、この学校に入ったからには、やるべき事は決まっています」

ここあ「何をするの?」

こころ「アイドルですよアイドル。決まってるじゃないですか」

こころ「志半ばにして倒れたお姉さまの遺志を継ぎ、次世代のスーパーアイドルになるのは」

こころ「私達を置いて他にありません!」(キリッ)

ここあ「さすがお姉ちゃん。気合入ってるね」

858 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:54:50.72ID:qWqCnRqN.net
こころ「そう言うわけで、さっそく校門へ行きましょう」

ここあ「うわぁ……長い階段だあ」

ここあ「ここ毎日登るのかあ」

虎太郎「あ、あのぅ、姉ちゃん」

虎太郎「重いんだけど、これぇ」(こころあのカバン)

こころ「虎太郎。あなたは男の子でしょ?」

ここあ「そうだよ。虎太郎は私達のマネージャーなんだから」

虎太郎「僕ももう新学期なんだけどお」(こころあのカバン)

859 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:55:36.50ID:qWqCnRqN.net
ここあ「虎太郎の学期始めは、明日でしょ?」(階段)

こころ「明日はちゃんと私達も顔を出しますから」

ここあ「なにやってんのよ虎太郎。ほらいくよ〜」(階段)

虎太郎「は〜い」(トボトボ)


階段上

こころ(スタスタ)

ここあ(スタスタ)

虎太郎「ゼェゼェ」(こころあのカバン)


校門

校門表札(国立音ノ木坂女学院)

860 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:56:19.83ID:qWqCnRqN.net
国立音ノ木坂女学院

入学式後

職員室

こころ「えっ?」

ここあ「アイドル研、もうないんですか?」

特別講師「二年前にね。廃部されてるの」

虎太郎「てか、何で僕まで」

861 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:56:49.75ID:qWqCnRqN.net
こころ「そうだったんですか」

ここあ「どうする?お姉ちゃん」

特別講師「もしここでスクールアイドル活動するんだったら、方法は三つね」

特別講師「個人的に行うのか、サークルを作るのか」

特別講師「今一度アイドル研究部を再建するのか」

こころあ「……」

862 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:57:32.54ID:qWqCnRqN.net
こころ「そうですねえ。確かに私らだけでやる分には、ネットとかでも出来なくはないですよね」

特別講師「サークルの方が、作るには簡単ではあるわ」

特別講師「届け出するだけで、顧問もいらないしね」

ここあ「ああそうか、先生も必要なのかあ」

特別講師「もしどうしても部活動でやるつもりなら、私で良ければ
顧問を引き受けても良いと言いたいところなんだけど」

特別講師「あいにく私も、バレエ教室とか経営してる身だし」

特別講師「ここは一年契約で勤務しているから、あなた達の卒業まで
いられる保証もなくてね」

863 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:58:00.92ID:qWqCnRqN.net
こころ「そうですか」

ここあ「正式な教師ではないのですね」

特別講師「ごめんなさい。協力できなくて」

特別講師「けど、私で力になれる事なら、喜んで手を貸すわよ」

こころあ「ありがとうございます」(ペコリ)

特別講師「しかし、本当にそっくりよねえ」

特別講師「さすがスーパーアイドルの血は争えないわねえ」(微笑)

864 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:58:57.38ID:qWqCnRqN.net
ここあ「そんな」

こころ「私など、まだまだお姉さまの足元にも及びません」

特別講師「お姉さんは本当に気性が激しかったけど、あなた達なら
もっとバランスの取れたアイドルになれる気がするわ」

特別講師「虎太郎君も本当にお姉さんの面影があるわね」

特別講師「モテるでしょ?」

虎太郎「えぇ?僕が?」

虎太郎「そ、それはぁ///」

こころ「虎太郎なに照れてるんですか」

ここあ「そうだよ。年上に弱いんだから」

865 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 11:59:23.90ID:qWqCnRqN.net
こころ「それではこれからどうするか、良く考えてみます」(ペコリ)

ここあ「ご指導ありがとうございました」(ペコリ)

特別講師「頑張ってみて」

こころ「そして、これからよろしくお願いします」(ペコリ)

ここあ「ダンスとか色々、教わりたいと思います」(ペコリ)

特別講師「本当にね」

866 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:00:29.64ID:qWqCnRqN.net
校舎内

旧アイドル研部室前

こころあ「……」

こころ「確かに、もう空っぽみたいだね」

ここあ「鍵もかかってるんだろうしね」

虎太郎「姉ちゃん達ぃ」

こころ「なに虎太郎。今大事な相談してるんだから」(クルッ)

ここあ「そうだよ。雑談じゃないんだからね」

867 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:02:19.16ID:qWqCnRqN.net
虎太郎「僕もう帰っていいでしょ?」

こころ「入校証あるんだから、大丈夫でしょうが」

ここあ「そうだよ」

虎太郎「けど、僕、男だし」


ミテミテアソコニオトコノコガイルヨ 

ツキソイナノカナ

ケッコウカワイイジャン

クスクス ウフフフ

虎太郎「ここ女子高生まみれだし、恥ずかしいっての」

868 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:03:01.19ID:qWqCnRqN.net
こころ「なんですか。女みたいな顔してるくせに」

ここあ「あ、そうだ。お姉ちゃん」

ここあ「いっそ虎太郎も加えない?私達のスクールアイドル」

虎太郎「えぇぇ!?」

こころ「ふむ、それはなかなかグッドアイデアですねえ」(顎に手)

ここあ「女装すれば、下手な女の子より、よっぽど可愛くなりそうだしね」

869 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:03:40.46ID:qWqCnRqN.net
虎太郎「姉ちゃんたちぃ、何勝手な事を」

こころ「虎太郎は来年中学卒業よねぇ」(フムフム)

ここあ「じゃ、虎太郎もここに入りなよ」

虎太郎「だから僕は男なんだって」

虎太郎「トイレとかどうすんだよぉ」

こころ「今はそう言うのに理解がある時代だから、心配はいりませんよ虎太郎」

ここあ「男の娘スクールアイドルかあ」

ここあ「なんだか人気出そうだ」

虎太郎「何で勝手に話がすすんでるのぉ?」

870 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:04:04.88ID:qWqCnRqN.net
家庭科室

服飾講師「アイドル部?」

こころ「はい」

ここあ「私達で」

服飾講師「虎太郎君も?」

こころ「もちろん」

虎太郎「違うって」

871 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:04:32.00ID:qWqCnRqN.net
服飾講師「それで、私に顧問を?」

こころ「はい」

ここあ「よろしければ」

服飾講師「う〜ん、そうだねぇ」

服飾講師「そのまえに、最低でも部員が5人必要なんだよね」

こころ「ええ」

ここあ「そう聞きました」

872 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:05:09.84ID:qWqCnRqN.net
服飾講師「じゃあ、こころちゃんたちが部員をそろえられたら
引き受けても良いよ」

こころ「本当ですか?」

ここあ「ありがとうございます」(ペコリ)

ここあ「じゃあ、私とお姉ちゃんと虎太郎とで3人だから、あと2人だね」

虎太郎「何で僕も入ってるの?」

虎太郎「てか僕中学生なんだけど」

873 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:05:51.38ID:qWqCnRqN.net
こころ「けど、先生はいつからここに?」

ここあ「そうだね。最初見かけた時びっくりしたもん」

服飾講師「去年からだよ」

服飾講師「本業のかたわら、ここで服飾とかを教えてるんだ」

こころ「そうだったんですか」

ここあ「すごいな。世界的デザイナーに学べるなんて」

874 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:06:48.75ID:qWqCnRqN.net
服飾講師「そうだ。こころちゃん達がデビューしたら、私が衣装作ってあげようか」

こころ「えぇ?本当ですか!?」

ここあ「もちろんです。お願いします」

服飾講師「もちろん、虎太郎君のもねっ♪」

虎太郎「だから何で僕も入ってるの?」

こころ「ほら虎太郎。ちゃんとお礼言わなきゃダメでしょ?」

ここあ「そうだよ。こんな有名な先生に作ってもらえるんだから」

虎太郎「あ、ありがとう……ございます」(ペコリ)

服飾講師「どういたしまして♪」

875 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:07:35.18ID:qWqCnRqN.net
校門前

こころあたろう(テクテク)

こころ「けど、アイドル研もない、サークルも無いなんてね」

ここあ「アイドルは今、大ブームなんだけどね」

こころ「その通りですよ」

ここあ「どうする?お姉ちゃん」

こころ「ここあ。私達がここを選んだ理由は3つ」

こころ「一つはここがお姉さまの母校だったから」

こころ「二つ目は、ここがミューズ発祥の地だから」

こころ「そして」

ここあ「私達がスクールアイドルになるため、だよね?」

876 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:08:30.41ID:qWqCnRqN.net
こころ「その通りです」

こころ「今やUTXもアイドル部門から撤退して久しいですが」

こころ「だからこそ、再び私達がスクールアイドルの旗を掲げなければなりません」

ここあ「と、言う事は」

こころ「もちろんアイドル研究部を復興します」

こころ「お姉さまが希さんと2人で、1から始めたように」

ここあ「そうだね」

ここあ「応援してくれる人達もいるしね」

877 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:09:04.38ID:qWqCnRqN.net
虎太郎「どうでもいいけどさ。もう腕が疲れたんだけど」(こころあのカバン)

こころ「なんですか虎太郎。男のくせに」

ここあ「そうだよ。そんなんじゃ彼女出来ないよ?」

虎太郎「なんだよ都合の良い時だけぇ」(こころあのカバン)

878 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:09:28.92ID:qWqCnRqN.net
銀行

ATM前

こころあたろう(タッチパネル)

銀行員「何か分からない事ありますか?」

銀行員「良かったらお姉さんに聞いてね」

こころ「あっ」

ここあ「あなたは」

虎太郎「///」

879 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:09:56.65ID:qWqCnRqN.net
銀行員「みんな、久しぶり」

銀行員「やっぱ音ノ木に入ったんだね」

こころ「ええ」

ここあ「お母さんはUTXでも良いって言ってくれたんだけど」

ここあ「やっぱお姉ちゃんの所が良いと思って」

銀行員「そっかあ」

虎太郎「///」

880 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:10:34.90ID:qWqCnRqN.net
銀行銀「で、やっぱやるの?アイドル」

こころ「もちろんです」

こころ「お姉さまに負けない、素敵な宇宙ナンバーワンアイドルになってみせます」

ここあ「あのアライズ、bibi、それに九段下02を超えてみせるよ」

銀行員「Printempsは?」

こころあ「……」(横目)

こころ「もちろんPrintempsも!」

ここあ「とっても尊敬してるよ。とっても」

銀行員「今、目そらした?」(ニッコリ)

881 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:11:13.04ID:qWqCnRqN.net
銀行員「お母さんのお金をおろしに来たんだね」

こころ「そうなんです」

ここあ「生活費は全部、私達で管理する事になってるんで」

銀行員「そうなんだ。偉いねえ」

銀行員「お母さんも忙しいでしょ?」

こころ「ええ。財団の運営がありますから」

ここあ「私達が大きくなって、ようやく少し楽になったって言ってました」

銀行員「そうなんだね」

882 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:11:52.56ID:qWqCnRqN.net
銀行員「私は名義だけ貸して、財団って言っても、週に一回くらいしか顔を出さないから」(苦笑)

銀行員「多忙なのはどうも苦手なんだよねぇ」

銀行員「虎太郎君も元気?」

銀行員「女の子同士の話ばかりで、つまらないでしょ」

虎太郎「い、いぇ……特に///」

ここあ「虎太郎なに顔真っ赤になってんのさ」

こころ「聞いてください。虎太郎、年上になるといつもこうなんですよ」

銀行員「そうなんだ」(クスクス)

883 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:12:32.46ID:qWqCnRqN.net
こころ「それじゃ私達、預金もって帰ります」(ペコリ)

ここあ「どうもありがとうございます」(ペコリ)

虎太郎「どうも///」(ペコリ)

銀行員「はい、またねっ」(微笑)

銀行員「あ、そうだ。まだ続いてるの?通院」

こころ「はい。もうじき終わるそうですが」

ここあ「ちょうどこれから寄るんです」

銀行員「そっかぁ」

銀行員「こころちゃん達」

こころあたろう「?」

銀行員「ファイトだよっ♪」(ガッツポーズ)

884 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:13:04.48ID:qWqCnRqN.net
午後

西木野総合病院

診察室

医師「喜んで。検査の結果、あなた達の癌リスクはほぼ根絶されたわよ」(モニター)

医師「もう投薬の必要も無し。注射もね」

医師「これからは、一カ月に一回、ここで簡単な検査を受けるだけで良いわ」

こころ「本当に?」

ここあ「私達治ったの?」

虎太郎「……」

885 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:13:37.15ID:qWqCnRqN.net
医師「あなた達の家系に特徴的な癌発現遺伝子を見つけ、それを抑える薬を投与してきたけど」(pcカタカタ)

医師「この状態なら、ほぼ活動は封じ込めたも同然よ」(モニター)

医師「健康寿命も、他の人とそん色ないわ」

医師「良かったわね」(微笑)

こころあたろう「ありがとうございます」(ペコリ)

886 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:14:33.98ID:qWqCnRqN.net
医師「正直ここまで持ってくるの、長かったわ」(髪クルクル)

医師「今は最先端医療も日進月歩だし、特に遺伝子分野は長足の進歩をとげてるけど」

医師「それがなかったら、少し危うかったかもね」

こころ「感謝します」

ここあ「私達まで早死にじゃ、お姉ちゃんやお父さん達に申し訳ないからね」

虎太郎「うんっ」

887 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:15:11.48ID:qWqCnRqN.net
医師「今日入学式だったんでしょ?」

医師「制服、似合うわよ」(微笑)

こころ「ありがとうございます」

医師「やっぱやるんでしょ?スクールアイドル」

ここあ「もちろん!」

医師「虎太郎もやるんでしょ?」

虎太郎「だからなんで僕までやる事にされるのぉ?」

医師(クスクス)

888 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:15:42.30ID:qWqCnRqN.net
医師「そう。アイドル研はもうないのね」

こころ「そうなんです」

ここあ「UTXも、今は芸能科は取ってないって」

医師「じゃあ、また1からやり直しね」

こころ「はい」

ここあ「私達でまた盛り上げてみせるよ」

ここあ「ね?虎太郎」

虎太郎「え?う、うん」

889 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:16:12.50ID:qWqCnRqN.net
こころ「お姉さま達が始めた道です。私達が引き継いで、もっともっと
大きな流れにしてみせます」

ここあ「夢は大きく全国制覇!」

ここあ「デビュー楽しみにしててね」

医師「そう。がんばってね」

医師「私も少しは応援してあげるから」

890 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:16:41.73ID:qWqCnRqN.net
夕方

秋葉原 中央通

(ガアァァァ プップー)

(タタンタタン タタンタタン)

こころあたろう(テクテク)

小学生達「にっこにっこにー」(ビシッ)

小学生達「違うよ。ポーズはこうだってぇ」

小学生達「見て見て〜、み〜んなのアイドル、矢澤にこにこぉ♪」

小学生達「にこにーって呼んでねラブニコッ♪」(キャピッ)

891 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:17:17.14ID:qWqCnRqN.net
小学生達「じゃあ私、真姫ちゃんやる〜」

小学生達「じゃあ私、エリーチカね?」

小学生達「ナニソレイミワカンナイ」(髪クルクル)

小学生達「本当にね」

小学生達「にこにこっ♪にこぷりっ♪にこにこっ♪」

小学生達「イェイ♪」

キャハハハ ドタドタドタ……

こころあたろう「……」

892 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:17:47.57ID:qWqCnRqN.net
こころ「お姉さま達、大人気ですね」

ここあ「最近ブームが再燃してるとは聞いてたけど」

ここあ「10年近く昔の話なんだけどねえ」

こころ「お姉さまの遺志は、ちゃんと生きてるんですね」

虎太郎「……」

893 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:18:35.18ID:qWqCnRqN.net
UTX学園

ディスプレイ『今年に入ってから、日本は再びアイドルブームになっています』

ディスプレイ『その火付け役となったのが、かつての大人気ユニットだったbibi』

ディスプレイ『特にそのリーダー矢澤にこは、その鮮烈なデビューと衝撃的な最後によって今なお多くの人々の
記憶に残っています』

ディスプレイ『その卓越したパフォーマンスと余人の追及を許さないプロ意識によって
瞬く間に日本アイドル界を席巻しましたが』

ディスプレイ『意外にもメジャーな大賞でトップに立つことはなく、そのため無冠の帝王と呼ばれる事もあります』

894 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:19:09.11ID:qWqCnRqN.net
ディスプレイ『もしも彼女があと一年生きていたら、確実に日本はおろか、世界のトップに立っていただろうと
今なお惜しまれています』

ディスプレイ『21世紀の夏目雅子とも呼ばれるゆえんです』

ディスプレイ『小泉花陽が記録に残るアイドルなら、まさに矢澤にここそ記憶に残るアイドルだと言えましょう』

ディスプレイ『彼女はまた、幾多の名言を残した事でも有名であり……』

こころあたろう「……」

895 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:19:47.53ID:qWqCnRqN.net
ここあ「お姉ちゃん、やっぱりすごいね」

こころ「前にツバサさんから聞いた事あるんですよ」

こころ「私は確かにトップの玉座をお姉ちゃん達から守り抜いた
いくつもの部門で、bibiが手に入れられなかった賞もいただいた」

こころ「だから勝負は私達の勝ち」

こころ「けど、アイドルとしてなら、私達の負けだ、と」

ここあ「なんで?」

896 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:21:25.04ID:qWqCnRqN.net
こころ「アライズがどれだけ成果を挙げても、人々の記憶に残るのは、もってせいぜい数年」

こころ「けど、bibiは、お姉ちゃんは……何十年も、ずっとみんなが覚え続ける存在になるだろうからなんだって」

ここあ「そうなんだ。あのツバサさんがね」

虎太郎「……」

ここあ「確かに、この光景を見たら、そうかも知れないけど」

897 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:22:42.46ID:qWqCnRqN.net
こころ「お姉ちゃんは、生き物としては死んだかも知れない」

こころ「けど、引き換えに、永遠のアイドルとして、ずっとずっと生き続ける」

こころ「そうも言ってました」

ここあ「やっぱツバサさんは言う事が違うね」

898 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:23:30.16ID:qWqCnRqN.net
こころ「だから、私達の目指すべき、そして最大のライバルは、きっとお姉さまなんです」

ここあ「それは物凄く大きな目標だね」

ここあ「私達、かなうかな」

こころ「やってみせます」

こころ「でないと、お姉さまに笑われてしまいますよ」

ここあ「……」

ここあ「そうだね。そうだよね」

899 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:24:14.67ID:qWqCnRqN.net
(ガアァァァ プップー)

(タタンタタン タタンタタン)

こころ「この駅前中央通りで、お姉さま達は伝説を始めました。
そしてPrintempsも」

こころ「私達も、いつかここに立って、私達の物語を作り始めます」

こころ「いつの日にか、きっと」

ここあ「うん」

ここあ「やろうね。絶対に」

900 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:24:50.12ID:qWqCnRqN.net
こころ「虎太郎もですよ」

ここあ「聞いてたの?」

虎太郎「えぇ?僕も?」

虎太郎「何度も言うけど、僕男なんだけど」

こころ「デビューしたら専属マネージャーになるんでしょ?」

ここあ「まあ、虎太郎の場合、本当、男の娘としての方が需要ありそうなんだけどね」

虎太郎「……」

901 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:25:29.07ID:qWqCnRqN.net
(ガアァァァ プップー)

(タタンタタン タタンタタン)

こころ(スゥー)

こころ「せーの」

こころ「よ〜し、スクールアイドル始めるわよ〜」

ここあ「ニコッ♪」



アイドルの思いは 受け継がれる



【完結】

902 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:26:24.02ID:qWqCnRqN.net
ここまで読んでくださったみなさん 本当にお疲れさまでした

思えば4年にわたる長丁場でした

ラブライブのキャラにはみんな思い入れがありますが

特に矢澤にこの人間臭さ そして不屈の闘志には惹かれるものを感じ

このSSに手をつけてみました

大好きだったラブライブ そして矢澤にこの魅力が少しでも
伝わってくれれば幸いです

それではみなさんごきげんよう

903 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:27:28.95ID:+Ezm4pvO.net
にこ享年24で花陽も引退してから高校入学とか、μ's当時こころ達はいくつなんだよ…

904 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:33:05.28ID:VvFQa0/2.net
ただただ乙

905 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:39:25.92ID:Y1xSpXsD.net
にこの死がμ's6年後
PrintempsがBiBi同様デビューから4年で引退したとするとエンディングはμ'sの10年後
μ's当時こころあが年長
年齢を考えるとPrintempsの活動期間はもう少し短いと思うから決して無理のある年齢設定じゃない

906 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 12:46:04.04ID:KAsOUZgI.net


907 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 13:29:33.23ID:aD1+qbv1.net
最初から見てたけどマジで大河ドラマだった


908 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 15:56:50.09ID:32o7h6o1.net
色々感想書こうと思ったけど、ああ、これがにこちゃんなんだっていう言葉しかでてこない
長い間本当にお疲れ様でした

909 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 17:59:13.84ID:BtJCu3dk.net
エタらず荒らしの妨害にも負けずよく頑張った!勘当した!!

漢(おんな)・矢澤にこ、ここにあり!

910 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 18:30:33.32ID:QpP9FCCd.net
お疲れ様です
とてもよかったです

911 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 21:50:11.70ID:1nC0AeeR.net
長い間本当に乙だった!

912 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 23:01:05.67ID:cXCthMFz.net
感動した

913 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 23:20:41.73ID:o8L2mPc3.net
にこが小学生の時に父親が死んでて真姫が無免じゃないとしたらちょっとラブライブ時空が発生しているだけで何も矛盾してないな

914 :名無しで叶える物語:2017/05/20(土) 23:21:47.91ID:3Pugx6eA.net
>>913
日本語から学べ

915 :名無しで叶える物語:2017/05/21(日) 09:27:31.75ID:sJT+Kpdo.net
保守

916 :名無しで叶える物語:2017/05/21(日) 20:27:55.85ID:sJT+Kpdo.net
良作だな

917 :名無しで叶える物語:2017/05/21(日) 23:21:42.94ID:1FXX/yXN.net
乙です

918 :名無しで叶える物語:2017/05/22(月) 01:49:19.45ID:HxBy4puX.net
泣いてしまった

919 :名無しで叶える物語:2017/05/22(月) 04:18:06.55ID:SyG72jSP.net
よかった
今年の打線スレで推す

920 :名無しで叶える物語:2017/05/22(月) 12:26:32.78ID:oEbKuCCT.net
さすが、にこね!

921 :名無しで叶える物語:2017/05/22(月) 22:24:25.67ID:HcjbNHZU.net
もっと評価されるべき

922 :名無しで叶える物語:2017/05/23(火) 20:33:53.61ID:TeeRxHke.net
続きかいてもいいのよ

923 :名無しで叶える物語:2017/05/24(水) 20:33:01.85ID:hFR2apHu.net
たのむ

924 :名無しで叶える物語:2017/05/25(木) 19:50:53.64ID:7kjiqUoq.net
今年一番

925 :名無しで叶える物語:2017/05/26(金) 19:50:01.98 ID:c2nbs3WQ.net
はいはい

926 :名無しで叶える物語:2017/05/27(土) 19:50:01.32 ID:Fa9LypK7.net
そうね

927 :名無しで叶える物語:2017/05/28(日) 16:07:56.17 ID:J9DYBNr8.net
完結してるし埋めても問題ないわよね

928 :名無しで叶える物語:2017/05/28(日) 16:09:02.98 ID:CJID5n68.net
今が最高!

929 :名無しで叶える物語:2017/05/28(日) 16:09:18.24 ID:SrWTYYp0.net
今が最高!

930 :名無しで叶える物語:2017/05/28(日) 16:09:30.91 ID:X0qSaN8t.net
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931 :名無しで叶える物語:2017/05/28(日) 16:09:44.87 ID:MkqjUTht.net
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932 :名無しで叶える物語:2017/05/28(日) 16:09:58.84 ID:ILD3p3qU.net
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933 :名無しで叶える物語:2017/05/28(日) 16:10:12.17 ID:umMaA6fs.net
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934 :名無しで叶える物語:2017/05/28(日) 16:10:24.18 ID:ywRF/QXw.net
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936 :名無しで叶える物語:2017/05/28(日) 16:10:49.29 ID:M3NEbVEo.net
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